俺の友達が世界を救った上に女の子になって帰って来たんだが   作:虚憂

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アイシテルナンテ、イワナクテ

「うぅん……」

 

「起きないね」

 

「やばくなったら起こしたらいい、まだまだ時間はあるだろ」

 

「それもそっか」

 

 

 ほんとにごく僅かな量しか混ぜてないから、そのうち起きる。

 

 

「妹は妹で張り切ってんだろ?」

 

「うん、いつも遅くまで勉強したりしてる」

 

「真面目だよなぁ」

 

 

 同じ優等生と言っても、ユウと妹じゃ方向性が違う。

 ユウは真面目に授業さえ聞いていれば大丈夫なタイプで、妹はみっちりやることやってないとダメだというタイプ。

 

 

「勉強教えてあげたりもしてるんだけど、やっぱりね」

 

「まぁそうなるだろうけど、難儀な姉を持ったもんだよ妹も」

 

「……うん、ほんと迷惑かけてる」

 

 

 ソファーでユウの膝を枕に寝ている妹の顔にはうっすらと隈が見える。

 変わらない、ほんと昔からこいつらは変わらない。

 

 

「だから、自慢の妹だよ?」

 

「だろうな」

 

「わかる?」

 

「何年も聞かされて見てきたんだから、そりゃあな」

 

「あはは、そっか」

 

 

 そうやって……寝ている妹の髪を優しく撫でるユウを見ていたら、そりゃあわかるだろと。

 そんなことしてるから姉/兄の沼にハマって行くんだぞ。

 

 

「頑張ってる子は甘やかしてあげたいし」

 

「その考えを否定はしないんだけども」

 

「ユウも撫でる? サラサラだよ」

 

「ばーか、兄貴(おまえ)だからそれは許されるんだろ、俺がやったら犯罪だ犯罪」

 

 

 俺に逮捕されてほしいというのならやぶさかではないが。

 

 

「うーん、そこまで自分を卑下しなくても」

 

「卑下というほどのことでもない、法律だ」

 

「レーちゃんだって許してくれると思うよ?」

 

「その本人がまたたびで酔ってるのが問題なんだよなぁ」

 

 

 酔わせて身体触るとか犯罪だろ、だからダメ。

 

 

「あそっか、そうだった」

 

「そういうこと、で何か飲むか()()

 

「! ……にひ、飲む」

 

「?」

 

 

 ……あ。

 シンプル間違えた。

 

 

「今のボクはユエだし、間違ってはないよ?」

 

「そうなんだろうけどな」

 

 

 アレの所為で若干揺らいでたりすんのかなー……。

 考えたって後悔が付いて回るだけか、いやしかし……ぐぬぬ。

 

 

「お前はどうなんだ」

 

「?」

 

「……いや、何でもない」

 

 

 聞けるわけがない。

 俺との昨日ので、後悔してないのかなんて。

 

 

「ねえ、ユウ」

 

「何だよ」

 

「こっち来て」

 

 

 突然として手招きを始めるユウ。

 何だ?

 

 

「座って」

 

「ああ」

 

 

 言われるがまま隣に座るが……。

 

 

「えいっ」

 

「ん?」

 

 

 隣に座らせた張本人は、俺の肩に頭を乗せた。

 ……枕にでもするつもりで呼んだのか?

 

 

「おー、身長差ができてたからちょうどいい」

 

「何の真似だよ」

 

「いや別に」

 

「ええ」

 

「……まあボクはボクでこの状況を楽しんでるから、別に気に病まなくていいよってのは言いたいかも」

 

 

 ……。

 

 

「レーちゃんもだけど、ユウはユウで抱え込むでしょ、バレてるからね」

 

「……敵わないな全く」

 

「そりゃあ、お互いこれでも13……あ、もう14年目になるんだもん、相手の考えなんてお見通しでしょ」

 

 

 3歳くらいからの付き合いだもんな、そりゃそれくらいにもなるか。

 

 

「直後はお前の方がよっぽど後悔してなかったか?」

 

「んぐ、あ、あれはほら……その、ボクが原因みたいなとこあるしそりゃあ後悔の一つや二つあるでしょ」

 

「はは、そうかよ」

 

 

 こんな時どんな顔すりゃいいんだろうなぁ。

 全く思い付かない。

 

 

「とりあえず、レーちゃん起きるまではこうさせて?」

 

「あいよ」

 

 

 

 

■■■

 

 

 

 

「何だかとても忘れてはいけないことを忘れている気がします」

 

「気のせいだろ」

 

「うん、気のせい気のせい」

 

「うーん……?」

 

 

 現実を悟らせてはいけない。

 大人しくカレー食べようぜカレー。

 

 

「カレー……」

 

「久しぶりのユウのカレーだよ、さあさあ食べよう」

 

「むむむむむ……!」

 

「ただのカレーなんだけどな」

 

 

 こいつらはまあ久しぶりなのだろうが、俺にとっては時たま食うありふれたカレーなもんで。

 隠し味とかしてないし、ここまで好まれる理由も特にないと今でも思ってる。

 

 

「……いただきます!」

 

「いただきます」

 

「ああ、召し上がれ」

 

 

 そうして、また懐かしい光景が我が家に広がるのでした、と。

 一人なんか性別変わってるけどな。

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