【完結】「全知」がこたつから出てきたんですが。   作:ただねこ

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まーた性癖に従った衝動書きしてるよこの人。


全知の起源はこたつから。

12月初頭から、うちの地域ではかなりの寒さを記録していた。

 

「あぁ〜……やっぱこたつってあったけえなあ……ばあちゃんを思い出すよ。……ん?」

 

高校を卒業し、職場の雰囲気にも慣れてきた頃。一人暮らしを始めてから初めて引っ張り出したこたつでぬくぬくしていたのだが、突然ふさふさとしたものが膝裏に当たった感触がした。

 

「……いや、は?」

 

みるみる高さがでてきたと思ったら、コードが外れたこたつの中から車椅子に乗った美少女が出てきたではありませんか。

 

「誰だお前!?!?!?」

 

「ミレニアムサイエンススクール史上3人しかいない「全知」の学位を持ち、特異現象捜査部の部長を務める超天才清楚系病弱美少女、明星ヒマリです♪」

 

「……夕月(ゆうづき)(ながれ)だ」

 

……パニックになってつい自己紹介を返してしまった。え、なんて言ってたんだ?さっきの自己紹介聞き取れなかったぞ?

 

「よろしくお願いしますね、夕月さん。……にしても、寒い時期ですね。温かいお茶を入れてきて貰えませんか?」

 

「お前が注いでこい!!」

 

そう、ふさふさとしたものは超天才清楚系病弱美少女の髪だったのだ。いやわかるか。

 

 

・・・・・

 

 

「……で、そのミレニアムってとこで多次元の研究をしていたら、操作を誤ってこっちに来てしまったと」

 

「お恥ずかしながら、そういうことになりますね。……すみません、車椅子などという大きくて邪魔になるものを持ち込んでしまって」

 

「いや、仕方ないだろ。足が動かないのなら車椅子は必需品だしな」

 

「でも、私という病弱美少女と一緒に暮らせるのですから、デメリットなどありませんよね♪」

 

「外に放り出してやろうか?」

 

現在進行系で紅茶を飲んでいるこの女子。様になるな……じゃなくて。

こいつはミレニアムサイエンススクールと呼ばれる、機械工学やプログラミングを学ぶ高校の3年生。そこの「特異現象捜査部」の部長、明星ヒマリ。

ミレニアム史上3人しかいない学位「全知」を持つ天才ハッカー……というものを、10回くらいに渡って長々と自己紹介で説明され、聞き返してを繰り返してやっと理解した。

 

「ここは、キヴォトスではありませんね?」

 

「キヴォトス?」

 

「はい。ミレニアムサイエンススクールがあるところは、「キヴォトス」と呼ばれる学園都市の中にあります」

 

学園都市。よくアニメであるやつだ。

 

「キヴォトスでは自治区ごとに学園があり、それぞれの学園の生徒会が行政を担当しています。ミレニアムの自治区では、ミレニアムサイエンススクールの生徒会である「セミナー」が権力を持っているということです」

 

「なるほど……で、だ。そこにある銃はなんなんだ?」

 

ソファの手すりに置かれた、リボルバー。ヒマリ曰く「高嶺の花」と名付けたヒマリのハンドガンらしい。

 

「キヴォトスは銃器社会です。銃に戦車に爆弾までなんでもござれ。些細な喧嘩も銃撃戦で解決するような、銃というものが生活の基盤にある都市なのです」

 

「物騒だな……死なないのか?」

 

「キヴォトスの生徒は皆、「ヘイロー」と呼ばれるものを持ちます。それがあるからこそ強靭な体と身体能力を得て、銃弾を受けても「痛い」で済むんですよ」

 

「……その、頭の輪か」

 

「はい。まあ、ヘイローは私たちの目には、全て黄色い輪っかに見えるのですが」

 

「黄色い輪っか?」

 

俺が見る限り、ヒマリの頭の上には「12枚の白黒の花びらのようなヘイロー」が浮かんでいる。……生徒以外には別なのか?

 

「俺には詳細に見えるぞ」

 

「あら」

 

「写真撮るか?」

 

「いえ、大丈夫ですよ。……ヘイローの形など、知ってもあまり意味がありませんから。生まれた時からあった、「そういうもの」ですので」

 

「そうか」

 

「……テレビを付けても?」

 

「構わないぞ」

 

小っ恥ずかしかったが姫抱きでソファに座らせたヒマリは、番組表から星占いの特集を見つける。

 

「……ふふ」

 

「好きなのか?」

 

「ええ。科学も勿論好きですが……それ以上に、非科学的なものが好きなのです」

 

「占いとか、幽霊とか?」

 

「そうですね。……人の祈りというものは、素敵なものですから」

 

意外にも、ヒマリはハッカーでありながらロマンチストらしい。

 

「ふーん……俺も、そういうのは好きだぞ」

 

「あら、意外ですね。てっきりゲームが好きなのかと……」

 

俺の家には、ゲームのハード、ソフト、コントローラーが所狭しと並べられている。寝室にもボードゲームだったり、ゲームセンターのぬいぐるみが置いてある。

 

「ゲームっていうか、ファンタジーが好きなんだよ。勿論趣味ではあるけど、それ以上に世界観の参考にしたいんだ」

 

「世界観……ですか?」

 

「小説書いてるんだ。ファンタジーの」

 

そう言うと、ヒマリは驚いた顔を見せた。俺の見た目はパステルブルーに染めた短髪で、服もそれなりにあるし。まあ……自惚れとは言っても、顔もそれなりにいい自覚がある。どちらかといえば「遊んでいる」と思われたのだろう。

 

「……見た目とは違って、インドアなんですね」

 

「はは、よく言われるよ」

 

「……それで、話を少し戻しますが」

 

「ああ」

 

「知っての通り、貴方の説明してくれた「日本」とは違う国、都市、世界から転移して来ています。勿論、住処もありません。銃火器の所持が認められていない、ましてや私の存在が異質であるこの世界で、外で暮らすということは困難を極めるでしょう。……無理を承知でお願いします。私をこの家に住まわせてください」

 

……部屋のこたつから超天才清楚系病弱美少女ハッカーが出てきた、と言えば聞こえは全くわからないが、その実「身元、住所不明の女子高校生」を目撃し拾ったということになる。しかも……俺の見間違いじゃなければ「ブルーアーカイブ」と呼ばれるゲームのキャラクターにそっくりだ。友人が……なんだっけ、リオ?推しで、よく布教されていたから始めようとしていたのだが……まさか、こんな形で触れることになるとは。

 

閑話休題。長々と説明したが、つまるところ車椅子に乗る必要のある要介護者を外に放り出してそのままバイバイ、はこちらとしても罪悪感が酷い。あと2次元のキャラが気軽に外を出歩けるわけがない。

 

「勿論だよ。……ただ、この家から出ないこと。俺がいない間に配達が来ても、受け取らないようにしてほしい」

 

「わかりました。……よろしくお願いします、夕月さん」

 

「流でいいよ」

 

「では、そう呼ばせてもらいますね。流さん♪」

 

斯くして、俺は2次元から出てきた車椅子美少女と共同生活をすることになったのだ。

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