ジャンプはジャンプでも   作:通りすがりの最下級大虚

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今回は主人公の登場はゼロ、ゼロ、ゼロ、ぜーろ♡ です。


あんまりイライラするなよ、加齢臭が匂うぞ

月山大井沢事件報告書

 

・概要

発生日時:20■■年■月■■日午後■■時■■分

 

被害状況:家屋破壊■棟、田畑3面、道路幅訳■■m、距離訳■■m

 

人的被害:重傷者■名、軽傷者■名、その他要支援者■名(心的外傷含む)

 

・事件発生の詳細

事件後周辺の監視カメラや住民からの聞き込みのよって作成。一部映像は魔防隊本部及び政府重要記録保管室にて管理

 

午後■■時■■分:『門』発生。直後十数体の醜鬼及びその中心と思われる醜鬼(以降対象を乙と記載する)が出現。

 

午後■■時■■分:「乙」が辺りを見回し、その後数分間に渡り探索。第一発見者である■■■■氏が大声で避難を呼びかける様子を確認。本人の証言とも一致。

 

午後■■時■■分:「乙」は周囲の探索を終えると周囲の醜鬼2体に指示を与えた模様。指示を受けた当該醜鬼が行動を開始。直後、特異個体の襲撃により2体とも死亡。

 

午後■■時■■分:当該醜鬼2体を殺害した特異個体はその直後「乙」の周囲に待機していた他醜鬼を殺害し、「乙」に攻撃。「乙」は死亡することこそないものの、■■mに渡り弾き飛ばされ、田畑2面と道路に損害を与える。

 

午後■■時■■分:当該地区駐在所より第一報。管轄区の魔防隊が出動。

 

午後■■時■■分:態勢を回復した「乙」が激しく激昂し、頭部の角を用いて特異個体へ攻撃。特異個体は「乙」の攻撃を受け止め「乙」を持ち上げ激しく振り回す。以降■分間この行動を続ける。

 

午後■■時■■分:特殊個体は「乙」を投擲。田畑一面に損害を与え、「乙」が行動不能状態へ。

 

午後■■時■■分:特異個体が「乙」の角をへし折る。この詳細は映像記録第■■番を参照。

 

午後■■時■■分:魔防隊現着。特異個体の姿を認識し、即座に特異個体捜査本部へ連絡。特異個体は魔防隊の到着を認識した後、■■山へ逃走。

 

午後■■時■■分:魔防隊により周囲■■㎞に及ぶ結界を起動。捜索が行われる。

 

午後■■時■■分:捜査本部員現着。捜査に加わる。

 

午後■■時■■分:結界の破損痕を発見。特殊個体が結界外へ逃亡したとし、捜査を中断。以降地元住民の救援とケアに加わる。

 

 

 

 

 

「何なのこの報告書!!」

 

 魔防隊総組長、東海桐花は煮えくり返る腸を表に出さないよう、後ろに組んだ両手を固く握りしめながら耳障りに金切り声を上げる目の前の人物からの叱責を受けていた。

 

 此処は現世、東京都霞が関にある会議所の一区画。

 彼女達は1か月前発生した事件の詳細の取り調べを受けていた。

 報告書を読み、最初に声を荒げた女性とはまた別の議員が口を開いた。

 

「醜鬼を殲滅することも出来ず、特異個体を捕獲することも敵わず、あまつさえ特異個体が殺害した当該個体も確保できず、その上で資料はこれだけ。これは海桐花総組長の資質が問われる失態ではないでしょうか?」

 

「左様。このまま他国に特異個体を確保される事態になれば、我が国の優位性を失うことになりかねんのだぞ」

 

「このザマでは貴様を総組長から解任する他選択肢は妥当に思える」

 

 そのひと声に便乗する様に、複数の議員から肯定の声が輪唱する様に上がる。

 海桐花の背後では、関係者として招集された特異個体捜査本部の隊員が口々に襲い掛かる叱責の声に竦みあがる気配を感じる。

 

 平静を保ちながらも、海桐花は内心で毒づく。

――そう言って此方を引きずり落とし、貴様らの都合の良い傀儡を総組長に据えるのが狙いなのが丸わかりだ。売国奴共。

 

