全くありふれてない職業HEROは地上最強   作:びよんど

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キングと呼ばれる男が異世界に転移するって話です。
ネタバレするとこの回くらいですね、レイタロウが苦戦するのって(笑)


プロローグ
十九王目 王の転移


 

 

<<< A市 >>>

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

ここは超大陸にあるA市と呼ばれる大都市。

人類に仇なす人外の化け物、通称怪人と戦うヒーロー達の本拠地が置かれたこの街の一角で、人間離れした戦闘能力を誇る両雄が相対していた。

 

 

「……ガロウ君、くれぐれも周りを巻き込むなよ」

 

 

自分達を取り囲む群衆の心配をしたのは、怪獣の背鰭のようなモヒカンが特徴的な身長260cmもある大巨漢。

〝王〟の一文字が刻まれた白い上着を風に靡かせながら、燃え盛る炎のような赤い瞳で目の前の好敵手を睨む。

 

 

S級6位 キング

 

 

地上最強の男、あるいは最高のヒーローとの呼び声高い、暴れさせてはならない狂った怪物に挑むのは―――

 

 

「っ……へっ、俺がそんなヘマをするか!!」

 

 

……ガロウと呼ばれた今は学生服を身に纏う白髪の青年。

その無駄の一切ない引き締まった肉体には、師バングに叩き込まれた受けの極致の武術、流水岩砕拳が刻み込まれている。

 

常人どころかS級ヒーローと比べても抜きん出た才能と強さを宿すガロウだが、その表情・雰囲気からは強さに溺れ慢心する様子は微塵も感じられない。

 

 

「(100回目の正直だキング!今度こそ俺が勝つ!!)」

 

 

何度も挑んでは何度も地を舐めさせられた。

たった一度も勝利をもぎ取ること叶わず、敗北を積み重ねるごとにどれだけ悔し涙を流したことか。

 

だがそれも今日で終わる。

白髪の青年は勝利へと至る確信を胸に王へ挑む。

 

 

「「 ………っ 」」

 

 

キングは不動の姿勢のまま。

ガロウは不敵な笑みを浮かべながら隙のない構えを取る。

 

 

しっ!!!

 

 

先手を取ったのは―――ガロウ。

あっという間にキングの懐に潜り込み、必殺の掌底を土手っ腹に叩き込んだが、すんでのところで回避され不発に終わってしまう。

 

掌底の衝撃が十全に届く残り数mmでの紙一重の回避。

半身をズラしてガロウの攻撃を躱したキングは、カウンター気味にダウン必至の〝普通のパンチ〟をガロウの顎に当てる。

 

 

「(……学習しない奴め)」

 

 

ガロウの戦いぶりを見て思わず呆れたのは、キングの一番弟子である全身サイボーグの青年ジェノス

隣で(キング)の戦いぶりを観戦するサキをよそに、ジェノスはガロウの突進戦法を内心酷評していた。

 

 

「(俺との戦いで何の反省もしなかったようだな。真っ直ぐな攻撃を否定するつもりはないが読まれては元も子もない。終わったな―――)……ッ!!?」

 

 

その瞬間、ジェノスは目の前の光景に驚愕を露わにする。

 

 

「油断大敵、だぜ……?」

 

「……マジかっ……!」

 

 

顎にカウンターを貰った瞬間横に高速回転して衝撃を散らしつつ、キングのガラ空きの膝に蹴りを食らわせ体勢を大きく崩してみせたのだ。

ガロウの予想外の行動はキングの反応を僅かに上回り、盛大に尻餅をつかせることに成功する。そして、その好機を見逃すガロウではなかった。

 

キングが抵抗するより素早くマウントポジションを取ったガロウは人類史上初とも言える()()()()()()()()()快挙に自然と口角を吊り上げていた。

 

 

「待ってたぜぇ〜?この瞬間をよぉ〜〜?

オラァ!地獄の始まりだ死ねぇぇぇ!!

