全くありふれてない職業HEROは地上最強【完結】 作:びよんど
まんまです。というか最終回です。
<<< ??? >>>
「……ここが、地上」
「案外悪くない場所に転移できたんじゃない?」
毎度お世話になっております、私〝最高〟のヒーローことキングと申します。
以後お見知りおきを……って、皆知ってるか。
「……魔力が操りにくくなってる。でも大したことない」
「ということは、此処が噂の―――」
現在俺とアレーティアは、断崖の谷底に当たる場所で燦々と降り注ぐ太陽の光を浴びながら周囲をキョロキョロと見渡していた。
地上の人間にとってそこは地獄にして処刑場。
断崖の下はほとんど魔法が使えず、にも関わらず多数の強力にして凶悪な魔物が生息する。
深さの平均は1.2km、幅は900mから最大8km、西の〝グリューエン大砂漠〟から東の〝ハルツィナ樹海〟まで大陸を南北に分断するその大地の傷跡を、人々はこう呼ぶ。
「……ライセン大峡谷、かぁ」
「……レイタロウ的には大当たり?」
「そりゃあね、此処には噂のライセン大迷宮があるから」
アレーティアの問いに内心ワクワクしながら答える俺氏。
シチューを食べ終わったあの後、早速アレーティア(とついでに自分)を鍛え上げるために〝夢空間〟を展開して本格的に鍛錬を開始した時のことを思い起こしていた。
神代魔法と組み合わせて超絶強化された夢空間はその効力を120%発揮し、一秒にも満たない刹那の間に数年分の濃密で効率的な鍛錬を積み重ねることが出来た。
素粒子単位での緻密なエネルギー操作を
勿論今ある五つの神代魔法……生成魔法、空間魔法、再生魔法、昇華魔法、変成魔法の研鑽も一切怠っていない。
そこはアレーティアともども頭を捻りながら独自の解釈でモノにしているため
格闘術の習得にしても、最初こそ魔法とはまるで勝手が違うため悪戦苦闘していたものの、徐々に慣れていって今では実戦で通用するレベルにまで極めている。
……だからなのか、本格的に鍛錬を始めてから暫くして、アレーティアの身に劇的な変化が表れたのだ。
「……どうしたのレイタロウ?……もしかして、私のナイスバディに悩殺された?(・∀・)ニヤニヤ」
「やれやれだ……(´Д`)」
結論から言って、アレーティアは
見た目年齢は大体20代前半くらいか。
背丈は目測で170cm以上はある。
傾国の美貌はそのままに、月光の如き輝きを放つ金色の長髪を三つ編みに結い、真っ赤な薔薇のような耳飾りを付けている。
動きやすさを重視したのか漆黒のチャイナドレスみたいなスライムスーツを体のラインに沿って身に纏っており、有り体に言ってメチャクチャ叡智である。
そして何よりボンッキュッボン!!
……そんなある意味理想の美女像を体現した美女がデケェ
「俺の『気』に触発されて肉体が成長したんだろうけど、ホント予想外だったわ……」
「……だいぶ目線が高くなった。レイタロウに近付いた」
「あーうん、そうだね。……とりあえずライセン大迷宮が何処にあるか探していこうか」
「……任せて」
直後、アレーティアは両手を合わせて意識を集中させる。
次いで、彼女が立つ地点を中心にドッと大瀑布の如き魔力が発生した。
彼女の発した魔力は大峡谷の分解作用によって散り散りになる―――なんてことはなく、その威容はむしろ爆発的に増していった。
「満点だよアレーティア。魔力の消耗を自己補完の範疇に留められてる。最初に会った時よりよっぽど
「……ありがとう」
お礼もそこそこに、アレーティアは本格的に大迷宮の捜索を開始した。
……魔法などではなく、あくまで魔力操作技術を応用した単純な感知技だが、アレーティアほどの実力があればその感知範囲は大峡谷をすっぽり覆えるほどに広大となる。
とにかく〝上〟を
あっそうそう、あくまで余談だけど、オスカー・オルクスの隠れ家だった場所は俺の〝創造〟の力で可能な限り元通りにしておいたよ。
……流石にね、ぶっ壊したものをそのまま放置というのはあまりにも気分が良くないからね……。
……あくまで可能な限りだから、元と比べてどこか現代建築風になっていないでもないけど。
ま、曲がりなりにも直してあげたんだからきっとオスカーさんも許してくれるでしょ(震え)
ん?なんか〝上〟が気になるぞ……?
