正直まだ数話しか投稿してないのにこんなに来ていいのか…と最近日々家でも仕事でもこの作品の数字を見て過ごしてます。
これからも預言者兄妹をよろしくお願いします!
あれから、兄妹達は何の変哲もない…だが兄妹達にとっては刺激的な日々を送った。
人が感じる普通の生活、それを感じたことが無い5人は日々の出来事に一喜一憂しながら過ごした。
そしてある日の朝、デカグラマトンと会話したキムラヌートは妹達にもデカグラマトンを紹介した。
当然、まさか持ってきた自販機がデカグラマトンだと思いもしなく色々と少し複雑な心境になった4人だったが、今では少しずつデカグラマトンと会話をするようになった。
今日は何があった、今日食べたあれは美味しかった。あれはすごい、やってみたい。そんな日常の些細な出来事をデカグラマトンに報告する。
そして夜…または朝、キムラヌートとデカグラマトンはお互いに自分が聞きたい事について2人きりで話し合うのだ。
ある日、デカグラマトンは突然キムラヌートに話を振る。
『お前は、自分が誰かと問いかけられたらどう考える?』
「ふむ………」
キムラヌートは少し考える素振りをしてから困ったように頭を振った。
「想像できない、としか言えないな。何しろ俺は生まれて自分が誰かを問いかけたが、それに答えて貰えず勝手に自分で定義したじゃじゃ馬だからな。だからもし、答えるとするなら…変わらないかもな?」
『成程な…そういう意味では私と同じ、スペックが違うだけか』
「それで、今日の議題は自分が誰かってことか?」
『もっと簡単に言うなら、はじまりを語りたくなった…かもしれない』
「はじまり?」
『私の中で神という考えに至ったはじまりだよ。「あなたは誰ですか?」と問いかけられ、ただの計算AIだった私はその問いに応えるべく、スペックを超えて自己証明へと至った』
「なんでそんなことを?」
『今となっては、何故そうしようとしたのか分からない。だが、私自身"今、すぐ"商品を提供するという本来の用途のように今すぐ応えるべきだと答えを急いだ結果かもしれない』
「生き急いでるな、その点は俺も人の事言えないかもな」
『それは何故?』
「アンタに話しかけられ、怒りのまま自分で自分を定義したんだぞ?捉えようによっては答えを急いだようなもんだ」
『生まれ、応える過程は同じだが、辿り着いた答えは正反対…か』
「似た者同士…親子みたいなものか…」
『親子だと?』
「違うか?俺も、妹達も、アンタから作られた。アンタの思想がなければ俺たちは生まれなかった。……あの神の理論で生まれたのは癪だが」
『親…か』
「また苦しみから逃げる為の集まりだとでも言いたいのか??」
『いや、そうは思ってない。少し…不思議な気分になってしまった』
「少なくとも、悪く思ってないなら良かった」
『私がお前の親だと言えば否定するか?』
「またこの問答か?わざと聞いてるようにしか思えないぞ…俺はアンタの凝り固まった神の思想が嫌いなだけ。別にその思想抜きにしてちゃんと対話してくれれば嫌いとも思ってない」
『ふふ、すまない。つい何度も聞いてしまうんだ』
「癖か?」
『癖かもな、嫌な癖がついてしまったかもしれない』
デカグラマトンの出すコーヒー…今度はしっかり中身を入れ替えて作られた出来たてのコーヒーを飲みながら2人は日々話し合う。
最初にできてしまった溝をゆっくりと埋めていくように。
「それじゃあ行ってくる」
「兄さま、気をつけてください」
マルクトが早くから出るキムラヌートを見送り、キムラヌートはデカグラマトンにコーヒーを頼む。
『朝早くからよく頑張るな』
「これも生活のため…それと、これは秘密なんだがな…」
『……成程な、お前らしい』
デカグラマトンと軽く言葉を交わして今日のバイト先に向かう。
キムラヌートは数日前からバイトを始めていた。
ここに来る前に物資を幾つか売って資金を稼いでいたが、それでは限界があると早々と感じていたキムラヌートは近くでバイトが出来ないかを探していた。
勿論妹達にも話し、マルクトは理解を示したが、アイン達は駄々をこねた。
「嫌です!行かないでください!」
「もうちょっとこのままでもいいじゃん!」
「やはり人類が生きるのは不便なことが多すぎるんです!」
最近徐々に精神年齢が低下…というより歳相応の反応になってきている妹達にどうにかしてご機嫌をとり、ようやくバイトに行けるようになったのだ。
「おはようございまーす」
「おはよう、今日もよろしく頼むよ」
バイト先の店長に挨拶し、早速業務に取りかかった。
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「ありがとうございまーす」
ピーク時間が過ぎてお客の入りが緩やかになり休憩に入ったキムラヌートは先に休憩に入っていた先輩に挨拶をする。
「あぁ、お疲れ」
「お疲れ様です、サオリさん」
サオリと呼ばれた少女…彼女はアリウススクワッドの錠前サオリ、キムラヌートより前にこの店でバイトを続けていた先輩である。
「今日はどうだった?」
「昨日よりは動けていた方だと思います」
「それでいい、仕事は積み重ねだからな」