 

 

ガードを固めるキング。

その守りの上から容赦ない猛撃を加えるガロウ。

 

 

「(こんなチャンスは二度とねぇ!!殺す気でぶん殴り続けてこのまま押し切り勝つ!!)」

 

 

物凄く悪い笑顔を浮かべながらキングの腕を殴り続けるガロウ。一切の反撃も許さないよう大技ではなく通常パンチを連続で当てて攻め立ててゆく。

 

 

「(俺は勝つんだ!勝って俺が〝絶対悪〟であると世に知らしめてやるんだ!!)」

 

 

加速度的にラッシュの勢いが増す。

あまりにも固すぎる(守り)だが、何物にも耐久限界がある。

 

流水の如き動きでキングを翻弄し続け、僅かな隙が出来れば激流の如き一撃を加えて少しずつ突き崩してゆく。

 

そうして生まれた針の穴よりも小さい最初で最後の勝機。

 

 

「(勝つ!勝つんだ俺は!勝つ勝つ勝つぅぅぅ!!!)」

 

 

目の前にぶら下がった勝機を前に、ガロウは大技を繰り出すことを決意する。

左手で流水岩砕拳、右手で旋風鉄斬拳を繰り出すその大技は、怪人協会幹部の一人であるゴウケツの首を抉り取った必殺の拳―――

 

 

交牙竜殺拳!!!

 

 

通常、単独では成し得ない連携奥義を単独で習得してのけていた稀代の天才ガロウ。

先程の通常攻撃とは比べ物にならない壊滅的な威力が込められた技がキングに迫る。

 

キング、万事休すか―――

 

 

キングエンジン・衝撃(インパクト)

 

 

ドッ!

 

 

……否、そうはならないのがキングだ。

 

 

「(な……んで…いつの間に……俺…()()()……ッ!?)」

 

 

ガロウは先程までキングをタコ殴りにしていた。

それが何故()()()()()()()()()()()のか……?

 

原理は簡単、キングが戦闘態勢に入る際に放つキングエンジンの爆裂音をそのまま衝撃に変換して()()()撃ち放ったのだ。

組み付いてくる相手を強制的に引き剥がす緊急脱出技としても機能する。

 

機神G4を打ち倒したこの技によって意識を一瞬失うほどの大ダメージを食らったガロウ。

辛うじて人ごみのない場所に着地することに成功したものの、よろよろと覚束ない足取りであるところを見るに立っているのもやっとな状態であるのは誰もが理解できた。

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

「(ヤ、ヤバかった〜(汗)咄嗟に抜け出せたから良かったけど、あんなのマトモに食らったらタダじゃ済まないよホント〜!!)……周りを巻き込むなと言ったはずだ」

 

「(衝撃が骨の髄まで響きやがる……!)……へっ、そりゃあ悪かったな!テメェを相手にすると加減が効かねえもんでよ!!」

 

 

もはや同じ手は通用しないだろう。

そもそもキングにあのような緊急脱出技がある時点で組技や寝技の類は意味を成さない。

 

 

「(心技体どれを取っても俺の遥か上を行きやがる。この怪物に勝つためにはどうすればいい……!?)」

 

 

※自分よりよっぽど洗練されている。

 

パワー

※底が知れない。

 

スピード

※目で追えない。

 

工夫

※奇想天外。

 

手数

※数百通りのパターンを編み出している。

 

卑怯さ

※向こうのほうがよっぽど狡猾。

 

 

「(……いや、どうすりゃ倒せんだ……!!?)」

 

 

手合わせするごとに確実に強くなっているガロウ。

そんな彼以上にキングの成長速度はずば抜けていたのだ。

ガロウの目には、キングが実物以上の巨大な怪物のように映って見えていた。

 

 

「(だからどうした!?俺は勝たなくちゃならねぇ……!負けっぱなしなんて死んでも御免だぜ!!)」

 

 

圧倒的不利?……上等だ。

絶望的戦力差?……覆してみせる。

不可能?……クソ喰らえだ。

 

 

「……ぅぉおおおお!!ガロウの奴スゲー!!」

 

「キングさん相手に一歩も引かないぞアイツ!?人間じゃねー!!」

 

「がんばれガロウマーン!!」

 

 

ヒーローショーをしてるワケじゃないと群衆に内心毒づくガロウ。

……そんなくだらない応援の言葉で立ち上がる元気が湧き上がってしまう自分自身にも怒りを覚えていた。

 

 

「……次で最後だ」

 

「っ……上等だ……!!」

 

 

たった一度の攻撃で限界を迎えつつあったガロウを労るようにキングが静かに構える。

ガロウはキングの構えに師バングの面影(※死んでないどころか元気です)を重ね合わせていた。

……というより構え方が全く同じであった。

 

 

「(そういや一時期ジジィのところで世話になったとか一番弟子(チャランコ)(笑)が言ってたな。つまりは俺の武術すらも習得済みってことだ―――)」

 

 

心が折れそうになる。

もう諦めたくなる。

投げ出したくなる。

 

 

「(……ありがてぇ!!俺はとことんツイてるぜ!!

