メルドさん「キングとコウキは私が必ず見つけ出します。是非やらせてください!お願いします!」
聖教教会「そ、そこまで言うんならいいけど……ちゃんと責任取れよ……?」
メルドさん「勿論です!(マッチポンプ)」
<<< 真の〝オルクス大迷宮〟 >>>
「……ここが奈落かぁ」
緑光石の発光のおかげで何も見えないワケではない。
ここまで落下する途中、崖の壁に鉄砲水の如く水が噴き出す穴が無数にあり、その水に押し出されながらあれよあれよと言う間にここ、川岸に辿り着いたって話よ。
『気』で全身をコーティングしたから水にも濡れてないしね、ホント『気』って便利。
あ、挨拶が遅れたね、俺はキングって言うよぉ。
現在俺は脇にコウキ君を抱えながら視界に広がる奈落、もとい真のオルクス大迷宮を見渡し、これからの行動指針を頭の中で纏めている真っ最中である。
「とりあえず拠点になるような場所を見つけて作らねば。
……やれやれ、気兼ねなく話せるなんていつぶりだ?」
中は巨大な洞窟といった感じだ。
二十階層を彷彿とさせる複雑な構造だが大きさが比にならず、その複雑さゆえに隠れる場所も豊富である。
そんなワケで気配を完全に殺しながら悠々と歩を進めた。
「……四辻か」
しばらく歩くと初めての分かれ道に差しかかった。
何処に行こうかな天の神様の言う通り、などとふざけながら行く先を選んでいると、視界の端で小さい何かが動いた気がして咄嗟に岩陰に隠れた。
そっと顔だけ出して様子を窺う。
俺のいる通路から見て、直進方向の道から白い毛玉がピョンピョンと跳ねてくるのが分かった。
長い耳も合わさって見た目はまんまウサギだった。
けどね、俺は可愛い見た目に騙されてあげるほど甘い男じゃないんですよ。
体のサイズが中型犬くらいあって、後ろ足がやたらと大きく発達していて、何より赤黒い線がまるで血管のように幾本も体を走っていてドクンドクンと心臓のように脈打つその姿は控えめに言ってメッチャ不気味なんよ……。
脚部が異常発達している、アレは下手しなくてもベヒモスより強い【虎】だな。
……そうか、アレが蹴りウサギか……。
直進はやめておきましょ。
右か左かで言ったら右から入ったほうが見つかりにくそうだしね。
「……?」ピョコピョコ
動き出そうとした瞬間、蹴りウサギがピクッと反応してスッと背筋を伸ばし立ち上がった。
警戒するように耳が忙しなくあちこちに向いている。
……俺やコウキ君が見つかったワケじゃないなこれは。
この獣臭さは―――狼?
「グルゥア!!」
獣の唸り声とともに、これまた白い毛並みの狼のような魔物が蹴りウサギ目掛けて岩陰から飛び出した。
岩陰から飛び出した白い狼は大型犬くらいのサイズで尻尾が二本あり、蹴りウサギと同じように赤黒い線が体に走って脈打っている。
どこから現れたのか一体目が飛びかかった瞬間、別の岩陰から更に二体の二尾狼が飛び出す。
岩陰から顔を覗かせその様子を観察する。
どう見ても狼がウサギを捕食する瞬間だが、俺だけはよ〜く分かっている。
この勝負、ウサギの勝ちだ。
「キュウ!」
可愛らしい鳴き声を漏らした直後、蹴りウサギがその場から飛び上がり、空中でくるりと一回転してその太く長い脚部を一体目の二尾狼に叩き付けた。
ソニックブームを発生させるほどの速度が込められた蹴りが二尾狼の頭部に直撃し、絶対鳴っちゃいけない音を響かせながらその首をあらぬ方向に捻じ曲げてしまう。
そのまま蹴りウサギは回し蹴りの遠心力を利用して更にくるりと空中で回転すると、逆さまの状態で
強烈な踵落としを着地点にいた二尾狼二体に炸裂させ、頭部を粉砕した。
