俺の友達が世界を救った上に女の子になって帰って来たんだが 作:虚憂
「異能って何なんだろなー」
「何だ急に」
「いやさ、世界を救って女の子になって……ってのが、全部異能の所為だって一言で片付けられちゃうなって考えたら、急に不思議に思えちゃって」
「んー」
確かに全部異能の所為だわな。
……いやいや、それ俺に言っても感すごくないか?
「ユウのだって不思議じゃんあれ」
「俺のはまあやってることはシンプルだぞ」
超真面目に仕組みを紐解こうとすると頭おかしくなりそうなだけで。
そもそも異能が真面目に科学で紐解くもんじゃないってのはまぁそうだけどってなるものだし。
「考えれば考えるだけ異能だし、で解決しちまうぞそれ」
「むー、ねぇ一緒に解決しよーユウ」
「無茶言うなよ」
こいつ戻って来てから更にだらける様になったな……何だ、燃え尽き症候群か?
「何もする気が起きないわけじゃないんだけどさー、なんかこう……ユウならいっかってなる」
「元々俺の布団奪って寝落ちする様な奴だからな俺の前でのお前ってば」
こいつ一緒に夜更かししよーぜ! とか言いながら俺の家に突撃して来といていの一番に寝落ちした過去があるからな、本性表しただけじゃないか?
「優じゃなくなってそれが悪化しちゃった?」
「そうか、ならユウがユエになろうが俺のやることは変わらん」
一緒にだらけて遊々自適にすごそうってな。
ゲームしたりごろごろしたりするだけよ。
「んへへ、だからユウのとこは居心地いいんだよなー」
「心臓に悪い」
「?」
「何でもない」
その面で言われるとユウだとわかっててもドキッとくるが?
不整脈になって早死にルート待ったなしだ。
「で、結局俺はお前をなんて呼べばいい」
「んー?」
「学校じゃユエだろうが、この場だとどうよってな」
正直めちゃくちゃ困ってんだよなぁ、お前の呼び方。
なぁんで名前変えちゃったのか。
「だっておんなじ名前だとバレそうじゃん?」
「否定はしない」
「だからまあ臨機応変でー、任せたユウ」
優という名前で
「その愛人の女はどうなってんだ?」
「行方不明、どうやったのか全然見つからないんだよねぇ」
ほーん、ラスボスの愛人ってなだけあって逃走能力も一流なんだな。
俺的には早々に見つかってくれたら助かる、何せ本人の距離感がバグってるから。
なんかこいつの中の何かのゲージがぶっ壊れてるのが俺にはわかる、その所為で俺の部屋で極限までだらけるTS美少女が爆誕してしまってるんだ。
何のゲージかまではわかんないけど。
「見ろよこのだらけ具合、俺のベッド無くなっちまったが?」
「んー? いい匂いだぞー」
「そういうことじゃねぇんだわ」
なぁに布団かぶって幸せそうにしてるんですかね俺のやぞ。
今の自分の現状を鑑みてくれませんかね?
「いいご身分なだなーユウ」
「布団引っ剥がすぞ自称暑がり」
「やめてよ自称寒がり」
誰が自称か普通に寒がりだわ。
冬に布団に包まれる幸せは唯一無二だと思っているぞ。
とか言って、のんびりしていた時のことだった。
「……ユウ」
いきなり、ユウが真面目な顔をしてスッと立ち上がったのだ。
「誰か暴れてる、行こう」
「あいよ」
■■■
ユウのお人好しは異能が関わろうが関わらまいが関係ない。
どんな時と場所だろうが、助けられるものには手を伸ばすのがユウって人間だ。
「任せた」
「久々だが任された」
こいつが世界を救う仲間達と出会う前は、自慢じゃないが俺が支えていたのは間違いない。
何せ自分を顧みない悪癖があるからな。
「見つけたっ!」
「ああ」
ユウが見つめる先に居るのは、不気味な笑みを浮かべる男と、道路に座り込んでしまっている少女。
男の方は両の手から何とも言えないオーラを発している。
「ユウ!」
「行っちまえ!」
そう返せばユウは更に人並外れた加速を見せる。
とは言え俺は一般人並みの走力しか持ち合わせていない、間に合うかね。
「
そう呟いて虚空から取り出しますのは不思議な模様が特徴的な白の立方体。
俺の異能はその性質上、狙われるものの近くに居ないと意味がない。
だから大急ぎであの少女のとこまで向かわなきゃならない訳だ。
「このガキィっ!!」
とか言ってる間にもうあいつは不審者の方を圧倒している、流石の手際だが早過ぎるな。
見てない間に強くなったもんだよ。
「だったらぁっ!!」
「無駄だよ」
……と、示し合わせたかの様に。
俺の範囲内に少女が入ったくらいのときに、不審者が破れかぶれの一手を放って来た。
「蒐集」
「んなっ」
正直、こんな能力でもなければこいつについて来れなかった自信がある。
だからそこだけは感謝してる、誰にしているわけでもないが。
「小悪党が最後に考えることってのは、誰だとしても変わらないもんなんだな」
「てめぇよくも……!」
俺の指の先で不規則に浮かび回転する立方体。
ほんと、どんなカラクリしてるんだこの箱。
「テメェだけでもぶっ殺してやるッ!」
「展覧」
「……っ!?」
箱がクルクルと回転し、既視感のある攻撃を不審者へと繰り出した。
「ぐあぁっ!?」
「ま、1発分だしこんなもんだ」
「……見かけ倒しじゃねぇかっ! このっ!」
「ブーメランで首跳ね飛ぶぞお前」
あと、さっきまでお前をボコボコにしていた存在を忘れちゃいないか?
