本作は「魔法少女ノ魔女裁判(まのさば)」の
二次創作小説です。
【注意事項】
・原作既読を推奨しています。
・性犯罪・自殺・暴力描写を含みます。
・本作はpixivにも掲載しています。
・原作および登場人物の公式設定を
尊重した上でのオリジナルストーリーです。
仲間たちが集結する章です。
久しぶりに顔を揃えた彼女たちの掛け合いを
楽しんでいただければ幸いです。
それでは、どうぞ。
翌日、レイアの部活の終わりを待って、彼女と一緒にカフェに誘った。
「レイア。力を貸してくれ。この事件、学校の中に犯人が潜んでいる。」
「それは確かなのかいヒロくん。なら、その人を、いや、」
レイアは私の視線に気づいて、言おうとした言葉を飲んで私の返答を待った。
「理解が早くて助かる。そう、証拠を集めたい。」
「あ、あぁ!そうだとも!それで?私は何をすれば?」
「演劇部の顔を活かして、各生徒に不審な人影がないかを聞くのと氷鷹先生の動向を監視してくれ。どうにかしてこれ以上の被害を抑えたい。これはレイア、君にしか任せられない。」
「おぉ!もちろん全力で務めさせてもらおう!この蓮見レイア。これ以上生徒たちを悲惨な目に合わせたりしないと約束しよう!」
「あぁ。頼んだ。」
花弁の種を摘み取るまで 影色注視腫瘍追跡
レイアの協力で予防線を張ることができた。あとは、とにかく情報がほしい。そこで数日前にグループチャットで呼びかけた。
ヒロ「全員!集合!!!」
シェリー「どうしたんですか?」
ヒロ「私の高校内に安藤マキ自殺事件の犯人がいる。しかし、証拠がない。一人では時間がかかり、証拠を消されてしまうかもしれない。そのため、消される前に明確な証拠を集め、告発したい。協力してくれ。」
シェリー「いいですねそれ!この名探偵シェリーちゃん、全力で協力いたしますよ!」
ハンナ「ちょっと待ってくださいまし!協力するにしてもヒロさんの高校内にいるのなら、わたくしたちができることなどほとんどありませんわ。」
エマ「いや、そんなことないよハンナちゃん。この事件は安藤マキ集団レイプ事件、そこから広がった噂の生徒の個人情報流出も関係してるかもしれないんだ。」
ハンナ「それってつまり?」
ヒロ「我々全員に関わる問題だ。そして、それはみんなでも情報を集めることができる可能性が高いということ。」
アリサ「確かに、その噂が本当なら全国どの高校でも同じ事件が起きる可能性があるってことだからな。」
ミリア「うぇ~。おじさんものすごく怖いよ。」
レイア「みんな安心してくれたまえ。私とヒロくんが必ず犯人を炙り出す。だからみんなは自衛に務めながら気になることを報告していってほしい。」
ハンナ「ま、まぁそのくらいでしたら、」
シェリー「推理、考察なら私も参加しますよ!裁判で培ったこの頭脳!ここで役立てないでどこで使うかって話ですよ!」
ハンナ「自覚あったんですのね。」
アリサ「そういうことならウチも協力する。防げる事件なら防ぎたいしな。」
ミリア「そうだね。おじさんもみんなに協力するよ。」
ヒロ「本当に助かる。近々、みんなで集まって作戦会議をしたい。空いてる日程はあるか?」
シェリー「今週の日曜日なんかどうでしょう?」
エマ「ボクは空いてるよ。」
ハンナ「わたくしも問題ないですわ。」
アリサ「ウチもその日は暇だから行ける。」
ミリア「おじさんも大丈夫だよ。」
ヒロ「無論私もだ。」
レイア「済まない。その日は演劇部の講演会があるんだ。私のことは気にせず、会議をしてくれ。私はヒロくんと同じ高校だから学校内で話を聞くこともできるからね。」
シェリー「決まりですね。じゃあ場所は動物園なんてどうでしょう?」
アリサ「論外。」
シェリー「えぇ!??なんでですか?」
アリサ「場違いに決まってんだろ!動物園は癒やしの場所だろ?もっと他にあるだろ?」
シェリー「いえ、私は最適解だと思いますよ?なにせ、事件を追うに当たって精神的疲労感を緩和するための措置が必要になります。それに、人混みのほうが、盗聴、監視がされる心配も減ると思います。あと、単純にみんなで遊びたいです。そ!こ!で!動物園なのですよ!」
