人間くん おにぎりをきれいな正三角形に作るのが得意らしい
「エルフさんって魔法得意なんですよね?」
「ああ、私ほどの者は同族にも中々いないぞ」
「じゃあ強いんですね」
「………それはまた別の話だ」
「おや?」
「君それはあれだぞ。その道を仕事にしてるからと言ってそれで戦うかは全く関係ないだろ」
「高圧電源の作業員さんが雷撃を使えるから強いんだなってなるか?」
「高圧電源の作業員さんは雷撃使えますよ?」
「えっ嘘」
「嘘です」
「びっくりした……。寿命が縮むかと思った」
「死因は雷撃ですね」
「その場合の死因は君だから作業員さんに罪を押し付けるな」
「まあ結論から言ってしまうと私は普通に強い」
「じゃあ上のやりとりいらないじゃないですか」
「いや、私が強いのは向こうで一人旅をして争いに巻き込まれたり場数を踏んだ経験の賜物であって魔法が使えるからではないと言いたかったのだ。決めつけは良くない」
「それに魔法使わなくても強いやついっぱいいたからな」
「ああ、なるほど。それは申し訳ありませんでした」
「うん、許そう」
「ありがとうございます。やっぱ得意な魔法とかあるんですか?」
「あるぞ。お湯を出す魔法だ」
「お湯」
「お湯。大体50℃手前位のお湯をかければ盗賊でも獣でも怯むから便利なのだ。普段使いに慣れれば野営の時なんかにも楽だし」
「まあ構わず向かってくる魔獣なんかはスパッと行ったりするわけだがほとんど会わないから」
「攻撃にしては良心的な温度ですね」
「殺さなくていいならその方がいいからな」
「そういうやつじゃなくてもっとこう必殺技!みたいなのは」
「ある。禁じられた魔法というやつだ」
「それ!それ聞きたい!」
「そういうの好きだな人間は」
「せっかくなので教えてやろう。エルフが誇る魔法の真髄をな」
「おお!」
「お湯を出す魔法だ」
「殴ります」
「まあ待て、同じだけど違うんだ。聞いて、ねえ」
「このお湯を出す魔法は水を空間に固定して加熱するという工程を行うんだ」
「温度を決めずに加熱し続けるとやがて水蒸気になるのはわかるな?しかし水は決まったエリアに固定されてるので逃げ場がない」
「おお…」
「そして完成するのがこっちの条約で禁止された超非人道的魔法である超高圧水蒸気爆弾なのだ」
「これが当たると高温の水蒸気が解き放たれてすごい火傷を負う。蒸気なので当然体内まで焼くことになる。これが本当に治しにくくてとても苦しむことになるんだ」
「思ったよりリアルな嫌さだった……」
「そうだろう。そしてこの魔法の問題点は水と火が使えると簡単にできてしまうところだ」
「簡単だからこそ危険性を周知し、禁じる必要がある」
「確かにそうですね……勉強になりました」
「うん、じゃあ私はこの禁じられた組み合わせを使ってお風呂入れて来るから」
「わざわざ悪事の如き言い回しを」