【完結】「全知」がこたつから出てきたんですが。 作:ただねこ
「……ブルーアーカイブ、か」
ブルーアーカイブ。スマホ向けの学園×青春×物語RPGゲームアプリであり、舞台である学園都市「キヴォトス」にて、様々な混乱を「先生」が解決のために奔走する……そんな物語だ。そして、ヒマリはそのキヴォトスのマンモス校……つまるところ強豪の3年生。
「はー……wikiを見れば見るほどそっくりだな」
……二次創作というものがあるが、俺もそれには触れたことがある。……もしも、原作の明星ヒマリがここに来ているのならば。
「流さん?」
「うおっ……ヒマリ、どうした?」
「その……聞いてもらいたいことがあるのですが」
……震え?
「……少し、不安になってしまって」
……ああ、なるほどな。ヒマリは頭が良い。大人顔負けのハッキング技術、銃の扱い、勉学、その他諸々。……だが、まだ高校生。子供だ。故郷に対する寂寥感は薄れてくれない。
”もしかしたら、このまま戻れないかもしれない。一生をこの世界で、この家の中で過ごすことになるかもしれない”
”友達は?親友は?先生は?皆は無事?”
そんな思考ばかりが、頭の中にあるのだろう。その不安は、推し量ることにはあまりにも立場が、世界が違う。
「……ああ。側にいるよ」
布団に横たわるヒマリの手を握る。力強く、爪が食い込む程に握られた、俺の手。その手は、震えている。胎児のように丸まって、目尻は滲んでいる。
「……流さん」
「……なんだ?」
「その……一緒の布団で、寝てくれませんか?」
……夜のシフト、休みますって連絡しとくか……。
・・・・・
結局、引きずり込まれてしまった。……柔らかいものが当たってるんですが。いや、それを気にできないくらいに不安でいっぱいいっぱいなんだろうが……。
「すみません、流さん……こんなことをさせてしまって」
「いや、構わないよ。キヴォトス、だっけか。……俺はそっちを知らないから、帰れるかどうかはわからないけどさ」
「……っ」
「ただの願望になるけど……帰れるといいな」
「っ、はい……」
気休めでしかない。それでも、背中越しに聞こえてくるヒマリの声と、ぎゅっと掴まれたスウェットが、ヒマリの心の裡を物語っていた。
・・・・・
「ん……」
……寝たか。結局夜は休んでしまったし、このまま寝るとしても……知らず知らずのうちにヒマリに何か危害を加えないとも限らない。
そう思い、出ていこうと──
「……」
無意識だろうか?少し、スウェットを掴む力が強くなった気が……
「……いか、ないでください……」
「!」
「リオ……エイミ……トキ……先生……」
「……はぁ」
これは、出られないな。