妹に撃たれない方法   作:Brooks

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第18話 医者はだいたい家の嘘を見る

 

 

医者というものを、私はあまり信用していない。

 

もちろん病を治す技術には敬意を払う。払うが、それと信用は別だ。医者は人の体を診る。そのついでに、家の空気まで診てしまう。どこに金が残っていて、誰が夜眠れていなくて、どの椅子が病人のために近づけられ、どの窓がもう長く開けられていないか。そういうものを、彼らはたいてい黙って見ている。医者は病だけでなく、家の嘘にも触れる。国家を作る仕事をしていると、その種の職業には本能的な警戒心が生まれる。

 

だからこそ、サハリン家へ送る医師の選定は、朝から私の机の上でひどく揉めていた。

 

揉めていた、というより、セシリアとシンシアが互いに静かな刃物で切り分けていた。アサクラはその横で、できるだけ血が飛ばない位置を選んで立っている。あの男は本当に、自分が切られない場所を探すのがうまい。

 

「候補は三名です」とセシリアが言った。「一人目は国立医療区画の内科医。腕は確かですが、口が軽い。二人目は軍務系の放射線障害担当。腕はもっと確かですが、忠誠が濃すぎる。三人目は民間医師。老齢ですが、記録の取り方が堅実です」

 

シンシアがすぐに言った。

 

「三人目は旧ダイクン派に近すぎます」

 

「近い」とセシリアは認めた。「ですが、だからこそサハリン家は受け入れやすい」

 

「受け入れやすさと後日の安全性は違います」

 

「知っています。だから今、話しているのです」

 

二人の声は落ち着いていた。落ち着いている人間の口論は、怒鳴り合いより疲れる。逃げ場がないからだ。ドズルなら机の一つも叩いて終わるところを、この二人は紙の角度と語彙の温度だけで延々と切り合える。

 

私はコーヒーを飲み、三人分の履歴を見た。紙の上では、誰もがだいたい清潔に見える。紙の上の人間はありがたい。喋らないからだ。だが現実の人間は喋る。医者も喋る。家に帰って妻に喋り、助手に喋り、古い友人に喋り、そしてそういう小さな会話の束が、後で噂と呼ばれる。

 

「三人目だ」と私は言った。

 

シンシアがこちらを見た。セシリアは少しだけ息を抜いた。アサクラはたぶん内心で無難だと思っただろう。

 

「理由は」とシンシアが訊いた。

 

「サハリン家は今、治療そのものよりも、誰の手を借りたように見えるかを気にする。軍務系を入れると、ザビ家が病床まで握ったように見える。口の軽い国立医師は論外。なら、旧ダイクン派に近い老医師をこちらから送る方が、まだ中立に見える」

 

「中立ではありません」とシンシアは言った。

 

「知っている」と私は答えた。「だが政治で必要なのは中立そのものではなく、中立らしく見える配置だ」

 

彼女は数秒黙った。それから、わずかにうなずいた。完全な納得ではない。だが、この女は納得と服従をちゃんと分けている。その点は好きだった。

 

「条件があります」とシンシアは言った。

 

「言え」

 

「医師に同行するのは、サハリン家へ礼を尽くせる人間でなければならない。アサクラさんは駄目です」

 

アサクラがひどく穏やかな顔で言った。

 

「私が何をしたというのでしょう」

 

「まだ何もしていないからこそです」とシンシアは言った。「古い家は、あなたのような方を何かを持っていく人だと直感します」

 

アサクラは一瞬だけ黙った。それから、妙に誠実な顔で私を見た。

 

「閣下」と彼は言った。「情報局の女性は時々、不必要に正確です」

 

「それは褒めているのか」と私は言った。

 

「たいへん困るという意味で」

 

「同感だ」

 

セシリアが紙束を揃えながら言った。

 

「では私が行きます」

 

「お前は駄目だ」と私は言った。

 

彼女が初めてほんの少しだけ眉を動かした。滅多に見ない表情だった。

 

「なぜです」

 

「お前は私の手元に置く。今、執務系統でお前を外す方が高くつく」

 

「ですが」

 

「代わりにユーリを出す」

 

その瞬間、部屋の空気が一度止まった。アサクラは得心したような顔になり、シンシアは少しだけ顔色を変え、セシリアは黙った。

 

「橋を使うのですね」とシンシアが言った。

 

「そうだ」

 

「危険です」

 

「知っている」

 

