ヒロイン達の好感度を、何故か友人キャラの俺が知っている   作:こなひー

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第43話 唐沢さんのアポ

 昨日は氷織会長に滅多打ちにされた青野。流石に心が折れたのではないだろうか。そんな俺の心配は全くの杞憂だった。

 

「やっぱり会長の攻略は難しすぎる……切り替えて次に行くぞ」

「あれで折れないのすげえよ」

 

 良くも悪くも、青野はめげなかった。内心もう諦めてほしいと思うものの、改心しようとしている彼に水は差さないほうが良いと、俺の能力はまだ言っている気がした。

 

「次はサワチー、なんだけどなぁ……」

「ん?」

 

 青野にしては珍しく歯切れが悪い。サワチーのことは学校を自力で特定してまでヒロイン候補にしていたはず。何かあったのだろうか。

 

 

「俺さ、サワチーじゃなくて唐沢さんにアプローチしようと思うんだ」

「っ!?」

 

 

 まさかのヒロイン変更発言。しかし、青野はヒロインを変更したと思っているが実は変わっていないという、なんという奇妙な偶然だろうか。

 

「リアルも知らないのにブロックされたら、そりゃ流石に諦めるだろ……。それよりも今、俺は唐沢さんに一目惚れしちまってるんだ! だからサワチーはもういいかなって!」

 

 中学からの付き合いだったというのに、ブロックされたことにほとんど傷ついていない。もし俺が相手からブロックされたら、しばらく引きずるだろうな。というか、今ブロックされる場面を想像しただけで少し胃が痛くなった。

 

「だから友田! 俺と唐沢さんの接点を作ってくれ!」

「うーん……」

 

 この提案、唐沢さんは当然嫌がるだろう。なにせ彼女はアオのことをブロックしたその人なのだ。一体何があって、中学からのゲーム仲間をブロックするきっかけになったのか。詳細はサワチーからも聞いていない。

 

 とにかく今は、この依頼をどうするべきか。ほぼ確実に失敗する事が分かっていて、受ける意味があるのだろうか。

 

「なんで悩んでるんだ? いつも唐沢さんと仲良く話してるんだから、簡単だろ?」

 

 人の労力を軽視するような言い方に、心が少し苛立つのを感じる。人との繋がりを良好に保つのに、簡単なことなんてほとんどないというのに。

 

 もう、いっそ断ってしまおうか。そう思った所で、俺のスマホに着信があった。

 

『いーよ。会う時間作ったげる』

「えっ!?」

 

 サワチーからのメッセージに、思わず声をあげてしまった。盗み聞きしている事は今更なのでさておき、青野と会う選択をしたのが予想外すぎた。

 

「どうした?」

 

 青野がメッセージを見ようとしてくる。そういう軽率な行動も女子から引かれる原因だぞ。サッと画面を隠して、約束ができそうだと伝えておく。

 

「……今唐沢さんが許可してくれたから、後日挨拶するってさ」

「本当か! よし、ビッグチャンスだ! 友田、次から好感度チェックはサワチーじゃなくて唐沢さんのやつで頼むぜ! じゃあな!」

 

 言いたいことだけ言い切って、青野は去っていった。やはりというべきか、何をしてあげても青野から感謝される気配がない。腹が立つというよりも、虚しさが勝っている。

 

「……ま、名前の所を変えるだけでいっか」

 

 俺の記録帳のまとめ方は、どんどん雑になっていく。結局、まだ新しいノートも買っていないのだった。

 

 

 その日の夜、俺はかどつよでサワチーとクエストに潜っていた。

 

「それにしても、良かったのか? アオと会う約束しちゃって」

 

 休憩のタイミングで、一番疑問だったことを聞いてみた。あーあれねー、とサワチーは答えてくれた。

 

『いやー、トモが辛そうだったからさ。ウチの正体を隠すために、気を揉ませちゃって悪いなーって』

 

 確かに対応には困ったけれど、気遣ってくれたと知ると、少し嬉しい。

 

『だからさ、次会った時にハッキリ言ってやるのだ。貴様と仲良くなることなど、天地がひっくり返ってもあり得ぬさ、ってね』

「……それ、よそ行きモード中に言うの?」

『問題はそこなんよねー。あんまりビシって言うのはキャラの解釈違いというかー』

「作者が解釈違い起こしてるのか……」

 

 自分で作ったキャラに振り回されているサワチーだった。

 

『ま、心配はご無用だよ。ちゃーんと秘策はあるから』

「そうなのか?」

『ちょっとばかりトモの協力がいるんだけどねぃ。話合わせてくれるだけでいいからさ』

 

 意外にも、対策は既にうっているらしい。どんなやり方なのか想像がつかないけれど、自信ありげな様子なのでここは信じておこう。

 

「それで、どういう秘策なんだ?」

『内容はその時までのお楽しみってことでー、んふふー』

 

 俺はあんまり楽しみじゃないんだけど。心臓に悪い系は勘弁してほしいところだ。

 

 ひとまず懸念だった事は無事に解決できそうだ。それはそれとして、1つだけサワチーに確認しておきたいことがある。

 

「で、あの会話いつからどこで聞いてたの?」

『え? ……んふふー』

「んふふーじゃなくて」

 

 最近、サワチーの気配が全然わからない。いつ何時も聞かれてる気がしてちょっと怖い。……好感度チェックタイムとか、その辺の話を聞かれると非常に困るんだけど、大丈夫かな。

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