エマ「ボクは動物園、いいと思うな。みんなで行きたいし。」
ミリア「おじさんも最近行ってなかったし、久しぶりに行きたいかも。」
ハンナ「皆さんが言うならわたくしは問題ないですわ。」
ヒロ「なら、今週の日曜の昼頃八ツ橋動物園に集合だ。」
当日、現在9時頃。わたしが一番乗りだ。チャットに「着いたぞ。」と連絡した。すると、3人分の既読が付き、すぐに背後から懐かしい声がかかった。
「ヒロちゃん!お待たせ。」
「ヒロさん。久しぶりですね。」
「ごきげんようですわヒロさん。」
エマ、シェリー、ハンナが一緒に歩いてきた。既読の正体はこの3人かと納得して、私からも近づいた。
「おはよう。まだ、人があつまっていないから、しばらくは、この入口付近で待とうと思う。」
「いいですよ。集団行動のほうが、色々と都合が良いですからね。」
「お!お前ら早いな。」
そんな会話をしているそばからアリサもやってきた。
「ぜぇぜぇ。ご、ごめん、楽しみでなかなか寝れなくて、寝坊、しちゃって。」
息を切らして走ってきたミリアも到着した。別に集合時間は9時15分だから遅れてないのだが、おそらく私たちが集まっているのを見て、走ってきたのだろう。ココは来ない。この先の戦いについてこれないからだ。というか彼女は配信に夢中で基本既読すらつけない。牢屋敷組のノア、アンアン、ナノカ、マーゴに関してはなれはてから戻った者たちの援助に忙しいと思い、この事件の調査には呼ばなかった。
「おぉ!キリンさんは首が長いですねぇ。」
「野菜!野菜食べてますわ!」
「なんか普通に楽しんでるね。」
ハンナとシェリーがキリンで遊んでるのをエマが微笑ましく見ていた。たしかに、せっかくきたのだから、楽しまなくては金の無駄だ。色々と突き詰めていたせいか疲れも溜まっていたように感じるときもあった。今日、みんなと楽しむことも事件の真相を追うことと同じくらい大事だろう。
「みなさん見てください!馬に乗れるんですって!行きましょうよ!」
自由なシェリーの流れに乗って、馬にも乗った。
「次の方、どうぞ。」
飼育員の案内に従って、落ち着いて乗馬する。当然だが、暴れるなんてことはない。飼育員が丁寧に優しく育てている馬なのだからこそ、見知らぬ人を乗っけても普段通りの態度を崩さないのだろう。馬に限らず、動物園には秩序がしっかり整えられている。飼育員という世話人が動物の面倒を診て、動物が客を魅了して、飼育員の生活を守る。それが循環しているからこそ、我々客も安心して楽しめるわけだ。幸福の循環がここでは起きている。そして、私は事件によって引き起こされた負の循環を断ち切らなければならない。遊びも程々に、着々と反撃の準備に取り掛かろう。
動物園の売店にて、各々食べたいものを買って、シェアし合っていた。
「はい、ヒロちゃん!あ~ん!」
「よせエマ。公共の場でそんなはしたないことをすべきではない。」
「ヒロさんいらないんですか?それじゃあ私が~」
そうシェリーが私に向けられた気持ちを悪意なく貪ろうと口を開けた瞬間、光の速さで私はそれを平らげた。私の頬はひまわりの種を食べるハムスターのように膨らんでいた。
「はや!?やっぱりヒロさんお腹空いてたんですね。」
「いや、絶対違うと思いますわよ。」
「どうしてですか?」
「これは、貴方にエマさんのあ〜んを取られたくなかったんですわ。」
「ハンナ。解説するな。」
秒速で咀嚼して、しっしっと手のひらで私の行動を解説するハンナを払い除ける。
「あぁ!そういうことだったんですね!」
「さすが人の心無いだけはあるな。」
「その言葉選びちょっと面白いですね。」
「は?なんでだ?」
「だって、アリサさんの言う心がないというのは私のことを熟知していることを前提で話していますよね?だからこそ出てくるさすがという肯定。そして、最後はあるな。で締めることでないことがある!という矛盾にも聞こえる皮肉的文章が完成するということです!」
「なんでそういうときにお前は頭の回転が早くなるんだよ。普通罵倒されたことに対して怒れよ!」