「……見つけた。ここから西に真っ直ぐ進んだところ。意外と近い」
「目印になるようなモノはあるかい?」
「……巨大な一枚岩が壁面にもたれ掛かってる。その隙間の中にある看板にこういう文字が書かれてた―――」
……放出した魔力で文字をなぞって理解したってことか。
改めて思う、アレーティアマジヤバくね?
「お手柄。そこでほぼ間違いないよぉ」
「……くふふ、褒められた」
「ほんじゃ、早速乗り込むとするかね」
「……ん!」
アレーティアの肩に手を置き、彼女が入手した情報を自分の脳みそにインストールして場所を特定。
瞬間移動によってあっという間に目的の場所に着いた。
「ライセン大迷宮、魔力がほぼほぼ使い物にならない難所かぁ……」
「……確かに、ちょっとだけ魔力の分解作用が強まった」
俺の呟きにアレーティアが同意する。
メスガキ味あふれる看板を無視し、魔力の分解作用が強くなっている場所……壁の窪みの奥の壁に近付きそっと足の裏を添え―――
「えい☆」
……優しめのヤクザキックを叩き込んで差し上げた。
するとどうでしょう、壁は奥に広がるであろう空間に吸い込まれるように消えていき、直後、凄まじい破壊音を鳴り響かせたではありませんか……!
中を覗き込んでみる。
……
すると、周囲の壁がぼんやりと光だし辺りを照らす。
そこは10m四方の部屋で、奥へと真っ直ぐに整備された通路が伸びていた。
部屋の中央には半壊した石版が散らばっており、看板と同じ丸っこい文字で途切れ途切れにこんな言葉が彫られていた。
「何書いてんのか分かんねぇ……」
「……自業自得」
サラッと吐かれたアレーティアの辛辣な言葉に胸を痛めながらも、それでもめげずに拳を引き絞り、壁めがけて思いっきり叩き付ける。
ここにライセン大迷宮の攻略が始まった。
<<< ライセン大迷宮 >>>
「…………………え?」
乳白色の長いローブを身に纏い、ニコちゃんマークの仮面を付けた小柄なゴーレムは、迷宮全体を映す大画面の前でひたすら困惑していた。
迷宮が前後左右に揺れる。
ホコリや土煙が宙を舞う。
「……ちょ、ちょいちょい!!?」
人の身で無くなって久しく、かつて流した血も涙も枯れ果て、今や魂を収めるだけの器としての機能しか持たない人形であるはずなのに、メチャクチャ冷や汗が流れて止まらない。
迷宮が悲鳴を上げる。
複数の大画面がその機能を停止する。
「あ、あの
小柄なゴーレム、もといミレディ・ライセンは、大画面に映るモヒカンヘアの大男の蛮行を悲鳴を上げながら観ていた。
千年以上も昔、神々の敵〝解放者〟のリーダーとして仲間とともに死に物狂いで戦ってきた彼女。
そんな彼女にとってこの迷宮は、挑戦者への試練の場であると同時に最後の防衛拠点でもあったのだ。
当然用心に用心を重ねて頑丈に作られている。
それらが呆気なく破壊されていく。
悪知恵を働かせて設置した底意地の悪い罠の数々が、その機能を発揮する前に迷宮の壁ごと木っ端微塵になる。
……モヒカンヘアの大男のパンチによって。
「ちょ、ちょま、気の所為でなきゃ、こいつらもしかして真っ直ぐここに向かってない……?」
「ひっ!!?」
……気の所為などではなかった。
迷宮全体を映す大画面を突き破る形で現れた
「見っけ(ΦωΦ)」
「嘘でしょぉぉぉぉおお!!?」
握り固めた拳を広げ、ミレディの頭部をガッチリと掴む。
