人間くん カップ麺はシーフード派
「あれ、今日はスウェットじゃないんですね?」
「ああ、同窓会があったからな。今帰ってきたところだ」
「まともな格好してると普通にかっこいいですね」
「フフン」
「ご満悦だ」
「それでどこに行って来たんですか」
「遊園地だ」
「若いなあ」
「フフフ、分からないか……エルフの持つ秘密の力が」
「なんだ急に、今日テンション高いなあ」
「エルフはな、義務教育が60年だから学割が終わったら大抵の施設はそのままシニア割に移行できる」
「え!ずっる!」
「すごいだろう」
「え、普通に羨ましい。ちょっとずるいですよ」
「なんとでも言うがいい」
「それを利用して同族で集まって遊んできたのだ」
「なるほど、楽しかったですか?」
「うん。まあやっぱ楽しいな人間の施設は」
「あ、これお土産だから食べながら話そう」
「ありがとうございます。あ、ショコラクランチだ。おいしいですよね」
「中身は割とどこでもあるけどお土産の本体は缶の方だよな」
「綺麗な小物入れにできますからね。おいしいです」
「とりあえず絶叫マシンに乗ろうと思って行ってみたんだ」
「いいですね絶叫マシン。僕はあんますごいのは乗れないけど」
「まあ並んだけど乗れなかったのだが」
「え、なんでですか」
「受付のお姉さんにな、刺激が強いアトラクションなので70歳以上の方は乗れませんって言われちゃった」
「えぇー……体は若いんだから問題ないじゃないですか」
「うん。でも我々シニア割利用して入ってるから都合のいい時だけ若さを主張するのはちょっとできないなって」
「それは……仕方ないですね」
「仕方なかったな」
「そこで引き下がれるのはえらいですよ」
「ありがとう」
「いえいえ、それで何なら乗れたんですか?」
「観覧車には乗ったぞ」
「観覧車ですか。飛べるのに」
「飛べるのに」
「いやまあいいではないかそこは。そんなこと言ったら絶叫マシンも最初から乗らなくてよくなる」
「それは確かに」
「空から景色を観るのに遅いし風も感じないし閉塞感があるのは逆に新鮮で面白かったな」
「面白い楽しみ方ですねえ」
「映像系のアトラクションも見れたし全然遊べる」
「列とか大丈夫でしたか?結構待ちますよね」
「エルフだからな。多少の待ち時間などカップ麺を待つ程度の他愛無いものさ」
「いやエルフさんカップ麺作るの下手くそじゃないですか」
「この前別に忘れてないのに30分経ってましたよね」
「やめろその話は。3分正確に待つとかエルフにとってはストップウォッチで10秒ぴったりで止めるような感じでめんどくさいのだ」
「その理屈で言うと10秒止めようとして100秒経ってるんですけど……」
「今度からカップ麺食べたくなったら呼ぶから」
「素直にタイマー使って」
「まあ久しぶりに会う相手だからな。待ち時間に語らうのが本筋と言って問題なかろう」
「まあ確かに」
「エルフの久しぶりってどのくらい期間開くんですか?すごそうですけど」
「先月飲みに行った」
「普通に遊んでるじゃないですか」
「まあまあまあ、これはエルフの時間感覚のせいでな」
「長い時を生きる我らはそれに適応した精神構造をしている」
「なんか面白そうな話が始まった」
「簡単に言うとつまらなければつまらないほど時間が経つのが早く感じて記憶からざっくり消去される。逆に楽しい時間はゆっくりと感じ記憶に強く焼き付けられて長く暇な時を生きる糧とするのだ」
「なるほど。便利な進化ですね」
「なのでこちらの世界に来てから楽しすぎてあっという間に話したいことが増えちゃう」
「ふふっ、いやすみません笑っちゃいました。楽しんでくれててよかったです」
「カップ麺作るの下手くそなのもそのせいなんですね」
「いや、それは普通にタイミング逃してるだけだ。私の他にこっちに来てるエルフは普通に食べてる」
「それは聞きたくなかったなあ」