「ケラーネ家に貸しを作ることになります」

 

「橋に渡賃を払わずに済むと思うな」

 

私はそう言って紙を閉じた。国家を作るというのは、結局のところ渡賃の配分を間違えない作業なのだろう。誰にどれだけ払うか。誰には払わないか。そして、払ったことを誰に見せるか。そういうことばかりが増えていく。

 

その日の午前、父から短い呼び出しがあった。私室の奥、小さな書斎。最近、父はあの部屋を気に入っている。鏡が二枚あるからかもしれない。あるいは、光が柔らかくて頭頂部の判断がしやすいのか。いずれにしても、元首が自分の毛髪の未来に少しだけ気を取られているという事実は、私の国家観をじわじわと侵食していた。

 

父は書類ではなく、古い写真を見ていた。ザビ家の集合写真。サスロもいる。まだ全員の顔が、今より少しだけ無防備だ。

 

「ギレン」と父は言った。「サハリンはどう出る」

 

「見舞いを受けるでしょう」

 

「その先は」

 

「まだわかりません」

 

父は写真を伏せた。そして、グレイトグロウの効き目を確かめるように頭へ一度だけ触れた。最近ではもう、あの仕草を見るたびに私の中の何かが諦めに近づいていく。

 

「古い家を軽く見るな」と父は言った。「傷んでいる家ほど、残っている誇りが邪魔をする」

 

「承知しています」

 

「お前は時々、傷を見た時に手当てより計算を先にする」

 

「国家建設においては、正しい順番です」

 

「そうだろうな」

 

父はそこで少し黙った。そして、珍しくまっすぐ私を見た。

 

「だが、古い家は人でできている。そこを忘れるな」

 

私は返事をしなかった。返事をすると薄くなる気がした。父は時々、政治家ではなく父親の顔で正しいことを言う。その時だけは厄介だ。反論しづらいからだ。

 

昼過ぎ、ユーリ・ケラーネがやって来た。いつも通り柔らかい顔で、だが今日はいつもより少しだけ速度を落として歩いていた。橋にも橋の緊張があるのだろう。

 

「ギレン殿」と彼は言った。

 

「早いな」

 

「待たせるのは得意ですが、呼ばれてから来るのはもっと得意です」

 

「家訓か」

 

「ほとんど」

 

私は彼に医師同行の件を告げた。ユーリは表情を変えなかった。だが、声の温度がほんの少しだけ落ちた。

 

「私がサハリン家へ」と彼は言った。

 

「嫌か」

 

「嫌ではありません。ただ、こちらがその段階へ入ったということだと思いました」

 

「その段階とは」

 

「橋を渡すだけでなく、橋の先へ荷物を送り始める段階です」

 

私は少しだけ感心した。こういう男は軽い。軽いが、軽いまま物の重さを測る。だから便利で、だから危ない。

 

「医師を選んだ」と私は言った。

 

「誰です」

 

「老医師だ。旧ダイクン派に近い。だが、記録は堅い」

 

ユーリはすぐにうなずいた。

 

「よろしいでしょう。今のサハリン家は、治療よりも誰の顔で来るかに敏感です」

 

「同じことをシンシアも言った」

 

「彼女は賢いので」

 

「口説き落としたのはお前だろう」

 

ユーリはそこで、本当にわずかにだけ照れた顔をした。演技かもしれない。だが、演技でもよくできていた。

 

「口説いたと言うと語弊があります」と彼は言った。「仕事の方向が少し重なっただけです」

 

「それを世間ではだいたい口説き落としたと言う」

 

「閣下は厳しい」

 

「お前が柔らかすぎるんだ」

 

会話はそこで終わり、夕刻前には移動の準備が整った。同行はユーリ、老医師、その助手一名。それに最小限の記録係としてシンシア。セシリアは残った。彼女を手元から外さないという判断は正しかった。国家の骨組みをいじる午後に、最も安定した手元を外すほど私はまだ詩人ではない。

 

その午後、私はサハリン家へは行かなかった。橋を出し、医師を出し、記録を取らせる。自分は動かない。動かないことで見えるものがある。政治というものはたいてい、本人が出かけるより出かけない時の方が本音を拾う。

 

執務室に残ると、セシリアが各サイド向けの文面草案を持ってきた。「共同防災」「輸送保安」「若手実務者交流」「非常時の相互連絡」。こうして並べると、まるで良い国家の準備をしているように見える。実際には、良い国家かどうかを決めるのはもっと先の流血の量だろう。だが、紙の上では誰でも立派だ。

