ダンクロ!-男子黒魔術部の日常‐   作:ブリコたっぷりっ子

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注意!この小説にはスケベな奴がいっぱい出てきます。


その胸に夢を抱いて‐1‐

★☆★☆★☆★

 

『……少々汗臭い気もするが、まあ良かろう。此度の贄としては充分だ。黒田よ、取り交わしていた願いを叶えてしんぜよう』

 

「はは〜……ありがとうございます、悪魔ちゃん様!」

 

 理科準備室と札のかけられた扉の奥からそんな話し声が聞こえてくる。

 その広くはない部室には、少々散らかり置かれた備品と年季の入った人体模型、そして部屋の片隅に向かって土下座をする男子生徒達の姿があった。

 そして揃って土下座をする彼等の頭上には、小さいながらも物々しい様相で奉られている怪しげな物体が鎮座している。

 

 ここは科学部……を隠れ蓑にした、男子黒魔術部の秘密の部室。

 今まさに、男子黒魔術部を自称する部員達がお手製の『悪魔ちゃん様の祭壇』を設置し、悪魔との交信を行っているのだ!! 

 

 土下座男子の面々が口を開く、

 

「さすが悪魔ちゃん様だぜ、これでついに……」

「ああ、ようやく俺達の苦労が報われるんだ!」

「そうだな、あの辛い日々は無駄じゃなかった」

 

 顔を上げた部員達が晴れやかな表情で互いを称え合うと、頷き声を揃える。

 

 

「「「「これで、校内の女子のブラホックが外れやすくなる!!!」」」」

 

 

 アホな事を一語一句違えず叫ぶのは、愛しき馬鹿男子共こと「男子黒魔術部」の面々であった! 

 

 彼らはそのイカ臭い青春の1ページを不断の努力で輝かせようと邁進していた。女子生徒からしたらはた迷惑この上ない悪行であるが、若い男児の性欲は多少の倫理感程度では止められないのである。

 テンションの上がった部員の一部は、

 

「ヒャッホウ! コレで女子達が「きゃっ!? もう最悪〜♡」とか言いながら胸を隠す様が見られる!!」

「きっと明日から、学園一の巨乳と噂される小山さんが顔を赤らめてトイレに駆け込む頻度が上がるんだ!!」

「運が良けりゃ女子と話してるの最中にプチっとハプニングが起こるかもしれなっす!」

「うぉぉ! 俺達の未来は明るいぞ!! 悪魔ちゃん様万歳!!!」

 

 と、すっかり祝杯モード。

 

 

 他の部員も口を開かずともうなずき、感動を噛みしめる者がちらほら……涙を拭う者までいる始末。

 邪ながらも一途な思い、コレを胸に異性の胸への執着が人一倍達者なバカ野郎ばかりであった。

 

 ラッキースケベを求め悪魔に魂を売った彼らの結束は、この瞬間に限っては校内の他のどの部活よりも厚く強靭にほかならなかった!! 比較される他部活たちもたまったものではない。

 

「校内からが効果範囲だからなっ! 明日は朝一で校門に張り込むか!?」

「おうともさ兄弟! なんならこれから毎日挨拶運動だ!!」

「おはようございますの会釈で胸が弾けた女子の人数を数えようぜ……」

「おいおい、そんな素敵な入口調査……参加しないわけには行かないだろうがっ!」

 

 〝熱狂〟とはまさにこの事か。

 狂ったようにヒートアップする部員達は目の前にまで迫った明るい未来にその胸を熱くしていた。

 

 

 そんな中、最後まで土下座の姿勢を崩さなかった男子がようやく身体を起こす。

 

「おいおいみんな、まだ安心は出来ないぞ?」

 

 背中越しに彼らに対し冷静に注意を促すと、落ち着いた様子で振り返る。見返り際にスクエアメガネがキラリと光る。

 彼は祭壇に一番近い位置で全てを取り仕切っていた少年、謎の声に黒田と呼ばれていた男、この男子黒魔術部の部長である。

 

 腕を組み言葉を続ける黒田、

 

「悪魔ちゃん様に祈りは届き契約は実行された。しかし、俺達が力を使い続けるには贄を捧げ続けなければならない。……ですよね? 悪魔ちゃん様」

 

『当然だ、お前達が今回の贄として捧げると約束したモノが減ったなら、その時点で力は使えなくなるなるからな』

 

 契約には人一倍厳しい悪魔ちゃん様は言葉を返す。

 

 祭壇から響く女性のような声質は、良くも悪くもビジネスライクだ。贄と称するモノの供給が満たされない事になれば……容赦なく切られる。

 

 毅然とした言葉を聞き、部員達の表情に緊張が走った。

 

「そ、そうか……まだこの生活を続けなければ俺達は……」

「ちくしょう、そう言えばそうだったぜ……」

「おいおい、俺の夢の高校生活が一日で終わりなんて冗談じゃないっての!」

 

