ジャンプはジャンプでも 作:通りすがりの最下級大虚
文字数の割に展開が遅いです。ごめんちゃい♡
此処が現世かぁ。テーマパーク……ではないがテンション上がるなぁ~。
まさか突然出て来た門を潜ったら現世に出てこれるとはね。
ちょくちょく魔都災害に遭った遭難者から頂いた新聞とか雑誌を読んでたかいがあったわ。
空気が旨い……見渡す限りの深い緑。枝々を抜け木の葉を揺らす風。そして木漏れ日…………。
これに比べたら魔都の空気はカスや!!
……ふぅ。
で、ここ何処?
いやさ、現世に出たはいいけども、街……はいいや。人の目が多いから魔防隊なる連中が出張ってくる可能性がデカいしすぐに来そうだ。
どうせなら田舎、集落辺りでちょっと散歩したい。
人の目が少なくて、且つ夜なら殆どで歩く人間もいないから大丈夫やろ。
テキトーに散策して、寝るトコは廃神社か寺か……いやコンクリート造りの廃虚の方が良いか?
ま、探せばその辺りはあるだろ。よしんば無くても飲まず食わず寝ずでも大丈夫っぽいし。
んじゃ、山を散策しつつ集落を見つけましょ。
て、思ってたけどさ。あっさり見つけたわ。時間は夜になっちゃったけど。
で。なんか滅茶苦茶醜鬼が居るんだけど…………。多分このままいけば人死にが大量に出るかな。
どーすっかなぁー。
ラノベの主人公に憧れる歳はとっくに過ぎてるしさ、このまま乱入してもさ、魔防隊が来るだろうしそうなると面倒臭いんだよね。
別に聖人君子でもないし、面倒臭いのは嫌いなんだよね。
うん! なぁんにも見なかった!! そう言う事にしよう!!
って、思ってたんだけどさぁ。
あの一本角の奴、顔が似てるんだよね。会社の上司の顔に。
自分は親のコネで入社してすぐ役職に上がって、大した仕事も出来ないくせにこっちに仕事割り振ってきて、いざ仕事が終われば自分の手柄にする。
で? 部下に無茶な仕事割り振って出来なければ怒鳴り散らす。会社の他の役員は親の威光を恐れて誰も強く出れない
今時あんな会社あるんかって思ったけども、実際あったんだから現実は小説よりも奇也って言葉はあながち間違いじゃないね。
でさ、話し戻すとそいつに似てるんだ。イッッッバン腹立つ奴の顔に。
だからさ、悪いんだけどさ。
憂さ晴らしに付き合ってくれや。
満月。されども少ない街灯のせいで暗闇が未だに支配する長閑な集落。
情報伝達が発達しないため魔防隊への第一報が送られるまでに時間的空白が生まれる時代。
上記二つの要因によって致命的な被害がこの町に及ぶことになる。
それを知る由もないが、眼前に広がる街並みを眺め群れを率いている醜鬼――正史に置いて一本角と呼ばれる醜鬼は内面に秘めた歓喜を表す様にその口元を歪める。
――通常、醜鬼は集団を作ることは無い。
眼前の獲物目掛け集団で襲い、時に同種同士で争うことも厭わない。
仮に同種同士で結託する場合があったとしても、それは命の危機に乗じて融合し、一個の巨大な醜鬼となる場合のみだ。
それが何故一本角呼ばれる醜鬼の元に集っているのか。
それは純粋にこの醜鬼の力量が抜きん出ているからに他ならない。
力で他の醜鬼を従え、強引に統率し、そうして勢力を広げている最中に現れた『門』。
潜ってみればそこは抵抗する術を持たない獲物が大量の桃源郷。
笑みが漏れない訳が無いのである。
これから始まる饗宴に期待を膨らませ、配下を嗾ける。気が付いた住民の悲鳴ですら今の『ソレら』にとっては食卓を彩る音楽に他ならない。
一本角が配下の醜鬼に指示を下す。更なる混乱と悲鳴を引き出すためだ。
司令を受けた醜鬼が動き出す。これから始まるのは悲鳴と血肉が飛び散る狂宴――そのはずだった。
一歩、踏み出した醜鬼が彼等の目の前で爆ぜた。
身体に血しぶきが掛かる。状況を理解する間もなく、引き連れた配下が一匹残らず無残な死骸と化し、自身もまた吹き飛ばされ地面に転がることとなる。
その巨躯が地面を数度跳ね、地を削り、田畑の泥水にまみれて漸く止まる。
しかし、さすがというべきか、或いは不運というべきか。その頑強さ故に一撃で死に至ることは無かったがしかし、受けた傷は浅くは無い
衝撃で視界は定まらず、直撃した腕はその下、肋骨ごと破壊され骨は粉々に砕けた。
揺れる視界を何とか制御しながら、自身を吹き飛ばした存在に目を向ける―――かつて感じたことのない恐怖が背筋を貫いた。
外見は己よりも矮躯。しかし、その身から放たれる『圧』が、一本角に一寸たりとも動くことを許さなかった。
それを理解した瞬間、一本角の思考は怒りに満ちた。
あの矮小な肉体の二本角の醜鬼が、己の身に汚れを付け恐怖を感じさせ不遜にも仁王立ちしている。
今までの経験が、培われた肉体が、恐怖を掻き消し代わりに怒りと屈辱と憎悪で満たし、逃走という選択肢を消し去り闘争という選択肢を選ばせた。
立ち上がった一本角はその激情のままに咆哮を上げ、両足に力を送り地面を強かに蹴る。
体躯に見合わぬ速さで接近する。それだけで並の醜鬼はおろか魔防隊の隊員でさえも太刀打ちすることは叶わないだろう。