「てへ。面白かったので、つい。」
たしかに、会話としてはなんの違和感もないし、構造上でも問題ない。だが、言葉だけで見ると、ないことの証明となっている。説明を受けないと聞き逃してしまうくらいには自己完結したギャグだな。
「みんな、遊びもそこそこにして、会議を始めたい。良いか?」
「はい!どんとこいです!」
「わたくしも問題ないですわ。」
「ボクも。」
「ウチもいいぜ。」
「おじさんも食べ終わったからいつでもいけるよ。」
こうして、動物園内を回りながら会議を進める事になった。
「具体的にはどのようなことをするんですの?証拠といったって、前回起きた事件は自殺として処理されて、レイプ事件についても実行犯は逮捕されてますわ。つまり、ヒロさんが怪しんでる犯人を告発するには~、え~っと、」
「実行犯との繋がり、または、生徒の情報を意図的かどうかはさておき、漏洩させたことが明確である証拠を提示する必要があるってことですね!」
「そ、それですわ!」
ハンナのギリギリ届かない思考をシェリーが補って目的が明確になった。しかし、
「シェリー。それだと、まだ足りない。そうだな?ミリア。」
「え?え?」
「実刑にまで持っていくにはこれだけでは足りないだろ?」
「あ!うん。これだと、地方公務員法違反だけかな?そうなると、意図的じゃなかった場合、実刑にはならない可能性が高いんだ。だから、実刑に持っていきたいなら、より確実な、そう!実行犯にその個人情報を送ったことを証明できる証拠があれば、確実に実刑にできると思うよ。」
ミリアのおかげで目的がより正確になった。これで、ようやく、作戦を練ることができる。
「でもそうすると、ココさんの魔法が手っ取り早くないですか?」
「でも、ココちゃんチャット既読つけてないから多分気づいてないよ?」
「クソ!こんなときに限って役に立たねぇなアイツは。」
当然の疑問をシェリーがした。それに対してココのマイペースさに悪態をつくアリサ。牢屋敷から、根本的なところはやはり変わってないなと感じた。もちろん私も含めて。
「な、なら、魔法で呼び出す。というのはどうでしょうか?」
ハンナの言葉にエマが驚きの目を向けて言葉を返す。
「え!?でも魔法はユキちゃんが魔女因子と一緒に消し去ったんじゃないの?」
当然の疑問だ。しかし、我々の魔法は完全には消え去ってなどいなかった。
「エマ。私と君のような能力はそもそも使用用途が限定されているから気付けないと思うが、魔法はまだ、使えるんだ。」
「まだ?」
「あぁ。ユキは何年もかけて人類に魔女因子を埋め込んだ。すると、それを消すには同じ時間、いやそれ以上の時間を必要とするはずだ。牢屋敷にいるナノカたちから劣化しているが魔法が使えることを聞いている。」
「そ!そうなんだ!知らなかった。」
「でも、問題はココちゃんの魔法がどこまで弱体化してるかだよね。」
「確かにな。たしか弱体化前は写真か動画でアイツを見た奴の視界とかを俯瞰して見れる、そんな能力だったか?今はどこまでできんのか。」
皆がココの能力を考察している中、シェリーがなにかを閃いて提案をした。
「ぴぴーん!シェリーちゃん、閃いちゃいました!視界共有が生きていることを想定して、私たちがココさんを必要としていることを示す。そのために、身体を使ってSOSを表せばいいんじゃないでしょうか?」
そうドヤる彼女に対して、
「それなら手っ取り早くSOSの紙を見ながら彼女の写真でも見ればいいだろ?」
「いえいえ。ココさんがそんなことで反応すると思います?チャットに返事しないで、配信しちゃうくらいには私たちにあまり興味ないんですよ?そんな好感度でただSOSを書いた紙なんて見せられても無視するに決まってます。」
「まぁ言われてみればそうか。」
「じゃあ3人がそれぞれのポーズをとれば問題ないな。一人が動画の閲覧者で。」
「ちょっと待ってください!それじゃあ4人しかいないじゃないですか。それだとことの重大さにかけると思います。なので!閲覧者一人でポーズ五人の全員ですれば間違いなく気を引けます!」
