青い海の小さなおはなし   作:一般通過社会人

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同類

 

〜翌日 自室〜

 

指揮官「……信濃さん。朝。」ユサユサ

 

信濃「むぅ…。」ギュッ

 

信濃さんがゆっくり目を開ける。…何でまだ拗ねてるんだよこの人。

 

信濃「妾も、勇気を振り絞って汝の布団に上がり込んだのに…反応すらされないとは…。」

 

指揮官「…睡魔には勝てないんですよ生物は。」

 

信濃「解るからこそ悔しい…。」シュン

 

信濃さんの耳が倒れる。だって眠かったんだもの。あと眠るまではかなりヤバかったよ。いい匂いでした。

 

信濃「……。」

 

指揮官「……ご飯、行きます?」

 

信濃「……行く。」

 

食堂に向かった。

 

 

〜廊下〜

 

信濃「……。」ギュッ

 

指揮官「重いッス…。」

 

信濃「……知らぬ。」ギュッ

 

信濃さんに後ろから抱かれながら体重を載せられる。割と重い…俺の運動不足の貧弱ボディーに無茶させないでくれます?

 

綾波改「…指揮官、遂にヤったです?」

 

指揮官「ヤってないわ。人聞き悪い事言うな。」

 

綾波改「どうせ人聞き悪くなるです。」

 

指揮官「何で?」

 

綾波改「信濃さんに此処までさせてるのに一向に手を出さないヘタレだから。」

 

耳が痛いな。激痛すぎて顔を顰める。

 

指揮官「……うっせぇバーカ。」

 

綾波改「ふっ…勝ったです。」ドヤァ

 

信濃「妾が居るのに他の娘と…。」メラッ

 

指揮官「ごめんって。いい加減機嫌直して…。」

 

信濃「……やだ。」

 

……信濃さんって怒らすとこんなに面倒くさいんだな。怒らせんようにしよ。食堂に入った。

 

〜食堂〜

 

指揮官「ふぁ…眠。」

 

信濃「ん……。」コクッ

 

味噌のいい匂いがする。朝ご飯は各陣営でかなり個性が出る。重桜はいつも通りの定食だが、ユニオンはコーンフレークかパンケーキ、ロイヤルはサンドイッチ(ホットサンドも可)かフル・ブレックファストだ。鉄血はよくあるベーコンエッグだが、パンはライ麦のパンが多い。

 

綾波改「私は…鮭定食にするのです。」

 

指揮官「鮭か…アリだな。」

 

綾波改「指揮官はどうするのです?」

 

指揮官「んん…。」

 

鮭も食べたいがパンの気分でもある…あ、でもチーズも欲しいな。

 

ジャベリン改「しーきかん♪」

 

指揮官「ジャベリン…ん、何か久しぶりな気がする。」

 

ジャベリン改「そうですね…演習以来です。」

 

駆逐艦の面々は割と忙しい。学園で授業を受けたり、出撃したり。ジャベリンなどの高ランクの駆逐艦は特にだ。

 

指揮官「で、ジャベリンは何にする?」

 

ジャベリン改「BLTにします!」

 

指揮官「俺は……ホットサンドにしようかな。」

 

信濃「妾も同じ物を…。」

 

指揮官「じゃ、ピクルスサンドのピクルス抜きを。」

 

ジャベリン改「……それはもはやピクルスサンドではないのでは…?」

 

綾波改「ただのハムとチーズサンドです…。」

 

指揮官「残念ハムとチーズサンドはマーガリンが付いてない。」

 

マーガリンが有ると無いでは大きく差が出る。ピクルスはどうでも良い。マーガリンは大事。

 

綾波改「クセが強いです…。」

 

ジャベリン改「こ、好みは人それぞれですから…。」

 

指揮官「無理に気を遣わなくても良いよ。」

 

〜食事後〜

 

指揮官「ふぅ…。」

 

信濃「ロイヤルの朝餉も…中々に美味…。」

 

というか信濃さんっていつも何食べてるんだろうか……まあ良いか。

 

指揮官「じゃ、俺執務室行くので。」

 

信濃「むぅ…名残惜しい…。」ギュッ

 

綾波改「指揮官、また…会えるです?」

 

ジャベリン改「……。」

 

……?何言ってるんだ。

 

指揮官「また会えるよ。ほら、解散解散。」

 

綾波改「なら…良いです。」

 

……何だったんだ。

 

 

〜執務室〜

 

ベル「おはようございます……?」

 

オイゲン「……貴方。」

 

二人が視線を向けてくる……え?何か変?ちゃんと身支度はしたよ?

