全くありふれてない職業HEROは地上最強   作:びよんど

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ぽこポケにハマって執筆が進まなかった、こんな頭ポケポケな作者をどうか笑ってくれ……。
でも流石にラクーンシティは無理だよ……。

それではどうぞ。


九礼目 色々と語らおーぜ!

 

 

<<< 真の〝オルクス大迷宮〟 >>>

 

 

「どうよアレーティア、カレーは美味しいだろう?」

 

「……美味しい」モグモグ

 

 

リスみたいにモグモグとカレーを頬張るアレーティアを見ながらついホッコリする俺ことキングは、吹きこぼれて中身がちょっとだけ少なくなった鍋のカレーを、あらかじめ皿によそっておいたパックご飯の上にかけて召し上がっている真っ最中であった。

 

燦然と輝く鉱石の星々に見守られながら食べるカレー。

……う〜ん、落ち着かない!

 

そこでふと、アレーティアがこちらを不思議そうに見つめていることに気が付く。

 

 

「……レイタロウ、どうしてここにいる?」

 

「……やっぱり気になっちゃう?」

 

 

頷くアレーティアに俺はどう説明しようかと思案する。

 

彼女の疑問ももっともだ。

ここは奈落の底、正真正銘の魔境であり魔物以外の生き物がいていい場所ではない。

 

 

「……気になることはまだある。レイタロウはどんな世界にいたのか、どうやってこの世界に来たのか、どのくらい強いのか、そんなに小さな荷物入れからどうやって大きな荷物を取り出したのか、聞いちゃダメ……?」

 

「聞いちゃダメなんてことはないさ。……ただどうやって説明しようか、やっぱり最初から順を追って話したほうがいいかな……」

 

「……聞かせて」

 

 

期待に目を輝かせながらアレーティアは、俺がどんな話をするのか待っている。

そんな期待するほど面白い人生じゃないけどね……。

 

 

「……まず、俺が元いた世界はこの世界より文明が発達したところだと思ってね?魔法の代わりに魔法のように発達した科学が台頭する便利な世界、そこが俺の故郷さ」

 

「……科学?魔法自体はないの?」

 

「あるかもしれない、けれど俺が知る範囲では魔法なんてものは世間一般的には存在しないんだよ。

魔法もこの世界で初めて手に入れたくらいだしぃ」

 

 

身を乗り出しながら聞き入るアレーティア。

そんな世界があるのかと興味津々そうだ。

 

 

「後は……そうだそうだ、俺が元いた世界には〝怪人〟っていう人類の天敵がいるんだよぉ」

 

「……怪人?魔物みたいなもの?」

 

「当たらずとも遠からずかなぁ。……何せ怪人の中には普通の人間が化け物に転じるタイプもいるからねぇ。

そういう意味では、この世界の魔物も怪人の括りに入れても特に問題ないかもしれないねぇ……」

 

「……怪〝人〟なのに?」

 

「と言うか、人類社会に害を及ぼす悪意ある敵性存在を怪人って一括りにしちゃってるから……無数の毒虫の集合体や巨大隕石なんかを怪人災害なんて呼んでるくらいだし、そこら辺はいい加減なのよ」

 

 

俺の話を聞いたアレーティアは、難しそうな表情を浮かべながら何やら思案している。

やがて意を決したようにこんなことを言い出した。

 

 

「……人間じゃない私も、怪人って呼ばれる?」

 

「えっ、なんで?」

 

「……私は吸血鬼族だから」

 

「……あー、なるほどね、そっかそっか。

それをあーだこーだ言う前に〝ヒーロー〟について説明しておこうか」

 

「……ヒーロー、ちょくちょく話に出てた、あの?」

 

「そっ、まずアレーティア、君は人間と怪人の違いは何にあると思う?」

 

「……人の心があるかどうか?」

 

「うん正解。……力に溺れて悪に堕ち、優しさと痛みを忘れた存在が怪人に成る。

……それじゃあ問題、そんな怪人が蔓延る世界でヒーローとは一体なんなのか答えてみよ。ヒントは俺」

 

 

悩む素振りも見せず即座に口を開くアレーティア。

 

 

「……人の心を失わずに化け物になった人」

 

「正解。……補足すると怪人とヒーローの力の根源は同じであると俺個人としては思っていてね、力に溺れず悪に堕ちず、人の心を保ったまま怪人以上の力を持つ存在を世にヒーローと呼ぶんだよ。この考えに当て嵌めればアレーティアは怪人じゃなくヒーローなんだと俺は確信してる」

