黒江真由に一目惚れした三年生男子吹奏楽部員の話 作:日向陰陽
―――たぶん最後の二者面談、松本先生と向かい合う。
松本「志望校は東京の国立大学か、偏差値は高いがお前の成績なら大丈夫…と言いたいが彼女とやらはどうなんだ?」
真優「夏に一緒に勉強したのを見るに学習能力は高いですし部活が終わって家に帰ってすぐに勉強しているみたいなので合格する可能性は高いと思います。」
松本「まあ…なんだ、彼女とハメを外し過ぎて油断するなよ。高校生らしい交際をするように心掛けろ。」
真優「はい、そういう関係になるのは一緒に合格発表を見るまでと決めてますので。」
松本「部活も忙しいだろうがもう少しだ、陰ながら応援させてもらおう。」
真優「ありがとうございます。」
無事、二者面談も終えた。
真由「お疲れ様、松本先生は何て言ってた?」
真優「『お前の成績なら大丈夫と言いたいが彼女とやらはどうなんだ?』って聞かれたから『一緒に勉強して見た限りでは学習能力が高いので合格する可能性は高いと思います。』って答えた。」
真由「他には?」
真優「『彼女とハメを外し過ぎるなよ』って言われたから『そういう関係になるのは一緒に合格発表を見るまでです。』って答えた。後、『陰ながら応援させてもらう』って言われた。嬉しかったよ。」
真由「期待されてるんだね。」
真優「まあ…学年トップクラスの成績は維持してきたし、そんな生徒が浪人生活送ったら先生の評価もマズいんじゃないかな?」
真由「先生も大変だね。」
真優「一番やりたくない職業のひとつだね。」
真由「それはわかるかも。」
真優「勉強は捗ってる?」
真由「うん、部活の練習が終わったら家に帰ってすぐにやってる。毎日そんな感じだよ。」
真優「それは安心した。」
真由「じゃあ行こっか。」
今日は二者面談で早めに授業が終わる影響で練習時間も多く確保されている。ユーフォ奏者ソロ決定戦が終結した以降、部の雰囲気はかつての先輩たちがいた時のような伸び伸びできるような状況に戻った…と思いたい。現に俺はそうやっているので他もそうであってほしいなぁという願望もあるが。その影響か麗奈と真由さんのソロの共演も洗練されたように聴こえる。綺麗で美しくて安定していて…でも麗奈のソロを控えめでささやかに支える…そんなイメージだ。真由さんの魅力を全国でアピールしてほしい‼(だが彼氏は俺だがな。)という想いはある。きっと美人奏者として注目されるかもしれない。だが守るのは俺だ。全国大会を前にして考えることでもないとツッコミを入れられるだろうが俺にとっては切実な問題である。
そんなことを考えながら練習を終え真由さんと一緒に帰る。
真優「どう?調子は?」
真由「上々ってところかな。久美子ちゃんのおかげで何も考えることはなくなったし。」
真優「……。」
真由「どうしたの?」
真優「うーん…いや、真由さんに話すほどのこともないかなっていうか…俺自身の問題というか…。」
真由「何々?気になるから教えて!」
真優「くだらないことだと思うよ。」
真由「いいから教えて!早く早く!」
真優「いや…全国大会で真由さんが美人奏者として有名になったら良からぬことを企む男どもが増えるんじゃないかなぁと思って…俺は全力で命懸けて守るけど。」
真由「なぁーんだ!そんなこと?」
真優「真由さんは自分の魅力に気づいていないだけで、男から見たら充分魅力的で…彼氏としては切実な問題なんだよおおおぉぉぉ~~!」
真由「真優くんこそ自分の魅力に気づくべきだと思うな!正式に転校して初日に真優くんから告白してくれて…私の悩みも理解してくれて…私を支え続けてくれて…私は…『運命の出会い』っていうものを本気で感じてるんだよ!こんなにひとりの男子のことを想い続けたのは人生で初めてだよ‼真優くんみたいな魅力的な男性は二度と現れないって確信めいたものだって感じてるよ‼」
真優「え、そう?」
