スタンドギャザリング 作:折り紙のユニコーン@UNICORNぬ
オリ主、オリ幽波紋で好みが別れるところかと思います。楽しめる人だけ楽しんでいってください。
月明かりも差し込まない、薄暗い廃ビルの中で、髑髏の瞳を持つ少女―――夜宵がこちらを見つめている。
「……それ、幽霊?憑かれてる?」
「いいや、"コイツ"も"俺"だ」
俺の背後に佇む宙色のソレを見つめている。
この日から、悪霊を集める少女、夜宵との奇妙な冒険が始まっていった
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「はぁ?廃ビルに肝試しィ?やめとけって……そういうのフホーシンニューって言うんだぜ」
普段つるんでいる友人2人が、どうやら肝試しをすることになったらしく、付き添いを頼み込んできた。
当然、俺はそんなに乗り気になれない。夜の廃墟みたいな肝試しスポットは、出るのだ。曰くが付いていたら尚更だ。
「ジョジョって見た目は一番不良っぽいのに変に真面目だよなァー」
「うっせ。見た目はどーにもなんねーだろーよォ」
金髪の杉浦が不満たらたらで文句を言うので、片手でしっしっとジェスチャーを返す。
「マジ頼むよー!ジョジョこういうの強いだろ?腕っぷしもあるし頭もキレるし、いてくれたら安心なんだよォー!」
「そんなにコエーなら行くなよな……」
めちゃくちゃにブルってすがり付いてくるのは地味めな村田。
「坂本センパイの悪ノリに巻き込まれたんだよ。運が悪いことに、村田も巻き込まれちまってな」
「クソびびりなのに運がねぇな村田……」
「センパイおっかねぇから断れねぇんだよォー!頼むよジョジョォ!!」
なんやかんやで中学からの付き合いの2人は、どうにも杉浦の部活の先輩に捕まってしまったらしい。
ガラ悪いしな。あのセンパイ。
「ま、ちょっとカワイソーだし、付き合ってやるよ」
と、いうかんじで夜に現地集合した俺達は、センパイとその友達数人と一緒に廃ビルの2階をうろついていた。
「ったく、こんな廃墟になにがあるってんだか……」
「あ?ジョジョ、あのウワサしらねーの?」
「いや、知らねーな。なんかあんのか?」
俺の右腕を抱え込むようにガクブル震えながら歩く村田を尻目に、ライトを持って歩く杉浦に話を聞く。
「ここらじゃ有名なウワサだぜ。真夜中の廃ビルに、痩せ細った男の幽霊が出るんだってよ。
ソイツはもともと殺人犯で、俺達みたいに肝試しでここに来たガキを地下室に連れていって殺してたんだ。でも結局サツにバレちまって、撃たれて死んだ。殺しをしてた地下室もすぐ埋め立てられたッつーウワサよ」
「曰く付きかよ……ソイツは知らなかったぜ……あ?」
右腕から温度が消える。同時にずっと感じていた震動すらも感じなくなった。
「?どうしたジョジョ、なんかあったか?」
「いや、あったというか……いなくなってる」
「は?」
「村田だッ!村田がいなくなってる!」
「なッ!?に、逃げやがったのか……?」
「バカ言え、それならとっくに足音かなんかで気付いてる!本当についさっきまで、俺の腕に捕まりながらブルってたんだ!それが突然、消えたようにいなくなった!」
「せ、センパイ達に聞きに行こう!もし逃げてても、まだ遠くにはいないだろうし、センパイ達は入り口周りを探索してたはずだ!」
そうして入り口付近を見て回った俺達は、明らかな違和感を見つけるのみに終わった。
「妙だぜ、コレは」
「む、村田どころかッ……センパイ達までいねー!俺達だけ置いて行っちまったのか!?」
「いや?コイツを見ろ、杉浦」
「こ、コイツは……坂本センパイの靴!?」
「ああ。さっき見つけた。ランニングシューズ……ビビって逃げた拍子に脱げるようなモンじゃねぇ」
「それに……足跡は入ったときのものだけだ」
「えッ!?ほ、本当だッ!入っていく足跡だけくっきり残っているのに、出ていく足跡が無いッ!」
薄汚れた入り口には外から内へ向かう足跡だけがくっきりと残っている。
外に出ていったのなら、外に向かう足跡がつくか、中へ入る足跡がかき消されるかくらいはするだろう。
なのに、誰もいない。
「あのウワサ、マジにやべー可能性があるぜ、杉浦」
「ウワサ……って、あの殺人犯の幽霊かよ!?」
「ああ。そうだ」
「じょ、ジョーダンきついって!いくらお前だからって、幽霊が本当にいるなんてさァ……!」
「さっきからうっすら、鉄の匂いがしやがる。剥き出しの鉄筋の匂いかと思ってたが……だんだん、濃くなっている」
杉浦の顔はどんどんと青くなり、ガタガタと震え始める。無理もねえ。こんなマジの心霊現象に巻き込まれたんだからな。
「お前は外に出て人を呼べ」
「は、はぁッ!?お前はどうすんだよッ!?」
「どうするにせよ、村田達の場所くらいは見つけねぇとな」
「……お、俺もすぐに人呼んでくるッ!気を付けろよッ!」
「テメーに言われるまでもねーな」
杉浦を外に逃がし、村田達を救出する。怪しいのは……
「この、地下に続く階段か」
どうも杉浦達には見えていないようだったこの階段。最初はなんで誰も触れなかったのか疑問だった。こんなところに肝試しに来たのに、まさにお誂え向きの下り階段に触れもしねーのかよ、ってな。
疑問が解けたのは杉浦からウワサを聞いたときだ。地下室は埋め立てられている。つまり、この地下室への階段は、幽霊の領域。普通の人間では知覚できない、秘密の部屋ってワケだ。
さて、どうなってるのか……っと、誰か来た……?
