ヒロイン達の好感度を、何故か友人キャラの俺が知っている   作:こなひー

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第34話 愛される生徒会顧問

「友田君。貴方は今日から生徒会所属で決定よ」

「えっ」

 

 唐突に告げられた、配属宣言。それは一ノ瀬さんが生徒会に入りたいとお願いしてきた翌日の事だった。

 

 結局、一ノ瀬さんの加入は保留となった。会長が止めている理由は、何故か教えてもらえていない。

 

「……本当なら貴方の気持ちを尊重したいけれど、そうも言ってられなくなったの」

「それって、一ノ瀬さんの件ですか?」

「一応、そうとも言えるわね」

 

 それはつまり、生徒会の欠員がそろそろ見過ごせなくなってきたということだろう。或いは会長が一ノ瀬さんを認めていないのかもしれない。

 

「それに私は少数精鋭で良いと言ったのだけれど、佐藤先生が許してくれなかったのよ」

「佐藤先生って……」

「ええ、生徒会の顧問。貴方も何度か合っているわよね」

 

 生徒会顧問の佐藤先生、俺も会長の手伝いをしている際に何度か会っている。……大抵、自分の分だけ紅茶を淹れては、飲んで帰っていく人だ。それ本当に顧問なのか?

 

 とある理由であの先生には、少し苦手意識がある。……別に俺も紅茶を飲みたいとかではない。もっと別の理由だ。

 

 なんとなく香りを思い出していたら、扉がそっと開いた。

 

「あら、もう友田君に話したのかしらー?」

「佐藤先生。ええ、今話し始めたところです」

 

 丁度話をしていたところで、佐藤先生が生徒会室に入ってきた。一見会長よりも年下に見える小柄な先生は、生徒たちから小動物のように撫でられたり可愛がられている人物だ。

 

「うふふ~、今日も良い茶葉を見つけちゃったのよね~」

「……いつの間にマイカップまで置いているんですか」

 

 会長も呆れるほどマイペースな人で、これまで欠員を出していた生徒会にもこれまで口を出すことはなかった。仕事を見るわけでなく、今みたいに紅茶用のお湯を沸かしにくるだけだった。

 

 それが今日になって変わったということは、何かあったのだろうか。俺と目が合った先生が、丁度口を開く。

 

「あ、増員の事なんだけどね? 田畑先生に注意されちゃったのよー。流石に氷織ちゃん1人でやってるのは良くないって」

「まあ、寧ろ今まで言われてこなかったのがおかしいんですけどね……」

 

 生徒指導の田畑先生が気にかけたことが発端のようだ。ちなみに後で聞いたけど、田畑先生とのやり取りはこんな感じ。

 

「あ、あのおぉぅ~……佐藤先生? 生徒会の欠員を、そろそろ補充したほうがよろしいんじゃないかとぉ~……。あ、別に私は先生が仰るなら大丈夫だと思うんですけれどもね!?」

「えー? でも、氷織ちゃんも含めて皆、今のままで良いらしいですよー?」

「うぅっ!? し、しかし流石に体裁が……もしご負担であればこちらで補充要員を……」

「……田畑先生がそこまで仰るなら、わかりましたよー」

「ほ、本当ですか!? き、嫌われずに済んだ……よかった……」

 

 田畑先生、見事なまでに佐藤先生にデレデレだった。独身男性にふんわりオーラは効果抜群らしい。

 

 ……しかし、所田さんの再現力ほんとなんなんだ。あの場に2人が召喚されたのかと思ったわ。将来は絶対立派な役者になれると思うよ。

 

「あの、そんな簡単に決めちゃっていいんですか? 普通は生徒会選挙とかあるんじゃ」

「友田君はもう実績があるし、何より氷織ちゃんが激推ししてるんだものー」

 

 会長の手伝いをしているところは、佐藤先生に何度も目撃されている。実績と言っているのは多分それだろう。

 

 というか、後半の言葉が気になってしまう。

 

「あ、あの先生……私はそこまで激推ししたわけじゃ」

「えー? 『彼以外考えられない』とか言ってたと思うけどー?」

「先生」

 

 佐藤先生が話を盛っているのか、それとも会長が本当に言っていたのか。耳が赤くなっている会長の姿が、答えになってしまっていた。

 

 それほど会長の役に立てていた、というのは素直に嬉しい。嬉しいけど、そこまで言われるとちょっと恥ずかしい。

 

「コホン。とにかく、補充するなら友田君だけです」

「うーん……わかった。ただし……友田君」

「は、はい」

「氷織ちゃんに近づきたいってだけなら、お断りだよー?」

「それは、はい。もちろんです」

 

 俺の答えにちょっと不機嫌そうな会長はちょっと置いておく。それよりも、やはりと言うべきか。俺の視点は、佐藤先生の頭上に向かう。

 

 

 この人は、これだけ普通に明るく話しているのに。……好感度が、見えない。

 

「友田君? どうしたのかなー?」

「いえ、なんでも……」

「そうー? 困ったことがあるなら、何でも言っていいんだからねー? お姉さんに任せなさいっ!」

 

 誰にでも心を開いているようにみえて、実は全く本性を出さない。生徒たちのアイドル的存在な佐藤先生は、まさしくアイドル(Idol)だったのだ。

 

「それじゃあ、手続きは私の方でしておくから。安心してお仕事してねー」

 

 そう言って、佐藤先生は生徒会室から出ていった。……謎のプレッシャーから解放された気分だ。

 

「友田君、どうしたの? 椅子にへたり込んで」

「……大人って、怖いなぁと思いまして」

「今の時間に怖い要素なんてあったかしら……?」

 

 普通に話せるのに、数字が見えない。初めての経験だった。この能力が無ければ、俺も気付くことは無かっただろう。

 

 ……どちらかと言えば、知りたくなかったなぁ。自分が大人になってから上手くやれるのか、一気に自信がなくなってしまったのだった。

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