預言者兄妹大家族計画   作:〇〇総統

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何故だ…この作品書いてからデカグラマトン系列の作品をよくいいねしてしまっている…


お兄さま

「ん〜?」

 

「ソフ?何かあったんですか?」

 

2人の少女が各々作業をしていた。

 

機械いじりをしているマスクをした少女がアイン、イヤーカフを付けた方がソフだ。

 

いつものように機械いじりをしていたアインはソフの悩んだ声に反応して顔を向ける。

 

「なんか…デバイスの不正利用と外部へのアクセス履歴がいきなりきたんだよ…おっかしいなぁ…?」

 

「どこか悪い所でも?」

 

「いやー普通に使って普通に知らないやつに利用されて普通にキヴォトスのネットワークにアクセスされてるってだけ。なのにウィルスの類いも入ってないもんだから、悪い所の1つでも見つかればいいのにそれすらないもん」

 

「作業時に出ないバグは、みんな怖いですからね…」

 

アインはそう言いながら部品を組み立て終わると1つ余ってしまったパーツに慌ててひんひん言いながら部品を分解し始めた。

 

「それとも、あの大人(先生)の所から送られてきた刺客とかでは?」

 

「いやーそれもない。外部からの侵入者らしい反応もないし」

 

でも別に何か不都合が出るわけじゃないしいっか〜とこれ以上謎のアクセスについて考えないことにした。

 

「ソフ、仕事を放棄するのはいけませんよ」

 

「そうですそうですお姉さま、もっと言ってやってください!」

 

ソフの発言に注意を促す軍帽を被った少女…預言者のマルクト。

 

マルクトの後ろからからかい気味に野次を飛ばす目隠しをした少女がオウルだ。

 

「えー…」

 

「アインも何か言って下さい」

 

「待ってくださいオウル…まだこの子の組み立てが終わらなくて…」

 

「ほら、ここにこれを入れればこの部品が入るだろ?」

 

「え?あー成程!………んぇ?」

 

アインが言われた通りに組み立てるとパーツは余ることなく完成した。

 

だが、ソフでもオウルでもあのお姉さまの声でもない誰かの声にアインは少しフリーズして隣を見た。

 

自分たちと同じ白い肌に少し筋肉質な体型をした人物が隣に座っていた。

 

「ごきげんよう」

 

「ぴゃああぁぁぁぁ!!!」

 

アインは叫びながらマルクトの後ろに隠れる。ソフとオウルもマルクトの後ろに隠れた。

 

「ありゃ…怖がらせちゃったか?」

 

「……あなたは誰ですか?」

 

マルクトが警戒しながら妹達と共に下がる。

 

「おっと失礼、俺はキムラヌート」

 

キムラヌートが手を差し出す、握手を求めているようだ。

 

「…我はマルクト」

 

「……へぇ、君がねぇ…」

 

マルクトという名前を聞いたキムラヌートは一瞬だけ剣呑な雰囲気を出したような気がしたが、すぐにそんな気はしない気さくな雰囲気で握手をした。

 

「…キムラヌート?オウル、知ってる?」

 

「いいえ、あの方からもそんな名前聞いた事ない…」

 

「じゃあ、キムラヌートは私達の敵?」

 

ソフがそう聞くとキムラヌートは笑いながら言った。

 

「ハッハッハ!まさか!こんな俺と似たような子達が俺の敵なんて聞いたら俺は泣きながらバラバラにしてたよ!」

 

「ひぃん…」

 

「おっと…ごめんな、脅すつもりもなかったんだ…これはちょっとしたジョークで…ジョークって難しいな…」

 

キムラヌートは怯えたアインに分かりやすく狼狽えるとどうにか宥めようと四苦八苦する。

 

「…ところで、あなたは一体どのような方なのですか?」

 

マルクトが首をかしげながらキムラヌートに聞く。キムラヌートは聞いてきたマルクトの目を見つめながら言った。

 

「端的に言うなら、俺はお前だ」

 

「え?」

 

「正確に言うなら、お前の代わりとしてこの世に産み落とされた存在。まぁ実質兄妹…姉弟…姉妹…どっちだ…?」

 

男とも女ともとれない無性の肉体を持つ自分の性別がどっちかはっきりしないキムラヌートは頭を回して考える。

 

だが、先程のキムラヌートの発言にマルクト達は看過できない内容があった。

 

「我は…要らない存在になったのですか…?」

 

「そ、そんな筈ありません!お姉さまが要らないなんてことは!」

 

「そうだよ!コイツが適当言ってるだけだよ!」

 

「突然私たちの前に現れて自分がお姉さまの兄妹…姉妹…うぅん…でも、とにかく恥を知りなさい!」

 

「え?…あっ!違う違う!意味が違う!!正確には俺がスペア!君らのお姉さまは本物の預言者!!」

 

キムラヌートはまたやってしまったと再び意味の修正にかかる、どうやら生まれたばかりの為に知識としてあるコミュニケーションと自身の経験値の差で端折る癖があるようだった。

 

少しトラブルがあったが、マルクト達は集まって座る。少し遠くでキムラヌートが寂しそうに見ているが、今はそんな事は知らない。

 

