妹に撃たれない方法   作:Brooks

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第25話 棚に入る前の人間

 

人は、棚に入れられると少しずつ人間でなくなる。

 

急にではない。最初は呼び方が変わるだけだ。名前ではなく症例になり、昨日までの癖や機嫌や、母親の作る薄いスープの味や、雨の日に足が重くなることなんかが消えて、「例の件」「あの対象」「月面の少年」というふうに置き換わる。置き換わっているうちに、本人まで自分をそういうものだと思い始める。国家はそういう置き換えを好む。運びやすいからだ。私もそれを知らないわけではない。知らないわけではないが、知っているからといって好きになれるものでもなかった。

 

レオン・マイヤールという名が私の机の上に初めて置かれたのは、人工朝の光が妙に白い日だった。

 

本当の曇り空ではない。サイド3の朝はいつも通りに整っていた。ただ、人の気分だけが少し曇ると、紙の白さがやけに冷たく見える。セシリア・アイリーンが持ってきた薄い灰色の封筒も、そのせいで少しだけ温度を失っていた。

 

「月面側の本人です」と彼女は言った。

 

私は封筒を開いた。中には記録票が三枚、顔写真が一枚、補足の覚え書きが二枚。名前、年齢、所属、家族構成。年齢は十七。所属はグラナダ港湾物資区画、補助作業員。家族は母と妹。父は早くにいなくなっている。成績は平凡。素行は良好。遅刻は少ない。喧嘩の記録なし。要するに、国家が見落としやすい人間だった。英雄でもなければ、問題児でもない。だからこそ棚に入れやすい。

 

「顔がいいわけでもないな」と私は言った。

 

セシリアが少しだけ瞬きをした。 「人材評価としてでしょうか」

 

「違う。顔立ちの話だ」

 

「そこから入るとは思いませんでした」

 

「英雄に見える顔だと面倒だからな」

 

彼女はそこでわずかに口元を緩めた。最近のセシリアは、私が意図的に軽口を入れた時だけではなく、私自身が少し疲れている時にも笑うようになった。そこがありがたく、少し危ない。

 

「平凡です」と彼女は言った。 「よい意味で」

 

「そうだろうな。平凡な顔の方が、説明のつかない感覚を持った時に周囲が困る」

 

「はい。記録でも、“運がいい”“気味が悪い”“使えるかもしれない”の三種類に意見が割れています」

 

「最低だな」

 

「人間らしいとも言えます」

 

私はもう一度写真を見た。痩せた顔だった。頬骨が少し出ていて、口元に頼りなさがある。だが目は濁っていない。自分が何か特別なものだと思っていない人間の目だ。そこがいちばん厄介だった。特別な人間より、特別でないまま妙なものを持っている人間の方が扱いづらい。自分の扱われ方に慣れていないからだ。

 

「来るのは何時だ」

 

「正午です」

 

「フラナガンは」

 

「十分前に入れてあります」

 

「先に部屋を触らせるな。家具まで分類される」

 

セシリアは少しだけ首を傾けた。 「すでに部屋を変えました」

 

私は顔を上げた。 「何をした」

 

「机の位置を少し。窓際の光が強すぎたので。あと椅子の数も一つ減らしています」

 

「なぜだ」

 

「多いと、博士が余計な席順に意味を見ますので」

 

私はしばらく彼女を見て、それからうなずいた。やはりこの女は強い。しかも、自分が何かを“知っている”わけでもないのに、今いる相手だけを観察して同じ結論へ寄ってくる。そういう人間は秘書として有能だが、長く近くに置くと少し危険だ。

 

「お前」と私は言った。 「本当に、有能だな」

 

「ようやくお認めになりましたか」

 

「前から認めている。口に出すとお前が増長するから出さなかっただけだ」

 

「少し遅かったかもしれません」

 

私はそこで少しだけ笑った。朝としては悪くない始まりだった。

 

