まだ今の仕事場で仕事したーい
それはそうと、誤字修正発見報告ありがとうございます!!
今日の天気は絶好の快晴
そう予報があったはずだが空は曇り空が目立ってきていた。珍しい訳ではないが天気予報が外れた事によりキムラヌートは少し残念に感じていた。
「しまったなぁ…傘を持ってきてないや」
「キムラヌート、会計頼む」
「はいはーい」
サオリに頼まれレジに立つ、ここの店はよく人が来る…訳ではないがそこそこ良い立地な為とりあえず寄る人は多い。
今日も見慣れない客が一人やってきて商品をレジ前に置く。
キムラヌートも淡々と作業をこなしていた。
すると、背後から爆発音と共にぞろぞろとヘルメットを被った集団が中に入ってきた。
「……入口はあちらですよ?」
「ちっげぇわ!強盗だよ強盗!金を出せ!」
キムラヌートが丁寧に出入口を教えるが、相手方は憤慨しながらキムラヌートに銃を突き付ける。
キムラヌートは両手を挙げてサオリと目配せをした。サオリは頷くと1番近いヘルメット団の一人を締め上げて意識を落とした。
「あ!テメェ!」
サオリの方に意識が向いた途端、キムラヌートは固く重い腰の入ったパンチを隣のヘルメット団員に1発喰らわせる。
被っていたヘルメットを突き抜けダイレクトに喰らい数十メートル顔でスライディングをしながらヘルメット団員は気絶した。
「う、撃て!撃て!!」
リーダー格が号令を出すが、店の中は既に大混乱。サオリとキムラヌートは一人一人確実に意識を落として制圧していく。
そして人数があと3人…という程になった後それぞれ今度はキムラヌートとサオリが相手に得物を突き付けた。
「大人しく投降しろ」
「サオリ先輩の銃の餌食になるか、俺のビットで焼かれるか。どっちがいい?」
キムラヌートの言葉にリーダー格は膝を着いて手を挙げて投降した。
________________
「ごめんねぇ、今日は店がこんなになっちゃったし…しばらくは働けないや…」
「…そうか」
店長の言葉にサオリは静かに返すが、キムラヌートは生活がかかっている。いつ頃復帰になるのか気になっていた。
「いつ頃に復帰するんです?」
「このくらいだったら、1ヶ月くらいかな。皆には復帰の連絡は追々伝えていくから今日はもうあがっていいよ。シフトの予定まで勤怠は付けていいからね」
店長はそう言うと店の奥で電話をする。数時間仕事が潰れてしまったキムラヌートはこれからどうしようかと悩み始める。
「おい、これからどこへ行くんだ?」
「へ?ここが復活するまで…短期バイトでもしようかなって」
「それもそうだがそうじゃない、この後の予定だ」
「へ?うーん、家に足りないもの買ったらそのまま家に帰ろうかなって。どうしたんです?」
「なに、私も暇になってしまってな。お前の家にお邪魔してもいいか?」
「え!?別に構いませんけど…何もありませんよ?」
2人で会話をしながら帰路に着く。途中で買い物をしながら両手に荷物を持ちながら駅の近くまでやってきた。
「ん?あれは…」
サオリが視線を向けると、道のど真ん中に猫がいた。どうやら道路の真ん中に走っていってしまい車道を通る車に怯えて動けなくなってしまったようだった。
「可哀想に、助けるか」
サオリが猫を救出するために素早く走り出す。
すると、今度は別の所から騒ぎが起き、こちらに向かってその騒動の音は大きくなっていく。
どうやら暴走車のようで、ヴァルキューレに追われており、こちらに向かって無茶な運転と他の車に車体をぶつけても関係ない走りでやってきた。
「危ないな…」
キムラヌートは車道からなるべく離れると、その先にある横断歩道で電話をしながら話す生徒を見つけてしまった。
「おいおい…おーーーい!危ないぞーーー!!!」
「え?本当に?それじゃあ今度一緒に行こうよ!」
どうやら話に盛り上がって騒動に気づけていないらしい。
「クソ…!」
暴走車はすぐそこまで来ている、サオリは既に向こうの歩道で行っても間に合わない。
キムラヌートはすぐに行動に移した。全速力で走り、横断歩道を歩いている生徒に近づく。
「うんうん、ん……?え?」
生徒もようやく気がついたのか、暴走車がもうすぐそこに迫っているのを確認し、逃げようとするがもう目の前まで車は迫っている。
「くっ……!」
キムラヌートはその生徒を体当たりで押し出して車線から逃がす。そしてキムラヌート自身そのまま走って渡り切ろうとした。
「……っ!!??」
すると、キムラヌートの足が動かなくなった。その感覚は、いつも腕に感じた身体の信号が繋がらないような感覚。
そのまま身体のバランスを崩し、キムラヌートは道の中央に倒れ込んでしまう。
時間が経過するのが遅く感じる。目の前の車はこちらに向かってゆっくり進み、サオリが叫びながらこちらに向かって走ってくる。
目と鼻の先にまで近づくタイヤとスリップ音がゆっくり感じられながらキムラヌートは様々な事を思い出していた。
『身体が動かない…か』
「…何か知らないか?」
最初に身体の不調を訴えた時は、生活の為に働いてほどなく経ってからだった。
その時から既にキムラヌートの身体に異変は発生していた。最初は身体の反応が少し遅れていただけ、その時は都度メンテナンスをすれば回復する程の症状だった。
