学園都市ってどこもクソだな【分割版】   作:あしゅけーね

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ベルディリア並の感想


7月19日15時頃

 

 

 ◈????

 

 

佐天(さてん)さん*1には『確かめて来てください』なーんて言われたけど、見えない少女なんてどうやって確かめりゃ良いのよ」

 

「見えませんものねぇ。能力で透明とかであれば、お姉様なら感知できるのでは?」

 

 夏休みということで普段より少し人気のなくなった図書室の中、そんな声が聞こえてきた。見えない少女を探しているというなら、きっと私のことだ。

 

「うーん、人間の生体電気を感知するっていうなら難しい───」

 

「ねぇ、私が見えるの?」

 

「えっ、う、うん。見える、けど……」

 

「えっ!?」

 

 何の期待もなく尋ねてみたけれど、返ってきた答えは予想もしていなかったもの。綺麗な茶髪を肩の辺りまで伸ばしたボブカットの女の子は、私が見えるって答えてくれた。

 

「本当に?声も……聞こえているよね。嬉しい」

 

「一体なんなの……」

 

「お姉様?()()()()()()()()()()()?」

 

 けれども、もう一人のツインテールの女の子の方は見えてないみたい。見えていないし、声も聞こえていないみたいでただ困惑しているだけかも。

 

「誰って……えっ?黒子(くろこ)、アンタまさか見えてないの?」

 

「えっ、ええ、見えていませんわ。声も聞こえませんの。その方はどのようなご様子で?」

 

「えっ、えーっと、青いベレー帽を被った白い長い髪で常盤台中学(ウチ)の制服を着た、黒子と同じくらいの背丈の子。あっ、名前は?」

 

常盤台(ときわだい)中学二年天織(あまおり) 有栖(ありす)。アマリリス*2って呼んでくれると嬉しいな」

 

「二年…?あっ、そういえば入学式のとき一度だけ見かけたことあるかも。綺麗な白い髪だなぁ、って思ったけど声は掛けなかったのよね。でも今までも何回か見掛けた気がするかも。他に白い髪の人はいないし」

 

 そういえば、私もこの人を見たことがあるかも。結構有名な人で何回か名前を聞いたかな。確か学園都市*3で七人しかいない超能力者(レベル5)*4の一人───

 

「『超電磁砲(レールガン)』の、えーっと」

 

御坂(みさか) 美琴(みこと)*5。こっちは白井(しらい) 黒子(くろこ)*6。一年だから遠慮は要らないわ」

 

「お姉様!?」

 

 じゃあ遠慮しないよ。なんて言っても声は届かないけど。

 

「それで、天織さんはなんで───」

 

「アマリリスって呼んで」

 

「……っ、アマリリスはなんで周りから見えないの?そういう能力?」

 

 首を振る。この学園都市では所属する生徒全員が何らかの能力開発を受けているから、自分が誰からも認識されなくなる能力者もいるかも。だけど、私はそうじゃない。

 

「ごめんね、言えないの」

 

「言えない?なんで?」

 

「そういう役割だから。私は呪われた“御伽の姫”」

 

 お姫様は魔法を使えないから、私は自分の能力を口にはできない。物語の役を被せられた人は、物語から逸脱したことはできなくなる。演者がアドリブを入れても、ストーリーの大筋からは外れられないみたいに。

 

「自分で姫って……」

 

「ふふっ、美琴、女の子は皆お姫様なんだよ」

 

 私の「お姫様」は少し意味合いが違うけれど、私たちくらいの年の子ならお姫様に憧れるらしい、()()()()()。誰もがお姫様に憧れて、お姫様になろうとする。だからお姫様になれる私は幸せなんだって。

 

「まぁいいわ。見えないアンタはここで何をしてるの」

 

「何って、読書だよ?図書室は本を読むところでしょ?」

 

「見えなくなってやること?もっとこう、あるでしょ。職員室に忍び込んでテスト問題を見るとか、コンビニで怒られずにマンガ立ち読みとか」

 

「こすっからいね」

 

「こすっ……」

 

 せせこまし過ぎる。覗きとか言い出さないだけ良識あるのかな。それに私、テストなんて受けたことがない。マンガはちょっと読んでみたいかも。ここにはマンガがないから。

 

「何の話かはわかりませんが、そういう小狡い考えはよした方がよろしいですわ、お姉様」

 

「じゃ、アンタが透明になったら何すんのよ」

 

