五度目の転生はインフレが過ぎる   作:イモリ

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決定論

 日曜。言わずもがな休日。

 沈殿魔力も変換し終えたのか、今日はすこぶる体調は良好。

 

 うむ、スバラシイね。

 

 というわけで、日課となる朝のジョギングなう。

 

「はっ……はっ……」

 

 規則的な息継ぎと足音が鳴る。

 同時に脳中枢に魔力を巡らせ、感覚器官の情報処理を底上げ。

 見て、世界が流れるプールのようだわ。

 耳が良すぎて五キロ先で小銭が落ちる音が聞こえた。ちゃりーん。

 

 これは……五百円玉だな?

 

「ふぅ……」

 

 立ち止まって息を整える。

 まだ春先の薄ら寒い朝。汗こそかかないが体温は上昇中。

 

 左足、バネとなるモモにかけて魔力を巡らせ、足裏にブースト用の魔力を溜める。

 足裏の魔力を少しだけ爆発させて前方に跳躍し、空中で残ったブースト魔力をさらに爆発。遠心力を得た右足を回転のエネルギー上乗せで横に蹴り斬る。

 

「ふっ……!」

 

 三メートルほど先で着地。

 うむ。体の動きは上々。

 まるっきり人の動きじゃないがな。人じゃないので問題あるまい。

 

 まだ動きがぎこちない。

 どうにも、まだ魔力に慣れていないな。

 産まれて十年と経ていないし、致し方ないことだが。

 これなら回路や異能を使った方が効率が高い。

 

 しかしこの世界の魔力に慣れた方が選択肢も増えるしな。

 もうしばらくは続けた方がいいだろう。

 

「……帰るか」

 

 そろそろ午前七時を回るだろう。

 先よりも少し速度をあげてジョギングを再開した。

 

 

 

「ん……?」

 

 マンションに入る直前、魔力を感知した。

 発生魔力、極めて微弱。

 発生源、ここから約百メートル。

 魔力発生源には更に二つの微弱な魔力反応あり。

 誰かいるな。

 

「……ふむ」

 

 拾いに行こうか。

 敵対の可能性もあるが、まあ魔力持ちだ。箸か棒にはなるだろう。

 発生源だったマンション裏手の雑木林に入った。

 

 

 

 結論から言おう。金髪エンジェルが倒れていた。

 しかしその手に抱くはオレンジガールではなく、三毛キャット。

 どういうこったい。

 

「うっ……」

 

 ところどころには擦傷やら裂傷やら打撲やら。

 瀕死だな。魔力も微弱なわけだ。

 良く見れば三毛キャットも出血している。

 何かね、お二人さん喧嘩したんか?

 

「……戦力として保有も選択肢か」

 

 最終的な目標を達成するのに必要な保有戦力は?

 敵対戦力はどれほど予想される?

 敵対者以外の障壁は?

 現状の危険性は?

 勇気だ。勇気を持て。

 進む勇気。去る勇気。

 

 ……計算終了。

 

「よっこらしょっ……軽いな」

 

 結果。戦力増強を画策。

 

 首と膝裏に手を差し込んで持ち上げる。所謂、お姫様だっこ。

 エンジェルのお腹にキャットをちょこん。

 うむ、絵になる。

 

 俺は今、こいつの大事なものを盗むのだ。あばよとっつぁん。

 ……心はいらないなぁ。

 

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

 

「ん……アレ……?」

 

 目を覚ますと、ふかふかなソファで寝ていた。

 というか、知らない場所だ。

 フローリングの床に、申し訳程度に置いてある食器棚とテーブル、椅子。

 部屋の奥、ここからは死角になるけど、鍋が煮えているのかコトコトと聞こえる。

 

「……どこ?」

「ディー、起きましたか?」

 

 起き上がると、床には猫状態のリニスがいた。

 

「リニス……?」

「起きてよかった……記憶はありますね? 傷の具合はどうですか?」

「記憶……」

 

 リニスが言う、この場合の記憶ってなんだろ。

 

 思い出すのは、お母さんが、試験管に入ってる私に、鞭を振り下ーー

 

「……ん、あるよ。怪我も……あれ?」

 

 大いに傷ついていたはずの体を見回してみても、そのような怪我はどこにもない。

 五体満足、健康体た。

 そういえば、汚れもなにもない。

 

「怪我も問題なさそうですね。では、これから状況をお話しますが……」

「俺も参加しよう」

 