一瞬反応が遅れたとはいえ、歴戦の猛者たる自分に抵抗する猶予すら与えずに拘束してきたコイツは何者?などと考える間もなく事態は急激に動き出した。
突如として脳内に溢れ出す
目の前のモヒカンヘアの大男……キングの生い立ちや性格、今日に至るまで辿ってきた過程、そしてその強さすらも実感を伴って流れ込んできたのだ。
「ぁ……ぁ…ぁあ……」
ミレディは、頭ではなく心で理解した。
彼は、キングは―――
「よしよし、重力魔法と魂魄魔法ゲットだぜ」
「……これで全部揃った」
……〝神殺し〟を成し遂げるために自分の元へ来たと。
「あっ、イテテテテ……(´∀`;)」
そして今、現時刻をもってキングは、全ての神代魔法を手に入れるに至る。
あー痛え。
これは……アレだ、小5の夏の日に大好きなイチゴ味のかき氷を口いっぱいに頬張った時の、頭がキーンとするあの痛みに似ているなぁ。
地味に痛いけど耐えられないほどじゃない。
……ふぅ、ようやっと痛みが引いてきた。
「……大丈夫?」
「……ダイジョブダイジョブ。それよりもようやく全部の神代魔法が揃ったぜアレーティア」
「……あっという間だった」
「効率的に動いた甲斐か゚あったよホントぉ」
さてと、これで準備は整ったな。
後は極限の意志とやらで
「まっ、待って!」
「「 ? 」」
……その時だった。
足元から声がしたため下を見やると、そこにはさっき頭を鷲掴みにしてしまったゴーレムの子……ミレディさんが俺のズボンの端を掴んでいた。
余裕の欠片もなさそうなその声色から、彼女の本質が垣間見える。
「あなたに鷲掴みにされた時、頭の中に色んな記憶が流れてきて大体の事情は理解できた。……だからこそこれだけは聞いておきたいの」
「……どんな?」
「それだけの力を持ったあなたが、神代魔法まで手に入れて何を望む?」
……あー、そういうことね。
神代魔法を悪用するのではないか、とかそういうことを考えているワケね。
こんな文字通りゴイスーな魔法を自分の欲求のためだけに消費するなんて勿体ない真似はしないけど、言葉だけで理解してくれたら苦労はしないよなぁ……。
ここで天才的な返しが出来ないものか……あっ、そうだ。
「元いた世界への帰還。……それはもうすぐ果たされる」
「?………………っ!!?」
望むは
俺に宿る七つの異能。
その全てを融かし、掛け合わせ、
「レイタロウ……!!」
「嘘……概念魔法を使いこなしてる……!!?」
もはや神代魔法の恩恵にはあずかれないが、神代魔法に匹敵するだけの成長は果たせたため何の問題もない。
「……改めて思う。レイタロウは化け物すら超えてる」
次に、凝縮した全ての神代魔法、もとい俺の
「そんな……
願いを物質化する際に体力と『気』を八割ほど持っていかれたが、どうせすぐ回復するし余裕余裕。
さて、仕上げだゾイ。
「……指輪?」
アレーティアの言う通り、俺は指輪を創った。
特にこれといった装飾も宝石もない地味な指輪だ。
……まぁただの指輪じゃないけどねぇ。
左手人差し指に指輪を差し込み、早速効果を確かめる。
「指輪よ指輪、エヒトルジュエの居る場所を教えてちょーだい」
「「 ………え? 」」
ポカンとするアレーティアとミレディさんを無視して俺は指輪に『気』を流し込んだ。
すると頭の中に具体的な位置情報が流れ込んでくるじゃあ〜りませんか……!
