人間くん ドラゴンボールでは天津飯が好き
「そういえばモンスターといえばやっぱりドラゴンですよね」
「ん?」
「だからドラゴンですよ。いますよね」
「まあ、いるが」
「なんか煮え切らない言い方ですね」
「いや、細かい事は今度話すが異世界ではドラゴンは……なんか人種のひとつみたいな扱いなのでモンスターと言われてもピンときてないのだ」
「人種ですか」
「まあ厳密には人種という言い方も違うんだが人の世界でいう人種だ。知能が高くコミュニケーション可能な生物が色々含まれる区分だ」
「コミュニケーション可能ならエルフさん的には木も人種のひとつなんですか?」
「いや、木は木だ」
「明確な区分があるんだ」
「なんか気になるので今度聞かせてください」
「木だけに」
「は?」
「それでドラゴンだが」
「強い。一個体としての強さなら敵う生物は中々いない」
「おお!」
「そしてでかい」
「はい」
「小さい者で…まあシャチくらい、大きい者はドーム球場くらいになる」
「差がありすぎませんか」
「まあそんなものだ。あと大体各町に1、2頭くらいいる」
「えっ」
「なんだ」
「いやなんか…山の頂とかダンジョンの奥とかにいるのかなって」
「山はまあ好みによるがダンジョンはあれだぞ、利便性がすごく悪いぞ」
「いやそうなんでしょうけど」
「ドラゴンは体の大きさに比べて驚くほど少食だから人との共存にも取り立てて問題はないんだ。しかしとにかく偏食でな、自分好みの名産品がある土地に根付いて暮らす」
「見返りに土地を守り、生産者を守る」
「ついでにドラゴンそのものが名産品の質を保証するトレードマークになったりドラゴン土産も作られる」
「なんか……随分地域に寄り添ってるんですね」
「まあ大体ご当地キ◯ィちゃんだな」
「ご迷惑になるから名前を出すんじゃない」
「しかし聞けば聞くほど想像のドラゴン像からかけ離れていきますねえ」
「なんか神様っぽかったり暴君みたいなのだったりするものかと思ってました」
「ああ、大昔にはそういうドラゴンもいたらしい。というか住み着いた土地の者たちが神様扱いしたがるのでそれっぽく振る舞っているドラゴンは今でもいる。荒くれ者は流石にもういないな」
「あら、なんで変わっちゃったんですか?」
「簡単に言うと歳食って支配してもめんどくさいだけで意味がない事に気付いたんだ」
「ドラゴン達は個体数が少なく寿命が長い。そして寿命が長い種は知識を蓄える時間が十分にあるためそれなりに賢い。エルフも同じだな」
「若気の至りで支配者ぶってみたものの政治など分かるはずもなし、現地民の提案を許可してるだけで自分が統治する意味はない。でもここには自分の長い生を支える好物を産み出す者達がいるから離れ難いし失いたくない。それなら単に賊やら魔獣やらを追っ払って見返りに食べ物を貰える関係の方が楽だと」
「賢い彼らは気付いてしまったわけですね」
「そして今のご当地マスコットに落ち着いたわけだ」
「ドラゴンがいると町の周囲の警戒がとにかく楽になるから異世界の町では頑張ってフリーのドラゴンの目に止まるべく特産品を作る。最近では酒や食品だけでなく娯楽なんかにこだわるドラゴンもいてな」
「彼らは好き勝手に振る舞っているように見えてその実、結構文化の発展に貢献してるんだ」
「町が特産や文化を守る限り人々を守ってくれる守護者ですか…」
「エルフさんの所にもいるんですか?」
「ああ、いる。彼はエルフの焼き菓子が好物だったな」
「なので普段は菓子屋の前に居座り子供達の滑り台をやっている」
「……本人?がいいならいいんじゃないですかね」