ヒロイン達の好感度を、何故か友人キャラの俺が知っている   作:こなひー

42 / 42
第42話 知りたい理由は

 会長の慈愛の笑みと、好感度9という底冷えするような青い数字。俺の目の前にはギャップが深すぎる光景が繰り広げられている。絵面的には、俺が保護されている感じだ。

 

「貴方を困らせる人がいたら、いつでも頼っていいのよ」

「でも……迷惑かけちゃうんじゃ」

「いつも私の趣味や都合に付き合わせてしまっているのだから、気にしなくていいわ」

 

 主に梟とか梟とか、たまに鷲や鷹とかである。会長と何度も触れ合いに行った結果、それなりに猛禽類に詳しくなった気がしている。

 

「それに、私も気分が悪かったから思い切り突き放せてスッキリしたわ」

「そ、そうですか……」

 

 青野という存在が、彼女にそれほどの不快感を与えている。好感度が低いことを数字以外でも証明されてしまった。もううつ手立ては無いのだろうか。

 

 彼女の手が離れる。少し名残惜しさを覚えつつ、会長の言葉が続く。

 

「それに、結局義人君の合意無く生徒会に入れてしまったから……」

 

 どうやら俺の加入が決まったことに、少し後ろめたさを感じていたらしい。そういう理由で助けてくれたのだと思ったら、どこか納得がいった。

 

「そんなの、全然気にしなくていいですよ」

「……私が言うのもなんだけれど、もう少し自分の都合を優先してもいいのよ?」

 

 会長が話し上手になってからというもの、会話のペースは常に握られっぱなしになっている。

 

「そうね、代わりに今度は義人君の趣味に私が付き合ってもいいかしら?」

「俺の趣味、ですか?」

「ええ。いつも私の行きたい所ばかりだったから。今度は貴方の趣味が知りたくなったの」

 

 そう言われると、これまで会長が決めた場所にしか行ったことが無い。次は俺に行き先を決めてほしいということなのだろう。それなら俺のやりたいことを思い浮かべて……。

 

 

「あれ、俺趣味が無い……?」

 

 何も思い浮かばなかった。

 

 

「あら、そうなの? ……なんだか意外ね。貴方はいつも誰かしらに連れ回されているイメージだったから、てっきり多趣味なのかと思ってたわ」

「おすすめされたことはひとまずやってみてますね。けどどれも続かずでして……」

 

 いつも相手に合わせるばかりだったから、自分の趣味と言えるものが無い事に気がついてしまった。最近活発になっているフクロウカフェ巡りやかどつよのプレイも、楽しんではいるものの自分の趣味とは言い難い。

 

 趣味を持っている人って、いいなあ。自分の趣味を語っている人は皆目が輝いている。俺にはそんな自慢げに語れるような物が無い。これじゃあ誘えないな、と謝ろうと口を開く直前。

 

 

「なら、……私を趣味にするのはどうかしら?」

「えっ」

 

 言った直後に会長はどんどん顔が赤くなり、生徒会室の隅に縮こまってしまった。

 

「ご、ごめんなさい。今のはちょっと攻めすぎたわ……忘れてちょうだい」

「は、はぁ……」

 

 最近、会長のトークレベルについていけないときがある。今まさにそんなかんじだ。俺がよくわかっていない様子なのを見て、軽く咳払いして戻ってきた。

 

「趣味が見つからない時は、そうね……適当に街を歩いてみるのもいいと思うわ」

「そうなんですか?」

「ええ。ふと目についた物がヒントになる事もあるみたいなの。本屋とかで目につくタイトルを探すのもいいみたいよ」

「へー……」

 

 確かに何かで聞いたことがある。自分が心の底で欲しているものは、情報を無意識に拾ってくる事があるらしい。恐らくその習性を利用した方法なのだろう。

 

 ただ、自分のスケジュールを考えると1人で自由な時間は意外と無い。自分の趣味を見つけられるのはかなり先になるかもしれない。……なんだか、少し虚しい気持ちになってきた。

 

「じゃあ、次のお出かけはそれで決まりね。明日から早速実行するわよ」

「って、会長も来てくれるんですか?」

 