いつだって限界という名の壁が行く手を遮る!その壁を乗り越えるごとに俺は一歩〝絶対悪〟に近付けるんだ!!この壁から、俺は絶対に下りねぇぞ!!)」

 

 

……何を今更、キングがたった一度でも手心を加えてくれたことがあったか?

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

諦めを放棄した時点でガロウが突き進む道は二つに一つ。

 

無残な死か―――

 

 

ブルァァァァァァァァァ!!!

 

 

ゴスッ

 

 

……()()()()()()生か。

 

 

「……ク…ソ……次こそ…ぜってぇ――――――」

 

 

キングの放った正拳突きは吸い込まれるようにガロウの鳩尾に激突し、彼の意識を強制的に刈り取るに至る。

呆気なく終わりを告げた激闘だったが、キングも、ジェノスも、サキも、群衆すらも、ガロウの健闘ぶりに惜しみのない賛辞と拍手を送った。

 

結果だけ見れば圧倒的強者が()()()弱者に危なげなく勝った構図となる。事実そうだ。

 

しかし、誰がガロウを馬鹿に出来よう?

 

群衆の中には、ガロウがどれだけキングと戦いそのたびに地を舐めさせられたか知っている者もいる。

彼は、悔し涙を飲み血の滲む決死の努力を重ね続け、僅かとはいえ()()キングと渡り歩いたのだ。

 

 

「……ガロウ君、君は怖く、そして強い」

 

 

勝たなければ意味がない?……それはそうだ。

勝者は全てを手にし、敗者は全てを失う。世の常だ。

 

……その論に従うならば、キングの惜しみのない賞賛も意味のないものに落ちぶれてしまうのだろうか?

 

 

「君はもっともっと強くなるよ。必ず……」

 

 

これだけはハッキリと言える。

 

意味のないことなど、この世にはないのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……ハァ〜やれやれ、ようやく終わったよ。

 

それにしても凄いなガロウ君は。

最初完全に不覚を取っちゃったよ。

 

 

「師匠、お見事でした」

 

「いや〜最初どうなるかとヒヤヒヤしちゃったよ〜」

 

「ジェノス、サキ氏……悪いね、心配させちゃって」

 

 

そうなのよ、マジでガロウ君強くなってるからさぁ、これから筋トレのメニュー内容を見直さないと……。

 

おっと忘れちゃいけない、治癒治癒っと。

肋骨が複雑骨折してるな。全身の筋肉にも(ヒビ)が入ってるからちょちょいと修復してと……よしオッケー治ったぜ。

 

 

「ジェノス今何時?」

 

「今は―――もうすぐ正午ですね」

 

「よーし分かった、ちょっとこれからA市立高校に顔出してくるよ」

 

「えっ、師匠がですか!?」

 

 

当然でしょ?

誰が気絶したガロウ君を担いで連れてくの?

これはもう俺が責任持って連れてくしかないって。

 

 

「そのような雑事は俺がやります!師匠が手間をかけるほどのことでは―――」

 

「いや、ガロウ君を気絶させた責任はキチンと取らなきゃならないからねぇ。大丈夫大丈夫、学校まで連れてったらすぐ戻るから、君達は先に帰っててちょうだいよ」

 

「……そういうことでしたら、分かりました。学校には俺のほうから事情を説明しておきます」

 

 

渋々って感じで、なんだか悪いねジェノス。

俺も大人だからさ、責任は取らなきゃヒーローどころか社会人も名乗れないのよ。

 

 

レイタロウ氏」

 

「ん、なんだいサキ氏?」

 

「また後でね」

 

 

……ふふっ、急に改まっちゃって。

どうしたんだろーねサキ氏は?

 

 

「うん、また」

 

 

さ〜てと、もう正午ってことはお昼の時間なワケだ。

ちょっと急ぎ足で行くかなぁ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<< A市立高校 >>>

 

 

……はい、ということで着きました学校です!

かぁ〜懐いなオイ、高校なんて七年ぶりだぞ?