「ガキ……?」
俺の背後に現れたのは、俺の膝くらいまでしかない、小学生程度の小さな子供だった。
ソイツは髑髏のような不思議な瞳をしていて、抱えているうさぎの人形は異様な雰囲気を纏っていた。
「肝試し?」
「の、付き添いだな。まァ、どっかに消えちまったから、これから探しに、下に行く」
「……見えてるんだ」
「あ?お前もか」
「逃げた方がいい。ここの悪霊は結構危険」
「だろーな。だが行くぜ。ダチが拐われてるし、テメーよか何倍も強い」
どうにも、このガキも地下行きの階段が見えるらしい。霊感、というやつか?
ご丁寧に忠告まで貰っちまったが、逃げるわけにはいかねぇ。村田がどうなってるかも分からねえんだから、引けるはずもねー。
そのまま階段を下りていくと、ガキも俺の後ろを着いてくる。
「悪霊と戦うなら、喧嘩の強さは意味がない」
「そりゃそうだ」
「武器も何も持ってない」
「テメーが背負ってるソレみてーなのか?これともその人形か?ま、俺にはいらねーからな。つーかガキ、テメーのほうが逃げた方がいいんじゃねーか?」
このガキ、背中にバールみたいなモン背負ってやがる。場馴れしてる雰囲気だし、さてはこういうこと日常的にやってんな?
とりあえず逃げるように促してみれば、不満そうに目を細めて反論してくる。
「備えはしてる。ここの悪霊も、倒せる」
やっぱ常習犯っぽいな。なんだ?その年でゴーストバスターズか。
「そーかよ」
階段を降りきって、1つの部屋にたどり着いた。そこは、血塗れの部屋だった。
床、壁、天井。どこを見ても汚れていない場所を探すほうが難しいほどに、びっしりと赤が染め上げている。
部屋には幾つか白骨のようなものも散らばっていたが、奥に村田達が倒れているのが見えた。胸は上下している。まだ生きているらしい。
そしてもっと目を引くのが、壁にナイフで固定されて苦しげに呻き声をあげる、学生の幽霊達だ。どいつもこいつも、昆虫の標本みたいに関節にナイフを突き立てられて固定されていて、痛みに歪んだ顔をからは血涙を流している。
「心底胸糞わりーけどよォ……安心したぜ――――」
気配が近づく。俺の霊感は副次的効果によるものだ。見えはすれど、同じ部屋にいるくらい近づかないと気配も分からない。
だが逆に言えば、ここまで近付けば気配を感じ取れる。
結構なスピードで、俺達の後ろから迫っている。
「――――テメーに慈悲はいらねーようで、俺は心底安心したッ!!」
拳を強く握る。ギリギリと音が鳴る程に。
「沢山の人を殺し、あげくダチに手ェ出したんだ!落とし前はキッチリ付けて貰うぜッ!」
きっと、このガキや悪霊からは俺の姿がブレて見えただろう。俺に重なっていた……いや、俺の中から飛び出したソレは、宙の色をしたヒトガタだ。
白い輪郭を持ち、全身が仄かに輝く紺で染まっている。
体の所々には天の川のようなベルトが巻かれ、膝や肘など関節部には惑星のような球体が嵌め込まれたパットが装着されている。
その顔に口や鼻はなく、目だけが月を嵌め込んだように白く淡い光を放つ。
そして両目の上辺りから後頭部にかけて土星の輪のような物が縦に生えている。
宙を人のカタチにしたような異形の姿。
それこそが、俺に与えられた唯一の武器―――
「ぶっ飛ばせ!ネオユニヴァースッ!!」
――――幽波紋、ネオユニヴァースである。
胸の前で拳を打ち合わせたネオユニヴァースは、背後から迫るナイフを振りかぶった悪霊に向けて拳を振るう。
相手のナイフを押しきって、拳はそのまま顔面を砕いて振り抜かれる。
勢いよく吹き飛ぶ悪霊。変化に乏しい表情に僅かな驚きを浮かべるガキ。
「テメーはもう警察じゃあ手に負えねぇ、法で裁けねぇ……だから、この俺がッ!
テメーの所業を裁いてやるッ!
立ちな……!こっちはまだまだ殴り足りねーぜ!」
俺はネオユニヴァースを侍らせて、起き上がろうとする悪霊にガンを飛ばしてやった。
寄り道も寄り道な作品なので、投稿頻度は亀どころかいつまで続くか分かりません。
他の作品もそうだろとか言ってはいけません。死んでしまいます。
モチベーションをなんとか立て直して、他の作品も頑張って投稿していきたいです。