 おのおのが苦虫を噛み潰したように顔をしかめる。

 それでも祭壇からの声は皆に降り注げる事を止めず、

 

『ふふふ、今回の対価は貴様らの感じる〝苦痛〟の感覚……この私の力を求めるからには、それ相応の〝苦痛〟を贄として捧げてもらうとな』

 

「始めにそう言っておっただろう」と、悪魔と呼ばれる存在は呆れた雰囲気を隠そうともせずに告げる。

 融通の利かない堅物者の気配が漂ってきた。

 部屋の空気が重く、部員達は冷や水を浴びせられた様に静まり返るかに思われたが……

 

「それでも乗り越えられる!」

 

「……!!」

「ぶ、部長!」

「黒先輩!!」

 

 部員達を鼓舞するように声をあげるのは、やはりこの男、黒田部長であった。

 強い意志の籠った瞳で皆を見渡し、

 

「今日まで頑張って来れただろう!? そしてその頑張りを明日も続ける、ただソレだけだ!」

 

 高らかに叫ぶ。さながら熱血の運動部が皆を鼓舞するかのように……黒魔術部は文化部だが。

 さりとて、重い空気を吹き飛ばし、冷たさなぞ飲み込んでやろうと言う熱量は彼らを勇気付けるには十分なようで、

 

「そう! 俺達はソレだけの事を願った……。ならば捧げ続けなければならないんだ! 力の対価としての苦痛、【筋肉痛】をな!!!」

 

 

「「「うぉぉぉぉ!!!」」」

 

 

 そうだ、その通りだ! と熱量が伝播する。

 

 

 …のだが、

 

「あ、いててて……」

「う、腕をあげると痛みが……」

 

 身体は今激しい筋肉痛の嵐、もはやおじいちゃんが如き情けなさだ。

 筋肉痛がどれほどの苦痛であるか、最近身をもって実感している男子たちは雄叫びをするだけで疲労困憊だ、試験管ですら持つのが辛い。

 

 それでも、黒田の激励に不安を吹き飛ばす心は10代男子達。

 

 あの時、土壇場で悪魔に交渉し皆を救ってくれた彼が言うのだから……と。

 悪魔との交渉係りを担う、部の代表者の信頼はそれほどまでに厚いく、勇気をもたらしてくれるのだ。

 

 

 

★☆★☆★☆★

 

 

 時は遡り数日前の降臨儀式の日。

 

『よくぞ私を呼び出したな……いったい何を望む?』

 

 この日、悪魔ちゃん様は部員達の呼びかけに答えた。

 

 そう、彼ら男子黒魔術部内には、代々受け継がれる悪魔呼びの秘儀があった。

 

 悪魔と交渉を行い対価を払って願いを叶える。誰しもが一度は夢見る神秘体験を、十何世代と研究し、伝え、実現させた……。

 

 どんな願いだろうと叶えようと豪語する悪魔ちゃん様を前に、堪え性の無い者が先走り願いを伝えてしまう。そんな事を同じ年頃の少年達の誰が咎められようか。

 

 しかし今回はその焦りがいけなかった、

 

【女子生徒に催眠をかけてアレコレ】

 

 だの、

 

【時間を停止させて好き勝手にムフフ】

 

 うんぬん、

 

 それは少年達が欲望のままに言葉にしてしまった、大それた願い。

 

 対する悪魔は、

 

『今の気分は……そうだな、〝苦痛〟の感覚だ』

 

 催眠能力を望んだ者に、

 

『よし、お前の両腕を斬り落とし苦しんでもらうか』

 

 時間の支配を望んだ者に、

 

『この中の誰か一人の命と引き換えかで手を打とうか。できる限り苦しんでもらうぞ』

 

 先走った部員へ告げられた対価は重たく、それに耳を疑う者ばかり。

 

「ま、マジか……」

「えっ、いや……その、腕とかはちょっと……」

「命っ!? お、俺まだ死にたくねぇよ……」

「前みたいに流行りの駄菓子じゃ駄目なんですか!?」

 

 悪魔ちゃん様からの返答にドン引きして何もできなくなった哀れな部員達。前回はお菓子で良かったらしい……そのギャップも含めて完全に想定外の事態である。

 

『……どうした? お前達の願いは今聞いたモノで良いのだろう? ならばソレに見合った贄を……対価を寄こすのだ』

 

「「「「ひ、ひぃぃぃい〜〜!!」」」」

 

 重々しい言葉。

 事契約に関しては悪魔ちゃん様は待ってくれない。なぜ先に対価を確認しなかったのかが悔やまれる。

 

 あいにくこの部屋には救急箱もタンカーも置いておらず、保健室も別の階にあるのだ。

 

 このままでは部室内がスプラッタな景色に様変わりするか、はたまた物言わぬ部員の一人を劇薬でドロドロに溶かしてトイレ埋葬する事になってしまう……

 

 皆が慌てふためき、人体模型に抱きついたり、5円チョコをヤケ食いしている。

 そんな中、一人冷静に思考巡らせていた者もいた。

 他ならぬ黒田部長である。

 

 彼は先の二つの願いで、

 

(今回の悪魔ちゃん様は苦痛を求めている。そしてコチラの願いが大きければ大きい程、対価は大きく無理難題になる……か)

 

 契約の条件を察し思考を加速させる、

 

(小さい力で済むような……そう、膝カックンとか、最小限の力が一点にかかれば?)