真由「そうだよ!いつも私ばかり気持ちよくさせてもらってばかりで…真優くんにも気持ちよくなってもらいたいけど…真優くんは意志が固いから『そういうのは大学合格発表まで』って言うと思って遠慮してるけど…私だってもっともっと愛情表現したいんだよ‼この気持ちが伝わってほしいって心の底から思ってる‼だから彼氏として堂々として!私は真優くんみたいなとっても良く出来た彼氏を持てて本気で幸せだと思ってる‼」
真優「真由さん…!俺は嬉しい…!女の子にここまで言わせるなんて俺は恥ずかしい‼今更だけど…久美子とのソロ決定戦を制した後に『ありがとう! 真優くん大好き‼』って言ってくれたのを思い出して…あの時はその場のノリで言ったと思い込んでいたけど…今は純度100%の好意だったって理解したよ‼俺こそ真由さんみたいな彼女を持てて本気で幸せだと思ってるよ‼」
真由「真優くん。」
真優「真由さん。」
見つめ合いながら熱いキスを交わした。例の如く真由さんの背中側を撫でまわし首を舐めまくる。
真由「首を可愛がってくれるのは嬉しいけど…跡…ついてないかな…?学校の子に見つけられたら恥ずかしい。」
真優「跡がつかないように舐めただけだから大丈夫、確認したけど跡ついてないよ。」
そして彼女の姿が見えなくなるまで見送った。
翌日、休み時間に久美子に話しかけられた。
久美子「真由ちゃんと真優ってどこまで進んでるの?」
真優「どこまでって…キスまでだけど…そうだよね真由さん。」
真由「うん。」
葉月「何々?何の話?」
みどり「みどりも興味あります!」
つばめ「私も。」
女子たちが続々と集まる。
真優「まあ…細かく言うとお尻揉みまくってる影響かお尻が大きくなったきがするし舌を絡めながらお尻を揉んで背中に手を這わせて首から耳まで可愛がってから一旦唇を離して首に舌を――。」
久美子、葉月、みどり、つばめ「「「「わー!もういい‼」」」」
真優「そう?まあそれだけだよね真由さん。」
真由「本当は真優くんにも気持ちよくなってもらいたいけど…そういうのは受験合格発表までって約束したから…。」
葉月「真優もよく我慢できるよね。」
みどり「みどりもそう思います。」
真優「だって今そういう関係になったら部活どころか受験勉強も手につかなくなって真由さんに夢中になるのは簡単に想像できるもん。」
つばめ「それはまあ…そうかもね。偏差値高い国立大学なんでしょ?志望校。」
真由&真優「「うん。」」
真優「お楽しみはお預けってことで、今はバリバリ受験勉強に励んでるよ。その時が楽しみだからね。」
久美子「練習の後によくそんなに勉強できるよね、私には無理だ。」
葉月「私も。」
真優「俺の人生の目標のひとつが一緒に真由さんと大学に入学して一緒に大学生活送って一緒に卒業して大企業に就職して立派な社会人になって真由さんの御両親にも認めていただいて結婚することかな、とりあえずは。」
葉月「と、真優は熱弁しておりますがどうですかママちゃん!」
真由「そこまで考えていてくれて…嬉しい…!」
見たら真由さんが赤面している。可愛い、美しい。だが全国大会が近づく中、いつの間にかセンター試験から『大学入学共通テスト』なる名称に変更されていた試験を受けるため真由さんと一緒に受験案内を入手し一緒に市役所へ行き出願書を検定料と共に提出してきた。試験場所は京都大学宇治キャンパス、日時は1月17日・18日の9時30分からだそうだ。
全国大会を5日前に控え桜の木が植樹された。俺たちが立派な社会人になる頃には花が咲くだろうと松本先生は仰った。卒部会で使う写真を撮ってもらうために俺と真由さんのツーショット写真を撮りまくってもらった。時には抱き合いながら、無意識にキスしようとしたが真由さんが赤面しいて顔を背けたのでハッとして我に返って見つめ合った。そのシーンも撮ってもらった。大会を前日に控え見覚えのある宿泊所に着いた。確かここは2年前に全国大会に出場したときに利用した場所だった。グッと気合いが入った。
当日、楽器運搬も終わり準備は整った。真由さんと抱き合う。
真優「俺の分までソロ、頑張ってね。」
真由「うん、真優くんのことを想いながら吹く。」