 

オイゲン「……昨日の夜、信濃に何かされた?」

 

指揮官「…押し倒された?」

 

ベル「そうではなく……いえ、その様子なら大丈夫そうですね。」

 

オイゲン「……え、普通にスキャンダルじゃない?」

 

ベル「いつもの事です。この人…鈍感…チキンなので。」

 

オイゲン「あっ…。」

 

おい何だその全てを哀れむような会話は。俺が残念だってのかオイ。女性経験無さすぎってのかオイ。

 

オイゲン「…せいぜい食べられないようにね。」ポンポン

 

指揮官「食べる!?え、どっちの意味で!?」

 

オイゲン「ソッチに決まってるじゃない。心あたり有るでしょ?」

 

指揮官「……。」

 

何も言えない。気まずくなってヤケクソ気味に執務を始めた。

 

 

〜昼時〜

 

指揮官「……終わり。」

 

オイゲン「こっちも終わったわよ…いつもこの量やってるの?」

 

ベル「今日は10枚程多いですね。」

 

オイゲン「多いって…それで午前中終わり…貴方達バケモノ?」

 

指揮官「人間ですが何か。」

 

午前中終わりは基本的に秘書官二人じゃないと無理だ。段々と多くなってくる書類に、既に手が回らなくなってきている。

 

オイゲン「……まあ、うん。一緒に頑張りましょ。」

 

指揮官「…あざっす。」

 

ベル「それでは、執務室を閉めますよ?」

 

執務室を出た。

 

 

〜廊下〜

 

指揮官「ふぅ…。」

 

昼は食堂でケバブロールを食べた。やっぱり良いな。

 

指揮官「……。」スタスタ

 

今は一人で廊下を歩いているのだが…。

 

指揮官「…。」スタスタ

 

……つけられてるな。誰だろ。

 

指揮官「…。」スタスタ

 

このタイミングだと鉄血の誰かなんだろうけど…。

 

指揮官「…。」スタスタ

 

Z23やビスマルクさんなら堂々と話しかけてくるだろうし、オイゲンさんも同様。俺の知ってるKANSENじゃない…と、思う。

 

指揮官「……誰ですかね。」クルッ

 

後ろを振り向く。こうするしかない。気の所為だったらそれで良い。

 

???「あら…バレちゃいました。」スッ

 

指揮官「……名前は。」

 

金髪ショート…ボブっぽい。それに…鉄血らしい黒い服。手は機械的なガントレットで素肌が見えない。声を聴くとゆるふわ系か。

 

ローン「鉄血巡洋艦のローンです。かの世界では構想段階でしか存在していなかったのですが……。」

 

ローン…構想段階で終わった船か。流石に知らないな。

 

ローン「聞きましたよ?エーギルさんとザイドリッツさん、助けに行ってくれるんでしょう?私も何かできる事は無いかな…って。」

 

指揮官「……今は特には。」

 

苦手かもしれない。何だろう、癒やし系の声なのに何か違和感が…。

 

ローン「そうですか…じゃあ、少し…お部屋にお邪魔しても?」

 

指揮官「……いや、流石に初対面ですし。」

 

ローン「そう仰らず…少しですから。」

 

できれば角を立てずに乗り切りたいが、ビスマルクさんに報告されたら何言われるか分からない。いくらあちらから持ってきた話とはいえ、此処で見捨てる訳にも…。

 

 

〜自室〜

 

ローン「此処が…。」キョロキョロ

 

指揮官「……。」

 

結局上げてしまった。何か断りづらい…。

 

ローン「大鳳も言っていましたよ。優しい人だって。断るの、あまり得意じゃないでしょう?」

 

指揮官「……はい。」

 

まあ、うん…断りづらいし…。

 

指揮官「…えーと。」

 

ローン「?」

 

それで…。

 

指揮官「何か…?」

 

ローン「ふふ…特に用があった訳では無いんです。ただ、この作戦だけかもしれないとは言え、背中を預ける仲間…人となりを知っておきたくて。」

 

指揮官「なる…ほど?」

 

俺の人となりなんてそこら辺のKANSENに聞けば分かるだろ…。

 

ローン「人づての情報ほど不確かな物はありませんから。」

 

指揮官「違いない。」

 

実際に人づての情報で世界を動かす作戦を立てているから分かる。人づての情報は信用出来ない。それをあっさり信じて行動してしまうのが人間の恐ろしい所なのだが。

 

ローン「でも…噂通りでしたね。優しくて、平和主義。ちょっと抜けてる所がある、可愛らしい指揮官。」

 

指揮官「……平和主義では無いですよ?」

 

ローン「あれ。そうなんですか?」

 

可愛らしいと言うところにも文句を言いたいが、現状否定しきれないので放置。

 

指揮官「最短で、最小の犠牲で解決できるなら暴力を選びます。」

 

ローン「へぇ…。じゃあ、貴方…。」

 

ローンさんが口角をつり上げる。少し不気味だ。

 

 

壊すのは…好きですか?

 

 

指揮官「それは…。」

 

ローン「どうなんですか〜?」

 

…まあ、天城の時は間違いなく愉しんでいた。好きかと言われると…。

 

指揮官「……まだ、分かんないです。演習の時は…愉しんでいましたけど、好きとハッキリ言えるほど確かじゃ…。」

 

ローン「……そう、ですか。これからなんですね〜…。」

 

ローンさんが少し残念そうに目を伏せる。

 

ローン「でも、指揮官、私、見えていますよ――あなたの心の奥には、私と似たような「モノ」が…確実に、有ります。」

 

指揮官「……有るんですかね?」

 

ローン「えぇ…美しいものだからこそ、自分でめちゃくちゃにしたい…貴方にも、いつかそういう感情が芽生えます。私は、生まれた時からこうでしたけど…貴方はこれからです。」

 

……まだ良く分からないな。

 

ローン「ふふ…貴方とはこれからも仲良くできそうです。それじゃ、失礼しますね。」

 

指揮官「……はい。」

 

…これから、か。

 

 

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