食堂へ行くと、父は書類を読んでいた。弁当箱ではなく、港湾訓練の結果整理と議会向けの要点まとめだ。その方がよほどこの人らしい。机の上に置かれた眼鏡の角度まで、妙にきちんとしていた。

 

「ギレン」と父が言った。「若手実務者の混成は悪くない」

 

「ありがとうございます」

 

「だが、継続の見せ方は慎重にしろ。訓練が人脈づくりに見え始めると、議会は急に鼻が利く」

 

「承知しています」

 

父は書類を閉じた。

最近の父には、頭頂部へ手をやる癖が少しついている。

だがそれを除けば、やはりこの人は家の中でいちばん政治の空気がわかる。

 

「今日は裏の方も動くのだろう」と父が言った。

 

私は少しだけ視線を上げた。

具体名は出さない。

そこが父らしかった。

全部を知っているわけではないが、家の気配で“何かある”ことは察している。

 

「少し」と私は答えた。

 

「ほどほどにしろ」と父。 「役に立つ変わり者は便利だが、便利だからといって家の奥へ入れすぎるな」

 

ドズルがスープを飲みながら言った。 「また変な学者か何かか」

 

「学者ではない」とキシリアが言った。 「まだ学者とも言い切れない人」

 

「それは余計に嫌だな」とドズル。

 

ガルマが父を見て、小さく訊いた。 「父上、変な人って偉い人なの?」

 

父は少し考えてから答えた。 「偉いかどうかは知らん。だが、他人より面倒な人間は、時々役に立つ」

 

ガルマはそれを聞いて真剣にうなずいた。

多分、半分もわかっていない。

それでよかった。

家族の中に一人くらい、本当にわからないままうなずいている子どもがいる方が、国家より先に家が壊れずに済む気がした。

 

キシリアがカップを置いた。 「兄上、今日は優しそうな顔をしないでね」

 

「するつもりはない」

 

「それなら結構」

 

「お前もだ」

 

キシリアは少しだけ笑った。 「私は最初から優しそうには見えないもの」

 

腹が立つが、その自己認識だけは正確だった。

 

正午前、私は面会室に入った。昨日とは別の部屋だ。セシリアが変えた。窓際の光は柔らかく、扉は真正面に来ない。机は大きすぎず、椅子も多くない。フラナガンが入ってきた時、最初に分類できる要素を少し減らしたのだろう。実際、部屋は少しだけ人間向きに見えた。

 

フラナガンはすでに座っていた。

やはり最初に部屋を見たらしい。

椅子の脚の角度まで気にしていそうな顔をしている。

あの静かな目を見ると、前世のいくつかの場面が嫌でもよみがえる。

だから私は、何も知らないふりをして彼の正面ではなく少し横へ座った。

 

キシリアは窓寄りに立った。シンシアは記録席。セシリアは茶と水の用意だけして、壁際に控えている。誰も、前世の話はしない。それでいい。知っているのは私とキシリアだけだ。その事実そのものが、この部屋では余計だった。

 

「お待たせしました」とフラナガンが言った。

 

「待ってはいない」と私は言った。

 

「それは失礼しました」

 

「失礼だとは思っていない顔だな」

 

フラナガンはそこで、ごくわずかにだけ口元を動かした。 「便利な言い方をなさる」

 

私は少しだけ目を細めた。やはり同じだ。変わっていない。いや、変わっていないように見えるだけかもしれないが、少なくとも今のところは、前世で知っているあの男の延長にいた。

 

「作業員は」と私は訊いた。

 

シンシアが扉の方を見た。 「もう来ます」

 

レオン・マイヤールは、予想よりもさらに平凡な顔で入ってきた。

 

背は高くない。痩せている。制服はきちんと着ているが、袖口の一部だけが少し擦れている。家で誰かが丁寧に洗っている服の傷み方だった。母親か妹か、その両方か。そういう細部を見る自分が嫌だったが、見えてしまうものは仕方がない。

 

「レオン・マイヤールです」と彼は言った。

 

