俺と結華は今、倉持技研にいる。そして新しく判明した事実、『蒼華』は倉持で作られたらしい。日本の代表候補生に渡される予定だったらしいんだが代表候補生がそれを渋ったらしい・・・そりゃ、渋るよな、あんな射撃一辺倒(白式も近接一辺倒だが)な機体。で、新しいの作ってるらしいんだけど残念な事に今は白式の方に人員を全員割いているらしく開発が止まっているんだとか。その代表候補生がIS学園に居るんだそうだ。ああ、4組の専用機持ちか・・・謝りに行かないといけないな。1人で組み立てようとしてるらしいから手伝ってあげよう。
そして今、結華の『蒼華』にオートクチュールを量子変換(インストール)している。高機動用のパッケージらしい。それが終わったら新装備とかを見に行くことにしている。
* * * *
ようやくインストールが終わり、今はお蔵入りした武装を見に来ている。
「それにしてもお蔵入りした武装なんて見て何するんだい?」
「私は装甲を」
「俺は俺のISの武器の鞘を」
「・・・それぞれ特殊な物を求めてですね」
研究者がパスワードを入力するとゴゴゴゴゴゴという音をたてて扉が開いた。重そうなドアだな・・・恐らくセキュリティーの為なんだろうけど。
開いてすぐのところにもさまざまな武装が置いてあった、奥にもたくさんあるのが見て取れる。ざっと数えて200は下らないだろうか。とにかく一つ一つ流し見て鞘のようなものを探す。
「?」
1点で俺の流し見は止まった。その先には2本のISサイズの『日本刀』が置いてあった。
「・・・あの、これって?」
「ああ、それは試しに本物の刀鍛冶に作らせたんです。もしかしたら使えるんじゃないかと思いまして。ですが実際には剣術を学んだ者もおらずお蔵入りになってしまいました」
「この2本の『銘』は?」
「えー・・・と、白い鞘の方が『雪乱(ゆきみだれ)』そして蒼い鞘の方が『雲斬(くもぎり)』です」
試しに両腕だけ白式を部分展開して雪乱を持ち、柄を持ち一気に刀身を抜く。シュランというおとがしつつ抜かれたその刀身は全て白銀の色だった。これは確実に業物だ・・・どこの誰が作ったのだろう?
雪乱を元のところに戻し今度は雲斬を抜く。その日本刀はとても軽く雲のような軽さだった、刀身は藍といった感じの色で空の色のように見えた。これも業物だった。
「この2つ、貰ってもいいでしょうか?」
「ええ、良いですよ?使われなければ刀は泣きますからね」
「ありがとうございます」
俺は結華を手で呼んだ。
「どうしたの?」
「良い武器が見つかった」
「その蒼い鞘に入った日本刀?」
「俺はそっちの白い鞘の奴を使おうと思ってる。結華がこっちを使わないなら使わせてもらうけど?」
「蒼い方見せて」
結華は蒼華の両腕を部分展開して雲斬を俺の手から取る。そして一気に刀身を抜いた。
「業物ね・・・一体誰が叩いたのかしら・・・」
「どうする?」
「使うわ」
結華は雲斬を拡張領域に入れてしまう。俺も拡張領域に雪乱を入れてしまう。
そして鞘を探すのを再開した。
5分後、やはり鞘だけでは見つからなかった。結華も戻ってきた。
「無かった」
やはり無かったようだ。
「普通の武器庫見せてもらって良いですか?」
「ええ、良いですよ。もし宜しければ欲しい物をお作りしますがどうでしょうか?」
「武器庫に無ければ作ってもらおうかな」
「ええ、そうね。あればそこのを使うし」
「分かりました。では、武器庫はこちらになります」
俺たちは少し歩いてその武器庫に着いた。
研究者はまた、パスワードを入れて扉を開けた。こちらはお蔵入りになった物とは違い、整理整頓されていてとても探しやすそうだ。分け方は武器のジャンルごとだが・・・
「鞘って武器のジャンルで言えばなんだ?」
「ジャンルというよりは武器の備品としてついてくることが多いですね。そういうところは日本では規格がまとめられてますから規格で探したほうが良いかもしれません。ここで豆知識ですが銃弾の規格は世界で決められています」
「へえ・・・そうなんですか」
俺は備品のところを探し、白式のコンソールを開いた。武器のコンソールを開いて雪片弐型と黒龍弐型の規格を調べる。
「えーと、A‐530・・・」
その規格の場所を見ると様々な鞘が置いてあった。
「・・・鞘の規格か」
雪片も黒龍も同じ型番で探しやすかった。問題は『形状』と『色』だ。あの2本に合いそうな鞘はあるんだろうか?最悪真っ白と真っ黒でも良いがそれではつまらない。
そんな事を考えつつ鞘を探していると白に青いラインの入った機械的な鞘と同じく機械的な黒に赤のラインが入った鞘が会った。
「これだな」
白式のコンソールを出して武器、『雪片弐型』と『黒龍弐型』を選択。その2つに鞘を設定
――『白式』承認『雪片弐型』の鞘を設定――
――『黒織』承認『黒龍弐型』の鞘を設定――
・・・『黒織』って何だ?俺は一番にそう思った。そこで俺は白式が渡された日の事を思い出した。千冬姉は言った『白式と黒來と黒翼は同時に展開するな、暴走の危険がある』『黒來と黒翼だけならば問題無い』と。つまり、『黒來』と『黒翼』は1つのISなのだ。恐らくその名前は『黒織(こくしき)』。
何かの理由で俺の白式には2つのISのコアが使われている・・・そうでなければ『黒來』と『黒翼』だけ展開できる筈が無い――今はそんな事考える必要は無いかな・・・。この先分かるはずだろう。
「ありがとうございます。見つかりました」
「いいものは見つかりましたか?」
「ええ、ぴったりな物が見つかりました」
「そうですか、良かったですね。・・・ところで、白式にはインストール出来ましたか?」
「ええ、片方だけ。でも恐らくこれ以上は無理でしょう」
「拡張領域が空いていないからですか・・・開発の意味がありませんね」
「はは・・・」
そこにちょうど結華も戻ってきた。
「どうだった?」
「良い感じのがあったわ。第2世代最強の矛とそれを収められている鞘が」
「・・・『盾殺し(シールド・ピアース)』、69口径パイルバンカー『灰色の鱗殻(グレー・スケール)』か?」
「詰まんないわね。装甲だけ10枚程貰ってきたわ」
『蒼華』の近接性能は少し低いだけで『遠距離主体の全距離対応型IS』だから良いんだろうけど・・・なんで『ラファール』の武装が倉持にあるんだ?『白式』は『近接特化型IS』で『黒織』は・・・同じ『近接特化型IS』だろうか?使ってみないと分かんないな。
「「ありがとうございました」」
「いえいえ、お役に立てるのならばいくらでも」
「では、俺たちは帰ります」
「さようなら」
俺と結華は研究員に挨拶をしてIS学園の寮に帰った。