魔力発生源はそう遠くなく、早歩きで数分ほどで着いた。
「ディー、解析」
「うん。解析開始」
随分と大きな館に隣接する森を覆うように張ってある結界に、ディーが解析をする。
「……術者発見したよ。同時に結界内に魔力反応五。どれも魔力量Aランクオーバー」
「ふむ」
この地球で魔力持ち、というか魔導師が五人もいるとは驚きだな。
それもこうも密集とは。
当選者の可能性が高い。
「結界を侵略しろ。術者コードはそのまま、術式管制を取得、魔力探知を消去。術者に悟られるなよ」
「了解」
ディーが結界に触れ、何やら呟く。
一分ほど経って、結界に人間二人分ほどの穴があく。
「侵略完了したよ」
「ああ。行くぞ」
▲▽▲▽▲▽
金髪の子が目にも止まらないほどの高速で迫ってくる。
なのはは反応しきれず、受けそうになったところを横から入り、プロテクションで受け止めた。
「ぐっ……!」
「邪魔……!」
受け止めた黄金の鎌から無機質な声でランサーと聞こえた。
「やばーー」
気付いたときには、電気のようにバチバチとした魔力弾を受けていた。
「優翔くん!」
痺れたように体が動かなくなり、落ちる。
接地する寸前でなんとか体は動き、受身も取れた。
「死ぬところだった……」
さて。
すずかの家でジュエルシードの反応がしたので取りに来てみれば、見知らぬ魔導師の女の子に襲われた。
どうやら、あの子もジュエルシードを集めているらしいが。
「ねぇ、どうしてこんなことするの!? ジュエルシードはユーノくんのなんだよ!?」
「……貴女には、関係ない」
なのはが説得しようと試みるが、取り付く島もない。
やがて女の子はまたしても接近し、金色の鎌を振り抜いてなのはを打ち落とす。
「っ、なのは!!」
叫んだのと同時に後ろからユーノが吹き飛んできた。
それに気を取られた。
一瞬の隙を突かれ、背中に魔力攻撃の衝撃が響く。
「ガッ……は……!」
ほんの一瞬だけ後ろを見た。
いつの間にやら、オレンジ色の犬と一緒に銀の髪をした男がいた。
ーー最初の時はいなかったはず……!
このタイミングで現れた、ということは……
同じ転生者かーー
そのまま意識を失ってしまった。
▲▽▲▽▲▽
「……ソコにいる奴、姿を現せ」
魔力の気配は絶っていたはずだが、あっさりバレてしまったね。
「おーいおい、出るからその剣を下ろせよ」
「……何者だ」
「厨二病か? カワイソウに、少なくとも二度目以上の人生でそんな病を患うとはーー」
「二度は聞かんぞ」
首元にヒヤリとした感触。
「……速いな」
「……」
「ふむ……まあ一興か。改めまして、ワタクシ大神風琉と申します」
自己紹介をすると、男の紅い目が一瞬だけ蒼になってまた戻る。
「嘘はついてないようだな」
「へぇ、それ情報解析かなんかか? どこまで解析可能かね? 嘘をついてるかどうか、もしくは情報を開示させるのか」
後者なら厄介だね。
今のでコチラの情報を知られた可能性がある。
プロフィール程度なら問題ないが、戦法だとか能力知られたらなぁ。あぁ面倒だ。
「……貴様もジュエルシードを狙っているのか?」
「キミ、情報戦苦手そうだね」
今ので思考読めないことバレてんやん。
「いいから答えろ」
「あー、答えても構わんがね、ソレで俺に何かしらメリットが?」
「死ななくて済むだろう」
「なるほど」
死と交換にしちゃ随分と軽いデメリットだね。
「ジュエルシードなんざ要らねえよ。あんな箸にも棒にもならんゴミ、何に使えってのか寧ろ教えて欲しいね」
「……ふん」
男は剣を引いた。
コイツ、嘘つけないタイプか。
「見逃すのかい?」
「敵対者でもない奴を殺すほど暇ではない」
「あ、そっかぁ。でもさぁ」
男の隣に金髪エンジェルとオレンジワンコが降り立つ。
「俺は暇なんだよねぇ。なぁ、ちと付き合ってくれよ。頼むよ〜」
「っ……!」
対象、反応した。
残念遅い。
ディーから譲渡された結界に重力加圧のコード認証。
加圧された重力は約二倍。
三人は重くなった体を支えられず、地面に伏した。
「きさま……!」
「んー……まだコード発行と認証でラグがあるなぁ。認証から発動まではスムーズに行くんだが……」
「くっ、貴方はこの間の……!」
「あーもう、黙ってろよ」
騒がしいことこの上ない。
鎖状結界で体を固定、口固定。簡易的な猿轡さ。
「さて、さてさて。キミ、当選者……いや、転生者だな?」
「……!」
「あぁ、答えなくてイイよ。知ってるから。わざわざ知ってることを教えてもらうほど、俺も暇ではない」
嘘乙。
「金髪エンジェル、コヤツはキミにとって大切かね?」
「……」
「ああ、ふむ。別にそうでもないのか。なんだキミ、フラグの一つも建ててないんだな」
男は射殺さんばかりの視線を投げ付けてくる。
殺気が足りんよキミ。
殺気ってのは心の奥底、感情の総べてを殺意に変換して叩き付けなきゃあね。
「さて、じゃあ金髪エンジェル? ジュエルシードはあげるから帰んな。代わりにコヤツは俺が貰うよ。いいな?」
金髪エンジェルはコクっと頷いた。
どうするのか気になってる顔だな。
まぁいい。イタイケな少女にはまだ早いぜ。
「鎖状結界解除。そら、帰んなさい」
「……その人、どうするんですか?」
「おっと、それはキミが知る必要はない。キミが知るべきなのは雲の行き先くらいなものだよ」
「……」
答えないと分かると、金髪エンジェルはワンコと共に帰っていった。
さて。
「ディー」
「はい」
転移魔方陣が現れ、そこからディー登場。
男さん驚いてやんの。
いやいや、俺がわざわざバレるように普通の気配漂わせてたってのに、ディーの方は気付かんかったのね。
底が知れる。
「コレ、家まで運べ」
「了解」
その日の食卓はお肉でした。
〜結界
天才的な結界魔導師たるユーノくんに悟られることなく結界を解析及び侵略するディーちゃんのチート性能を露呈するための布石
〜魔法
恐らく数学とか物理学とかプログラミング的なものを複合させた数式が術式として作用しているものと思われる
〜並列思考
一つの思考で複数のものを考える技能。空戦魔導師には必須らしい
〜空戦魔導師
空気抵抗やら重力やら体幹、平衡感覚、空間把握、位置把握エトセトラを同時に瞬時に理解、適応しないとまず空では動くともできない。タケコプターは有能すぎた
〜優翔くん
空から落ちて受身を取れる程度には身体能力が高い
〜銀の髪をした男
噛ませ
〜あ、そっかぁ
〜頼むよ〜
くさい
〜金髪エンジェル
銀髪ショタはお母さんを取る邪魔者とか思ってそう
〜食卓
人肉の缶詰とかではない
〜人肉の缶詰
とある鬼の住む村で復興のために売られたとか噂されている戦争の奪取品