 現在、日本は世界で唯一の『桃』の産出国として、世界から介入及び圧力を受けている。

 それは日本の政党においても影響が出ていた。

 この場に居る議員の数人は海外からの援助を受けており、他にも左翼団体や国内の反社会的組織とのつながりを疑われている議員の姿もある。

 現在行われている取り調べも建前であり、この事件の失態を根拠に自分たちの影響力を強めたい議員達の主導の元行われているつるし上げである。

 魔防隊への影響力を強めたい他の思惑の議員もそこに乗っかっているとなると、現状味方する者はこの場に居ない。

 

「失態と言えば、今回の追跡に関し使用された結界術の呪符。これを作成した陰陽寮にも責任の一端はあると思うが」

 

 その議員の内の一人が、矛先を海桐花と共に招集されていた陰陽寮の長、木国和歌子に向けられる。

 

「……事件当時使われた呪符は一般的なものに改良を加えたもの。現在新たな術式を開発中で」

 

「結果逃したのは事実」

 

 弁明の為に口を開くも、一言で切り捨てられる。魔都に拠点を置く陰陽寮もまた、彼女たちにとっては自分達の影響力を強め、己の或いは自身の背後にいる“スポンサー”の思惑通りに動かすための舞台に過ぎない。

 言いがかり染みた理屈で次々と責任を問い、最後には海桐花の様に交代を提言する者が現れ始めた頃、取り調べの為に貸し切っていた部屋の扉が叩かれた。

 本来ならば機密保持の為、その廊下も使用不可の状況である。一般の職員が此処に来ることなど無い。

 この場を取り仕切る議員が退室の不許可と立ち去るよう警告する言葉を発する前に扉が開かれた。

 

「ど~も~。遅れてしまい申し訳ありませーん♪」

 

 妙齢の女性が取り調べの場に見合わぬ軽い口ぶりで入室する。その姿を見た幾人かの議員は苦虫をかみつぶしたような表情で彼女を睨みつける。

 

「……入室を許可した覚えはありませんが。内閣直属情報部門長一色和美(いっしきかずみ)

 

 この場を取り仕切っている議員も例に漏れず渋面を作り一色和美に退室を暗示する。

 

「おぉ、ご紹介どーも。いやね、これでも一応、魔都関連の情報を知っておかないとお上にどう説明したモンかわからないもので」

 

 その無言の圧をものともせず、屈託もなく言葉を返す。糸の様に細められた眼は常時笑みを浮かべているようで底が知れない。

 

「と、いう訳で私も途中参加、という形ですがご一緒しても?」

 

 一色が参列の是非を問うが、此処で否を唱えることは出来なかった。

 内閣直属、それも情報部の長である以上、この取り調べに参加する資格はある。寧ろ参加させなければこの取り調べが正当な物ではないと疑われかねない。 

 実際、正当なものであるかどうかと問われれば否であるが、彼女が参加する以上正当な物として機能させなければならなくなった。

 始終ふざけ倒している態度だが、情報を流さないよう徹底的に調整したこの取り調べの存在を感知するその能力の高さは確かの物だ。それを追求しないのは、その代わりにこの取り調べに参加させるための彼女からの取引。

 

「沈黙は肯定ってことでよろしいかな? じゃ、席1コチョーダイ♪」

 

 相変わらずふざけた態度で室内の一角から椅子を調達し、一人離れた所から取り調べの続きを傍聴する。

 先ほどの様に、好き勝手言いあっていた議員たちの口は噤み、粛々と進行していった。

 

 

 

 

「お主は先に帰っておれ」

 

 取り調べが終了し、一礼して本部へ帰還する隊員の背を見送り、海桐花は嘗ての同僚の元へ向かう。

 

「この短時間で一気に老け込んだようじゃの。木国」

 

「そういう貴女は変わらないわね」

 

「連中の小言で耳が腐るかと思うたわ。あの婆共、くっさい香水を振りまきよってからに」

 

 軽く愚痴を溢し、海桐花は本題に入る。

 

「して、術式の開発は如何程じゃ?」

 

「そうね……参考資料が映像のみで他の事例がないから、結界の強度だけを追求することにしているの。起動に時間は掛かるけども」

 

「追跡は?」

 

「貴女の所と同じよ。全く感知できないの。まるで虚ろの様」

 

「虚ろ。か……」

 