舞台袖に立ち出番を待つ。北宇治の名が呼ばれる。舞台の椅子に座る。深呼吸しながら観客席を見渡す。小笠原先輩と中世古先輩が見えた…気がした。滝先生の指揮の下、演奏が始まる。課題曲が終わり自由曲へと移る。緩やかなクラリネットから響く。次々に楽器の演奏が加わりやがて全楽器の大演奏に変わる。僅かな沈黙、麗奈のソロと共に真由さんの美しいユーフォの音色が響く、そして再び大合奏、終わりに緩やかなクラリネットで締める。
前半の部の表彰が始まる。
「3番 北宇治高等学校 ゴールド金賞」
歓喜の声が湧いた。真由さんと抱き合う。やりました…小笠原先輩…!先達の皆さん…!心の中で祈った。
真優「やったね、真由さん。」
真由「やったよ…!ここまでこれたのも真優くんのおかげだと思ってる!今なら言える!真優くん…!愛してる‼」
真優「俺も真由さんのこと…愛してる‼」
こうして有終の美を飾り俺の吹奏楽部生活は幕を閉じた。この時だけは心からの笑顔で真由さんの隣で集合写真を撮った。
だが喜んでばかりはいられない。受験戦争は今も続いているのだ。全国大会翌日から黒江邸を訪れ泊まり込み、時には学校を欠席してでも受験勉強に明け暮れた。御両親にも許可をいただいているので真由さんと寝食を共にし徹底的に受験対策をしまくった。定期的に家には連絡し元気にやっていると告げ、学校から出席日数について連絡があったら登校した。
真優「おはよう久美子。」
久美子「おはよう真優に真由ちゃん…もう学校に来ないかと思ったよ。心配させないでね…って同じ欠席日数ってことは…⁉どっちかの家に泊ってるの⁉」
真優「俺が真由さんの家に泊ってる、御両親にも許可をいただいてるから、ねえ真由さん。」
真由「うん。」
葉月「寝る時はどうしてるの⁉」
真優「真由さんの部屋で一緒のベッドで寝てる。」
みどり「アレは⁉アレはしているのですか⁉」
真優「アレって…アレのこと? してないよ、ねえ真由さん。」
真由「うん。」
久美子、葉月、みどり、つばめ「「「「ウソ⁉」」」」
真優「本当だよ、前にも言ったけどそういう関係になったら受験勉強どころじゃなくなるもん。」
つばめ「あんた、修行僧にでもなれるんじゃないの?」
真優「お楽しみはその時までお預けってことで…って前にも言ったか。まあそんな感じ。」
それ以降学校には出席し続けた、だが先生には悪いが教科書開きながら受験対策用の参考書も開いて堂々と勉強させてもらった。そんな日々が続き、時は流れ大学入学共通テスト当日、真由さんと一緒に会場に行きテストを2日に亘って受けた。結果発表は4月と聞いたので受験には間に合わないが体感的には上出来だったと思う。大学受験への自信にも繋がった。そして大学への出願書も届けて更に時が経ち2月25日・26日の受験も両方受けた。
3月10日、合格発表当日。大学のWebサイトにて受験番号を確認、俺も真由さんの番号もあった。
念のために大学に連絡して合格の確認もした。ふたりで抱き合い喜んだ。真由さんの御両親から合格祝いのもてなしをされた。「娘の世話をしてくれてありがとう。」「貴方には本当に感謝しているわ、これからも真由のことをよろしくお願いします。」と言われ「お任せください。」と返答した。歯磨きも終えお風呂もいただき真由さんとベッドに並んで座る。男の責任の嗜みとして用意するモノは用意した。
真由「何だか緊張するね。」
真優「俺も…緊張してどうにかなりそう。」
そっと唇を重ねた。それから先のことはよく覚えていない。気づいたら朝になっていた。俺は全裸になっていて真由さんも同じだった。あらかじめ用意したモノが散乱しているので男の責任は果たしたと思いたいが不安になった。真由さんが目を覚ます。
真優「その…どうだった?」
真由「気持ちよすぎて…死にそうだった…。何度も『もう許して!」って言ったのに真優くんってば全然止まらなくて…でもあんなに私に夢中になってくれてる真優くんを見てると嬉しくて…涙が出ちゃった。これからもああいうことが出来ると思うと…物凄く楽しみ。」
真優「早速なんだけど…確認のために続きしてもいいかな?」
真由「いいよ…。私もしたい。」
こうして昼夜を問わずお互いを求めあった。