 

 

「ね、ねぇ、あの人って……!」

 

「間違いねーって、あの人は……!」

 

「「「「 キングさん!!? 」」」」

 

 

あ、ごめんなさいね校門の前で陣取っちゃって。

あまりの懐かしさに感傷に浸っていただけなんです本当ですよ?

ちょ、ちょっと、これはアレだ、久しぶりの学校を前にしていつになく緊張するアレだなコレはぁ……!

 

えぇ〜い、ままよ!と敷地に入る。

 

 

「地上最強の男キングさんだァァァァァァ!!?」

 

「パチモンじゃねー、本物だーっ!!」

 

「サインください!オナシャス!」

 

「どうやったらキングさんみたいに強くなれますか!?」

 

「「「「 キャー!キャー!♡ 」」」」

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

……勘弁してくぁさい。

そんな……こんな俺を皆で取り囲まないで……!

俺は今ガロウ君を担いでいるんだよぉ!!?

あぁもう!すっかり人ごみにホールドされちゃった!

あのさぁ!君達さぁ!お昼時間なんだから昼飯でも食べてなさいよもー!!

 

 

「これはいったい何の騒ぎ―――キングさん!!?」

 

「……どうも、アイコ先生」

 

 

ベストマイフレンド、ちみっこ教師で俺と同い年のアイコ先生が駆け付けてくれた。

 

助かったぜマイエンジェル、さぁ俺を助けてちょ。

 

 

「ジェノスからそちらに連絡が来たと思います。ガロウ君を連れてきたので起きるまで保健室で寝かせておきたいのですが案内してもらえますか?」

 

「……は、はいッ!こちらでひゅ!(//////////)」

 

 

そんな……俺より緊張している演技をすることで俺の緊張を緩和するという超高等テクニックですかソレは!?

……はい、普通に噛んだだけですね。めんご。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

メッチャ黄色い声を浴びながらスタコラサッサと校内の廊下を歩く俺(+α担がれるガロウ君)とアイコ先生。

っていうか天井こんなに低かったっけ?俺のモヒカンが(ほうき)みたいに天井のホコリを払ってんだけど……。

 

無事保健室に辿り着き、養護教諭の方をびっくらポンさせながらもなんとかガロウ君をベッドに寝かせておいた。

 

さてと、名残惜しいけどそろそろ帰るかな。

 

 

「……もう少し見学なさっていきますか?」

 

「えっ、いや、これ以上はご迷惑でしょう……?」

 

「あっ、いえいえ!……随分と懐かしそうに校内を見ておられたので」

 

「……ハハハ、すみません。出身はM市なんですが、学校を見ると懐かしくなってしまってつい……」

 

 

ホント、このセンチメンタルな気持ちは何なんだろうね?

ほんの七年前のことなのに……。

 

 

「……今はお昼の時間ですから、どうぞお好きなところを見て回ってください」

 

「……えぇ〜と、それじゃあお言葉に甘えて、ガロウ君の教室でも見ていきますかね!」

 

えっ!!?

 

 

えっ(汗)……何なの何なの、アイコ先生物凄くバツの悪そうな顔してるけどなんか不都合でもあるの……?

目が泳ぎまくって……何かあるなら行かないッスよ?

 

 

「あ、い、いえ、だ、大丈夫だと思います……たぶん

 

 

……そう?大丈夫なのね?

俺アイコ先生を信じるからね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こ、ここがガロウ君の教室になります……(汗)」

 

 

アイコ先生、その顔色を見れば俺でも分かる。

この先に俺にとって不都合な何かがあるんでしょ?

……でも、ここまで案内させといて中の様子を見ないワケにゃあいかないよね。

 

えぇ〜い、ままよ!(Part.2)ガラッ

 

 

「お昼それだけなの?……ダメだよちゃんと食べないと!