 その言葉を聞いて、海桐花は口を閉ざした。

 通常、捜索には『桃』の能力で行われる。その探知方法は千里眼などの物理的な物から、気や、気配、或いは霊気と言った抽象的なものを探知する方式がある。

 現状、千里眼の能力を持つものは遭難者の捜索の為に魔都に常駐している人員以外には数人。それも広範囲の探索は向かない。

 反対に霊気等を探索しようにも、彼の個体はその一切を持たないのだ。

 唐突に表れ、また何処かへと消える。残るのは圧倒的な膂力による戦闘跡。

 

「フム…………のう、木国。特異個体という名は堅苦しいと思わぬか?」

 

「それが役所の仕事だと思うのだけれど……?」

 

「いーや! 此方は呼びづらい! 魔防隊総組長である此方が呼び辛いのじゃ! 名称を変えるべきであろう!!」

 

 海桐花の横暴に嘗ての光景を思い出しため息を吐きながらも微笑を浮かべる。

 

「そう、貴様の『虚ろ』という言葉から取って、特異個体を『(ホロウ)』と呼ぶ! ウム、一文字で判り易い! 魔防隊に帰ったら早速全隊員に通達するとしよう!」

 

「それならばこちらにもその情報くーださーいな」

 

 海桐花の発言の後に、背後から声が掛かる。振り返ると一色和美がそこにいた。

 

「おお、一色!」

 

「どうも、一色ちゃんですよ~」

 

 ニコニコと細めを更に細めながら一式が近づく。

 

「此度は助かった! 今後もよろしく頼む!!」

 

「イヤイヤ、お人が悪いですねぇ。態と私に情報を流したの、貴方じゃないですかぁ~」

 

「はて、何のことかの?」

 

 クク、と笑みを浮かべる海桐花に一式がスーツの内側から茶封筒を取り出し、差し出した。

 

「こちら、今度新しく開店するスイーツ店の無料券です。どうぞ」

 

「おお! 今度冥加も加えて向かうとするかの……しかし渡し方どうにかならんか」

 

「そのまま渡してしまうと、ほら、私の胸で皺が付いたり歪んだりしてしまいますから」

 

「当てつけかお主」

 

 無言で一色が胸を反らす。スーツで押さえつけている主張の激しい胸が揺れた。

 未だに幼児のような体形の海桐花は先ほどの議員たちの様な表情をしつつも、封筒を受け取る。

 

「して、連中の背後は洗えておるのか?」

 

「ええ、バッチリ。今度の定期報告会で顔ぶれが変わると思いますので、お楽しみに~」

 

 一色は手を振りながらその場を去った。

 再び二人きりになる。

 最初にくちを開いたのは海桐花からだった。

 

「お主もいい加減休息を取れ。ホレ」

 

 封筒からきっちり3人分ある無料券の1枚を差し出す。

 

「……そうね。今回の一件の事もあるし、開発もひと段落したら連絡するわ」

 

 木国はその券を受け取ると、今度こそ二人して魔都へ帰還するのだった。

 

 

 

 一週間後、醜鬼「特異個体」は正式に名称を変え、以降奇しくも彼の者が存在する時空と同じ「(ホロウ)」という呼称で呼ばれることとなった。




一色和美:非能力者。内閣直属の情報部部門長。クッッソエリート。怪しい動きをする議員やら政党のあれこれを探ったり、魔都の情報を直接総理に伝えたりしている。ショートヘア、糸目でデカパイ。趣味はヒモ男を飼育すること。家に帰ることは殆どないが、帰ったらヒモ男に癒してもらうのが最近のトレンド。

特異個体捜査本部の組員ちゃん:関係者として呼び出され色々怒られた人。総組長のせいで書類を訂正しまくらなきゃいけなくなった。今度の長期休暇でストレス発散として男漁りする予定。

・主人公
現在地:埼玉県大宮市の駅チカのマンション。


 唐突なアンケートですが、話の展開が3つあってどれにしようか悩んでいたので読者の皆様に丸投げする形で決めようと思い設置しました。現状、奴隷化はナシが多い為、そちらの方向で進めていきます。ご協力ありがとうございました。また唐突にアンケートを投下することがあるかもしれませんので、その時はまたご協力お願いします。

主人公の奴隷化(原作主人公は消えます)

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