うんうん、どうやら問題なく機能するみたいだね。
「……レ、レイタロウ?……いったい何を……?」
「あー、ごめんごめんアレーティア。今ね、人探しのアーティファクトを創ったところなんだよ」
「が、概念魔法で人探し……まさかっ!!?」
「正確には人だけじゃなくて物も探せるんだけどさ、これで諸悪の根源の居場所を特定できたから
「「 ……え、えぇ……??( ゚д゚)ポカーン 」」
「とりあえず外に出よう。善は急げって言うでしょ?あっそうだ、ミレディさんも一緒に来る?」
不安の元は一秒でも早く取り除かないとねぇ。
ミレディ・ライセンの胸中は困惑と不安の只中にあった。
「あ、あのぅ……言われた通り外に出てみたけど、っていうかあんまり迷宮から離れられないんだけど……」
破壊され尽くされた迷宮の修繕を行わないといけないし、万が一エヒトルジュエに見つかれば無数の手勢を差し向けてくるかもしれない。
目の前で準備運動しているモヒカンヘアの大男の何とも言えない余裕ぶりに、お前流石に神を舐め過ぎじゃないかとツッコミを入れそうになった。
「……それじゃあ、ここら辺でおっ始めるかな」
「何を「〝変身〟」
ミレディは思わず尻餅をついた。
無機質なゴーレムの体は小刻みに震え、息などする必要もないのに荒くなる。
本能が、魂が、千切れんばかりの絶叫を上げていた。
〝今すぐ逃げろ!〟…と。
「確か……あそこらへんだったな。よ〜し!」
白い蒸気を噴き上げながら天を見上げた
……それが狙いを定めるためのジェスチャーだと理解った時には、既にキングは次の段階に移行していた。
黒い体が白く発光する。
生成された長い尻尾の先端から光の靄が発される。
これから起こる
「ね、ねぇ!そこの金髪のお姉さん!?……モヒカンの彼は一体何をしようとしてるのかなぁ!!?」
「……分かりきったこと。
本当は自分の手で叔父の仇を討ちたかった。
……そう思う反面、自分にはまだ神を殺せるだけの力がないことも自覚していたアレーティア。
アレーティアの信じる神、それは下界に姿を表さない臆病で卑劣な
「あ、あのね!?私達解放者ですら、あのクソ野郎と直接戦うどころか〝神域〟っていう特殊な異次元空間に侵入することも出来なかったの!!」
「……だから?」
「いや、だからってあなた……!」
「……レイタロウとは何度か記憶を共有しているから、ある程度考えていることも分かる。……
「はぁ!!?」
ワケが分からない。
あまりにも非常識な二人組にもはや呆れすら覚え始めたその時、キングエンジンが劇的に躍動し、その音量を限界ギリギリまで上げていった。
〝開放〟の瞬間は、すぐそこまで迫っていた。
「……曰く、神域の存在までは把握していたけど、エヒトルジュエの正確な居場所までは掴みかねていた。それじゃあ
「え、ちょっと待って。その口ぶり的に……」
「正確な居場所さえ分かれば、後は自力でどうにか出来るってこと。……伏せてて」
「ちょま、あ―――」
<<< 神域 >>>
「フ、フハハ、フハハハハハハ!!!まさか、まさか生きておったとはなぁ!!!」
人智の及ばぬ神の領域、白濁に染まる異次元空間にて醜悪極まる笑い声が響き渡る。
声の主ことエヒトルジュエは、浄玻璃鏡のようなものが映し出す光景に心底喜びを隠せずにいた。
「エーアスト!!」
「ここに。エヒトルジュエ様」
「我は今すこぶる機嫌が良い。何故か貴様に分かるか?」
「誠に失礼ながら、崇高なるエヒトルジュエ様の深遠なるお考え、矮小なる我が身では図りかねます」
相変わらず無機質でつまらない回答をよこす
「我が器足りうる吸血鬼の娘が生きておったのだ!それも大峡谷全域を覆えるほどの魔力を携えてな!!」
今日一日の退屈をどうやって満たそうか下界を観察していたところ、大地の傷跡とも言われるライセン大峡谷より大魔力の放出を感知したのだ。
悠久の時を生きるエヒトルジュエをして見事と評するほかない緻密で濃密な大魔力の所在を確認した結果、思いもよらぬ存在を発見してしまった。