 俺のモヤモヤを晴らすように、会長が予定を入れてくれた。その日は既に会長の予定が入っていたのに、良いのだろうか。

 

「元々そういう話だったでしょう。……今度は()()()の予定に付き合う番なの。貴方の事をもっと知りたいのよ」

 

 どうしてか、名前の部分を強調されたような。それにどこか不満そうな顔をしている。心当たりが無いと迷っていたら、またしても両手で頬を包まれてしまった。

 

 

「ねえ、今は2人しかいないのだけれど? ……義人君?」

「……あ」

 

 

 そうだった。青野の件があったからその事を忘れていた。

 

「すみません、氷織先輩」

「……わかればよろしい」

 

 ふっと笑う彼女は、本当に温かい。けれど、どうしても頭上の冷たい数字が視界にチラついてしまう。心から喜べない今の状態が、心底もどかしい。

 

 氷織先輩はどうして、俺の事を知りたいと言ってくれるのか。俺は逆に、その理由が知りたかった。次に出かけるときに、知れたらいいな。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

悪徳領主に転生して死亡フラグを折るために勇者パーティを育てたら、激重感情を向けられて逃げられない件(作者:激重大好き)(オリジナルファンタジー/コメディ)

目が覚めたら、プレイしていた百合RPGの「序盤のやられ役」である悪徳領主ルシアンに転生していた。▼しかも、すでに悪魔と契約済みであり、このままだと勇者に倒されなくても魔力タンクとして悪魔に殺されてしまう完全な『詰み』状態。▼どうしても死にたくない俺は閃いた。▼「原作開始前の勇者たちを見つけ出し、俺が育てて悪魔を倒す。これしかない!」▼悲惨な過去を背負うはずだ…


総合評価:2267/評価:8.17/連載:6話/更新日時:2026年04月02日(木) 18:30 小説情報

底辺退魔師、ボロボロの魔法少女を拾う(作者:非表示)(オリジナル現代/冒険・バトル)

退魔師「魔法少女って霊力の生成効率悪くね?」▼魔法少女「退魔師って随分非効率な術式の使い方してるんですね」


総合評価:2870/評価:8.44/連載:9話/更新日時:2026年05月19日(火) 05:39 小説情報

和風陰陽師漫画の終盤で死ぬ親友枠に転生した俺はどうすりゃいいですか?(作者:鬼怒藍落)(オリジナル現代/冒険・バトル)

一般和風好き転生者VS曇らせと理不尽と絶望▼ファイ!▼カクヨムにも出します


総合評価:3783/評価:8.06/連載:42話/更新日時:2026年05月07日(木) 07:10 小説情報

厄ネタヒロインたちとラブコメをすることになった(作者:灰鉄蝸)(オリジナル現代/恋愛)

「キミが好きだよ。だから殺すね」▼「あなたが好きです。好きなので洗脳しますね」▼「俺の死因多すぎるだろ…」▼異能バトルも伝奇ホラーもある世界で、バッドエンドの元凶になるような厄い美少女に好意を抱かれる――好意全開の金髪巨乳幼馴染み、ややホラーな超能力者の黒髪ロング同級生、彼女たちが引き起こす破滅の未来に巻き込まれる少年。▼愛が重くて、死の原因になる厄ネタヒロ…


総合評価:4007/評価:8.84/連載:34話/更新日時:2026年06月05日(金) 18:11 小説情報

ソル&ヴァルキリー:かませ騎士に転生した俺、破滅回避のため落ちこぼれヒロインを育成していたらいつの間にか天才と呼ばれてしまう(作者:マテリ-AL)(オリジナルファンタジー/冒険・バトル)

全51話・約32万字/完結済み▼毎日20:18更新▼『ソル&ヴァルキリー 』。神の代弁者・魂導者(ソル)となり、戦乙女(ヴァルキリー)を空へ育て導くヒロイン育成系学園RPG。▼これは、そんなゲームの世界で、▼「戦乙女という空を飛べて広範囲殲滅魔法を使える存在がいるのに、騎士になる意味はあるのか……?」▼と考えてしまい、魂導者となったやられ役のかませ騎士、ルシ…


総合評価:5426/評価:8.4/完結:52話/更新日時:2026年05月09日(土) 10:18 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>