追加で二体の二尾狼が現れ、着地した瞬間の蹴りウサギに飛びかかった。
万事休すかと思った瞬間、なんと蹴りウサギはウサ耳で逆立ちしブレイクダンスの要領で足を広げたまま高速で回転しだした。
飛びかかった二尾狼二体が竜巻のような回転蹴りに弾き飛ばされ壁に叩きつけられる。
肉の潰れる嫌な音とともに血が壁に飛び散り、ズルズルと滑り落ち動かなくなった。
最後の一体が唸りを上げながらその尻尾を逆立てる。
するとその尻尾がバチバチと放電を始めた。
固有魔法の〝纏雷〟かな?多分。
「グルゥア!!」
咆哮とともに電撃を蹴りウサギめがけて乱れ飛ばす。
しかしダメだね、あの狼は魔法に頼りきっているのか圧倒的にフィジカルが足りていない。
高速で迫る雷撃をウサギは華麗なステップで右に左にと躱していく。
そして電撃が途切れた瞬間、一気に地面を踏み込み二尾狼の顎にサマーソルトキックを叩き込んだ。
二尾狼は仰け反りながら吹き飛び、グシャと音を立てて地面に叩きつけられた。
その首は見事なまでにへし折れていた。
「キュグチャッ
勝利の雄叫びを上げ油断しきっている蹴りウサギのガラ空きの胴体に、柔道で言うところの足払いを叩き込む。
「キ、キュ……?」
くの字に折れ曲がり、勢いそのままに壁に激突した蹴りウサギは、自分がいったい何をされたのか理解することなく困惑とともに絶命した。
卑怯とは言うまいよ、戦いに持ち込ませないことが俺の戦い方だからね。
「……グルルル」
と思ったら後ろに誰かおりゅうぅぅ!!?
……あぁなんだ、爪熊さんですね。
俺より頭一つ分低い2m級の巨躯に白い毛皮と、例に漏れず赤黒い線が幾本も体を走っている。
足元まで伸びた太く長い腕に、30cmはありそうな鋭い爪が三本生えている。
爪熊さんも【虎】くらいかな?
さっきの蹴りウサギより強く、もしかするとあのカニランテ様と肩を並べるくらい強いかも。
「グルルルァァァァァァァァァ!!!」
おっ、爪熊さんが長い腕を振り上げ―――下ろした。
なるほど、あの爪から放たれた飛ぶ斬撃が固有魔法〝風爪〟というワケね。
「流水岩砕拳」
脇にコウキ君を抱えているから
「グギャ!?グギャァァァァァ!!!」
爪熊さんもまさか自分の放った固有魔法を自分で食らう羽目になるとは露ほどにも思っていなかったらしく、斬撃によって両目を失明、切り裂かれた腹部から内臓をボトボトとこぼれ落とす重傷を負ってしまった。
……それでも生きてるのは、曲がりなりにも奈落の魔物としての矜持ゆえか。
ならこちらも、ちょっとくらいは本気を出して殺らねば無作法というもの。
「―――
〝生成魔法〟を用いて大気中の酸素に無数の〝煉獄無双爆熱波動砲〟を付与し、爪熊さんに狙いを定めて躊躇なく白光の熱線を発射する。
変身自体はしていないため本来の威力の二割も引き出せていないが、爪熊さんを消し炭も残さず蒸発させる分にはちょうどいいものであった。
ここぞという時の必殺技として見たら格落ちもいいとこの廉価版、故に〝
無機的な物質に技を付与して発射するまではノーモーションで行えるし、威力を底上げしたければ『気』をもっと流し込めばいいワケだしね。
むしろこの隠密性と速射性能の高さは本家とはまた違った強みになる気がする!
いやぁ〜ホント夢が広がリング。
「よぉし、この辺りを掘って休憩にするかぁ……」
適当な壁に手を当て、大量の『気』を流し込んでいく。
俺でも難なく入れるよう壁の内部の鉱石なんかを『気』で跡形もなく破砕・整備していく。
「……うん、完成」
何ということでしょう、ついさっきまで人っ子ひとり入れなさそうだった壁に、綺麗な円形の穴が開いたではありませんか……!
