パーティーメンバーを寝取られたおっさん冒険者は自分に惚れている年下美少女と新たにやり直す〜NTR男が今更かつての仲間を返したいと泣きついてきてももう遅い〜 作:佐佑左右
「ふざけんじゃねぇぞクソが!」
息ぐさい男の怒声とともに拳が飛んでくる。
俺はそれを避けようとして——やめた。
単純に避けきれなかったというのもある。
だけどそれ以上に、
「やめろ!」
すぐ横から飛び出してきた女の手のひらが俺の
パシンと乾いた音を立てて男相手ならワンパンでノックアウトすることができた右拳はしかし、あっさりと俺をかばった女性冒険者の小ぶりな手によって逆にひねり上げられる。
「いだだだっ! なにするんだご主人様よぉ!?」
「黙れ馬鹿者が! この私の目の前で彼への暴力は許さんぞ! たとえそれがパーティメンバー、ひいては私に付き従う執事だとしてもだ!」
「いやだってよ、そのクソ野郎はよりにもよって俺の大事な主に手を出したんだ、一発ぶん殴って当たり前だろうが!」
「はき違えるな! 手を出されたんじゃない、私が彼に手を出したんだ! なのに言うに事欠いて私にとって大事な彼を
「はあああああああっ!?」
アルフレッドとかいうでっかい中年男は人目もはばからずに大声を上げた。
見た目が熊みたいなら、声まで熊みたいだな。
俺、こういうむさっ苦しい男は大っ嫌い。
男前でもなければ同性も惚れるダンディズムにもあふれてねえ、マジでもてない男って感じ。
「なんっ、なんで俺が追放をされなきゃいけねえんだよ! なあおいミスリアさんよぉ!」
「やめろ! その汚らしい口で気安くこの私の名を呼ぶんじゃない! 私を下の名前で呼んでいいのは愛しの彼だけだ! ……もちろん私の下の口を見て触っていいのもな」
ポッと顔を赤らめた元主の実に女らしい表情にアルフ――面倒くせえな中年固定でいいか――は困惑した様子だった。
「なんで急に女を出すんだよアンタ!? 過去に俺と一緒に半生の熊肉を喰って豪快に腹を下したのはどこの誰だと思って——ぐぼぁっ!?」
おー、今のは痛そうだな。腹にかなり深く一撃をもらっちゃってまあ。
「ききき、貴様なにをわけの分からんことを! 言いがかりだ、事実無根だ、嫌がらせとばかりに彼の前で私の名誉を不用意に傷つけるとは万死に値する! 即刻この場から消え失せるかそれとも今ここで私にぶっ飛ばされるか、どちらか好きな方を選べ!」
別に現実の女に夢見るさもしい童貞じゃねーんだしちょっと下痢したくらいで幻滅しねえのに、ミスリアちゃんたらすげー勢いでこっちの顔色をうかがっているよ。
嫌われたくなくて必死なんだな、いやぁモテる男は辛いねぇ(棒読み)。
つってもまあ俺の経験人数百人超の記憶を掘り起こしゃ、本番中によがらせ過ぎた女からクソを漏らされたことくらい何回か経験あるってのに。
「ぐうぅ、け、けどよ、俺だって納得が——」
あーもう、しかしウゼぇな。
こんな道のど真ん中でしち面倒くせぇやりとりを続けるもんだから、さっきから通行人の注目を集めちまってるんだよな。
しっしっ、こちとらただいま修羅場中なんだよ散れ野次馬ども。
……ちっ、仕方ねーな。
「おいおいおっさん、しつこい男は女に嫌われるっスよ? あーこれ、新たな門出を迎える先輩に向けた後輩からのありがたーい助言っス」
「っ、なにが新たな門出だ、意味の分からんことを……!」
アホくさ。意味の分からんことじゃなくて意味を分かりたくないの間違いだろ。
なおも惨めに追いすがろうとする無様な中年にいい加減現実を分からせてやることにする。
「まだ理解できねーんスか? ……アンタは捨てられたんだよ。ベテランだろうが若くもなければカッコよくもねえ。仕事ぐらいしかできねえ弱者男性より、イケメンかつ一緒に連れて歩くだけでステータスにもなる俺の方を選んだんだってな。だから寝取られ負け犬親父はさよならー(笑)」
ペッとつばを中年の顔面に吐き捨てる。
濃厚なイケメンエキスがつまった唾液だ。
よかったな、これで少しはアンタも俺みたいな男前になれるかもしれないよ?
「――て、てめぇぶっ殺しぶべぁ!?」
つばをひっかけられた中年がマジギレ顔で俺に掴みかかろうとする。
ま、馬鹿にされたんだから当然の反応だわな。でも忘れてねーか?
「……彼への暴力は許さないといったろう!」
「ぶぼらっ⁉」
ミスリアちゃんの容赦のない拳が中年の顔面にめり込んだ。
大好きな俺に野郎が掴みかかろうとしたことに腹が立ったんだな、わざわざこちらからお願いをしなくても勝手に惚れられた女が守ってくれる。
にしても可哀想に、ありゃ鼻が折れてんだろ。
ただでさえぶっさいくな
「おごごごご……」
あらら、顔面を手で抑えたまま悶絶してるよ。
まあいい、これ以上哀れな中年の姿を見るのも忍びねぇしこっちから立ち去ってやるか。
わー俺様、心までマジイケメンー。
「助けてくれてありがとなミスリアちゃん。お礼にこれから宿にでも行こうか」
「えっ本当? きゃっ、ミスリアうーれーしーいー。いっぱい可愛がってくれるぅ?」
さっきまでのドスの効いた声と違ってなんとか猫なで声を出そうとするもんだからちょっと噴き出しそうになるが、ガマンガマン。
「ベッドの上でたっぷりと、ひいひい鳴くくらい愛を語らってあげるよ」
「いやーん
細い腰をくねらせてしなを作るミスリアは
「おいで、子猫ちゃん」
彼女の肩に手を回しそっと抱き寄せた。
「はぁい一名様ご案内」
そんな風にあえて無様な中年に見せつけるようにしてから(いや見てねぇのかよ)、俺はそいつからパーティーの仲間とそれから専属執事の座を奪ったのであった。
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