 部屋の奥からそう聞こえて、男の子がやってきた。

 黒いボサボサの髪と、だるそうにした黒い切れ目。なんというか、第一印象は『近づき難い』だった。

 

「えっと、誰?」

「おっと、こいつは失礼。

 「わたくし、姓は大神、名は風琉(ふうる)、人呼んで大神くんと発します。不思議な縁持ちまして、たった二人の親の為に、粉骨砕身バイに励もうと思っております。西に行きましても、東に行きましても、兎角土地土地のお(あに)さん、お(あね)さんに、ご厄介かけがちなる若僧でございます。 以後見苦しき面体、お見知りおかれまして、恐慌、万端引き立って宜しくお頼申します」

 

 ……よく息が続くなぁ。というか、結局何が言いたかったのかよく分からない。

 

「えー……わたし達を助けてくださった、大神風琉さんです」

「醤油こと」

「醤油?」

「そゆこと」

 

 なんだろ、馬鹿にされてない?

 

「で、お前は?」

「へ?」

「名前だよ」

「……ディー」

「ふむ。よろしく頼むよ、ディー」

 

 彼は手を差し伸べてくる。握手だろうか。

 ボクは差し出された手を握り返す。そうすると彼は満足気のように楽しげな笑みを浮かべた。

 

「で、話してくれるんだな? リニス」

 

 

 

▲▽▲▽▲▽

 

 

 

 金髪エンジェルが起きた。

 まあ結論から言うと、エンジェルはエンジェルではなかった。

 男でした。

 なんで知ってるかって? 汚れてたから風呂入れたんだよ言わせんな恥ずかしい。

 男の娘ショタのジョニーくんは……うんまあ、趣味ではないが眼福であったさ。

 

 さて、リニスの説明を簡易的にまとめよう。

 

 曰く、ディーはある人物のクローン生体である。

 製作者は性別すら違うディーを邪険にし、散々甚振ってからかねてから邪魔だったリニスと共に捨てた。

 リニスはディーの教育も務めていたため、助けなければと、転移の魔法を使ってどこか安全のある場所を探そうとした。

 そして転移された場所が、大きな魔力が複数個見られるこの地球だった。

 そこで俺に拾われた。今ここ。

 

 こんな感じ。

 

「ふむ……」

「……助けていただいた恩は必ず返します。ありがとうございました」

「あ、ありがとう……ございました」

「ん?」

 

 何やら出ていくような言い方だな。

 それは困る。

 

「別にここにいても構わんがね?」

「しかし……迷惑を掛けてしまいますし」

「恩を返すというなら、ここにいて家事でもしてくれ。それなら随分と助かるんだがね」

「……いいんです、か?」

「二度は言わんさ」

「……ありがとう、ございます……!」

 

 リニスは感極まったか、涙を流した。

 ディーも釣られて泣いてしまう。

 あぁやだやだ、こう純粋だと打算してる自分が汚く見えるね。

 まあ今更だが。

 




〜脳中枢の魔力強化
目や耳より情報処理を司る脳の強化をした方が圧倒的!圧倒的効率!

〜世界が流れるプール
大人な会話をしましょう、きょん

〜魔力感知
リンカーコア魔力は所謂活性化してない魔力で、魔法として行使すると魔力が活性化して魔力反応となる。
つまり魔法を行使してないと身近にいない限り遠くの魔力をそう感知出来るもんじゃない。という妄想。

〜大事なものを盗む
貴方は大切なものを盗まれました。貴方の"心"です。

〜不思議な縁持ちまして…
とある虎の口上。当時のものを聞いてるなら分かるんじゃないかなぁ。

〜醤油
さんまにはこれが一番

〜男の娘
供給されてるんだから需要があるんだよ。

〜お風呂
禁制シーンは必須。


〜ディー
正直この子を出したいからこれ書き始めたと言っても過言ではない。
金髪エンジェルと違って男の子なのに女の子のようなふんわりした金の糸、ほんわかした金の瞳、ふにふにする頬、ふるんとしたお尻。こんなに可愛い子が女の子だと思うの?
名前の由来は運命の対義語から。皮肉。


〜あとがき
どうも両生類です。
まだ三つしか上げてないのにお気に入りが30も入ってて過呼吸して死にかけました。割とガチで。
ここだから敢えて言いましょう。

ディーたんは単なる妄想です。

ちょ、やめ、石投げないで!許してくださいなんでもしますから!!(なんでもするとは言ってない

性癖バレするのは御免なんですがねぇ、男の娘がねぇ、好きなんだよ(迫真

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