 

「……ん」

 

 

素っ気なく返事したけど俺には分かる。

化け物じゃないと言われただけでスゲー嬉しそうにしてるんだもん、こっちも嬉しくなっちゃうよ。

 

 

「んで、俺は仕事として怪人と戦うプロヒーローなの」

 

「……プロヒーロー、もしかしてレイタロウ以外にもプロヒーローはいる?」

 

「そりゃあね、たくさんいますよ。……人助けをしたり怪人を倒したりしてお給金を貰いながら生活してるのさ」

 

「……レイタロウはどのくらい貰ってる?」

 

 

どのくらいって……そりゃ超高級タワマンで悠々自適に暮らせるだけの額を頂いているワケだけども。

〝強化訓練〟を抜きにザッと計算して、大体月一億を下回ることはないはず……。

 

 

「こういうと嫌味かもしれないけど、お貴族様みたいな生活ができるくらい稼いでいるよぉ」

 

「……レイタロウを見てればそこら辺の貴族とは背負っているものが違うって分かる」

 

「あんまし言いふらさないでね?……ほかのヒーローが俺みたいに多く貰ってるってワケじゃないからさ」

 

「……優しい」

 

「この世知辛い世の中を生き抜く秘訣だよ。

これで俺が元いた世界のことはザッと分かったかな?」

 

「……ん、次にどうやってこの世界に来たのか教えて」

 

 

それはもう、そちらの世界のクソみてぇな神様がこっちの都合も考えず誘拐同然に転移魔法を仕掛けてきたからですと懇切丁寧に教えてあげた。

その時、その場にいたほぼ赤の他人同然の子供達も巻き込まれたと言い添えて。

 

 

「こう言っちゃアレだけど、俺も一緒に転移に巻き込まれたのは不幸中の幸いだったかもしれない。

クラスの子達に稽古を付けたり、何より君を救い出すことが出来たワケだしね」

 

「……それだけはエヒトルジュエに感謝」

 

 

まっ、何事もないのが一番なんだけどね!

でもそうなるとアレーティアを救い出せないし……色々面倒だなこりゃあ。

 

 

「……帰るの?」

 

「元の世界にってこと?そりゃあ帰りたいよ。

向こうには妻や大切な人がいるんだ、俺は故郷に帰らなくちゃならない、必ずね……」

 

「……そう」

 

 

アレーティアは沈んだ表情で顔を俯かせる。

そして、ポツリと呟いた。

 

 

「……私にはもう、帰る場所、ない……」

 

「あれ、一緒には来ないの?」

 

「え?」

 

 

俺の言葉に驚愕を露わにして目を見開いたアレーティア。

そんなに驚くことかなぁ……?

 

 

「俺の故郷にさ、来ないのかって話だよ」

 

「……いいの?」

 

「まぁ普通の人間しか受け入れられない世界だけど、暮らせば割とどうにかなるし、なんなら普通じゃない人間もそこそこいるから人間らしくしていれば命を狙われることもないし、戸籍くらいなら俺の権限で何とかなりそうだし、あくまで君が望むなら、ね?」

 

 

しばらく呆然としていたアレーティアだったが、理解が追いついたのかおずおずと遠慮がちにこちらを見つめる。

その瞳には隠しきれない期待の色が宿っていた。

 

キラキラと輝くその瞳に向けて鷹揚に頷くと、今までの無表情が嘘のような、満開の花が咲いたような微笑みをアレーティアは浮かべた。

……いかんいかん、俺は見惚れてないんだからね!?

 

 

「さ、さてと、次はどのくらい強いのかだったねぇ」

 

「……とっても気になる」

 

「これは実際目にしてもらったほうが早いな。

というワケでアレーティア、十分休憩できたかい?」

 

「……ん、すぐ支度を済ませる」

 

 

おっとおっといけねぇ、アレーティアまだ俺の上着しか羽織ってなかったわ。

女の子の大事なところがチラチラ見えておるぞい。

恥をかかせるワケにはいかないねぇ!!

 

 

「ちょい待ち、いま服を()()()あげるから……」

 

「創る?………………ッ!!?」

 

 

ドッドッドッドッドッドッ

 

 

両手に『気』を集め、アレーティアの体のサイズに合った服を一心に想像(イメージ)し、創造(クリエイト)する。

 

変化は急激に起こった。

掌からドロリとした粘体のようなものが発生し、それが俺の意志を反映するように緻密に編み込まれていく。

 

 

「……嘘、魔力を別の物質に変換しているの……!?

