〜執務室〜
指揮官「…で。」
ベル「はい?」ギュッ
シリアス「?」ギュッ
…翌朝、いつも通り執務室に入室すると既にベルとシリアスが居た。そして机の上にある書類を片付ける為、いつも通り椅子に座って書類を片付け始めたのだが…。
指揮官「君達…近くない?」
シリアス「私は、誇らしきご主人様の『護衛』ですので!」フンス
ベル「私は…ご主人様の、『メイド』でございますので。」フンス
指揮官「…そう。」
…ヤバいシリアスもベルもなっがい谷が眼前に迫ってる。童貞にはキツい。死んじゃう。
指揮官「…離れてくんね?」
シリアス「…シリアスは、要らない娘ですか…?」グスッ
ベル「ベルファストは…捨てられてしまうのでしょうか…?」グスッ
指揮官「近いわ!異性の上司に対する距離感じゃないだろ!というかベル!お前ニヤけてるぞ!面白がってるだろテメー!」
ベル「おや…バレてしまいましたか。残念。」スッ
シリアス「残念です…。」スッ
二人が笑顔で距離を取る。ったく…。
指揮官「はぁ…で、ベル、挨拶周りだけど…。」
ベル「すみません…実はこういう事もあろうかと前からアポは取っておいたのですが、重桜と鉄血、サディアの方々は警戒しているようで…。」
指揮官「あ〜…しょうがないか。ユニオンは?」
ベル「ユニオンのリーダー…エンタープライズ様は快く応じてくださいました。何時でも歓迎との事です。」
レッドアクシズの3国は先代と先々代で酷い目にあってるらしいからな。しょうがない。
指揮官「グレイゴースト…か。午後から行くって伝えておいて。」
ベル「了解しました。」
それから書類を片付け始めた。シリアスの紅茶は今度は苦かった。
〜ユニオン寮〜
エンタープライズ「私はヨークタウン型航空母艦のエンタープライズだ。よろしく。」スッ
指揮官「アオイ・ベネットだ。挨拶が遅れて申し訳ない。よろしく。」スッ
午後になりユニオン寮に来た。広間に通されると白い士官帽に黒い軍服を着流した人物が待っていた。この人が…。
エンタープライズ「貴方とは良い関係を築けそうだと思っている。食堂や購買部の増設、感謝する。ウチの小型艦達も喜んでいる。私も…休日の楽しみが増えた。」グッ
指揮官「グレイゴーストにそう言ってもらえるとは光栄だ。今後とも皆の望みは可能な限り応えたいと思っている。」グッ
握手を交わす。うーんオーラがすごい。大戦でもっとも勲章を受けたユニオン海軍の軍艦は伊達じゃないな。
エンタープライズ「そう硬くならないでくれ。貴方とは友達になれそうなんだ。」
指揮官「流石に緊張は許してくれよ…まだ大したこともしてないのに、グレイゴーストの隣に並ぶのは緊張する。」
エンタープライズ「ふふ…今回の指揮官は謙虚だな。」
しゃーないやん。相手が相手やぞ。
ベル「お許し下さいエンタープライズ様。彼は優しいお方なのです。シリアスも…。」
シリアス「はい!このシリアスも誇らしきご主人様を心から敬愛しております!この御方こそ我々が従うべき御方です!」
指揮官「君達いつか人を褒め殺しそうだよね。程々にしなよ?」
エンタープライズ「ふふふっ…!本当に面白くなりそうだ。これからもよろしく頼むよ。」
エンタープライズが微笑む。顔が良い。スタイルもアレだし、モデルかな?いや宝塚の男優…?
??????「あらエンタープライズ…お客様?」
エンタープライズ「姉さん。こちら新しく着任した、指揮官のアオイ・ベネット様だ。」
ヨークタウン「貴方が…。私はヨークタウン型航空母艦のネームシップ、ヨークタウンです。よろしくお願いします。」ペコッ
指揮官「アオイ・ベネットです。よろしくお願いします。」ペコッ
オールド・ヨーキィも出てきたんだけど。儚げな人だな…。めちゃくちゃ活躍した艦なのに、不思議だ。
ヨークタウン「姉妹共々お願いします。私は…妹と比べるとあまりお役に立てないかもしれないけれど…。」
指揮官「えぇ…いえ、そんな事無いですよ。何故…?」
ヨークタウン「私は、かの大戦で散々良くしてもらったのに結局沈んでしまったし…そのせいでハムマンちゃんも沈んじゃったし…。」
指揮官「あー…。」
なーるほどそういう事…まあ確かにちょっと報われない最期だったけど…。
指揮官「…怖い、んですかね。」
ヨークタウン「えぇ…す、すみません。こんな暗い話。」
エンタープライズ「姉さん…。」
…一つだけ。
指揮官「…俺は、貴女を置いていきたくありません。」
ヨークタウン「え…?」
指揮官「まあでも…ご存じの通り、俺は砲も撃てなければ航空機も飛ばせない身体です。割と直ぐ死ぬと思います。」
シリアス「っ…。」
ヨークタウン「…やはり、貴方も。」
指揮官「でも。」
ヨークタウン「…はい?」
指揮官「だからこそ、貴女の力を借りたい。」
…彼女の気持ちは良くわかる。一度沈んでしまえば、這い上がらない限りはそれ以上傷つく事は無い。俺もそうだった。だが…。
指揮官「誰かを信頼するのが怖いなら…裏切られるのが、自分のせいで死んでしまうのが怖いなら、今度は守る事に集中してみませんか?」
ヨークタウン「守る…ですか。」
指揮官「はい。俺は弱い。弱いんです。肉体的にもそんなに屈強とは呼べないですし、精神的にも…色々あったもので。だから一人じゃ生きていけない。だから信頼して貰わなくても良いです。その代わり、俺を護ってほしい。俺を護る事に集中してほしいんです。信頼しないなら裏切られる事もない。」
ヨークタウン「…分かり、ました。これから私は貴方の為に力を振るいます。貴方を、死なせない為に。」
指揮官「ありがとうございます。」
いつか終わりが来るとしても、それは沈んでいて良い理由にはならない。彼女にはまだ残された物がある。それを守る為に、無意識だとしても戦ってもらう。…酷い話だが。
指揮官「それでは、今日はこれで。失礼します。」
エンタープライズ「あぁ。…ありがとう。これから我々は、貴方の為に戦う。貴方だけの為に。」
指揮官「ありがとうございます。よろしくお願いします。」
ユニオン寮の扉を開ける。
ヨークタウン「ま、待って!」
指揮官「…はい?」
ヨークタウン「また…また、お話して下さい!」
指揮官「…はい!」ニコッ
…良い女だよ。全く。