中に入ってみると……そこには様々な鉱石の輝きで彩られたドーム状の神秘的な空間が広がっていました。
しっかりと蓋をして隠蔽隠蔽っと。
「ぅ、ぅう……」
おっと、いかんいかん、見惚れるあまりコウキ君がもう目覚めかけているじゃあ〜りませんか。
君にはしばらく寝ててもらうよん。
魔法のポーチから取り出したるは、空間魔法によって強化された〝夢空間〟を生成魔法を用いることで付与し作り出した水晶型アーティファクト〝
「
一言唱えると変化は劇的に起こった。
水晶から漏れ出た煙が急速にコウキ君の全身に纏わりつき、やがて煙に全身を覆われてしまった。
「―――閉門」
当然これで終わりではない。
外界に漏れ出た煙は元あった場所へと帰還するように水晶の中へ吸い込まれていき、コウキ君もまた煙に巻かれたように影も形もなくなっていた。
いったいコウキ君は何処に消えた?
……勿論、水晶の中にだ。
いやはや、上手くいって良かったよホント。
試作型でなおかつお一人様しか利用できない制約があるんだけど、一度封じ込めてしまえば内部で自殺でもしない限り出てこれない鉄壁の守りを誇る封印アイテムを作り出すことに成功していたのだ。
とはいえ、自殺を図る以前に彼はたぶん幸せな夢を見ていてそれどころの話ではないだろう。
水晶の中に映る彼の幸せそうな表情からそれを察し、邪魔をするのもナンセンスだと感じた俺は即座に次の工程に移った。
体積や重量を縮減させるドリーム鉱石(あらかじめビー玉サイズに加工しておいた)の中に水晶を収納し密封。
それを更に魔法のウエストポーチの中に収納することで三重の封印は完了した。
「悪いねコウキ君。……全ての神代魔法を習得し、この世界の神様をぶっ殺し、元の世界に帰還するまでの間、せめて幸せな夢を見続けていてくれ」
束の間の休息は終わった。
奈落に落ちてからおよそ―――30分くらいか。
今度こそ悠々自適な一人旅が幕を開けた。
<<< 宿場町〝ホルアド〟 >>>
「(……キングさん、大丈夫かな……)」
キングが奈落の底でコウキを封印するのとほぼ同時刻に、割り当てられた部屋の中でハジメはひたすら消えたキングの安否を心配していた。
「(いくら地上最強の男と言われていてもキングさんは人間なんだ。れっきとした一人の人間なんだ……)」
迷宮を探索する前日の夜、突然押しかけたキングの様子を見てハジメは確信していた。
どれだけ人間離れした強さを持っていようとも、人間離れした姿をしていても、キングの心は正真正銘人間なのだとハジメは分かってしまったのだ。
故に、助けに行こうか迷っていた。
手元に残る銃弾の残りは11発、あまりにも心許ない。
それでも〝助けたい〟という本心は燻り続けている。
「(キングさん、僕はやっぱり―――)」
コンコン「ハジメ、いるか?」
「っ、メルド団長!?……いま開けます!」
やっぱり助けたい、そう決心した直後に自分の部屋のドアがノックされ思わずキョドるハジメ。
急いでドアを開けると、そこにはメルドと―――
「ハジメ君、いま大丈夫かな……?」
「カ、カオリさん!!?」
……心配そうに自分を見つめるカオリの姿があった。
これにはさしものハジメも動揺を隠せない。
いったいどうしてメルド団長と一緒に?などと思いながらもハジメは二人を部屋の中に通した。
「急にすまんなハジメ、具合は問題ないか?」
「えっと、僕は大丈夫です。二人は……?」
「私は平気!……とは言い切れないかな」
「そ、そうだよね、コウキ君はおろかキングさんまでいなくなるなんて……」
「……そのことでキングから言伝を預かっている。
お前宛てにだ、ハジメ」
えっ、思わず声を漏らしたハジメはメルドを見つめる。
「曰く、コウキとともに失踪するまでが計画の一つだからハジメが気に病むことはない。ハジメは自分の命を第一に優先して行動しろ。その間に俺は元の世界に帰還する方法を確立しておく。だそうだ」
「っ!!?」
「……私も今さっき知ったんだけどね、キングさんはこの世界に転移させられたその日の内にアイちゃん先生に途中離脱の件を話していたらしいの。……たぶん帰還方法に心当たりがあってのことだと思うけど、凄いよね」
