五度目の転生はインフレが過ぎる   作:イモリ

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目の前に神殿

「ふむ、なるほど……」

「……」

 

 あれから一時間ほどかね。

 色々話してくれたわ。

 

 いやはやこの子が馬鹿じゃなくて良かったね。誰も死なずに済んだ。

 俺も人殺しはね、避けたいからね。やる時はやるけど。

 

「さて、情報料として飯でも食わせてやろう」

「……べつに、お腹なんかーー」

 

 くぅ。

 

「……」

「……」

 

 おやおや、可愛い恐竜さんでもいるのかね?

 

「……いただきます」

「そうしとけ」

 

 思っきし顔赤らめちゃってまあ。愛らしいね。

 まあどうでもいいが。

 

 

 

 オレンジガールを一応の手当てをして、適当な飯食わせたらジュエルシードを渡して、早々に帰っていった。

 ありがとうとはよく言ったもんだね。

 スバラシイじゃないの。

 

 いやはや、縛って締め上げて飯食わせたらありがとうって、お前、エムだったのかよー!

 エス行為は愛があって初めてエスなのよ?

 そんなことはどうでもいいか。

 

「さて、ジュエルシードね」

 

 恐らくだが、情報は本物だろうな。

 あの状況で嘘掴ませるほど、悪い子じゃないだろうし。

 目見りゃなんとなしに分かる。

 うむ、過去は生きてるね。歴史は学ぶもんさ。

 学んだところで繰り返すのが歴史だが。

 

「何かしら使い道はある……か? 願いを歪めて叶えるってあたり、捻くれてんね」

 

 出来ることなら、内包魔力喰らって覚醒早めたかったが、あんな気持ち悪い魔力じゃ飯にもなりやしない。

 なら別の使い道がある。

 

「あんな風に寄ってくる馬鹿どもでも、喰ってやろうか」

 

 俺の餌になってくれや、当選者共。

 

 

 

△▼△▼△▼

 

 

 

 唐突ながら、俺は転生者だ。

 神様に選ばれて、特典を得て、この世界に転生した。

 ニコポもナデポも、この容姿も、魔導士ランクも、全部くれた。

 これでこの世界は俺のものだ。

 

「さーてさて、先にジュエルシード集めて好感度アップだ」

 

 俺はなのはよりフェイト派だ。

 だから、フェイトのためにジュエルシードを集めて、好感度をあげる。

 うん、カンペキな作戦だな。

 

「しっかし、どこにあるんだ……?」

 

 夜中なこともあり、更にはジュエルシードがどんな反応をしているのかも知らないため、俺はジュエルシードが何処にあるのかてんで分からない。

 神社も探したが、無かった。

 なのはが先に取ったんだろうな。

 

「ん?」

 

 この先の公園から変な魔力反応だ。

 それも結構大きい。

 よっしゃ、多分これがジュエルシードだな。

 

「そうと分かれば善は急げ!」

 

 

 

 

 公園に行くと、砂場辺りで青い宝石が浮いていた。

 

「これが、ジュエルシード……」

 

 最初の印象は、綺麗、だとか安易なものしか浮かばなかった。

 

「ふは……これで、フェイトを……ーー」

 

 それに手を伸ばしたとき……

 

 

 そこで意識は途切れた。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「んむ、まぁまぁか」

 

 ペロッと血のついた下唇を舐める。

 思ったより魔力が多いな。神の特典か?

 まあいい。これで覚醒に一歩近づいた。

 

「まぁ、当選者なんぞ過半数ゴミだし、一人やら一万人やら消えようが問題ない」

 

 体の奥底に沈殿したような魔力の塊に満足して、次の餌を求めて飛んだ。

 

 

 

 翌朝は随分と気だるい。

 

「ァー……ちくしょうめ」

 

 沈殿した魔力の全部が全部違うもんなので、統一変換が完全に毒ってる。

 ヒトマス歩く度にライフが削られるね。

 魔力器官がダメージ受けまくってて、もう体中に影響出まくってる。

 それこそ頭痛から始まって発熱、胃痛、腰痛、筋肉痛エトセトラ。

 死ぬかもしらんね。

 

