えーこの作品を待ち遠しく待っていてくれた皆さん。まず、本当に申し訳ない。
まず弁明をさせて下さい。4ヶ月程放置してしまったのには訳がありまして…
実は最後の更新した頃に勤務先が変わったのはいいんですが…実はその勤務先で自分の昇級というか、そういう系の話が挙がり…でもするにあたって勉強とかしなくちゃいけない話になってしまって…んで一ヶ月ほど試験期間として空けて無理ならまた次の機会で〜って感じでやろうとしたらぬるっと受かっちゃって…
諸々引き継ぎ、期間終わったらやることやらなとズルズル引きずって今に来てます…はい…
もう特にグダグダと言いません。
やるなら一思いにやってくれ。
次の日……ソフは街の中をユウカに連れられていた。
「着いたわ、ここがシャーレよ」
(ここが……)
ソフの前には、何の変哲もないビルが建っていた。ユウカが言うにはここが因縁あるシャーレ。先生がいるとは聞いていたが、気分はさながら悪の根城に乗り込むような気分だ。
(…お姉さま達に内緒で来ちゃったけど…)
現在、ソフはこの事をマルクト達に伝えていない。今日の夕方には帰るとは言ったので3人はソフが一人でシャーレに乗り込んでいることはバレていないはず。
ホドから情報がバレそうだが…ホドにはどうにか頼み込んで黙っていてもらう。ホド自身渋々だが従ってくれた。
(お姉さま達に嘘…ついちゃったなぁ…)
ソフは心に罪悪感を感じた。家族に嘘をついて一人で先生に会うということを、だがユウカは自分達と先生の事情を知らない。ここまで親身になってくれたのだ、元々先生側と問題があって先生に会いたくありませんと無碍に扱うのは、ここに来てから人の感性が育ったソフにとって躊躇うものだった。
だが、それは一緒にいた家族に隠し事をするという事と同じ事で…
と、ソフは悩んでいたがユウカはそんなソフの悩みもいざ知らず迷わず先生のいると思われる部屋に向かっていた。
「先生ー!居ますかー?先生ー!!」
「"居るよユウカ、どうしたの?"」
「先生、ちょっとお時間いただきますね」
手招きで部屋に入って来いと言われたので、ソフは意を決して部屋に入る。
「"今日は当番じゃなかった筈……あ"」
「……!」
先生が机からユウカ達に目を向ける。そしてソフと目が合って一瞬動きが止まった。
「?」
ユウカが不思議そうにソフと先生を見る。先生はすぐに動きだし、言い淀んだ。
「先生、今日は少しお願いがあって…この子についてなんですけど」
「"あー、ごめんユウカ。ちょっとだけ席を離れてもらってもいいかな?"」
「?わかりました…」
ユウカは部屋から出ていくと、ソフと先生はお互い無言だったが、先生は椅子を用意するとソフを手招きした。
「"座っていいよ"」
「うん…」
ソフは椅子に座るが、待ち時間が妙に長く感じてとても落ち着かない。ソフはキョロキョロと周りを見たり足をプラプラ持て余したり、兎に角先生を意識しないようにした。
「"お待たせ"」
先生はお菓子が入った皿をソフの前に出すと自分の席に座り、話し始めた。
「"さて…一体どうしたのかな?"」
「えっと、なんにも思わないの?」
「"何がだい?"」
「私達…あんな別れ方したのに、何か言ったりしないの?」
「"確かに、一時期不安になったさ。でも、私が信じないでどうするんだって思ってね"」
「あんな事したのに?私達の事を生徒として扱うの?」
「"やろうとした事は大きいだろうけど、少なくとも今そんな気がなく、誰かの迷惑にならない範囲でなら私は幾らでも助けになるよ。それに…"」
先生がソフを見てにこやかに笑う。
「"何か困った事があるから
「……うん」