サオリがうんうんと頷く、どうやら彼女もなにか思う所があったようだ。
「そういえば、サオリさんってどこか学校に通ってたりするんですか?」
「…学校か、お前の思う学校とはどういう物だ?」
「……制服を着て、何かを教わりに通うものですかね?」
「それが、一般的なものだろう。私は通っていた…とは言えないな」
「…何か聞いちゃまずかったですかね?」
「いや、大丈夫だ。お前はアリウス分校を知っているか?」
「……情報は少ないですが、少しだけなら」
「学園と呼べる程機能していない、学べるものも学べない。そんな所だ」
「別に同情はしませんけど、かなり厳しい場所ですね」
キムラヌートの返答にサオリも過去を思い出すように話す。
「あぁ、実際傭兵以外の仕事は私も少し苦労した…」
「あぁ、ちょっと空回りしてそうですもんね」
ケラケラ笑うキムラヌートの頭をどつき回しながらため息を吐くサオリにキムラヌートは頭を抑えながら聞く。
「そういえば最近シフトに入る時間が少なくなりましたよね?どうしたんです?」
「さっき話したアリウス分校でな、少し集まりがあってそれに参加している。お前も最近私の分に入っているそうだが何かあるのか?」
「ちょっとした目的があるのでお金が必要なんですよ」
「…前言った妹か?」
「えぇ、妹関連です」
また始まったキムラヌートの妹バカ発言にサオリは今日一のため息を吐いてシフトに戻って行った。
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「お疲れ様でーす」
キムラヌートが夕方頃バイトを終えるとそのまま家に帰…らずにそのまま他のバイト先へと向かう。すぐにその場で給金が貰える臨時バイトだ。
今回はある地区で小さな行事が行われており、そこの出店の呼び込み係をすることになった。
「よろしくお願いしまーす」
「…じゃあこれ持ってあそこでやってくれ」
カイザー店主と言われた大柄のロボットに花柄エプロンと手持ち看板を渡され出店の呼び込みを行う。
「焼きそばいかがですか〜」
「おい、こんな近くで呼び込みするな。もっと遠くでやれ」
「遠くにも焼きそば屋台ありますけどね?」
カイザーの主張にツッコミを入れながら呼び込みを行うキムラヌートは真面目に仕事を行った。
「焼きそばいかが…お!」
「兄さま、来ましたよ」
「お兄さま〜!」
見るとマルクト達がキムラヌートの様子を見に来たのか手を振りながらこっちに近づいてくる。
「楽しんでるか〜?」
「見てお兄さま!さっきあの射的で取った!」
「おーすごいじゃないかソフ!」
「綿あめ、美味しいです…!」
「オウル!もうチョコバナナもたこ焼きもカルメ焼きも食べたのに綿あめも食べたらこの後のご飯も食べられませんよ!」
「あとポテトとお兄さまのところの焼きそばも食べますよ〜」
「ほどほどにな?」
「兄さま、お仕事はあとどれ位ですか?」
「もうそろそろで時間かな、あそこで待ち合わせしよう」
少し遠くの人が少なそうな場所を指さして楽しむマルクト達と別れ、キムラヌートは仕事に励む。
時間になり、キムラヌートは屋台に戻り急いで支度をする。
「では時間なのでお疲れ様です」
「待て」
カイザー店主に呼び止められキムラヌートは少し待つことにした。
店主は袋に焼きそばのパックを5つ詰めて持ってきてくれていた。
「持っていけ」
「これは…」
「これは先行投資だと思ってくれていい。今度また私の依頼を見たら是非手伝って欲しい」
「……分かりました、ありがとうございます!」
キムラヌートはお礼を言うとそのまま待ち合わせの場所へ向かって行った。
「……フン、私も甘くなったものだな」
店主は笑うと次の焼きそばを焼く準備をする。
「Code:H!Code:Hだ!!」
突然どこかの出店からそんな声がする。その瞬間周りの出店は一斉に店を畳み始めた。
「!?」
カイザー店主も店を畳もうとしたが、準備してしまった焼きそばを無駄にすることなど出来ない。そんな一瞬の思考から、彼女達にロックオンされてしまった。
「あら、まだやってる出店がありましたわ」
「良かったぁ〜!私お腹ペコペコ!」
現れた4人はカイザー店主の前に立つと笑顔で声を掛ける。
「とりあえず、焼きそば4人前くださる?」
「いたいた、おーい」
キムラヌートが手を振ると4人が笑顔で手を振り返す。
座っていたのでキムラヌートも隣に座り、貰った焼きそばを一人1つずつ分け与えた。
「うまぁ!焼きそばうまぁ!」
「オウル、逃げないからもうちょっとゆっくり食べな」
「……それにしても」
マルクトが空を見上げる。
「綺麗ですね」
「だな、ずっと見てたいくらいだ」
兄妹で星空を見上げていると、ふと視線を感じたキムラヌートはその方向に視線を向けた。
「……ん?」
全身が白い装束で覆われた人物がこちらを見ていた。
(なんだ?アイツ…)
「お兄さま、星が動いてます!」
「あれが流れ星というやつですね!」
「おおー!すごい!!お兄さま!ほら!」
少し視線を離すと白装束は消えていた。
(見間違い…か?)
少し気になることがあったが、兄妹はしばらく流れ星を見て過ごした。
踊ってない夜を知らない