ヒロイン達の好感度を、何故か友人キャラの俺が知っている   作:こなひー

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友田、苦難の3か月
第7話 友人キャラの始まり


 それは、入学初日からいきなり始まった。これから1年を共にするクラスメイトたちとは、特に仲良くしておいた方がいい。そう思いながら挨拶を交わしていく。

 

 そんな仲で1人、窓の外を見ながらニヤニヤ笑っている不審人物がいた。そう、青野である。

 

「へへ……ついに俺の青春が始まる……」

 

 彼曰く、これから起こる青春の日々を妄想していたらしい。彼の奇行は既に始まっていたのだ。

 

 一応、声をかけておくか。気は進まないけれど、後で俺だけハブられた、とか言われるのも嫌だし。

 

「えーと、確か青野君だよね?」

「……ん?」

 

 妄想中に割り込まれたせいか、少々不機嫌な眼差しを向けてきた。気分が悪くなり、話しかけたことを後悔したのも束の間、青野は何かを思い出してはパッと明るくなった。

 

 

「そうか、君が友人枠か! よろしくな!」

「わ、枠……? よ、よろしく」

 

 

 彼の言葉によくわからない点があったものの、挨拶を返してくれた事にひとまず安堵した。

 

 そこからお互い、どこの中学校から来ただとか、部活動はどうするなど、他愛のない話をした。そのうち話題は、青野の恋愛願望についてになった。というか青野が一方的に語ってきた。

 

「優紀もさ、もう少し優しく起こしてくれてもいいと思うんだよなー。まあ可愛いところはあるんだけどさ」

「噂の瀬戸会長、本当に美人だよなー! 入学式の挨拶、絶対男全員が惚れてただろうな」

「どうもネトゲ友達のサワチーが、同じ高校なんじゃないかって気がしてるんだよ。早く会ってみたいぜ!」

「別のクラスに一ノ瀬グループのご令嬢がいるんだよ。ぜひともお近づきになってみたいもんだ」

 

 恋愛の話題になるや否や、青野の理想の恋愛像話がまあ止まらないこと。あの時は俺も会話スキップしたいと思った。

 

「それで、結局4人のうち誰が本命なんだ?」

 

 軽い話題振りのつもりで聞いてみた。すると、彼の返答は、俺の想像を軽く超えてきた。

 

 

「え? 全員だけど」

「はい?」

 

 

 何いってんだこいつ、と心から思った。もしかして彼は、本気で4人と同時に付き合うつもりなのだろうか。流石にそれは、と思い止めようと口を開いた。のだけれど。

 

「……いいじゃないか。なら、俺がサポートするよ」

 

 口から出てきた言葉は、俺の思いと全く異なる言葉だった。まるで誰かに操られているかのように、青野にとって都合のいい言葉が続いた。

 

「俺が彼女たちの好感度を調べて、青野に伝えるぞ」

「マジか、助かる! よろしく頼むぜ!」

 

 

 俺は一体何を言っているんだ。好感度なんて、分かるわけがないだろう。そう思うのに、何故か口からその言葉は出てこない。

 

 意気込んだ青野に肩を叩かれた、その瞬間だった。俺の視界に、変化が訪れた。

 

(な、なんだよこれ!?)

 

 クラスメイトたちの頭上に、いきなり数字が現れたのだ。35、23、18……値は人によってバラバラ。目をこすったり、夢なのかと頬をつねっても、数字は消えない。全身に冷や汗が吹き出した。

 

「あ、青野。あの数字は一体?」

「数字? 何言ってるんだ?」

 

 青野には数字が見えていないらしい。よく観察してみると、数字がでているのは、俺が話しかけた時に快く返してくれた人たちに限っている。

 

 もしかして、と1つの可能性に行き着く。俺が青野への好感度を教えるという話になった直後、人の上に数字が見えだした。これはつまり……。

 

 

『青野への好感度が、見えるようになった』

 

 

 可能性はある。けれど、あまりに非現実的だ。俺の目がいきなりおかしくなったのだろうか。気のせいだと片付けるには、あまりにもくっきりと数字が見えてしまっている。

 

「よくわかんないけど友田、俺の恋愛成就のためによろしく頼むぜ!」

「え? ……あ、あぁ。わかったよ」

 

 青野は俺の状況など知る由も無く、言いたいことを言い終えて立ち去った。やはり青野が俺にこの能力を与えてきた、というのは考えづらい。

 

 こうして俺は、謎が多いままこの状況を受け入れた。

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