「そう、だったんだね……」
メルドとカオリの話を聞いて椅子にへたり込むハジメ。
キングの想像を遥かに上回る凄まじさに安堵すると同時に、いらぬ心配をして危うくキングの思いを無碍にするところだった自分の至らなさにたまらず歯噛みした。
「僕は、無力だ……!」
「ハジメ君……」
「弱い自分が憎い……!僕は結局キングさんにおんぶに抱っこじゃないか……!」
ハジメの目から涙が流れ落ちる。
ヒヤマ達にイジメられた時もそうだった、最後にはヒーローが駆け付けてくれたことで事なきを得たが、自分の力で解決しようとはしなかった。
自分の弱さを免罪符に、他者の強さに縋ったのだ。
「……その気概があるうちは、お前は大丈夫だ」
「っ、メルド団長……」
「人は皆、最初は弱い。……赤ん坊みたいなもんだ、赤ん坊に戦えなんて言うほうがどうかしとる」
「………」
「だからこそ、身を守ってくれる
「それは……」
「強者は弱者を守るために戦い、そんな強者の後ろ姿を見て弱者もまた強くなろうと後に続くんだ」
「……っ!!」
思わずハッとするハジメ。
キングが、そのデカすぎる背中で語りたかったことがようやく理解った気がした。
先程までの卑屈さは消え、覚悟を決めた表情となる。
「もう大丈夫そうだね、ハジメ君」
「……メルド団長、一つ我が儘を聞いてもらってもいいですか?」
「ふっ、いったいどんな我が儘だ?」
ハジメの決然とした口ぶりに思わず口角が上がるメルド。
「アイコ先生と同行できるようにしてくれませんか?」
結論から先に言うと、ハジメの願いは聞き届けられた。
非戦系のハジメではどこまで行っても足手まといになるというのが聖教教会の考えであった。
<<< 真のオルクス大迷宮 五十階層 >>>
「ふぅむ、どうしたもんか……(´~`)モグモグ」
俺氏、絶賛大悩み中。
……いやね、魔物の強さに悩んでいるワケじゃないのよ。
体長2mほどの大トカゲが暗闇の中で石化の邪眼を使う前に目潰しして封殺したり、タールの中から飛び出したサメを裂けるチーズしたり、毒ガエルと蛾を階層ごと〝煌閃〟で熱消毒したり、密林で体の節ごとに分裂するムカデを木っ端微塵にしたりと、それはもう無双の限りを尽くした。
密林のトレント擬きから拝借しておいた美味しい果物を頬張りながら見つめていたのは、あまりにも場違い感あふれる両開きの門である。
「……あるんだよなぁ、見覚えがありすぎる。ここって絶対アレじゃん、ヒロインの封印部屋じゃないッスか」
……ハジメ君も連れてくるべきだったか?
いやいや、もう決めたことなんだ、ハジメ君を危険な目に遭わせないってね。
でもなぁ、金髪のヒロインはサキ氏とジェノスでお腹いっぱいなんだよね。
ゴックン「助ける相手を選ぶようじゃ、俺もまだまだだな」
なんの罪もない
ヒロイン云々以前にこれを助けなければ、俺はヒーローを名乗ることは出来ない。
体裁の問題ではない、気持ちの問題だ。
「普通のキック」
無作法極まるヤクザキックを両開きの門に叩き込み、跡形もなく粉砕して門の先にある部屋に侵入する。
確か部屋の中央に―――あっ、いたいた。
「だ、だれ……!?」
おーおー、随分驚いていらっしゃる。
まぁそれもそっか、突然入り口をぶっ壊して侵入してくるモヒカン大男なんて警戒して然るべきだ。
なんなら俺だって警戒する。
「ぁ、なた、は……!!?」
「驚かせて悪いね、君を助けに来たヒーローだ」
金髪の女の子を封じ込めているソレに触り、凄まじい量の『気』を流し込んで適応を開始する。
都合のいいことに女の子を封じ込めているソレからの抵抗も受けることで適応にかかる時間が大幅に短縮され、およそ30秒ほどで解析は完了した。
ほんじゃあ封印を解きますかね。
おっと、この子確か全裸だったな、服は―――とりあえず俺の上着を羽織ってもらうか。
「安心してくれ、君は自由だ」
「っ、ぅ、そ……!!」
金髪の女の子を縛っていた全ての枷を融かし、解放する。
裸を見ないように自然な形で俺の上着を被せてあげた。
こう見えて身持ちは固いほうなので!