先生なら、ちゃんとした答えを導いてくれるかもしれない。ユウカ達も信用出来るが、先生とは既に対立した仲。友好とは違う奇妙な信頼があった。そんな気の緩みが発生し、ソフは先生に何が起こったのかを話し始めた。
「……これが、ここまでの顛末だよ」
「"そっか、大変だった…で片付く問題じゃないね。よく頑張ったね"」
「……う」
ソフは先生に頭を撫でられる。兄であるキムラヌートとは違った丁寧に髪を梳かすかのように撫でる手付きにソフは思わず身じろいだ。
「"それで、ソフはお兄さんの助けになりたいんだね?"」
「うん、一刻も早くお兄さまを助けたい。それに、お姉さまだけ任せっきりになるのも嫌だ」
「"そっか、わかったよ"」
先生はソフに笑みを向け、自分の机に向かい引き出しを開ける。
引き出しから数枚の書類を取るとソフの前に差し出した。
「…これは?」
「"端的に言えば、この政策の対象内にある職場を私自身が選んで推薦して送り込める、そんな書類さ"」
「…まだあるけど」
「"それは簡単に言うと、シャーレに正式に入ってはいないが期間中はシャーレの関係者になりますという書類だね"」
ソフは頭にはてなマークを浮かべる。イマイチピンとこないようだった。
「"つまり、ソフ…君はまだ十分に働くことができない、それに身元も不明。そんな人は働こうとしても働けない。だってどこに住んでいる誰なのか分からない人を使えば自分たちが危なくなってしまうから。だからこの書類にサインさえすれば、その期間中シャーレの関係者として扱われる。何せその書類を最後に確認するのは私だからね"」
「それっていつまで?」
「"期間は特に設けられていない。けどその間シャーレが身元を保証して私が紹介した場所なら期間中働くことが出来る。という訳さ"」
その先生の言葉にソフは目を見開く。
「"どうする?私は今すぐそうしろなんて言わない。君の考えを尊重するよ"」
「………」
ソフの答えはもう既に決まっていた。
「先生、受けるよ」
ソフの返事に先生は優しく微笑んだ。
「"と、いうわけでしばらくこの子を預かっててくれるかい?"」
「なにがという事でってことですか!?」
シャーレ1階にある、エンジェル24。そこで先生の言葉にソラは大声をあげた。
「"一応、対象店だったよね?それに私もソフは目の届く範囲に置いておきたいし、ちょうどいいと思ったんだけど"」
「そ、そうなんですけど……!けど、どうしたってこんな小さい子…」
先生はソラも一応同じくらい小さいんだけどなぁ…と思ったが口にしないでおいた。先生は場を弁える紳士なのである。
だがソラの言いたいことはごもっともだ。突然雇ってくれだなんて言われてもすぐには対応できない。
「"じゃあ、お試しってことで!"」
「……わかりました、ちょっとだけですよ?」
ちょろい、と思ったが口には出さないでおいた。先生だって命が惜しいのである。
「…ん゛ん!それで、ソフさん?」
「!…はい」
「あなたは何ができるか教えてくれませんか?」
「えっと……」
ソフはキョロキョロと周りを見渡す。ソラの視線が先生に刺さるが先生は全力で目を逸らす。鋼鉄大陸では中々困ったことをしてくれた3人のうちの一人だ。まさかこんな何も出来ないなんてことは無いはず……
「パ、パソコン!パソコン使えます!」
「……成程」
接客経験無し…とソラの呟きが聞こえた。ソフにどうにか頑張ってくれと念を送る。紹介は出来るが手助けは出来ないんだ…と先生は上手くいくよう祈るしか無かった。
「あ、ちょっと借りますよ?」
「え?ちょっと!?」
ソフがパソコンを立ち上げ、ものの数分でカチャカチャパチパチと軽やかなタイピングを披露する。
するとパソコン内にあった溜まっているデータがみるみると減っていくではないか。
(あれ?もしかして私ってとんでもない人材を手放してしまったのでは?)