声は小さくない。

だが、どこか一歩だけ引いている。

呼ばれ慣れていない人間の声だった。

 

「座れ」と私は言った。

 

彼が座る前に、フラナガンが言った。 「緊張していますね」

 

レオンは一瞬、固まった。 「……はい」

 

「それは結構です」

 

「結構、ですか」

 

「ええ。緊張しない人間は、だいたい後で自分の話を整えます」

 

私はその言い方に、前世の嫌な既視感を覚えた。同じだ。最初に安心を与えるのではなく、不安を一度相手の前へ置く。その方が本当に怖がっているかどうかがわかるからだ。合理的ではある。だが合理的であることと、人間に優しいことはあまり関係がない。

 

「レオン」とフラナガンが言った。「昨日、またありましたね」

 

「はい」

 

「“嫌な感じ”が」

 

「はい」

 

「それはどこから来ます」

 

レオンは少し考えた。 「どこから、っていうと」

 

「音ですか。匂いですか。圧迫感ですか。自分の内側ですか、外ですか」

 

私は黙っていた。前世でもこの男はこうやって輪郭を与えた。与えてやるふりをして、実際には自分の棚へ収まる形へ切っていく。

 

「……外、かもしれません」とレオンは言った。 「でも、外っていうほどはっきりしてないです。なんか、空気が変な感じで」

 

「重い」

 

「はい。少し」

 

「音は」

 

「まだしないです」

 

「匂いは」

 

「ないです」

 

「怖いですか」

 

レオンはそこで詰まった。 「怖い、っていうか……そこへ行きたくない感じです」

 

フラナガンは一度だけ頷いた。 「昨日は」

 

「仮設端子のところに行く途中で」

 

「止まった」

 

「はい」

 

「誰かに言った」

 

「一緒にいた人に、ちょっと待ってって」

 

「その人はどうした」

 

「笑いました」

 

「それで」

 

「その直後に、火花が出ました」

 

部屋が静かになった。

レオンの声は淡々としていた。

だからこそ少しだけ重かった。

こういう人間は、自分の感覚を能力だと思っていない。

思っていないまま、二度三度と「当たる」。

その中途半端さがいちばん厄介なのだ。

 

「前にもありますね」とフラナガンが言った。

 

「たぶん……あります」

 

「たぶん、か」

 

「何回もあるわけじゃないです。

でも、たまに」

 

「外れたことは」

 

「あります」

 

「その時は」

 

「何もなかったです」

 

フラナガンは指先で机を一度だけ叩いた。

静かな癖だ。

前世でも見た。

何かを切り分ける時、あの男はごく短く指を動かす。

 

「外れをどう覚えています」と彼は言った。

 

レオンは困った顔をした。 「どう、って」

 

「当たった時はよく覚えている。外れた時は?」

 

「……あんまり」

 

「そうでしょうね」

 

その言い方が少し冷たかった。

レオンの肩がわずかにすぼまる。

私はそれを見て、もう一拍置くべきだと思った。

だが私が口を開くより先に、セシリアが水を一杯差し出した。

 

「どうぞ」と彼女は言った。

 

それだけだった。

余計な慰めも、柔らかすぎる笑顔もない。

ただ、水だけを置く。

よかった。

こういう場で人に必要なのは、理解されているふりではなく、一度喉を動かす時間だ。

 

レオンは「ありがとうございます」と小さく言って、水を飲んだ。

フラナガンはその動きを見ていた。

見ていたが、何も言わなかった。

ただ目の焦点が一瞬だけセシリアへ寄った。

この女はただの秘書ではない、とたぶん理解したのだろう。

理解したところで、それがどう転ぶかはまだわからない。

わからないから少し嫌だった。

 

「続けます」とフラナガンが言った。

 

「はい」とレオン。

 

「子どもの頃にもありましたか」

 

レオンはそこで初めて、少し遠くを見るような顔をした。 「小さい頃……母に、変な子だって言われたことがあります」

 

「どういう意味で」

 