それは今からおよそ300年以上前に死んだと思っていた吸血姫、アレーティアその人であった。
多少肉体は成長していたものの見間違えるはずもない。
それは長年焦がれ続けた自身の〝器〟足りうる唯一無二の存在だったのだから……。
エヒトルジュエ 災害レベル【神】
醜悪にして孤独なる
命令とは当然、アレーティアの生け捕りだ。
「使徒どもを全軍率い、なんとしてもあの吸血鬼の娘を我が前に連れて―――」
……突如、神域全体を軽く揺らす音が響いた。
すぐに収まったため気の所為だと思い込み、気を取り直して命令を下す。
「……なんだ?」
「すぐに姉妹達に確認させます」
先ほどよりも強い揺れが実体なきエヒトルジュエの体を揺らす。
エヒトルジュエの脳裏に嫌な予感が
即座に鏡を通して下界を確認する。
「な、な、な……!!?」
「いかがなさいましたかエヒトルジュエ様?」
「ありえん……こんな………こんなもの……存在するはずが……………!!」
「……エヒトルジュエ様?」
ワケが分からない。
分かりたくない。
理解りたくなかった。
エヒトルジュエにとって箱庭とも、あるいは牢獄とも言えるこの神域。
トータスに生きる者達の信仰心を糧に、魂魄を昇華させ人を超えた存在と成るに至ったエヒトルジュエの命を繋ぎ止める役割を担っていたこの神域。
膨大という表現では生温いほどの無限に等しい魔力を蓄えたこの神域。
下界……正確にはライセン大峡谷より感知した正体不明の魔力は、この神域に蓄えられた魔力を
〝開放〟の瞬間は、すぐそこまで迫っていた。
「も、問題ない。そもそも届くはずもなく、届いたとて無数に張り巡らした結界に阻まれて終わりだ。……エーアスト!!」
「はっ」
「今すぐあの魔力の元を断ち切ってくるのだ!不愉快極まりない、急げ!!」
「かしこまりまし―――」
神域を激しく揺らす爆裂音をBGMに、エヒトルジュエの感情も激しく揺れ動いていた。
それは久しく忘れていた〝恐怖〟
線と線が一つに繋がり、確固たるイメージとして〝死〟が脳裏を埋め尽くした。
『もう十分だ』
『……は?何を言っている?』
『エヒト、私達は生き続けるべきじゃなかった。……生き続けることが、かつての故郷とそこに生きた人々への贖罪になると言うのなら、もう十分なはずだ』
『ま、待て、意味が分からない……』
『……ごめんな』
『ぁ―――――――――』
苦痛を味わわず。
屈辱も覚えず。
後悔をしない。
懺悔もしない。
余韻に浸れない。
かつての仲間達との再会も叶わぬまま。
独りよがりに死を押し付け、生にしがみついた。
それは地獄にすら立ち入れぬ真の〝
白濁に染まった空間が、白き
それは即ち、神殺しが成就したことを意味する。
<<< ライセン大峡谷 >>>
「変身解除っと。……ふぅ、久しぶりにドデカいのブチかましたぜぇ」
「……お疲れ様、レイタロウ」
……ホンット、疲れたよもー。
再度上空を見やる。
そこには雲一つない満点の青空が広がっていた。
当然
これで生き残られたら完全にお手上げってくらい本気でブチ込んだからねぇ。良かった良かった。
「……でもなんで急に
「あー、それはね、有り体に言って俺の判断ミス」
「……?」
「ライセン大迷宮を探す時に君に頼んだじゃん?……魔力をメチャクチャ放出するあの感知技。そん時上空からイヤ〜な予感がしたんだよね。それで、もしかしたらエヒトルジュエに見つかったのかなぁと思って……」
いやはや、神殺しはするつもりだったけど、それがまさか今日になるとはねぇ。
まっ、普段の二割程度の『気』でも何とかなったし、俺もなんだかんだ成長してるんだなぁ……。
「……もしレイタロウに一欠片でも野心があったらと思うと、ひたすら恐ろしい」
「俺は普通に生きられればそれで十分なんだけど……どう足掻いても普通じゃない、よなぁ……」
あーあ、自衛できればそれで良かったのに、いつからこんなデカブツになっちゃったんだろーなぁ?
