ジャンプはジャンプでも 作:通りすがりの最下級大虚
30分だけ斬魄刀について考えようと思っていたら1145141919時間も考えてしまいました……(n敗)
どうしてこんな事に……
「んじゃ、よっろしく~♪」
五木カイコ副組長が運転する車の中、蝦夷組長の隣に座る私は項垂れていました。
昔海桐花様がみていた時代劇の悪代官に身売りされた村娘の気分です。
「蝦夷組長、初日から新人にちょっかい掛けないで下さいね」
「わかってるよ~♪ じっくりと関係を深めるのも八雲さん得意だから」
五木副組長に釘を刺されていますが、刺さっているか怪しい様子で所山サキさんにその魔の手を伸ばしています。
所山さんは甘んじて受け入れていますが、私も何れ彼女のようになってしまうのでしょうか……。
――蝦夷組長から学ぶことはあります。自身の弱みと向き合い、それを克服する為にも彼女の行動を観察するのです。
風舞希様からはそう言われましたが、もしや女性を悦ばせる手練手管を学べと?
……な、なにを考えているのですか私は! そんな訳が無いでしょう!
「お? ちょうどいい感じの醜鬼の群れがいるじゃん」
物思いに耽る私の耳に蝦夷組長の呟きが聞こえ、周囲を見渡すと確かに此方に向かってくる醜鬼の一群が見えました。
「桔梗ちゃんの実力お披露目に丁度いいし、殲滅しよう」
車を止めると、各々が一斉に飛び出して醜鬼の殲滅が始まりました。
「ほらほら、醜鬼の殲滅数が一番少ないコには寮に着き次第八雲さんが直々に手取り足取りじっくり指導しちゃうよ~♪」
い、いけません。このままでは一匹も倒せないまま醜鬼が殲滅されてしまいます!
私も車から降りて自身の能力を行使します。
――来なさい。
念じると身体を装束が覆い、刀が構えた両手の中に現れました。
『
襲い掛かってきた醜鬼を抜刀の勢いで切り捨て、返す刀でその後ろの醜鬼を袈裟切り。これで二体撃破。
「へぇ! シンプルだけど面白い能力だねぇ」
「近接戦闘しかできないのが難点ですが」
後は所山さんの『武装小町』と比べても選択肢は少なく、使い手の技能に大きく依存してしまうのも難点ですね。
とはいえ、一般の醜鬼を相手取るには過不足は無い筈です。
醜鬼を殲滅し終え、周囲に残党が居ないことを確認して刀に付いた血を振り払い鞘に納めると、煙のように刀が消え装束も元に戻ります。
「初めて戦うにしては結構手慣れた感じだね」
「ええ、東の一員として恥じないよう、身体、技だけでなく精神も鍛えておりますので」
ですので如何様な不意打ちでも私の心は乱れませ――
「隙ありッ!」
「ひゃぁあっ!?」
蝦夷組長が背後に回り込んで胸を掴まれ思わず悲鳴が上がりました。
「な、なにをいきなり!?」
「いいね今の悲鳴、八雲さん的にはポイント高いよ」
咄嗟に身体を引いて彼女の方に向き直ると、蝦夷組長は満面の笑みで親指を立てていました。
こ、この方は――!!
「でも今の隙は致命的じゃないかな」
「――え?」
その直後の言葉に私の思考は止まりました。
そんな私の様子を他所に蝦夷組長は言葉を続けます。
「もし今のが醜鬼だったら君の命は危なかったよ」
……そ、それは思わぬ方向の思わぬ相手からの奇襲のせいで――いえ、確かにそうですね。
奇襲というのはそもそも意識の隙間を狙って行われるもの。いついかなる時も常住戦陣の構えでなければ命がいくつあっても足りません。
風舞希様はまさかこの為に私を5番組に?