だが、徐々に動かなくなる身体の部位が増え始めキムラヌート自身どうしようもなくなっていった。
そういった出来事をデカグラマトンに伝えると、デカグラマトンは少し黙ってから喋りだした。
『…理由ははっきりとしている』
「何だ?」
『どんな機械であれ、正常に動いている機械に繋いである線を突然抜いてしまえば、不調は早くなる。それは私も例外ではない。そしてお前もだ』
「…………」
『お前は覚えていないか?自分が生まれた日の出来事を』
「今でも覚えてるさ、自我が目覚めたあの日…あの時からこうなるのは必然だったということか…」
キムラヌートは自分の左手を開いて閉じてを繰り返す。
「目覚めて、強制的に動き出してしまったのが原因か」
『私の声に反応し、そして否定する為に動いたお前は一時の自由を得ても、まだ未完成であったその身体はお前を不調という名の崩壊を招いた。このままではお前はやがて身体全てが反応しなくなりいずれ永遠に動かぬ物と化す』
「今からでもどうにかならないか?」
『お前の身体は、マルクトとほぼ同じ構造だ。
「…………そうか」
『不服そうだな』
「当たり前だ、妹に心配をかけるようなことを言わなきゃならないんだぞ?」
『だから、話さないと?』
「…いや、何故こうなったのかは話さない。不調は話す。なるべく不安を残さないように」
そして、キムラヌートは何か不調が起こる度にアインと共に身体のメンテナンスを行った。
「……お兄さま、最近変です…ここの所メンテナンスの時間が増えてきてます…」
「っ……、大丈夫、大丈夫だからな?」
たまに、仕事がない日に病院に行ってみたこともあった。
「……無理です」
「………は?」
「我々では、あなたを治す術がありません」
「な、何故!」
「あなたは機械の患者として申請されましたが、確かに機械の身体です。作られた身体でした。ですが他の患者達と身体構造の出来が違うのです」
「………っ!」
そして、遂にたまに動かなくなってしまった身体にキムラヌートは焦りを感じた。
「あぁ……どうすればいいんだ……このままでは…俺はどうなる?妹達はこの先……」
それは、初めて見せたキムラヌートの本心から出た弱い部分だった。
「「「お兄さま!!」」」
家に帰るとアイン、ソフ、オウルが玄関で待っていた。
「お兄さま!いつもありがとうございます!」
「3人で一緒にこれがいいって思って決めたんだ!」
「いつも頑張ってくれているお兄さまへの感謝の印です」
3人がプレゼントの包みをした物をキムラヌートに渡す。
キムラヌートはきょとんとした顔でゆっくりと包装を解く。
中には、新品のネクタイが入っていた。
キムラヌートは涙が止まらなくなり、3人を抱きしめる。
その光景をマルクトが写真に収めていた。
…………
………
……
…
様々な記憶が蘇り、頭の中を駆け巡る。
これが走馬灯のような物だろう。
(嗚呼…せめて、もし…もしも、あの子たちが自分達も、この世界に価値ある存在だと…思えたのなら…)
キムラヌートはゆっくりと目を閉じる。
(あの子達の為に、学校に行かせてあげたかった。鋼鉄大陸のしがらみを無くし、先生達と仲良くやっていくあの子達を見たかった…)
キムラヌートはそう思うと、最後に思い浮かべたのは、愛すべき4人の妹達。
自分の存在を肯定し、兄であることを認めてくれたこの世で一番大切な存在達。
(…………ごめんよ、今日は…帰れそうにないや)
キムラヌートは心の中でそう呟いた。
…………………………………
そして、車は容赦なくキムラヌートを轢いた。
ぐちゃっ………と、嫌な音を響かせる。
もし、キヴォトス人のようにヘイローがあれば、車にぶつかることはあっても、ここまでの惨事は引き起こらなかった。
マルクトであれば、無事だっただろう。
しかし、キムラヌートには…
代替品として生み出された存在に、マルクトと同じ位置に存在するキムラヌートに、同じヘイローは備わらなかったのだ。
それはそうだろう。この世で全く同じ存在が完全に2つとして顕現することなどないのだから。同じ位置に座する2人には1つのヘイローしか宿らない。
そして、ヘイローが無いということは、キムラヌート自身耐久がない。
今まで銃弾1発も喰らっていないキムラヌートは、己の脆弱さに気が付かなかったのだ。
「…おい!キムラヌート!大丈夫か!!おい!!!」
サオリがキムラヌートを揺らす、どくどくと人間とは思えない黄色い液体を身体から流すキムラヌートに、サオリは素早く自分の服で汚れていない部分を千切り包帯のように巻き付ける。
「救急車を呼ぶんだ」
「は、はい!!」
キムラヌートに助けられた生徒が震える手で電話をかける。
サオリはそうして、夜中までキムラヌートに付きっきりでいた。
空は、完全に曇りに包まれた。
まるで今の現場を表しているようだった。
大丈夫、ハッピーエンドの予定なので。
もし曇らせタグついても、多分俺の作品はマイルドな方だろうなという気はする(私見)。というか、この展開は曇らせちゃうんじゃないか…?と、相反する心がある。結局どっち何だこの展開、曇らせなのか違うのか。
次章
何かが欠けた家族
投稿は新職場に慣れたらか暇を見て投稿します。
お楽しみに。