父さんが心臓病で死んだ。
「悟飯……これからの地球はおめぇが守るんだ。母ちゃんを頼む」
その一言を遺して。
それから程なくして最愛の師匠が人造人間に殺された。
ベジータさんも殺された。
クリリンさんも……みんな、みんな。殺されてしまった。
街は焼け焦げ、人は死にゆく。
今、地球に残っている戦士は俺とトランクスの2人だけだ。
「トランクス!!そうじゃない!もっと相手のことを見ろ!」
「は、はい!!悟飯さん!!」
乾いた平原に俺とトランクスの拳の衝突音が鳴り響く。
ここ数日で着実にトランクスは強くなっている。俺を追い越すのも時間の問題だろう。問題は俺だ。
ここのところ、修行をしてもあまり強くなった実感を得られない。おそらくそこまで強くなってはいないのだろう。
……限界が来たのかもしれない。
そんな考えが頭をよぎった、その時街の方からドォンッ!!と爆音が聞こえてくる。
「くっ、人造人間か!!」
「悟飯さん!行きましょう!!」
「ああ!トランクス、行こう!」
黒煙の上がる街へ俺たちは全速力で飛んだ。
風が耳元で唸る。
その胸の奥底では嫌な予感がざわついていた。
____頼む…まだ間に合ってくれ
瓦礫だらけの街が見えてくる。
崩れたビル、燃え上がる炎、逃げ惑う人々。
そして、その中心に立つ悪魔の人影
人造人間…
「ちっ、またお前か、孫悟飯」
黒髪の男…17号が苛立っているような様子で俺にそう言う。
「へぇ…今日は2人できたんだ?」
金髪の女…18号が、腕を組みながら嘲笑う。
「……トランクス、君は街の人々を逃がせ」
後ろでは街の住人達が逃げ惑っている。
「えっ……!?」
「早くするんだ。いいな、トランクス」
一瞬の沈黙。
そして__
「……わかりました」
悔しそうに歯を食いしばり、街の方へ飛んでいくトランクスを背中に、俺はゆっくりと拳を握りしめる。
2人の人造人間を見据えながら。
「楽しませてくれよ?孫悟飯」
17号が地を蹴り猛スピードで俺に突撃してくる。
すぐに金色の姿…『超サイヤ人』になり迎撃する。
一瞬で距離を詰め拳が振り抜かれる。
それを受け止め、足で蹴る。
「はぁっ!!」
が、あっさりと受け止められる。
「遅いんだよ」
17号の肘が俺の腹に突き刺さる。
「がはっ……!!」
その衝撃で体が浮き、そのまま瓦礫の山へと叩きつけられる。
「悟飯さん!!俺も加勢します!!」
「トランクス!!ダメだ!来るな!!」
俺の叫びも虚しく
トランクスは地面を蹴り、こちらに飛び出てくる。
くそ……!!
まだ…早いんだ。
今のトランクスじゃ……
「へぇ……」
背後から氷のように冷たい声が響く。
「増えたじゃん」
18号が退屈そうにトランクスを見つめていた。
「ちょうどいいや、少しは暇つぶしになるかもね」
18号がゆっくりと腕を上げエネルギーを、集め始める。
「やめろ!!」
思わず声が漏れる。
その瞬間、体を起こし、瓦礫を蹴り飛ばし、立ち上がる。
だが……背後からの衝撃。
17号の蹴りが背中にめり込む。
立ち上がった体が再び吹き飛ばされ地面を転がる。
(くそ……!!)
体が言うことを聞かない。
「悟飯さん!!」
トランクスの声。
そこには、トランクスに掌をむけている18号の姿があった。