「それはもちろんお姉様を四六時中監視してシャワーの時とか一人で油断しているだらけきった姿とか───ぼへっ

 

 黒子、良識ないね。

 

「順序が逆だよ。私は透明だから図書室に来たんじゃなくて、図書室に閉じ込められたから透明なの」

 

 床にのされた変態さんは置いておいて、説明を続ける。

 

「ここは大量の本とお友達の竜がいる、魔法の小部屋。お姫様を閉じ込めてるの。私は囚われのお姫様だからここから出られないし、役のない人は私を見れない。劇場にいない人は、劇を見れないんだよ」

 

「なんで私は見えるのよ。少なくとも白馬の王子様になった覚えはないけど?」

 

「お姉様が王子様…………アリ!」

 

 なんで美琴にだけ私が見えるのか。うーん、なんでだろ。

 

「……あっ、そういえば聞いてなかった。あなたが、私の“騎士”様?」

 

 囚われの姫。それが私。そんな私が見えるのは、“騎士”の役割が与えられた人間だけ。だから、美琴は私を連れ出してくれる“騎士”なのかもしれない。

 

「騎士?違うけど……」

 

「良かった」

 

 うん、本当に良かった。もし“騎士”が迎えに来てくれたとしたら───その人は、最後には死んでしまうから。

 

「じゃあ美琴が私のことを見れるのは……超能力者(レベル5)だから、かな。それか私を認識できなくしてる能力が効かないとか。黒子のレベルは?」

 

大能力者(レベル4)の『空間移動(テレポート)』ね。一応私は『電撃使い(エレクトロマスター)』」

 

 大能力者(レベル4)の黒子は当然として、『電撃使い(エレクトロマスター)』じゃ防ぎようがないから、やっぱり超能力者(レベル5)であるからだと思う。超能力者(レベル5)相手に役を被せるのは無理でも何かを思い込ませるくらいできるらしいけど、人を認識できなくさせるのも無理みたい。

 

「うん、だったら大丈夫かな。……ねぇ、美琴。いつかでいいから、ここから私を連れ出して?」

 

 物語は“御伽の姫”を“騎士”が連れ出すことで進行する。まだ“騎士”じゃない美琴が私を連れ出したら、きっと物語を破綻させられるだろう。

 

「連れ出すって、アンタが───」

 

「お姉様。もしその見えないお方をここから出そうなんて考えてるのでしたら、一度戻ってお考え直しを。どう考えても怪しいではありませんの」

 

 黒子の言うとおりだね。自称お姫様で自分にしか見えない相手が連れて行ってなんて言ってきたら、怪しいと思うのは当然だと思う。

 

「うん、そうした方がいいかも。まだ卒業まで時間はあるし、ゆっくり考えて。でも、たまに遊びに来てくれると嬉しいな」

*1
柵川中学一年佐天(さてん) 涙子(るいこ)

無能力者(レベル0)の『空力使い(エアロハンド)

導入に使われたのにこのあと出番ない

*2
Shadowverseの才気学園編に登場するキャラ

本作では天織有栖という名前になってる

*3
東京の西部に作られた多数の学術研究機関及び先端技術企業が集まった都市

在籍する学生に対して科学技術による能力開発がされている

キヴォトスじゃないよ

*4
能力の強さをランク付けしたもの

無能力者(レベル0)低能力者(レベル1)異能力者(レベル2)強能力者(レベル3)大能力者(レベル4)超能力者(レベル5)の6段階あり、学園都市全体の目的としてはこれのさらに上、絶対能力者(レベル6)及びその上を目指す

*5
常盤台中学二年御坂美琴

学園都市最強の『電撃使い(エレクトロマスター)』であり、七人しかいない超能力者(レベル5)のうち第三位

低能力者(レベル1)から努力を重ねて超能力者(レベル5)になった過去を持つ

異常者の多い超能力者(レベル5)のなかでは常識人枠

*6
常盤台中学一年白井黒子

大能力者(レベル4)の『空間移動(テレポート)

美琴をお姉様と呼び慕い、日常的にセクハラスキンシップをとる

ただ全肯定というわけではなく、美琴が間違っていたら対立してでも止めようとする




短編書いてそのまま投稿するのと場面転換で分割するのとどっちがいいのかテスト
連載は待つのも楽しみ方の一つだと思うので続きは後日投稿

どっちが良いと思うか

  • 短編
  • 分割
  • 両方あると嬉しい
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