ヒロイン達の好感度を、何故か友人キャラの俺が知っている   作:こなひー

61 / 61
神の御説明
第61話 友人の前に神登場


 目が覚めると、辺り一面が雲に包まれた謎の世界にいた。それはもう、一目で夢だとわかる景色だった。立ち上がった俺の目の前に現れたのは、これまた見るからに、人間離れした存在が立っていた。きっとあれが、先日青野が言っていた神様なのだろう。

 

 

 ああ。ついに、この時が来たか。

 

 

「……ふむ、そなたが友田義人じゃな」

 

 白い老人から放たれる威厳という名のオーラ、たった一言なのに腹の底に響いてくる声。対峙するにはあまりにも大きな存在すぎて息を飲む。人間ではないと言わんばかりの、金色の眼差しに、なんでもできてしまいそうな杖。髪や髭も人の白髪とはどこか違う白で輝いている。

 

 いや、もっと早く来てほしかったけどね。具体的には、俺に能力がついた時辺りとか。

 

 なんて本音を言い出せる雰囲気じゃないので、一つ頷いて次の言葉を座して待つ。何を、言うのだろうか。下手をすれば、次の言葉で神様が敵か味方かがわかってしまうかもしれない。そろそろ神様が口を開く、思わず全身がこわばった。

 

 

「……いやはや、どうしてこうなってしまったのか」

「いやこっちのセリフなんですけど」

 

 

 相手が神様だと忘れて、普通にツッコんでしまった。さっきまでの厳かな雰囲気が一気に崩れさった瞬間だった。

 

 

 神様がゴホン、と咳払いをしただけで空気が揺れる。相手が神様であると再認識させられつつ、話は戻る。

 

「——さて、友田義人よ。お主には色々と話さねばならん事がある」

 

 ですよね、というか今までが説明不足すぎるのだから、早く話してほしい。まずどこから説明されるのだろう。

 

「まず、青野春吉を主人公と設定し、ラブコメを始めさせたのは儂じゃ」

「それは……青野から聞きました」

「そして、誰か1人を友人というアシストキャラに設定できるようにもした。ちゃんと数字は見えておるじゃろう?」

 

 やはり、俺に能力をつけたのは神様だった。納得したのも束の間、俺の中には不満が渦巻き始めた。いきなりなんの説明もなく、しかも俺自身に役立つわけじゃない能力を与えられて、正直困ることしか無かったのだ。神様に不信感を抱いても仕方ないことだと思う。

 

 そんな俺の気持ちを汲んだのか、神様はなんと頭を下げてきた。

 

「本来ならば、そなたに能力について説明しなければならなかったのだが……申し訳なかった」

 

 神様は、俺の状況に対して悪いとは思ってくれていたようだ。会う前は不安でいっぱいだったけど、今は神様の印象は悪くない。

 

「……別にいいですよ。それより、ヒロイン全員の好感度が0になっちゃった事の方が気がかりなんですが」

 

 俺が応えると、神様はどこかバツの悪い顔になった。神様にバツが悪いとかあるんだ。

 

「そこは、そなたは気にしなくても良い。儂の人選ミスだったからな」

「あ、そうなんですか……」

「……どちらかと言えば、そなたが全員から100に近いほど好かれていることの方が不思議なのだがな」

 

 どうやら俺に責任はない、と思ってもらえているようだ。ここで罰とか与えられたらどうしようと思っていたけど、大丈夫そうだ。後半何か言っていた気がするけど、聞き逃してしまった。

 

 そして話は本題へと移る。何故、神様は青野を選んだのか。

 

「青野春吉は、単純に条件が揃っていた。幼馴染にゲーム友達。そして学校にはお嬢様と生徒会長がいる。舞台が整っているだろう?」

「……そうですね」

 

 恋愛ゲームの主人公には、既に仲の良いキャラや高嶺の花キャラがいる方が展開が起こりやすい。つまり、青野の人柄とかではなく、単純にプロフィールで選ばれたというわけだ。

 

「しかし、想定外の事態が起こったのだ」

「想定外?」

「そうだ」

 

 神様は頷き、回想へ入った——。

 

『青野春吉。お主は恋愛シミュレーションの主人公に決まった。これからヒロインとの仲を深めていき——』

『よっしゃあ! 俺の最高の青春が神に約束されたぞ!』

『まあ待て、話を——』

『で、誰なんだ俺のヒロインたちは!? 全員一気に攻略してやるから待ってろよ!』

『だから話を聞けと言うのに……』

 