更にそこに加わる一本角の名の由来たる、頭の兜の如き外骨格に備わる見事な角。
立ちはだかる敵全てを貫いてきたその武器が、前述の圧倒的な速度と質量を以て目の前の敵を貫くその時を待っている。その貫通力は分厚い鋼鉄を優に貫く程であろうか。
それが、とうとう敵に突き刺さった。
衝突音、地響き、土煙。
勝った。腹部にその角を突き立てながら一本角は確信した。
後は角を振り上げ地面に叩き付けるだけ。それで敗者は哀れな肉片に変わる。
その想定通りに身体を動かそうとしたが――持ち上がらない。どれほど力を籠めようと、岩山が角に乗っているかのように動かない。
困惑する一本角だが、徐々に感じる浮遊感に気が付く。
慌てて四肢を動かし抵抗を試みるも時すでに遅い。子供が引っこ抜いた狗尾草を無邪気に振り回すような軽々しさで何度も振り回される。
揺れる視界、感じる重力、叩き付けられる地面の感触。
何度も、何度も、何度も振り回され、叩き付けられ、最後は放り投げられ再び田畑にその身体を沈める事となる。
間を置かずに、地に頭を垂れているその後頭部を踏みつけられる。顔を上げようにも上から掛かる膂力は己の全力を凌駕している。
視界を塞がれている故に何が起きているのか理解できない一本角に、さらなる責め苦が課される。自身の誇りともいえる角に、後頭部から加わる方向とは反対、つまり上方向への力が加わる。
その瞬間、理解した。この醜鬼が何をしようとしているのか、これから自身が何を失うのか、理解してしまった。
最早叶わぬというのに、首を必死に動かし、地に腕を立て身体を起こそうとし、時には振り回し攻撃する。幾度か拳が当たった感触はするが、却って己の拳を痛めるだけだった。
一本角の咆哮が響き渡る。それは身の毛もよだつような気迫迫るものではなく、寧ろ縄張り争いに負けた獣が放つ悲痛な物だった。
野生の獣であるのなら、それ以上の追撃は免れただろう。しかし、今一本角を叩き伏した存在はそんな慈悲は与えなかった。
重く、低い咆哮が一本角の悲鳴を掻き消した。より一層力が掛かり――破砕音と共に、一本角はそのアイデンティティーを失った。
釣り合っていた力の均衡が崩れ、より一層一本角『だった』醜鬼の頭部がめり込んだ。勝者たる醜鬼――特異個体が、力任せにへし折った角をそのまま投げ捨てた。
一本角――いや、『角無し』を下した特異個体は、頭部に乗せていた足を退ける。その足で角無しを蹴り上げた。
小石の様に蹴り飛ばされ、地面に伏していた角無しはその身体を漸く天に向けることができた。しかし、動くだけの気力は存在しない。止めを刺されるだけの哀れな『獲物』に成り下がったのだ。
特異個体が角無しに歩み寄る。
目的はたった一つ。角無しの命を奪う。ソレだけだ。
角無しの身体に両脚を下ろし、拳を引き絞る。貯められた力から発せられる軋みが、微かに漏れ出る。
あとは、開放するだけ――――
「魔防隊現着。これより醜鬼掃討と住民の避難誘導を開始します!」
その瞬間は第3勢力――通報を受け到着した魔防隊の介入によって失われた。
響き渡る凛とした声、その後に続く多数の足音。
「いたぞ! こっちだ!」
「なっーーー特異醜鬼!? ッ捜査本部に連絡しろ! 応援を呼ぶんだ!!」
「しかし―まずは本部に―」
「そんな時間は無い! 急げ!!」
素早く展開されていく陣形を前に特異個体はその場を退却した。
跳躍し、元来た山へと姿を晦ます。
「逃がすな! 追え! 被害が出る前になんとしてでも食い止めるんだ!」
「周囲に結界を張りました!」
「相手は特異個体だ! 札をどれだけ使っても構わん! 何重にも巡らせろ!!」
やがて到着した対特異醜鬼捜索本部隊員も加わり、夜が明けるまで山狩りが行われた。
桃の能力を使い、人員を使い、機材を使い、呪術を使い。
あらゆる方法で追跡を試みるも、見つかったのは陰陽寮が心血を注ぎ開発した呪符を何枚も使用し強化された結界の一点が破壊された痕跡のみ。
つまり、既に月山及び大井沢から逃げ出した後だった。
「ふーん……? 面白そうなことが起きてるじゃん」
「……」
「ねぇ、ちょっかい掛けてみない?」
「目的はあっちだったと思うが」
「んーあっちはお土産にしようかな。ほら、僕ってば妹想いだからさ
若雲の研究用に持っていったら喜んでくれると思うんだ」
主人公:ストレス発散が出来てスッキリした。
一本角:とばっちりで角とプライドをへし折られた被害者。
魔防隊:捜査範囲がクッソ広くなったせいで業務が激増した。後で滅茶苦茶上層部から詰められた。悪いのは主人公なのにね。でも組織勤めだから仕方ないね☆
思ったより筆が乗っちゃった。
主人公の奴隷化(原作主人公は消えます)
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アリ
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ナシ