TSしたかったけどゴブリンの雌は聞いてない   作:匿名ゴブリン

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ゴブリン兄弟

 俺は兄ゴブリンに連れられて巣穴の中を進んでいった。

 

「弟よ、俺はゴガンと言う。お前の名前は何だ?」

 

 無言でこのゴガンと名乗るゴブリンについて行っていたのだがこの気まずい空気に耐えられなくなったのかゴガンが口を開いた。

 

「ん、私? 私はステラ」

 

 俺のその言葉を聞いて、ゴガンはゴブリンとは思えない優しげな笑みを浮かべた。

 

「そうか、ステラ。聞き慣れない名前だが良い名前だな」

 

 こいつゴブリンだけど結構優しいのか? 

 

 俺がゴガンに向けて怪訝な表情を向けるとゴガンは何かを勘違いしたようだった。

 

「はは、確かにお前は群れに入るのが遅くなってしまったが他の奴らにいじめられたりはしないから安心しろ。俺の他にもお前の兄貴は多くいる。俺たちがお前をちゃんと鍛えて一人前のゴブリンにしてやるからな」

 

 そう言って俺の頭をポンポンと優しく叩いた。

 

 俺は少しざらついていて、土や何やらで汚らしいゴガンの手を何故か振り払えなかった。

 

「やめて」

 

「なんだ、恥ずかしがっているのか? 可愛い弟が増えて俺は嬉しいぞ」

 

 俺がそう言っても、ゴガンはそう満足気に言った。

 

「さあ、着いたぞ。これがステラの兄貴たちだぞ。ちなみに俺が一番上だ」

 

 案内された巣穴の一室には3人のゴブリンが武器を持って、俺たちを待っていたようだった。

 

「ゴガン兄、遅かったな。そんでそっちのがオデの弟か? 何だか似てねぇな」

 

 始めに口を開いたのは壁に寄りかかるようにして座っていた砲丸のように丸い身体をしている大きな木槌を持ったゴブリン。

 

 そのゴブリンは本当はゴブリンではなくオークのなのではないかと思うほど身体が他のゴブリンとは一回りも二回りも大きかった。

 

「おい、そんなこと言うもんじゃないぞ。確かにワシたちより違うようじゃが。よく見ればとても似ているじゃないか。目は二つに口、それに鼻も付いてるぞ」

 

 オークのようなゴブリンの言葉にそう言ったのは、何かの毛を接着剤か何かで口にくっつけて付け髭のようなことをしているゴブリンで何かの本を持っていた。

 

「おお、確かにやっぱりグインの兄貴は頭が良いや」

 

 どうやらその付け髭のゴブリンはグインというらしい。

 

「いやいや、そこまでではない」

 

 グインは本をペラペラとめくりながらそう答えていたが俺からすればさっきの言葉を聞いて賢ぶっているゴブリンなんだなということが分かった。

 

 俺はそんな彼らの前でどうしていいかと様子を覗うとゴガンが忘れていたなと彼らの自己紹介を始めた。

 

「まず、改めて俺はゴガン。こいつらの兄貴だ。この中では群れで最年長だから分からないことがあったら俺に聞くといいぞ。次、グイン」

 

 ゴガンが改めて名乗ると次に次男であろうゴブリンを指名した。

 

「ああ、ワシはグイン。ワシはこの群れのゴブリンの中で一番賢いと言われているから賢くなりたかったらワシが何でも教えてやろう」

 

 グインはそういって付け髭を撫でながらそう言った。

 

 そして、次に指名されたのはオークのようなゴブリンだ。

 

「オデはえーと、名前、名前……」

 

 どうやらそのゴブリンは自分の名前が分からなくなってしまったようで頭をポリポリと掻きながら唸っていた。

 

 その様子を見かねた、ゴガンが耳打ちをした。

 

「あっ、そうだ。オデ、オデはガド。オデは力持ちだがら、持てないものがあったら代わりに持ってやるぞ。えっと、あと、やっぱりなんでもない」

 

 そして、次に指名されたのはとても明るいゴブリンだった。

 

「はい、はーい。僕はショド。初めて弟が出来て嬉しいよ。僕は兄ちゃんたちのように優れたところはないけど頑張るからね」

 

 ショドはそう言って手も振ってくれた。

 

 最後に俺の番が来る。

 

「私はステラ。よろしく」

 

 俺は友好的だがこれから俺がエルナとこの巣から出ている計画でもしかしたら敵対するかも知れない兄たちと交友を深めない方が良いかと思って、ぶっきらぼうに短くそう言ったが兄たちはそれぞれ満足そうに頷いた。

 

 こうして自己紹介が終わるとゴガンが言った。

 

「よし、挨拶も済んだな。じゃあ、狩りに行くぞ」

 

「……狩り?」

 

 俺が聞き返すとゴガンは頷いた。

 

「ステラ、お前はまだ群れの正式な一員じゃない。群れに入るには力と貢献が必要なんだ」

 

「それが狩りなの?」

 

 俺がそう質問するとグインが待ってましたとばかりに付け髭を撫でながら説明を引き継いだ。

 

「うむ、外で狩りをして、それを巣に持ち帰る。それができて初めて、真の群れの一員と認められるのじゃ」

 

「出来なかったどうなるの?」

 

 俺が一応ゴブリンのリーダーになった時のために聞いておこうとグインに質問する。

 

「そうじゃな、例えばこの巣の食料は分配制なのじゃが、その量が少ない。しかも、もしみんなが巣に食料が持って帰れない状況が続いて備蓄もなくなれば分配はなし。それと怪我や病気になった時に他に怪我や病気のゴブリンが居ればそっちが優先されたりする」

 

「そういうことだ」

 

 ゴガンが腕を組みながら頷いた。

 

「群れは助け合い、仲間はもちろん大事だが時には見捨てなければならない時があるんだ。あ、でも俺たち兄弟は別だ。どうなったとしても困っている兄弟が居たら、全員で助けるんだ」

 

 もっとこう、ゴブリンは弱肉強食で好き勝手にやってるだけの集団かと思っていたが意外とルールがあるんだなと俺は思った。

 

 そして、最後の言葉を聞いて何だか出来るだけ彼らとは敵対したくないなと感じた。

 




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