「ガッ……!?」
「ほら見たことか」
背後から忍び寄っていたユウに殴られて、終わりだ。
俺はあくまでこいつの補助だからな、倒せなかろうが関係ないんだわな。
「……ふー……」
「お疲れ、ユ……エ、怪我ないか」
「……うん、大丈夫」
? ああもう一人いるから猫被ってんのか。
不思議なことに、性別変わったらなんか余計に猫被りが酷くなってんだよな。
マジでそんな緊張しなくてもいいんだぞお前。
「あ、ありがとうございます」
「ん、ああいや俺じゃなくてこっちに言ってくれ」
助けたのは……中学生か?
こんなおっさんに襲われるってのは、中々アンラッキーだったな。
「大丈夫、ボクが助けたいから助けたんだから、帰り道気を付けてね?」
「また襲われるとかシャレにならないからな」
「は、はい!」
チラチラとこちらを見返してはいるが、また面倒ごとに巻き込まれてもなのでさっさと帰らせるのが俺達のやり方。
二人じゃできることに限界があるからな。
しかし……。
「相変わらずモテるな、ユウ」
「?」
「あの子お前の方を何度も見返してただろ」
こいつの特技モテモテが発動していたな、あれは間違いない。
男女問わず惚れられる天才だったからなぁ昔から。
「ユウの方じゃない?」
「ん? ないない」
颯爽と現れ不審者を撃退する正義の味方と、変な箱浮かせてるだけの男を比べちゃダメだろ。
「こんなにかっこいいのに」
「……は?」
「あえ?」
ん?
「まって、今のなし! 冗談!」
「……疲れてんだろ、さっさと家帰って休めよ」
ちょっと前に帰って来て、かなり忙しかったっぽいからな。
見えない疲れが溜まっているんだろう、うん。
「それはやだ」
「おい」
「ユウの部屋でごろごろする、これは決定事項だよ」
「散々してただろ」
「足りない」
「ええ……」
あの、自宅のベッドで休まれるという選択肢は……?
「
「お前の妹どんだけ熱発してんだよカイロかなんかか?」
4月の今の時期で俺の布団にくるまる程度の暑がりが嫌がるレベルの体温って何だ。
「なんなら泊まってく、服はユウの借りたらいいし」
「おい」
「今の俺ならユウの服くらい余裕で着れるもん」
「そういう問題じゃなくないか?」
距離感バグってんよ誰か修正してくれや。
誰のせいだよ、妹か?
「ユウのお父さんどうしたの?」
「仕事で2、3日居ない、いつものだいつもの」
うちの親父が家を空けることは偶によくあることだ。
そういう時に限ってユウが避難場所として避難しに来るのだが。
「じゃあいいじゃん、泊まる」
「俺の寝床は?」
「……一緒に寝る?」
「距離感バグってるとかそんなレベルじゃないなもしやお前」
男のブカブカの服着た上に異性と一緒に寝る?
アホかなこの現在女の子のユエさんは。
「ううん、寝る」
「何でだよ」
「そうしたいから」
「いや……って待て待て、俺の話を聞けお前な」
……なんかこいつ、様子おかしくないか?
「……ユウ……♡」
■■■
どうしたんだあいつ。
あの後一言も喋らずに帰って来てしまったが。
「おい、大丈夫か?」
「……」
返事はない。
だがなんか息は荒い。
「疲れたのか? まあ不慣れな身体な所為だろうけどよ」
「……」
「んー……ああそうだ、お茶でも淹れてくるから少し待って」
「ユウ」
「うおっ」
部屋を出ようとしていたところで、急に手を掴まれてしまう。
え、何どうした?
「ユウ……」
「っ」
その時ようやく顔を上げたユウの表情が……何というか。
とても……苦しそうで。
「おい、本当に大丈夫か?」
「……ん、だいじょぶ、少し寝たら治る……」
「そうか、なら寝て」
「だから、一緒に寝よ?」
「はっ?」
一瞬理解が遅れたと思えば、引っ張られる感覚に襲われて……あらこの通り。
ユウが、俺に馬乗りしているではありませんか。
「えへへ……ユウ、ユウ……♡」
「待て待て待てっ! 落ち着けユウ!」
「今はユエがいいなぁ……だめ?」
「だめだよなぁっ!?」
ダメだこいつ理性がぶっ飛んでやがるッ!
中身について今はもうともかくとしても、こんななぁなぁで関係なんて持っちゃ行けねぇだろ!?
鋼の理性で耐えろ……!
「ユウ」
「っ」
……お互い、運動後ということもあって若干汗ばんでいるこの、状況。
妙に目の前の存在が色っぽく見える。
なんだ、変な気分になって……じゃなくてぇっ!
鋼の理性を……!
「ユエって、呼んで」
「ぐ」
「……お願い」
……鋼の……。
「んっ」
「んぐっ!?」
最後のダメ押しと言わんばかりに、視界いっぱいの
ああ、こりゃダメだ。
頭空っぽにして書けたらなって