「……ありがとう」
「……お安い御用さ」
生まれたての子鹿みたいにプルプルと震えながらも、微かな声で感謝を告げるその子の表情に、悪意の一欠片も感じられなかった。
「……名前、なに?」
俺の上着をギュッと握りしめながらその子は囁くような声で尋ねてきた。
……そういやお互いに自己紹介する間もなかったね。
「レイタロウ。ヒーローをやっている。君は?」
その子は、さも大事そうに俺の名前を反芻しながら呟いていた。
そして、俺の質問に答えようとして、何を思ったのか考え事をする素振りを見せた後こんなことを言ってきた。
「……名前、付けて」
「……一応聞くよ、名前忘れちゃった?」
その子はふるふると首を振る。
「もう前までの名前はいらない。……レイタロウの付けた名前がいい」
「……マジか」
勘弁してぇなホンマ……。
ほぼ赤の他人だった女の子に名前をつける趣味なんて俺にはないって……。
「そうだなぁ、どんな名前にするか―――っと」
「っ!!?」
金髪の女の子を抱きかかえて咄嗟にその場から離れる。
ちょうど俺とこの子がいた地点に落下してきたのは、それはもう大きな魔物であった。
ふぃ〜間一髪!
体長はおよそ5m級、四本の長い腕に巨大なハサミを持ち、八本の足を気持ち悪いくらい動かしている。
そして二本の尻尾の先端には鋭い針がついていた。
サソリモドキ 災害レベル【鬼】
……流石にここまで潜れば魔物の脅威度も増すもんだ。
あのサソリはそうだな―――蟲神とタメを張れそうなくらい強いね。
しかしさっきまで五感では捉えられなかったのに、今はビンビンと五感でこのサソリの存在を感じ取れている。
どういう理屈かは知らんけど、この封印部屋を作った人の絶対逃さないぞという執念はよく伝わった。
ふと傍らにいる女の子を見やると、凪いだ水面のような静謐な眼差しを向けていたことに気付く。
……俺に命を預ける覚悟は、出来たようだねぇ。
「……レイタロウ、勝てる?」
「勝てるか?……その疑問は過去のものだね」
「……?」
「分かりやすく言うなら、もう勝っちゃった」
「ぇ?………………………っ!!?」
もー気付くのが遅いよー、アハハー(笑)
ちょっと硬いだけの魔物なんて〝
サソリモドキがいた痕跡と言えば、あの未練がましく残っている足数本程度なものだ。
「え、え、え、な、何を、したの……!?」
「俺だけが使える魔法―――って言うのもおかしいけど、魔法みたいな凄い熱線を浴びせて融かしたんだよ」
「す、凄い、強すぎる……!」
そうかな?……そうかもなァァァ!!(某五○悟風味)
そんなに目をキラキラさせてくれて俺も嬉しいよ。
さながらヒーローショーのヒーローと観客の子供みたいな構図だね。
じゃ、こんなところからはさっさとおさらばしますかね。
この子の精神衛生上よろしくないかもしれないし。
「ん?」
「え?」
……ちょうどこの子が封印されていた地点から甲高い音が鳴り響き、次いで眩いばかりの光を放ちながら直径30cmくらいの円形の石柱がせり上がってきた。
そして、石柱の側面が唐突にパカリと開く。
「……ダイヤモンド?」
「……私の封印されていた場所から?」
中には小型の鉱石が入っていた。
……俺と金髪の女の子は訝しんだ。
誰かの叔父さん「変成魔法を手に入れ、真のオルクスに挑める強者で、私の用意したガーディアンから逃げずに立ち向かった者。確かに私はそう言った。そう言ったけど流石に度が過ぎるって……」