「夜になる前に、今日は窓閉めた方がいい、とか。

知らない人が来る前に、来るって言ったり」

 

私はそこで、腹の奥が少しだけ冷えた。

前世でも、こういう話はだいたい幼少期へ伸びていた。

最初から派手ではない。

小さく、生活の中に混ざっている。

混ざっているから、家族だけが気味悪がる。

 

「母上は怖がりましたか」とフラナガン。

 

「いや……怒りました」

 

「怒った」

 

「はい。そういうこと言うなって」

 

「妹は」

 

「笑います」

 

フラナガンはそこでまた、あの短い指の動きをした。 「よろしい。勤務歴を」

 

私はそこで口を開いた。 「十分だろう」

 

フラナガンは私を見た。 「まだ切れません」

 

「切る必要はない。今日は見るだけだ」

 

レオンの肩が、ほんの少しだけ戻った。

やはりこの男は、切られている感覚をうすうす持ち始めていたのだろう。

前世でも何度か見た。

フラナガンの前に座る人間は、自分が診られているというより、整理されている気配を感じるのだ。

 

「閣下」とフラナガンが言った。「ここで止めると、本人の中の言葉がまた曖昧に戻ります」

 

「それでもいい」と私は言った。

 

「よくありません」

 

「私がいいと言っている」

 

部屋が静かになった。

キシリアは何も言わない。

シンシアも書く手を止めていた。

セシリアだけが、まるで最初からその沈黙も茶の温度の一部だったみたいに静かだった。

 

フラナガンは数秒だけ黙り、それから頷いた。 「承知しました」

 

その「承知しました」は、従ったというより覚えたという音だった。

この男は、誰のどのタイミングで自分が止められたかをきっと記録している。

そういうところまで含めて危険だった。

 

レオンが出ていったあと、キシリアが最初に口を開いた。

 

「止めるのね」

 

「今日はな」

 

「前は、もう少し切らせたでしょう」

 

私は妹を見た。やはりその言い方をする。前世を知っている者同士にしかできない言い方だ。他の誰にも意味がわからないまま、意味だけは鋭い。

 

「前と同じにやる気はない」と私は言った。

 

「でも、前より早い」

 

「お前もだろう」

 

キシリアは少しだけ笑った。 「そうね。そこはお互い様」

 

フラナガンはその兄妹のやり取りを静かに見ていた。

意味までは拾えないだろう。

だが、ここに自分の知らない文脈があることくらいはわかっているはずだ。

それもまた少し嫌だった。

 

「症例としては」とフラナガンが言った。「弱くはありません」

 

「弱くない、か」と私は言った。

 

「はい。まだ派手ではない。

しかし生活の中へ早くから混ざっています。

そういうものの方が、後で急に大きく見えることがあります」

 

私は心の中で、その言い方まで前と同じだと思った。

最初に熱狂しない。

だが、切り捨てもしない。

この男は、本物かもしれないものに対してだけ妙に辛抱強い。

 

「次は」とキシリアが言った。「月面側の追加記録と本人の継続観察ね」

 

「箱はまだ作るな」と私は言った。

 

「わかってる」とキシリア。 「前と同じ箱は、ね」

 

フラナガンの目がそこで一瞬だけ動いた。

箱。

その言葉に、この男は少し反応した。

意味はわからなくても、重要な比喩だと感じたのだろう。

前世を知らない人間に、前世の影だけが伝わる。

そういう瞬間は、いつも少し不気味だ。

 

夕方、自室へ戻ると、セシリアが待っていた。

今日は茶だけでなく、小さな布包みが置かれている。

ほどくと、昨日よりずっとましな形のおにぎりが二つと、薄い卵焼きが入っていた。

 

「進歩したな」と私は言った。

 

「台所から、本日は胸を張ってよいとの許可が出ました」

 

「お前がか」

 

「おにぎりがです」

 

私は少し笑った。

そういう言い方をするようになったのかと思うと、少し驚く。

驚くが、悪くない。

 