「どうすっか……」

 

 どうせ四百年は生きたんだし、死ぬのは構わん。

 しかしなぁ、一応のやらねばならんこともあるし。

 

 ……朝飯食べるか。

 

 

 

 食事を摂ったのがよかったのか、体調不良は幾らか改善した。

 さて、今日は土曜日。つまりは休日。

 学校の宿題なんぞは終わってるし、今の状態で魔力喰うのは流石に自殺行為か。

 

 つーわけで図書館なう。

 

「またか車椅子」

「またや当直立」

 

 そして日課になりつつある車椅子少女との邂逅。

 いやまあ何度も会ってるし、日課に邂逅って意味わからん。

 

 こやつは見てのとおり、車椅子少女。

 茶色の髪に黄色いヘアピンが光る、文学少女ちゃん。名はもうあったりする。八神はやてたん。

 きみかわいいね。てか、ラインやってる?

 

「……なんや、怖気がしたなぁ」

「ふぅん」

「君、変なこと考えてない?」

「あん? なわけねぇだろ。八神の事より幸福の見分け方考えてた方が遥かに有意義」

「なんやひどいなぁ……というか、見分け方なん? 探し方じゃなくて?」

「知らんのか、文学少女。人ってのは幸福を常に探し続けるが、ソレが幸福であるかは見分けられない」

「聞いたことあるような、ないような……」

「大した内容じゃなかったんだろ」

 

 ちなみにルソーなのだが、言わないのが華。

 

 ふむ。魔力喰いを始めて何気なしに探知してみたが、こいつ随分と魔力持ってるな。

 ……喰うか?

 

「あ、そうや」

「ん?」

「ちょうど頼もう思うてたんやけどな?」

 

 そう言って八神が差し出す、大きな袋。

 

「これ、家まで運んでくれへん?」

 

 ……引き受けちゃイケナイ気がする。

 

「ほら、はよしてーな」

「……」

 

 選択肢なんぞ無かった。

 

 

 

「いやー、ほんま助かったわぁ。ありがとなぁ、大神くん」

「別に構いやせんがね」

 

 八神宅にて、ようやく本が詰まった袋から開放される。

 もうやめて、袋のライフはもうゼロよ!

 諦めんなよそこで! まだまだイケるよ! ピピピピ!

 

 もうゼロだよ。

 

「あー、もう暗くなってきたなぁ」

「ふむ、では俺はここらで帰らせ」

「せや大神くん、ウチでご飯食べてかへん?」

「……」

 

 そろそろ体調不良が悪化しそうなんだがね。

 なんてこった、また毒状態になるのか? ここから毒で家に帰れば道中で死んじゃうぜ!

 

 良かったな、目の前に神殿と言う名の八神飯がある。

 

「……相伴に預かろうか」

「うん! じゃ、そのへんに座ってまっとってな! テレビ見ててもええで!」

 

 そう言って八神はキコキコと車椅子を動かして、台所へと向かった。

 

 ご飯は大変美味しかったと記しておこう。




〜フェイトたん
結局フラグ建てた

〜SM
佐渡さんと魔曾さんのこと。実在したそうな。

〜歪んだ魔力
ジュエルシードという器に問題があるわけではなく、内包する魔力に問題がある結果、願いを歪んだカタチで叶えてる……んじゃないかなぁ、と。

〜転生者くん
喰われました。もぐもぐ

〜カンペキな作戦
立案者にすら問題点を気付かせないカンペキすぎた作戦。

〜一人やら一万やら…
某大司教様の御言葉。プロテスタントが二人死のうが二万人死のうが云々。

〜毒状態
毒の沼でも同じ現象が起こる。

〜諦めんなよ!
某テニスプレーヤーの名言。ネバギブアップ!

〜ピピピピ!
決闘者同士の戦いでライフポイントが増減する時の音。

〜神殿
死んだ仲間を棺桶に入れて引きずり回した果てには蘇らせるという死の尊厳もクソもなかった。
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