魔法陣もなく、魔力操作だけで……!!」

 

「正確には気功操作って言うのかな?……まぁそれはそれとして、もう少しで出来上がるよ」

 

 

俺の拳ほどの大きさの黒くドロっとした粘体、これはかつてA市を襲った〝暗黒盗賊団ダークマター〟の宇宙船内にあった物質を俺なりに改良した代物である。

 

 

「ほいアレーティア、これに魔力を流しながら衣服をイメージしてみて」

 

「……う、うん」

 

 

唐突に手渡された黒色の粘体に戸惑いながらもアレーティアは魔力を流していく。

 

そしたらあらビックリ、黒色の粘体はアレーティアの全身に纏わりつき、徐々にその形をミニドレス型に変容させてしまったではあ〜りませんか!

 

 

「……す、すごい、これって……?」

 

「一度触れて〝適応〟を済ませたモノなら、『気』を媒介にどんなものであろうと創り出すことが出来る。

今回は特定の刺激を受けることで形状を変化させる粘体型戦闘服〝スライムスーツ〟を創ってみたよ」

 

「……ずっと魔力を通してないと形が崩れる……」

 

 

やっべ、渡す順番間違えちゃったわ(汗)

 

 

「ごめんごめん、そのスライムスーツは何らかの刺激を加え続けないとすぐ形状を維持できなくなるんだよ。

スライムスーツの下に普通の衣服を着るのがセオリーだから、今からすぐ創るね?」

 

「……魔力操作を鍛えるのにちょうどいいからこのままでいい」

 

 

このままでいいとは言うものの、流石にそれだけではエッチィすぎるため簡素ながらも別の衣服一式も創っておきました。

 

……奈落に落ちてから大体二時間経ったかな?

そろそろ探索を再開するかね……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<< 宿場町〝ホルアド〟 >>>

 

 

「クソッ、クソッ!……なんでこんなことに……!!」

 

 

夜、薄暗い町の一角にて(うずくま)る影が一つ。

 

その影は何がそんなに気に食わないのかブツブツと恨み言を呟き続けており、周囲の暗さも相まってその様は幽鬼を彷彿とさせる。

 

 

「(あぁクソッ、なんで、なんでなんでなんで、なんで僕のコウキ君がいなくなっちゃうの……?

こんなのあり得ない、嘘だって言ってよコウキ君!!)」

 

 

今日実施されたオルクス大迷宮での訓練を思い起こしながら影は、その時起こったあまりにも予想外すぎる出来事に思わず歯噛みしていた。

 

 

「(……キング、あの男がコウキ君を攫ったに違いない。キングはクラスの連中の意志を尊重してコウキ君を奈落に引きずり込んだんだ……!!)」

 

 

ふつふつと怒りのマグマを滾らせ、イカれた思考回路で冷静に状況分析する影は、クラスの中心的人物コウキを攫った犯人をキングと決めつけていた。

 

決定的な証拠など一つもない、謂わば疑わしきは罰せよのメンタリティで真実と断定した推測は、図らずも正確に事実を言い当てていた。

 

 

「(クラスの連中のあの解放されたような晴れやかな表情は何?……お前らはコウキ君に管理されてるほうがよっぽど幸せだろうが、ふざけるな……ッ!!)」

 

 

……コウキがクラスメイトにとってどんな存在と化しているか、影も勿論承知していた。

()()()()()()()()()()()()()()()()()影にとって元の世界での生活はある意味完成されていたのだ。

 

 

「(……まぁそれもこれも〝ネオヒーローズ〟の協力ありきなところはあるけどね。そのネオヒーローズがいないこの世界で僕が打てる手はあまりにも少ない……!)」

 

 

元々()()()()()()()()キングに憧れてネオの門戸を叩きサイボーグ化施術を受けたコウキであったが、A市で起こった宇宙船騒動を経てキングの反転アンチと化したことは影にとって嬉しい誤算であった。

 

だからこそコウキに吹き込んだ言葉は効果的だった。

 

 

「(()()()キングが助けた人達には怪人化を誘発させる因子のようなものが埋め込まれている、彼らはもはや人としては死んだも同然〟……な〜んて根拠のない嘘をアッサリ信じてくれたおかげで思っていた以上に理想的な状況になった。まさか自分の家族を殺しちゃうなんてね♪)」

 

 

くつくつとコウキの愚行を笑いながらも、そんなコウキを愛せるのはやはり自分しかいないと影は愛おしげにキングに連れ去られたコウキを想う。

 

