ヒロイン達の好感度を、何故か友人キャラの俺が知っている   作:こなひー

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第51話 次の集い場所は

 放課後の帰り道、俺は在校生徒たちから視線を集める事態となった。何せヒロイン4人に男が交じって一緒に歩いて帰っているのだから、無理もないだろう。

 

「待て、あれどういう集まりなんだ?」

「生徒会長と一ノ瀬さんが一緒にいるし……あと美少女2人。すげえ組み合わせだな」

 

 ほんと、どういう集まりなんだろうね。一応ちょっと後ろに俺もいるんだけど、周囲の男たちには眼中に入っていないようだ。しかし、今日は一ノ瀬さんの護衛がいないのが気にかかる。

 

「一ノ瀬さん、今日はボディガードつけなくていいの? 結構男がいるけど……」

「ご心配ありがとうございます。ですが、この場に入ってこようとする男性は恐らくいないかと」

「まあ、確かに……」

 

 人を精神的に寄せ付けない会長と、人を物理的に寄せ付けない一ノ瀬さん。この2人が揃っていれば、男が近づいてくることはないらしい。なんじゃそれ。

 

「うわー、人が皆避けていく……」

「歩きやすくて快適ですね。一家に1つ、欲しいところです」

 

 口をぽかんと開けながら感心する優紀と、人目が多いからよそ行きモードになっている唐沢さん。丁寧っぽく言ってるけど、内容は完全にサワチーの意見だった。

 

 校門を出た後も、校内でのざわつきは止まらない。しかし誰も一瞥もくれること無く歩き続ける。……そろそろ、俺の疑問を出してもいいかな。

 

 

「あの。……なんで皆、俺の家に向かってるんだっけ?」

「えー、義人ってば忘れたの?」

 

 

 なんと彼女たちは、俺の家へと向かっているのだ。いきなり自分の家に異性を、それも4人迎え入れるなんて緊張と罪悪感が凄まじい。

 

「生徒会室に集まろうとしたら、佐藤先生に締め出されてしまったのよね……」

「先生の仰るとおり、学校の一室を私物化してしまうのはよくありませんでしたわ」

 

 発端は佐藤先生からのお叱りだった。あの人は緩い雰囲気とは裏腹に、公私はしっかり分ける人なのだ。……神からの能力すら跳ね返しているし、大人って怖い。

 

「けどさー、あの人茶葉とスコーン隠し持ってたよねー? しかもうちら帰した後、真っ直ぐ生徒会室に向かっていったし」

「私物化してんじゃん……」

 

 先生の目論見を悟っていたサワチーと、呆れる優紀。大人とは自分の都合よく言葉を並べ立てる生き物である。そう感じざるを得ない出来事だった。

 

「……私の家、という選択肢もありますよ? 客室であれば好きに使えるかと思うのですが……」

 

 大人の次は権力。一ノ瀬さんが別の案を出してくれた。あれだけ広かったら、そりゃあ客室もあるよな、と考えた所で疑問が浮かぶ。

 

「……あれ、俺客室に案内されたこと無い?」

「言われてみれば、ご当主様との面談室か、私の部屋にしか案内したことがありませんでしたね」

 

 最初に呼ばれた時は、一ノ瀬さんの父である宗一さんからの指名だったし、飾ってたデカい斧がめっちゃ怖かった。その次には一ノ瀬さんの豪華すぎる部屋だったし。……俺、客だったこと無いのか。

 

「……一ノ瀬さんの部屋にはもう行ってるわけ? いつのまに……」

「うちに誘うにはちょっと散らかりすぎてるんよねー……」 

 

 何やら優紀とサワチーが一ノ瀬さんを見ながらコソコソと話している。その横では氷織先輩が考え込んでいる。もしかして先輩も何か今のやり取りに思うところが——。

 

「ねえ、義人君。……一ノ瀬さんの飼っている梟って、どの種類なの? もしかしたら、一般の家では難しい大型種だったりするのかしら……?」

「あー、まだ俺も会ったことなくて」

「そう……一ノ瀬さん、楽しみにしておくわね」

「は、はい」

 

 そういえば、そんな話をしていたなと思い出した。ここ最近で一番期待に輝いた目をしているから、一ノ瀬さんは近いうちに先輩を招待して会わせてあげてほしい。

 

 

「そういえばさ、トモの家ってどんな感じなん? うちらの人数入れるん?」

「大丈夫じゃないかしら? ね、義人」

「あんまり物も無いから、スペースはあるぞ」

 

 両親はあまり居ない家にお金をかけてもしょうがないと考えているだろうから、俺は小さい家なことにも納得している。

 

 ……一人で住むには十分すぎる広さだ。

 

「……ふーん。もうトモの家に行ったことあるんだー」

「あっ」

 

 サワチーが優紀にジト目を向ける。来たことがあるどころか、うちのキッチンはほぼ優紀の領域と化しているのだけれど、ここでは言わないでおこう。

 

「……貴方の家って、ペットは飼えるの?」

「もしかして何か連れ込もうとしてます?」

「そ、そんな事はないわ」

 

 こっちはこっちで、俺の家に何かを期待している先輩が居た。調理器具をバンバン置いていく優紀の次に、会長の梟が俺の部屋に置かれる可能性まで出されるのは流石に困る。

 

 

 いつもなら、帰ったら独りになってしまう。だから、これまでできる限り学校で誰かと残って、時間を潰すようにしていた。

 

 けれど今はどうだろう。家の敷居を跨いでも、誰かが一緒にいようとしてくれている。ここまで付き合ってくれる人は、居なかった。今はそれが、純粋に嬉しかった。

 

「……皆様と一緒に帰るのは、心が踊りますね。義人様」

 

 一ノ瀬さんが俺の気持ちを読んだんじゃないか。時々そう思えるような言葉を俺の近くで口にする。まあ、偶然だとは思うけど。

 

 

 皆と一緒に帰ると、時間がとても速く感じる。通学路ってこんなに短かったっけ、なんて柄にもない事を思った所で、俺の家が見えてきたのだった。

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