エルフさん よくぼーっとしてる内に日が暮れてる
人間くん 全く動かないエルフさんにジェンガを積んで外出、帰宅しても乗ったままだった
「そういやこの前異世界の人種の話してましたよね。なんか正確には人種じゃないみたいな」
「ああ、そうだったな」
「まあ簡単に言うと人間が種として認定される前にもうそこそこ知恵を持つ生き物がいたから後から出てきた人間基準で語るのは難しいなという話だ」
「だからうまい言い回しを考えてる」
「あー、なるほど」
「そうだな。文明種族としておこう」
「それっぽい。なんかかっこいいですね」
「そうだろう」
「得意げだ……それで認定されるとは?」
「世界にだ」
「規模がでかい」
「いや本当に」
「世界からアナウンスがあるんだ。1年後からこの種は文明種族として認められるから準備しておくようにって」
「準備期間って」
「実際これがないと大変な事になるからな。世界側の配慮だ」
「昨日まで命のやり取りしてたモンスターが明日から突然隣人なので仲良くやってねとはならない」
「まあ文明種族として認められるようなモンスターはそもそもあんまり殺し合いとかしない段階に入ってることが多いんだが」
「まあなんにせよこの辺に国作るから交易路とか作っていいよみたいな感じで来る。脳内に直接」
「なんかこう……国作ったり進化したりってある日突然あるものじゃなくないですか?」
「いや我々にはこれが普通だからな。文化の違いだ」
「新しい種ができたらとりあえず面倒を見る。何が欲しいのかを聞いてやり何が出来るのかを聞いてやり、仕事を与え対価を与え基盤を作る」
「異世界優しいですね。こっちだったらとりあえずひっ捕えて奴隷扱いされそう」
「まあそういう時代もあったらしいのだがな。異世界では魔法があるから」
「財力に依らない反逆の手段が豊富だったんだ。当然戦争も起こる。割に合わないんだ」
「だから社会に組み込む事にした」
「なるほどなあ……本当に世界の違いだ」
「まあ優しさだけではない。お互いの安全を守るためであり、社会からの枷でもある」
「枷ですか」
「真っ先にすでにある流れの中に取り込んで周りとの取り引きなしでは生きていけなくするのだ」
「それによって自種族のみで世界を取ろうとか気に食わない相手を滅ぼしてやろうとか……まあゼロではないがほとんどしなくなる」
「なるほど……」
「それで準備期間を終えたら盛大に飲み会をする」
「狩ったり狩られたりの関係を酒の力で洗い流す。実際これをやるとかなり短期間で馴染めるんだ」
「世界単位の祝日だ」
「え、いいなー。参加してみたい」
「フフフ……そうだろう。機会があったら招待しよう」
「まあそんなわけでこの前話した樹木は会話できるが人類ではないというのは世界からカウントされていないというのが理由だ」
「まあ木材使えなくなったら大変ですもんね」
「あ、その辺はどうなんですか?毛皮にしてた相手を隣人として扱わなきゃとかあるんじゃないんですか?」
「良いところに気が付いたな。そこはなんか世界から補填があるんだ」
「代わりに同じような資源になる魔獣だったり植物だったりがどこからか湧いてくる」
「すごい、ゲームっぽい」
「たまにすさまじく強いのが出てきて大変なことになる」
「そういう時はみんなで集まって攻略会議をする。まあ祭りみたいなものだ」
「祭りばっかりしてますね」
「まあ目的がなんであろうと年寄りは集まったら飲むんだ。君にもいずれわかる」
「竜族が文明種族になった時はすごかったぞ」
「大変だったんですか?でもめちゃくちゃ強いドラゴンは味方になったんですよね?」
「ああ、それはそうなんだけど代わりに追加されたのが群れを形成する小型のワイバーンだったからノウハウが全然通用しなくて攻略法を一から考えたり罠や武器の開発をしたり」
「作戦会議を聞いていなくて群れに突っ込んでいった人間が刺激した子ワイバーンに囲まれて大変なことになったり」
「飲み会とは別方向で楽しそうでよかったですね」
「あまりに面白かったので彼の所業は石碑として現地に残され観光名所になっている」
「酷い仕打ちだ」