 

「(コウキ君……♡どれだけ遠くにいようと君の体をメンテナンスできるのは僕だけなんだ。僕だけが君を分かってあげられる。僕だけが君に相応しいんだよ……♡

……だから必ず取り返してみせるよ。キングの魔の手から……ッ!!(゜∀。)アヒャヒャ…)」

 

 

頭上の月とコウキを重ね合わせながら影は希う。

 

その顔は不気味なほどに歪んでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<<< 翌朝 >>>

 

 

キングとコウキが行方不明になってから翌朝、宿に併設されている食堂にてバイク好きの少年ノボルは朝食をつつきながら隣に座る友達に話しかけた。

 

 

「なぁ聞いたかアツシ?」

 

「何をだよ?主語が欠けてんぞ」

 

「いやだから、ハジメが迷宮攻略から一抜けてアイちゃん先生に付いていったって話だよ」

 

「あぁそれ?もう聞いてんよ、ここにいる連中は」

 

 

アレそうなの?とノボルが食堂中を見渡すと、うんうんと頷きながらカオリシズクリュウタロウ達は朝食を食べ進めている。

悠々とした様子からキングへの心配は感じられなかった。

 

 

「……当のハジメがいねーじゃん」

 

アランさんに連れられて早朝出てったらしいぞ。

流石に皆と飯を食うのは気まずいだろうしな……」

 

 

ハジメはおそらく英断を下したのだろう。

 

昨日コウキとともに自分達の元から姿を消したキングの所在はいまだ掴めていない。

それで思い知らされた者も少なからずいたのだ。

 

この過酷な異世界にご都合主義なんてものは存在せず、自分達の命は今まさに瀬戸際に立たされていると。

 

 

「キングさんが戦争への参加を志願制にした意味、皆分かってるかしら?」

 

 

ふとそんなことを口にしたシズクは、ノボルやアツシのみならず、その場にいたクラスメイト全員に問いかける。

ふざけた答えなど聞きたくないといった真剣な表情を浮かべながら……。

 

 

「っ、そりゃあ俺達を守るためで―――」

 

「……確かにそれもあるでしょうね。でも一番はきっと、私達に自分の頭で考えて行動してもらいたいからだと、少なくとも私は思うわ」

 

「「「「 ………ッ! 」」」」

 

 

シズクの言葉に思わずハッとさせられたクラスメイト達。

 

今までは子供だからと理由をつけて決断や責任を大人に押し付けてこれたが、そんな言い訳がいつまでも通用するはずがない。

大人に成長し社会に出てからも子供の頃のように守ってもらえる保証など、どこにもないのだから。

 

 

「キングさんやコウキは必ず帰ってくる。俺はそう信じてるがよぉ、再会した時に少しくれーは成長した自分を見せてぇ、そう思うのはもしかして俺だけか?」

 

「「「「 そ、れは…… 」」」」

 

 

リュウタロウの言葉にどう返せばいいか分からず言葉を詰まらせるクラスメイト達。

 

果たして自分達に最善の選択が取れるのか、最高のヒーローと呼ばれるキングをして評価に値するほどの行動が出来るのか、懊悩するクラスメイト達にカオリは優しく語りかけた。

 

 

「私達が出来ること、それはとにかく諦めず生き延びることだよ。……戦争に参加しようとしまいとそれはその人の勝手だけど、その時キチンと()()()()()()()をしておかないとキングさんでも間に合わないかもしれない」

 

「「「「 カオリさん…… 」」」」

 

「強くなる、賢くなる、それでもって生きる。私達は私達に取れる最善を尽くそう。……それがきっとキングさんの助けにもなるはずだから……!」

 

 

……言葉ではなく首肯によって意志を統一したクラスメイト達は、これからの身の振り方について真剣に考えるようになった。

 

ある者は迷宮にてキング達を探し出すことを選び、またある者はハジメのように教師のアイコを頼って戦線から離脱したり、またある者はキング達の無事を確信してマイペースに己の実力を磨き上げたりと様々であった。

 

 

「(チッ、この場にいなくても厄介だなキングは……ッ)」

 

 

……内心舌打ちする者を差し置いて、クラスメイト達は自分に出来る最善を尽くそうと動き出した。

 

今日もなんだかんだ平和である。

 




どこぞのメガネっ娘はネオ所属の有能エンジニア!
サイボーグの体だって直せるお!

……それはそうと感想・高評価お願いします!
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