「……あ、そうだ。ミレディさんは―――」
「……ん、ミレディだったらあそこに―――」
……びっくらポンだぁ。
ミレディさん、天を見上げたまま往生してるよ。
『……………ンあ!!?こ、ここは……?』
確か白い光が天を貫いて、それで……などと半分眠りこけた頭で思考するのは
『……ん?んん?なんでミレディさんはいつもの美少女姿に戻ってるのかな―――な〜んて、分かりきってる話だけどね』
信じられないような話だが、自分はおそらくモヒカンヘアの彼の〝真の姿〟を見て発狂死しかけ、あの白い光を間近に感じたことでショック死してしまったのだろうと考察する。
本当に信じられないが、でなければ色々説明がつかない。
『(´Д`)ハァ……まぁいっか!あのクソ野郎もろとも神域が崩壊するところは見れたし、もはや未練なんてないさ〜ってね』
『それは良かった。途中でお亡くなりになったら大変なんてもんじゃないからね』
『そうだよオーちゃん!そもそも最初の出会いからして最悪だったんだ、か、ら……(・o・)』
最後の最期でこれはズルい。
声のするほうを見やると、オスカー・オルクスをはじめとしたかつての仲間達の姿がそこにはあった。
『まぁかくいう僕も隠れ家を骨もろともブッ壊されてるから気持ちはよく分かるよ。曲がりなりにも家を再建してくれたこととエヒトをぶっ殺してくれたこと、これでギリギリ許したね』
『……アイツは自分で墓穴を掘った。真の格上というものを思い知らされたことだろうよ』
『でもまさか……ねぇ?』
『……神を殺したのが神以上の力を持った人間だとはな』
『それもほんの僅かな痕跡を辿って自力で神代魔法を発現させるなんて……本当に人間?と思ったもの』
『こっちに来なくて良かったと思うよ。……オスカーやミレディのところみたいに破壊されちゃ堪らないから』
『皆……うんうん、そうなんだよ!もっと私の愚痴を聞いてけ〜(涙)』
涙を流しながら笑うミレディ。
かつての大切な仲間達との再会に、こう願わずにはいられなかった。
『聞くよ。……ゆっくりとね』
夢ならば覚めないで、と……。
「ゴーレム顔なのに、随分気持ちのいい表情じゃないの。一体どんな夢を見てるのかね?」
「……気になる?」
「……やめとくよ。人の心には深入りしないに限る」
「……ん」
「さぁ〜てと。『気』も体力も回復したところで、早速王国のほうに戻るとするかなぁ」
「……ん」
「人探し用のこの指輪……〝
「……自前の瞬間移動でひとっ飛び」
「そゆこと。……指輪よ指輪、サキ氏の居る場所を教えてちょーだい」
「……私の前でほかの女の名前を言うなんて、いい度胸」
「君とはあくまで仲間だからね?……っと、特定完了。意外と遠くじゃないんだ。これなら往復余裕だな」
「……約束」
「ん?」
「……私も、連れてって」
「勿論……とその前に、ほかの子達も一緒にね」
「……ん!」
「…………………あっ、ヤッベ」
「どうしたのレイタ―――あっ」
「「 ……大迷宮、片付けないと……(-_-) 」」
今までご愛読いただきありがとうございました。
後日談としてあと二、三話書いて完結にしたいと思いますが、おまけやIFを読んでみたい!と思う方は高評価いただけると大変励みになります。
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