 

「サイド2向けの表現が強い」と私は言った。

 

「彼らは自治には反応しますが、独立にはまだ引きます」

 

「サイド4は」

 

「輸送です。理念ではなく物流で」

 

「月面は」

 

「資本の顔を立てる。ただし、まだメラニーのような名前は出しません」

 

私はうなずいた。今はまだ空気だけでいい。名前を出すと、こちらの急ぎが透ける。名前のつかない空気のうちに、少しずつ温度を変える。それが今できる最善だ。

 

夕方近く、アサクラが戻ってきた。私は戻した覚えはないが、こういう男は必要そうな時刻にちゃんと現れる。風向きを読むのではなく、最近は時計まで読むようになったのかもしれない。

 

「閣下」と彼は言った。「一点だけ」

 

「嫌な予感がする」

 

「健全な予感かと」

 

「続けろ」

 

「サハリン家へ老医師を送る件、議会の一部に先に漏らしておいた方がよろしいかと」

 

私は彼を見た。シンシアなら眉をひそめるだろう。セシリアはまず理由を聞くだろう。私は、先に嫌な気分になった。

 

「なぜだ」

 

「後で露見した時、“秘密裏にザビ家が名家へ手を入れた”と見えるのを防ぐためです。最初から配慮の顔で薄く広げておけば、陰謀の濃度は下がります」

 

嫌になるほど理屈は通っていた。小さい男は、やはり小さい角度からよく物を見る。

 

「どこまで漏らす」

 

「医師派遣の事実だけです。診療内容と家の事情には触れない」

 

「誰に」

 

「口の軽い者ではなく、口の多い者へ。自分で解釈をつけて広げる連中です」

 

私は少しだけ笑ってしまった。こいつは本当に、嫌なところだけ正確だ。

 

「やれ」と私は言った。

 

「承知であります」

 

「ただし」

 

「はい」

 

「お前の手柄にするな。お前はこういう時、時々前へ出たがる」

 

アサクラは真顔で言った。

 

「とんでもない。私は常に末席を汚すだけであります」

 

「その言い方が気に入らない」

 

「光栄です」

 

夜になる前に、シンシアから第一報が入った。老医師は受け入れられた。ギニアスは不機嫌だったが追い返さなかった。アイナは果物籠の蜜柑を一つ取った。ユーリは長居せず、必要な分だけ喋って引いた。そして最後に、サハリン家はまだこちらを嫌っているが、完全には閉じていないとあった。

 

私はその一文を何度か読み返した。政治において「完全には閉じていない」という状態は、たいてい最良に近い。全面的な好意よりましだ。全面的な好意は、あとで全面的な裏切りに変わることがあるが、嫌悪の隙間はもう少し長持ちする。

 

その夜、私は珍しく早めに椅子にもたれた。疲れていたのだと思う。橋をかけ、椅子を残し、逃げた子どもの神話が育ちきらないうちに、別の古い家の傾きへ手を入れる。国家建設というのは本当に、なぜこうも同時進行ばかり要求するのだろう。人類はもっと一列に並んで問題を起こすべきだった。

 

セシリアは最後の紙束を整えながら言った。

 

「今日は一つ進みました」

 

「何がだ」

 

「サハリン家が、嫌っているが閉じていない場所へ移ったことです」

 

「同じ文を読んだな」

 

「はい」

 

「お前はよく疲れないな」

 

「疲れます」

 

「そうは見えない」

 

「見せても役に立ちませんので」

 

私は少しだけ笑った。この女は本当に、正しい疲れ方をする。

 

窓の外では、サイド3の人工夜が静かに回っていた。まだ公国ではない。まだ独立もしていない。だが橋は増え、古い家の門はまだ閉じ切っておらず、遠くでは少年が別の名前を探し、こちらでは父が頭頂部の未来を育てている。

 

私は机のメモへ新しい一行を足した。

 

古い家は、嫌悪の隙間からしか救えない。

 

その下に、もう一行。

 

医者は病を診る。橋は家の傾きを診る。

 

書いてから、私はしばらくその字を見ていた。前世の私は、もっと速く、もっと硬く、もっと多くを切り捨てた。今の私は橋を作っている。それが正しいかどうかはまだわからない。だが少なくとも、同じ断崖へ向かって全力で走ってはいない。それだけで、今夜は十分だった。

 

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