「理にはかなってるか。」
「ボクはみんなでしたいな。せっかくいるんだし。」
「お、おじさんもいいと思う。」
「決まりですね!では言い出しっぺの私が最初のSを担当します。エマさんとミリアさんは強制的文字担当です。」
「SOS以外は何を入れるの?」
「DとSです。」
「SOSDS?」
「はい!SOSです、です!」
「あぁ、そういう。ならボクもSかな。」
「じゃあおじさんはDするよ。」
「すると、残りはOとSですね。どなたがやってくれますか?ハンナさん?」
「なんで名指しなんですの!?」
「私!ハンナさんとSOSしたいです!」
「うぅ。わ、わかりましたわよ。やればいいんでしょ?やれば。」
「やったー!ハンナさん大好きです!」
「ひゃぁぁぁ!引っ付くんじゃねぇですわ!!!」
そんな中、私とアリサは不毛な争いをしていた。
「お前がしろよ。」
「なぜだ?私は状況を落ち着いて俯瞰する必要がある。故に、適任な役職は必然的に閲覧者になる。」
「別に一瞬で終わんだからそんなに状況をみる必要ねぇだろ。」
「なんだと?」
「やんのか?おぉ?」
「んもう。これじゃあ埒が明かないですね。なら公平にじゃんけんはどうですか?それならすぐに決着付きますし、納得いくと思いますよ?」
「ウチは問題ねぇ。お前は?」
「無論、私もだ。」
「それでは始めちゃってください!」
「じゃん!」
「けん!!」
「「ぽん!!!」」
「それじゃやるぞぉ。」
アリサがスマホでココの配信動画を表示して、私たちはそれぞれシェリー(S)、私(O)、エマ(S)、ミリア(D)、ハンナ(S)の順にポーズを取った。そしてアリサは片目でココの配信を、もう片方でみんなを見ていた。
ココの配信。彼女は現在、実写配信者のココたんとして活動していた。
「こんちはー!みんなのココたんだよ〜。今日は噂のクソゲーをポテチ食いながらやってきまーす。」
同接数5000人超えの人気配信者。しかし、彼女の視界に映ったのは、かつての友達のSOSのポーズだった。
「ん?ぷぶぅぅぅぅぅぅうっぅ!!!!!!あっははははははははは!!!!!!!!!!!!!!」
あの堅物のヒロがポーズをとっている光景におかしさで笑いが爆発してしまった。
突然の爆笑に視聴者は困惑のコメントを送る速度が上がる。
「いやごめん。友達と遊ぶ約束してたんだけど、バックレちゃってさ。変顔で怒りメール届いたわ。わりぃけど早めに配信切るわ。」
そうして、いつもより早く配信が終わってチャットにて返信がきた。
ココ「どったのみんな?」
ヒロ「チャットの通りだ。」
ココ「長すぎ。簡潔にヨロ。」
ヒロ「安藤マキ自殺事件の犯人を探している。君の能力で事件当時のことを知る人物を特定したい。」
ココ「あのさぁ、知ってると思うけどあてぃしの魔法ってそんな万能じゃないんだけど。せいぜい相手の視覚と周辺を見れる程度だよ?」
ヒロ「周辺というのは具体的にどこまでだ?」
ココ「んーっと、ソイツの部屋の外くらい?視点の移動はそこまでだけど風景ならそっから見えるよ。あ!そういや、少し前の記憶までなら行けるわ!」
ヒロ「なら、君の配信で過去に事件近くにいた人物の記憶を探ってほしい。」
ココ「そんなことして、犯人わかんの?証拠なんかどうせ消えてっしょ?」
ヒロ「それはやってみなければわからない。運命の女神が微笑むよう、私たちはただ、祈るだけだ。」
ココ「あいよ~。わかりぁしたぁ~。」
私たちには常人にはない魔法がある。牢屋敷では誰かを殺すことにしか使ってなかったが、使い方によって善行をすることもできる。
「悪を裁くため、みんなの魔法、使わせてくれ。」
次話へ続く。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
今回は仲間たちが集結する章でした。
動物園というシリアスとは程遠い場所での
作戦会議というギャップを楽しんでいただけたなら幸いです。
お気に入りの場面やキャラクターがあれば
ぜひ感想で教えてください。
次幕からいよいよ作戦が動き出します。
引き続きよろしくお願いします。