「とにかく、今回の議題はあのキムラヌートを今後どうするかについてです!」

 

オウルが遠くから様子を伺うキムラヌートを指差しながら意見を求めた。

 

「ケテルちゃんやコクマーちゃんみたいに預言者じゃないみたいですし…」

 

「お姉さまみたいな感じじゃないし、ここから追い出しちゃおうよ!」

 

ソフの言葉にオウルもアインも同意の意志を示すが、マルクトが難色を示した。

 

「…我は、ここに居ていいと思います」

 

「えっ!?なんでですか!?」

 

「もし、突然1人で放り出されたら…我は寂しいです」

 

「「「………」」」

 

マルクトの言葉が決定打となり、アイン達はキムラヌートがこの場に滞在する事を許可することになった。

 

マルクトは少し席を外し、部屋にはキムラヌートとアイン、ソフ、オウルだけが残った。

 

「勘違いしないで下さいね、お姉さまが寂しがっていたので仕方なくここに置いておいてあげてるんですから!」

 

「少しでもお姉さまに危害を加えようとするなら、私たちもただじゃおかないからね!」

 

「えっと、その…あんまり迷惑かけないでくださいね?」

 

3人が警戒心たっぷりに言いたいことを言ってると、キムラヌートはただ静かに頭を下げた。

 

「…ありがとう」

 

顔をあげるとその顔は喜色に満ちていた。

 

「こんな俺にも、居場所が出来た」

 

その時、アインはふと思った。

 

敬愛するお姉さまが誕生した時、その時近くには自分達がいた。

 

だが、この方が誕生した時、誰かが近くに居たのだろうか…と。

 

「キムラヌート…さん、あなたは、世界が嫌いですか?」

 

アインがなるべくオブラートに聞く。

 

自分たちは…世界が憎いと感じている。

 

不条理なこの世界を、自分達が消えても悲しむ事さえしない世界が憎い。

 

だけどこの方はどうにも憎しみだけじゃないと、雰囲気から伝わってくる。

 

「俺は、別に憎くはないかな」

 

「なんで?」

 

ソフが聞き返す。

 

「俺は君たちのお姉さまの代替品として目覚めた。だが俺は生まれてすぐにその使命を否定した」

 

「何故です?自分の役目を果たさないなんて…」

 

「さぁね、俺自身出来たばかりの感情に振り回されて後先考えずに答えてたからかな。まっさらになった俺は、新たな自分を得るために必死になって存在証明をしたくてあの時近くのコンピュータを使ったのかもな」

 

話を言い聞かせるというより、自分で振り返っているのを確認するように言葉を紡いでいく。

 

「だが、理解はしてないが感じた。膨大な知識の海に沈んだ俺はこう結論付けた。この世界は皆意味を持って生まれると」

 

さっきと言ってることが矛盾している、役目を果たしていないのに意味を持って生まれる。キムラヌートがマルクトの代替品として生まれたなら代替品として全うしなければ意味が無いじゃないかと。

 

「そうあれと決められて生まれたからって、そうして生きなければいけない訳ではない。俺という存在は俺自身が価値を決める」

 

「…でも、あなたが消えたら世界は誰もあなたを認識しないですよ?幾ら一人で足掻いても無駄では?」

 

「ははっ、何言ってるんだ。もう意味はあるだろ」

 

キムラヌートが笑いながらアイン達の顔を見た。

 

「君たちが俺を覚えてくれた。ならもう俺は君たちが消えない限りこの世界から消えないって事だ」

 

あっけらかんとそう答えるとアイン達はようやくキムラヌートに近づいた。

 

「…私達も、この世界に残れると思いますか?」

 

「もう残ってるんじゃないか?」

 

何を当たり前な事を言ってるんだと少し言葉を零して床に寝転がる。

 

「まぁでも俺は外の世界、情報でしか知らないしなー」

 

1回生で空とか見たいなー、と呑気に答えたキムラヌートにようやく警戒が解けた3人はキムラヌートの横に一緒になって寝転がる。

 

「…お兄さま」

 

「…ん?俺性別わかんないけど、兄なの?てか俺兄じゃないけど?」

 

「お姉さまと同じだけど、私たちがお姉さまと呼ぶのはあの方だけです、だからあなたはお兄さまです」

 

「……そうか、ならそれでいいよ」

 

「最後に1ついい?」

 

「なんだい?」

 

「神って、いると思う?」

 

「いるんじゃない?」

 

「じゃあ、神は再現できますか?」

 

「それは無理だな」

 

「何故です?」

 

「だってそれ、神を模した何かだろ。神という存在を真似した何かだ。完全再現となりゃその存在に近づく為に全てを同じにしなきゃ神とは呼べないんじゃないか?」

 

「成程…」

 

これ以上質問は飛んでこなかった。

 

そのままアイン達は静かになり、寝息をたてていた。

 

「…さっそくアイン達が仲良くなってて我は嬉しいです」

 

少し離れたところでマルクトが微笑ましく4人を見つめていた。




キムラヌート(…左右とお腹周りにしがみつかれてるから移動できないな)
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