前世に忘れてきました。何を?人道とやらを 作:しらたまあんみつ
錦の生得術式「変圧呪法」の解説と、次章予告です。放浪編の締めとして、今の錦のスペックをまとめてみました。もちろん、これは現段階のものなので、今後さらにカスタマイズされていきます。
予告は後ろの方についています。本編の助走として、読んでみてください。
「そういえば、お前の術式って結局どこまでできるんだ?」
ふと、鹿紫雲が問うた。讃岐を出て、やっと本州に出られた二人。ここから堺に向かって、いつもの仲介人に会いに行くのだ。
問われた錦は、目を瞬かせる。
「えっと、結構汎用性高いですよ。技も多いし。具体的にはですねーーー」
《変圧呪法》
一、術式概要
術式範囲内に存在する、術者が触れたものの圧力を自在に操る術式。
二、術式詳細
〈基本性能〉
効果範囲:術者より半径五メートル以内にあるもの。この制約により、錦は近接戦闘を余儀なくされている。
術式対象:気体、流体、固体、人体など、対象そのものに制限はない。錦曰く、術式対象を探るのが一番面倒だったそう。しかし他人の体は干渉がしづらく、そこまでの圧力をかけることはできない。
術式範囲内からその対象が出ると、全ての圧力が解除される。再度術式範囲内に入れると、圧力をかけられる。
反動:他人が操っているものや無理な対象への干渉は負担が大きい。その場合、錦の体へダメージが返ってくる。どんな反動が返ってくるかは予想できないのもネック。
〈応用〉
空気や水を局所的に高圧化し、足場を作ることも可能。ただし持続性はなく、高いコントロール能力と身体機能が求められる。
〈現在使用する技〉
・
変圧呪法の基本を最も素直に強化した主力技であり、錦が多用する。対象に強烈な圧力をかけたり、水の流れを変えたりなど、単純ゆえに汎用性が高い。上記の応用技術により、足場の瞬間的な生成や空中での軌道変更も可能とする。
・
自身の周囲の一定範囲の空気に全方位圧力を発生させる。簡易的な防御や、飛来物への迎撃が可能。接近戦時の範囲制圧に最も使われる。
・
マーキング対象への圧力干渉。あらかじめ自身の呪力で印をつけた対象と、それと同じ呪力を帯びるものに圧力を変える。相手本人より、付随物や式神への特攻となる。
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圧縮空気を解除反動で撃ち出す空気弾。あらかじめ高い圧力をかけておいた空気の玉を相手に放つと、術式範囲内から出た瞬間に、解放された空気によって衝撃波を生む。カウンター技。
・
呪力と圧力を込めた拳で強打する。当たればたいていの相手は吹き飛び、時には必殺ともなりうるが、拳が自壊するリスクを秘める。硬い相手には通りにくい割にリスクが高いのが難点。
使用技には、錦のこだわりにより、染め技法と和色の名前を使用している。
〈強み〉
・地形、流体、相手の体勢、空気の全てを利用できる応用力
・発想次第で様々な攻撃を行え、相手ごとの攻略法を組み立てられる
・錦の編み出した応用技により、高い機動力と近接火力を両立している
・防御や拘束など、オールマイティな活躍が可能
〈弱点〉
・呪力出力差により、性能が左右される
→格上への通りが不安定
・効果範囲の狭さにより、近接戦闘を強いられる
→遠距離攻撃と相性が悪い。しかし銀鼠の開発により、ある程度は対応可能
・反動が重い
〈術式反転〉
未修得
〈領域〉
未修得
「ーーってな感じです。まあ、効果範囲が狭いのが一番面倒なんですけど」
「伸ばせないのか?」
「今のところは無理ですね。別の方向から攻撃範囲を広くしようかなって考えてます」
「呪具とかが良いんじゃねえか」
ま、と錦は笑う。
「任せといてくださいよ。まだまだ強くなれるんで!」
その頃。暗く夜の闇に沈む京を見下ろすように、三つの人影が、ある山奥に集っていた。
「そろそろ、でありんすか」
三つ目の遊女ー
「ああ。朝鮮での仕込みも上手くいった。準備は万端、といったところかな」
「油断は禁物じゃろうが。特に御三家の連中は手強いぞ」
「おや、経験談かい?確か昔、禪院の人間にこっぴどくやられたとか」
額に縫い目をもつ術師、魑魅の言葉に、
「煽らねえで。魑魅の協力がなければ、ここまで漕ぎ着けられのうござりんしたのだから」
夕顔に嗜められ、零落はチッと舌を打った。
三人の視線の先には、岩に腰掛ける女、山伏姿の老人、蟻を数える子供。
「儂はあやつらを信用しておらん」
「信用の問題じゃありんせん。あれは利用できる、それだけでありんしょう」
夕顔が艶っぽく袖を振る。
その奥で、魑魅ーー羂索は笑みを深めた。
(敗北から五百年以上。流石に二度は負けないよ)
「さあ、勝負だ。日ノ本の呪術師ーーーいや、天元」
最悪の呪詛師が、動き出す。
次回、星漿体護衛任務編ーー開幕。
物語は、次の舞台へ。