その日、俺は同級生A(男)、B(男)、C(女)、D(女)の4人と一緒に森の奥の屋敷に来ていた。
所謂肝試しのようなもので、言い出しっぺのAにみんなでついていくことにした。
魔物娘がいる今、何が起きても不思議じゃないといえばそれまでだが、あの屋敷は友人が付き合ってる魔物娘(確かマーシャークだった)が「ヤバいのがいるから近づきたくない」と言っていてのだから、ほぼ確実に何かがいると思っていいと思う。
昼頃に○○駅で待ち合わせをして、昼を食べてから出発した俺たちが件の屋敷についたのは日が落ち始める夕方のことだった。
B「うお、随分雰囲気あるな。」
車を降りたBが廃墟を見ながらボソッと呟く。確かに屋敷の壁という壁は蔦やコケに覆われて、いかにも何かが出そうな予感がする。
しかし不思議なことに、ドアノブや窓は不自然なほどに奇麗でありまるで誰かが住んでいるような気配さえあった。
B「おい見ろ!鍵が開いてるぞ!」
A「やめとけよww。怒られんぞ。」
C「そうだよ、不法侵入にならないの?」
ワイワイと騒ぎながらもドアの前でふざけているA、B、Cの三人だったが、そのうち、お調子者のBがドアを開けて中へと姿を消していった。
AやC曰く屋敷に入ってから軽く屋敷の中を見てから戻ってくる、というそう時間のかからないものだったらしいが、30分ほどまってもBは出てこない。
きっと中に隠れて揶揄うつもりなんだろうと笑いながら放置していたが、それにしたって朝まで待つつもりなのかという程に遅い。
仕方がないと今度は、Bの親友のAが中に入っていく。
2、30分ほど待って、ふいに俺の携帯電話が鳴った。
Aからラインで「こっちやばいからきて」というメッセージ。
何がそんなにヤバいのかとさすがに気になった俺とC、Dは一緒に中に入って様子を見に行くことにした。
屋敷の中はシャンデリラの明かりで薄暗くなっており、埃の一つも落ちていない。
やはりというべきか、壁に密接した棚には高価そうな壺やら何やらが飾られており、明らかに誰かが住んでいることがわかる。
早くAとBを見つけて屋敷を出ようと俺たちは屋敷中を探し始めた。
「おーい、A!!どこだー?」
D「B君、出てきて~?」
どうせ隠れているだけだろうとすぐに見つかると思っていたが、どういう訳か全く見つからない。明らかに変だと思いながら俺たちは手分けしながら屋敷中を探してみることにした。
ところが、1階、2階、3階と、屋敷中を見て回ったが、手掛かり一つとして見つからない。
窓にも開けられた形跡がなく、窓から外に出たとも考えにくい。ならば二人とも間違いなく屋敷の中にいる・・・と頭を悩ませていた俺の耳にCの声が聞こえた。
C「俺君!これ見て!」
何事かとCのいる1階におりてみると、そこには一際大きな扉があった。
恐らくこの先にAやBがいるのだろうと思い扉を開けた俺の目に飛び込んできたのは異様な光景だった。
蝙蝠のような羽と悪魔のような尻尾を生やしたメイドさん達が二人の男性に角砂糖を見つけたアリの如く群がっていた。
その二人がAとBだと解ったのと同時に、奥の椅子に座っていた明らかに雰囲気の違う女性と目が合う。
あれは明らかにヤバい奴だ・・・。
そう思った直後、俺は弾かれたように走り出した。
C「俺君⁉」
D「え?何?何事?」
「C、D!逃げろ!!」
キョトンとするCやDの腕をつかんで走り出した俺だったが、直後・・・メイドさんたちが追いかけてきてCやDを捕まえてしまった。
そして、転んだ俺の目の前で半ば無理やりといった様子で唇を重ね合わされる二人に見入っていると、二人の表情がだんだんと変わっていくのが見えた。
恍惚とした表情でメイドさんたちと唇を重ねていた二人は直後、俺目掛けて飛び掛かってきた。
「うわああああぁぁぁぁぁ!?!?」
今思えば二人の顔は以前にも増してとても可愛らしかったものの、それでもいきなり変貌したように襲い掛かってきた同級生に恐れをなして逃げた俺は何とか屋敷から出ることができた。
この一見からしばらく後、俺は知り合いの天使族さんに最近大学に来ていないA達のことを聞かれ、次第を離した。
天使族「なるほど・・・ヴァンパイアに遭遇してしまうとは災難でしたね。」
天使族さん曰く、森の中に屋敷を構えているのはヴァンパイアという魔物娘らしい。
天使族「気に入った殿方を手中に収め、メイドには分け与えない筈なのですが・・・どうやら、A様とB様は貴方ほど気に入られなかったようですね・・・。ともかく、あなただけでも逃げ切れたようで何よりです。明日にでも四人の救出に向かわせていただきます。」
翌日、天使さんが数人がかりで屋敷を襲撃。
たったの一日でサキュバスメイドたちを殲滅したが、AとBはついに見つからなかった。
もっと怖く書きたかった・・・けどこれが限界だった・・・。