 

 短い沈黙の間に答えは出た。それは起死回生の一案。

 

「今回はブラのホックを外れやすくしてくれ! この校内に居る女性のブラジャーに限定してだ!」

 

『……ホック? あんな小さなものをか? それもたかだかこの狭い学園内で……それならまあ、幾人かの身体中を浅く切り裂く痛みで手を「ぜ、全員分をまとめて!!」

 

『む?』

 

「い、痛みならこの場の全員が持続的に捧げる! 肉体の……筋肉の痛みだっ!!」

 

『……ほう? お前達全員がまとめて痛みを……か』

 

『…………』

「…………ッ」

「「「「…………ゴクッ」」」」

 

 夏の室内とは思えぬ冷たい沈黙。

 タラリと冷や汗を流す黒田、固唾を飲んで事態を見守る部員達。

 

 はたして悪魔ちゃん様の返答は……

 

『ふむふむ……まあ、それで良いだろう』

 

 意外とあっさり、OKがでた。

 

 

 そうしてその場はおさまったのであった。

 

 

 この瞬間、縮み上がって怯える事しかできなかった部員達は思った。

 

 法則性を瞬時に見抜き、願いが及ぼす力……今回の場合は女生徒への影響(服装のごく一部が外れる)と不健康男子(部員達総勢10名)が慣れない筋トレをして受ける苦痛のいい塩梅。

 そして労力と力の割に、得られるリターン(女子の乳揺れ)は格段に大きいとまで来た。

 そんな絶妙な落としどころを見出した彼の機転は……誰もが持ち得るものではないと。

 

 部長が悪魔との交渉をする。部員達のスケベ心を実現させるためには、もはや黒田無くては実行不可能という方程式が組み上がってしまった。

 

 部員達は欲望に勝てず、頭もあまり良くない。

 

 しかし、悪魔との交渉を黒田に託すのは彼らの信頼の証でもある。厄介事を押し付けたとも言えるが、ソコは言わぬが花というものかもしれない。

 

 ……ちなみに、

 

 ガチで血なまぐさい贄が捧げられたら学園内はR18な混沌へと堕ちていたのはここだけの話。

 黒田部長のファインプレーと自らの命すら顧みない狂った生徒が居なかった事により、学園の平和は守られたのだ! 

 

 

★☆★☆★☆★

 

 場面は戻ってブラホックが外れやすくなった頃。

 

『くくく……せいぜい楽しむが良い。お前達の苦痛が続く限りはな……』

 

「はは〜……俺達の筋肉痛は常に捧げ続ける所存ですので、どうかよろしくお願いいたします」

 

『うむ、ではな黒田とその仲間達よ……』

 

 祭壇から悪魔が発するおどろおどろしい気配が失せる。

 

 

 男子黒魔術部にて崇められている悪魔ちゃん様としても、久々の贄の味にご満悦である。機嫌よく小童共へそう告げると元の場所へと帰って行ってしまったようだ。

 

 

「……よし、悪魔降臨の儀式はおしまいだ。皆、後は……わかっているな?」

 

 危機は去り、我々は力を得られた。

 

 もし悪魔ちゃん様が再び現れるとすれば、それは贄となる〝苦痛〟が捧げられず、得た力が失われるときであろう。

 

「いいか! 今の俺達は慣れない筋トレで体中がバキバキに痛んでいる。この苦痛を糧に得たラッキーチャンスをモノにするぞ!!」

 

「「「「おお!!」」」」

 

「それじゃあ皆、駆け足で帰宅だ! また明日の朝に校門でな!」

 

「「「「おおおぉ!!!」」」」

 

 硬い約束を交わし筋トレを忘れぬスケベ同志たち。

 早速明日の朝からブラぷちっ☆を観測するらしい。

 

 そうして男達は手足を震わせながら足早に部室を後にした。

 汗臭い室内に差し込む夕日が、もう話は済んだのかとその役目を月に託しす。

 

 あいにく今は下校時間から大分時が過ぎている。

 外れるブラをつけた女子生徒も校内には……どこにも見当たらない。

 

 悪魔の力が正しく効果を発揮するのか? それが証明されるのは明日以降。

 

 各々が期待に胸を膨らませ帰路につく。

 そのニヤけ顔は、月あかりに照らされて一様に気持ち悪い有様だが……補導されない様にさっさと帰れよ? 

 

 

 全ては明日! 校門で!! 

 

 

 ────続くっっ!! 

 

★☆★☆★☆★




悪魔ちゃん様は見た目は可愛い系チビです
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