「……蝦夷組長」
「何かな桔梗ちゃん?」
「これから宜しくお願い致します」
蝦夷組長のセクハラは基本的にいきなり予期せぬ所から襲い掛かってくることが多い。その彼女のセクハラを完璧に防ぎきることが出来れば、私は一歩強くなることができるかもしれません。
そのためにも彼女の一挙手一投足を観測し、その行動を自身の糧にしていくのです。
「もっちろん。よろしく~」
肩を組むふりをしながらさり気なく胸に伸びる手を叩き落として、私は決意しました。
そう、彼女の行動を観察して――
「相変らず引き締まった身体してるね京香」
「その悪癖も相変わらずだな八雲」
動きを真似て――
「天さんおっひさー♪」
「おっとその手には乗らないよ」
思考を模倣して――
「疲れたぁ~桔梗ちゃん癒してー!」
「嫌です」
その裏を読んで――
「見て……アレが東桔梗よ」
「あの5番組の……」
「その手練手管で何人も誑し込んだっていう……」
「蝦夷組長に続いて要注意リストに入っているあの……」
半年後、気が付けば私は女誑しの5番組組員として要注意人物の一人に挙がっていました。
こ、こんなはずではなかったのに……。
****
とある寂れた地方の、人気の無い港の一角。
嘗ては活気に溢れていた輸出入の拠点は、戦後のバブル崩壊によって落ちぶれ、今では寄り付く者も居ない夢の残骸として姿を残している。
その一角、倉庫として使用されていた平屋にて、ある集団が隠れ蓑として使用していた。
その集団の名は神奉者。一言で言ってしまえば、裏切り者である。
彼女達は魔都の『ある存在』から尋常ならざる力を与えられ、代わりに『ある存在』の手足、或いは耳や目となって人間世界の情報を渡し、時がくれば尖兵となって人類に仇為すのだ。
桃の能力に加え、『ある存在』から直々に改造を受けたことにより彼女たちの力は魔防隊の一般隊員を上回る実力を有していた。
その神奉者のある一軍が、現在たった一人の襲撃者によって壊滅させられていた。
ある者は惨たらしく身体を切り裂かれ、ある者はその身を炭化するまで焼き焦がされ、またある者は骨まで溶かされ身体の形を成していない。
そんな骸が数十人。
数十人の骸が横たわる中、一人辛うじて息が残っている神奉者が凄惨な現場を作り上げた犯人を見上げ、呻くように呟いた。
「な、なんなのだ貴様……ッ!」
地に身体を伏している彼女の視線の先、傷一つなく立たずむ女が一人。
彼女はそれに答える様子も無く手に持った目的の物を眺めているだけ。
「それは『彼の御方』から賜った貴重な物……お前の様な下賤の輩が気安く触れてよいものでは――!」
「あのさ」
咎めるような神奉者の言葉を遮るように、奇襲を始めてから現在に至るまで一切開かなかった襲撃者の口が初めて開いた。
「お前等が何を信じて何をしようが勝手だけどよ――『賜った』?」
その言葉には感情が籠り始める。
「嘘を吐くんじゃねぇよ盗人共が」
怒りが静かに噴出した。
襲撃者は地面に伏した神奉者の髪を掴み体を持ち上げる。
神奉者はその両の目に映し出される激情を前に、ただ圧倒されるのみであった。
しかし、その彼女を放置して襲撃者は言葉を続ける。
「『コレ』の持ち主はお前等みたいな雑魚を従えるほど力は弱くない」
「『コレ』の持ち主はな――」
襲撃者の言葉に力が籠る。
「理不尽で」
段々と
「圧倒的で」
淡々と
「暴力的で」
滲み出るように
「そんで何者にも縛られず何物も縛らない。そんな『カミサマ』なのさ」
襲撃者の言葉を聞いた神奉者は思わずつぶやいた。
「何を――」
言っている。
理解できない。神奉者は理解できなかった。
呆然となった神奉者を襲撃者は投げ捨て、その顔面を掌で覆う。
「理解できないならそれでいいさ。お前はここで死ぬ。それ以上知る必要はないだろ」
「待っ―――」
正気に戻った神奉者が発するよりも早く、襲撃者は言葉を紡いだ。
「『顕れろ』、龍葬火」
それが神奉者の聞いた最期の言葉だった。
東桔梗:5番組に配属になってしまった不運なコ。因みに風舞希による推薦。理由は「戦い方が素直すぎるのでこの機会に蝦夷組長から裏を読むことを学んでほしい」とのこと。実際に意図通りに学んでくれたが、それはそれとして学ばなくても良い事を学んでしまって風舞希からすれば複雑な気持ち。
能力:『
最近アークレイダースやってるんですが良い感じに物資集めてほくほくして帰っていたら雑魚にやられたり他のプレイヤーにやられて闇堕ちしそうです(憤怒)
R-18 (余裕があれば)
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欲しい
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別にいいかなって……