私のお弁当分けてあげるね!」

 

「い、いや、僕は大丈夫だから―――」

 

 

随分と賑やかな教室の中、そこはかとなくサキ氏と雰囲気の似た、オタッキーな感じの黒髪の少年と目が合う。

俺の存在にいち早く気付いたその少年は、しばらくフリーズした後ようやく理解が追いついたのかその目ん玉をカッと開いて声にならない声をあげた。

 

 

「っっっ〜〜〜〜〜〜!!?!!?!!?」

 

「どっ、どうしたのハジメく、ん―――」

 

 

次いで、見た目の可愛い黒髪の女の子も俺の存在に気が付き、同じようにフリーズしちゃったの。

 

 

「そ、んな、そんな、嘘、嘘……!」

 

 

えっ、ちょ―――泣いちゃった。

 

初顔合わせのはずなのに女の子を泣かせちゃった。

俺はなんて罪な男なんだ……(責)

 

 

「キ、ング……?」

 

「嘘、なんでここに……?」

 

「マジかよ……本物なのか……」

 

 

続々と俺の存在に気付き始める教室の子達。

困惑、驚愕、恐怖、好奇―――色んな感情が綯い交ぜになっておる。

ん〜と、どこがガロウ君の席なのか分からんなコレじゃ。

 

 

「キング……キングゥゥゥゥゥゥ!!!

 

 

んぇ?誰このイケメンボーイ?

ズカズカと足音を立てながら近付いてきて―――

 

 

よくもぬけぬけと……この怪人がァァァ!!!

 

「っ、やめてくださいコウキ君!!」

 

 

はい、目で見てキャッチ余裕です。

ちょっとちょっと、急に殴りかからないでくださいよぉ。

……ん?なんだこの拳の感触。これは―――

 

 

「放せ!穢らわしい手で俺の攻撃を受け止めるなッ!

この恥晒しがッ!蛆虫以下の害獣がァァァァァァ!!」

 

「……君、体を機械化してるのか?」

 

「そうだッ!全ては貴様という〝悪〟を滅ぼすためッ!!俺はどんな悪にも侵せない絶対の正義の力を手に入れたんだッ!!だからその手を放せェェェェェェ!!!」

 

 

ちょっと見てて心配になるなぁ……。

ざっと『気』で視てみたけど、この子随分と危険なレベルにまで体を弄られてる。

手足は勿論のこと背骨や脳の一部にまで……いっそ改造するならジェノスくらい徹底的かつ完璧に改造しないと。

 

 

「やめなさいコウキッ!!」

 

「やめろコウキッ!!」

 

 

ポニーテールのクールな女の子と大柄な青年が止めに入ってくれた。

あっ、でもちょっと待って。今はヤバいかも。

 

 

「よいしょっと……」

 

「グギッ!?」

 

 

合気の要領で手を掴んだままコウキ君とやらの両膝をつかせ無力化しておく。

 

危ない危ない、まさか掌から光線をぶっ放そうとは。

すんでのところで〝適応〟できて良かったぁ。

取り敢えず抵抗できない程度にエネルギーを吸い取っておかないとね。また暴れると厄介だからしょうがないね。

……いや、むしろ俺のほうが厄介を持ち込んでるな。

早う立ち去らねば。

 

 

「……すみませんアイコ先生、どうやら俺は厄介者だったようで、このまま失礼します」

 

「そ、そんな、謝るべきは私のほうです!なんとお詫びをしたら良いか……!!」

 

「お詫びは結構、代わりにそこのコウキ君が目覚めたらこう言ってあげてください。

〝今ならまだ引き返せる、元の体に戻りたいならいつでも力になる〟とね」

 

 

これは紛れもなく本当。

俺の力をもってすればコウキ君は元の肉体を取り戻せる。

後は彼次第、助けられる用意が出来ていれば完璧だ。

 

よし、んじゃまぁ帰るとするかな。

いつまでもサキ氏やジェノスを待たせるワケには―――

 

 

「………………………えっ?」

 

 

突然俺の足元に白く輝く円環と幾何学模様が現れた。

この異常事態に教室にいた周りの生徒達もすぐ気が付いたけれど、全員が金縛りにでもあったかのように輝く紋様(魔法陣っぽいもの)を注視する。

 

その魔法陣は徐々に輝きを増していき、一気に教室全体を満たすほどの大きさに拡大した。

……って、見入ってる場合じゃねえ!!

 

 

全員逃げろぉ!!!

 

 

でも、全てが遅かった。

魔法陣の輝きが爆発したようにカッと光ったのだ。

 

俺達は光に包まれ―――消えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

この事件は白昼の高校で起きた集団神隠しとして大いに世間を騒がせるのだが、それはまた別の話。

 

キングさん、異世界行くってよ(笑)

 




あらすじにも書いたように、ありふれ世界線が〝ワンパンマン:REY〟の正式続編です。
色んな分岐路がありますが、これが基本設定であるとご承知いただければ……。

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