「どうだった」と彼女が訊いた。

 

「想像通りだった」と私は言った。 「切る。並べる。急がない。

そして、人より先に型を見ようとする」

 

セシリアはそれ以上追わなかった。

そこがありがたい。

有能な人間は、時々追わないことでこちらを助ける。

 

「使えますか」

 

「使える」と私は答えた。 「だから困る」

 

セシリアは茶を注いだ。 「そういう人ばかりですね、最近は」

 

「国家建設だ。便利な人間が多い」

 

「そして皆、少し危険」

 

「ええ」

 

私はおにぎりを一つ取った。

今日は昨日よりちゃんと塩が回っている。

人間関係もこのくらい二日目で上達すれば楽なのだが、現実はそう簡単ではない。

 

「閣下」とセシリアが言った。 「今日は途中で止めましたね」

 

私は彼女を見た。 「見ていたか」

 

「見ておりました」

 

「どう思った」

 

彼女はすぐには答えなかった。

湯呑みを置き、窓の外を一度だけ見て、それから言った。

 

「よかったと思います」

 

「なぜだ」

 

「博士は、あのまま進めればもっと取れたのでしょう。

でも、取れることと、次も来てもらえることは別です」

 

私は少しだけ目を細めた。

それはかなり的確だった。

フラナガンは、今日だけならもっと切れた。

だが人間は棚に入れられると、その次から自分で扉を閉めることがある。

 

「お前」と私は言った。 「本当に、よく見ているな」

 

「見なければ困りますので」

 

「そればかりだな」

 

「便利な答えです」

 

私はそこで少し笑った。

疲れている時の笑いは、たいてい相手に借りを作る。

だが今日の私は、その借りを少しだけ心地よく感じていた。

 

「日本は」と私は言った。「包み方がうまい」

 

セシリアは首を傾げた。 「風呂敷の話ですか」

 

「そうだ。

隠すためではなく、崩さず運ぶための包み方だ。

危険なものも、包み方を間違えると中身より先に漏れる」

 

「博士のことですね」

 

「そうだ」

 

彼女は少し考えた。 「では今は、箱より風呂敷の段階ですね」

 

私はその言い方が気に入った。

箱は早い。

風呂敷ならまだ、ほどける。

前世での失敗をそのまま言葉にするより、ずっとましだった。

 

夜、キシリアが最後に顔を出した。

ノックは一度だけ。

もう私は、その一度きりのノックでだいたい機嫌までわかるようになっていた。

嫌な慣れだと思う。

 

「兄上」と彼女は言った。「彼、やっぱり使えるわ」

 

「それはもう何度も聞いた」

 

「だから何度でも言うの。便利だから」

 

「便利だと思う方が怖い」

 

キシリアはそこで、珍しくすぐには笑わなかった。 「ええ」とだけ言った。 それで十分だった。

前世でフラナガンを使った二人の間では、その一言でたいてい足りる。

 

彼女は扉へ向かった。

だが出る前に、また一度だけ振り返った。

 

「兄上」

 

「何だ」

 

「次は、もう一人会わせる」

 

「誰だ」

 

「月面の追加記録の子じゃないわ」

 

私は黙った。

キシリアは少しだけ、いつもの冷たい笑いに戻った。

 

「そろそろ、技術の側も手をつける頃でしょう」と彼女は言った。

 

それだけ言って、キシリアは出ていった。

 

部屋に残った静けさの中で、私はしばらく窓の外を見ていた。

説明のつかない人間の感覚。

それを切り分ける危険な医者。

そして次は、技術の側だという。

 

窓の外では、サイド3の人工夜が静かに回っていた。

まだ公国ではない。

まだ独立もしていない。

だが橋は増え、若い実務者は同じ弁当を食べ、父は家と国の重さを量り、こちら側では前世で使った危険な男を、今世でどう使い直すかという話が始まっている。

 

そしてその先には、まだ紙の端にしかいない一つの名前があった。

ミノフスキー。

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