 ——回想終わり。

 

「青野春吉という男が、ああも話を聞かん人間だとは思わなかったわい」

「神ですらも手に負えなかったってこと……?」

 

 なんと神様相手にも、青野はあの調子だったのである。俺なんか未だに萎縮しちゃっているというのに、度胸があるのか、てんで気にしていないだけなのか。

 

「そして、その後にもっと重要な話があったのだが……聞く前に夢から醒めていってしまってな」

「重要な話ですか?」

「あぁ……そもそも彼に対して、主人公として振る舞うことは期待していなかった」

 

 主人公に選んでおきながら、主人公として動くことを期待していない。一体、どういうことなのだろうか。その答えは、俺の想像を遥かに超えるものだった。

 

 

「青野春吉は本来、別世界にいるプレイヤーという存在に操作されるはずの存在だったのだ」

「えっ、急にわからなくなってきた」

 

 

 これは俺が思った以上に大きな話だ、ということだけは分かった。けれど、別世界やプレイヤーという言葉に、底しれない不安が押し寄せてきた。神からの説明は、まだ聞くべき重要な事がありそうだった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
点
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

距離を置きたいだけなんだけど(作者:ろしでれ)(原作:時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん)

▼転生した先は、異世界ではなかった。▼慣れ親しんだ現代日本――そして、中学三年の春に思い出した。▼ここは、前世で読んだ事のある『時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん』の世界だと。▼ハーレム系な主人公が苦手な僕、真田伊織は、原作主人公・久世政近と少しずつ距離を置くことを決意するはず、だったんだけど………


総合評価:3944/評価:7.88/連載:23話/更新日時:2026年09月20日(日) 16:04 小説情報

ED傭兵、清純幼淫魔を誑かす 〜行き倒れ淫魔を哀れに思い、ED治療も兼ねて拾ったが――勃たんし、それを硬派で誠実と勘違いされるし〜(作者:ぞうきん)(オリジナル:ファンタジー/恋愛)

 過去の出来事から不能になったオッサン傭兵クレバーは、ある日淫魔の少女を拾う。あわよくばED治せないかななんて軽い気持ちで考えていたが、彼は淫魔という生物のことを全く分かっていなかった。淫魔は幼かろうがなんだろうが、好いた男のためならば――――人外の執着心を以って、あらゆる手段でその精を搾り尽くさんとするのだ。


総合評価:1852/評価:7.96/連載:10話/更新日時:2026年08月09日(日) 17:59 小説情報

女性向けアイドル育成ゲームでどうやって曇らせればいいんだよッッ!(作者:人生変化論)(オリジナル:ファンタジー/コメディ)

曇らせが好きだ。▼ので、異世界に転生した今、最高の曇らせシュチュエーションを求めようと思う。▼……これが女性向けアイドル育成ゲームの世界じゃなけりゃなァ!!殺すぞ!▼しかも俺がアイドルかよ!どうやって曇らせればいいんだこんなん!▼※なお、原作はアイドル育成の皮を被った鬱ゲーだった模様。


総合評価:4166/評価:8.42/連載:9話/更新日時:2026年08月18日(火) 12:00 小説情報

担いだ神輿が重すぎる!(作者:Ωが来た!)(オリジナル:ファンタジー/コメディ)

 周囲が人外だらけの中、主人公が生き残る為に軽そうな魔王候補を神輿として担いだ筈が…なんか気付いたら手に負えなくなっていた話▼ 或いは、ヤバい女達に囲まれ人外価値観に振り回されてながらも、知恵と勇気と下心で切り抜けようとするお話。▼ 尚、大小様々な矢印を追加で受けている様で、しっかりそれにも振り回される模様。


総合評価:2182/評価:8.13/連載:29話/更新日時:2026年09月27日(日) 07:00 小説情報

カードもできるギャルゲー世界に転生した(けど気付いてない)男のカードゲームライフ!(作者:烏丸英)(オリジナル:現代/冒険・バトル)

一ノ瀬進弥、十五歳。どこにでもいるような男子高校生に見える彼は、実は別の世界からやってきた転生者だ。▼大好きだったが家庭の事情でなかなか遊べなかったカードゲーム『エヴォルレジェンズ』が大流行している世界に転生したシンヤは、前世での未練を晴らす勢いでカードゲームに没頭していく。▼しかし、彼は気付いていなかった。これが普通のカードゲームが大流行している世界ではな…


総合評価:2223/評価:8.26/連載:36話/更新日時:2026年10月29日(木) 12:01 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>