パソコン作業がとても早くしかも資料の仕分けすら行いエンジェル24の作業効率がメキメキ上がること間違いなしで更に専用の新しいソフトすら入れ込み始めたソフに先生はほんのちょっぴりシャーレに雇った方が良かったんじゃ…と後悔し始めた。
「…ふぅ、こんな感じでどうですか?」
「採用です!」
ソフは以前の感覚はまだ衰えてないぜ!と言いたそうな顔でドヤ顔をキメて、ソラは目を輝かせてソフの手を取る。
「いつも表の作業ばかりで事務作業はあまり進まなかったのでこれ程早い方なら助かります!」
「よ、よろしくお願いします!」
ふたりが両手を繋ぎ合いぴょんぴょんと跳ねる。先生はニコニコと微笑ましくその光景を見ていた。
「それにしても、あんなに小さいのにあそこまで精密な機械操作が出来るなんて思いませんでした。先生は知ってたんですか?」
「"……まぁ、知ってたというか、彼女の姉妹が他系統で得意だったからもしかしてと思ってね"」
ユウカと先生が室内で事務作業の合間に今日の出来事について語り合う。ソフは既に帰宅済みだ。
「私はソフちゃんの他の姉妹さんに会ってないので早く会ってみたいです。どんな子だったんですか?」
ユウカはあの兄妹をキムラヌートとソフしか知らない。先生に他にどんな子がいるのかを尋ねた。
「"そうだね…1番上のマルクトという子が……"」
………
……
…
「…た、ただいまー…」
「おかえりなさい、ソフ」
ソフが家に帰ると、マルクトは既に夕飯の準備をしていた。アインとオウルは玄関口のソフを見るとマルクトとソフを交互に見て様子を伺っている。
「お、お姉さま…その…勝手にいなくなったりして…ごめんなさい」
ソフは開口一番に謝罪を口にする。まず勝手に飛び出して、それから他の人の家に迷惑をかけたのだ。気持ちは分からなくもないが、突発すぎた行動にソフ自身も反省している。
そんなソフにマルクトはにこりと笑い同じ目線になるよう屈んだ。
「ソフ、我は…我達は大丈夫です。無事で良かった」
マルクトがソフをぎゅっと抱きしめ、ソフに手を洗うよう促す。
「せめて、兄さまが目覚めるまで…我が頑張らないと」
マルクトが小声で呟いても、ソフはその呟きが聞こえてしまった。
そうだ、自分もこれからお兄さまの為にお姉さまの手伝いをできるんだと、もしかしたらアインもオウルも力になれるかもしれないとお姉さまに伝えようとした。
「お、お姉さま!その、お兄さまのことなんだけどね?実は___」
「ソフ」
マルクトがソフの言葉を遮ってソフを呼びかけた。
「兄さまについては何も心配いりませんよ?」
ソフは何も言えない。部屋の奥にいるアインとオウルも何かを感じたのかゆっくりと部屋の奥に入っていく。
(お姉さまは…やっぱりお兄さまについて私達に心配かけさせないようにしてる…)
ソフは高揚した気持ちが酷く冷めていく感覚を感じた。
(この事は…アインにもオウルにも…お姉さまにも言えない。本当はアイン達にも言おうと思ってたけど…)
どうやら家族が働きに出て、あんな目に合うのをお姉さまは酷く怯えているようだった。
このままではお姉さまは自分達に不自由ない暮らしをさせながら、お兄さまの治療費を稼ぐという過酷な労働をしなくてはならなくなる。
少なくとも、自分達を思ってやってくれてるのだと感じる。それは嬉しい。だが、自分は既に手伝える手段を手に入れてしまっている。
もう後戻りはできない。
アインは嘘が下手だ、すぐに顔に出してしまう。
オウルはどうにかするだろう、だが"自分と一緒に何かをやる"となると必ずボロは出てしまう。
(こうなったら、お姉さまに内緒でやるしかない…!)
ソフは密かに心の中で決心した。
この日より、ある出来事が訪れるまで…同じ夢を見ているが、進む方向がバラバラになってしまった家族が出来上がってしまった。
(執行された音)
次は、もうちっと早く投稿できたらいいなぁ…取り敢えず下書き増やして案が抜け出さないようにせな