???「……い…おい……おい!大丈夫か!?」
トリト「う…うぅ…あれ?おっちゃん…?」
アンカー「おっ、ようやく目ぇ覚ましたか。」
トリト「ここは……?」
アンカー「俺の小屋だ。お前の帰りが遅くて、気になって海岸まで様子を見にいったら、ぶっ倒れたお前が海岸に打ち上げられててな。ここで休ませてた。知らぬ間にランクアップしてたのには、驚いたがな。」
トリト「オレ…確か魔王を倒して…でも終わってなくて……ハッ!?そうだマヨリ!!おっちゃん、マヨリは!?」
アンカー「マヨリって…あぁ、あの嬢ちゃんか。お前と一緒に海岸に打ち上げられてたんで、一緒に俺の小屋まで運んできた。その嬢ちゃんなら、今お前の隣で寝てるぜ?」
トリト「えっ?…うわぁ!?」(ボッ!!)
アンカー「お?一気に赤くなってんじゃねぇか?もしかして、惚れてんのか?」
トリト「そ…そう言う訳じゃ…。」
マヨリ「う…うぅ…その声…トリトか…?」
トリト「あっ、マヨリ!無事で良かったぁ…。」
マヨリ「こ…こんなところで休んでいる暇はない…。は…早くオロロソを…止めなければ…うっ!?」
アンカー「おいおい、起きたばかりなんだから無茶すんな!…で、トリト。お前何があった?シャッパは一緒じゃねぇのか?」
トリト「あぁ…それが……。」
トリトはアンカーに、魔海の海中で起こった出来事を全て話した。
アンカー「成程、そんなことが…。しかし、竜宮城が実在してたとはなぁ…。そんで、そこのマヨリの嬢ちゃんが、そこの乙姫様だったと。」
マヨリ「うむ…。しかし、その竜宮城も今やオロロソの手中だ…。一刻も早く奴から取り戻さねば…。」
トリト「待ってくれ!マヨリ、やっぱりなにか隠してるよな?オロロソのこと考えてる時のマヨリ、なんか浮かない顔してたし、アイツが使った深海の秘術についても知ってそうだった。……マヨリ、良ければで構わないから、全部話してくれないか?」
マヨリ「……わかった。このような事態になってしまったのは、妾の至らなさもある。全て話そう。まず、一番に伝えなければならないのは……オロロソは、妾の兄だ。」
トリト「へぇー、そうなのか…。オロロソがマヨリの……マヨリのお兄さん!?」
マヨリ「あぁ。しかし、以前はあのような姿ではなかったのだ。」
アンカー「…詳しく話してくれねぇか?嬢ちゃんの兄貴に、何があったかを。」
マヨリ「…わかった。」
兄上は、元々妾と近い姿をした容姿端麗な美男子だった。兄上はとても優しくてな、いつでも魔海の平和を願っていた。未来永劫続いてく平和を。
しかし、いつまで経っても訪れるのは束の間の平和。訪れない永遠の平和に、兄は心を痛めていた。いつしか兄上は、1人でいることが多くなった。「誰も邪魔する者がいない安らぎが欲しい」と。
そして……兄上は乱心した。
兄上は闇の力に手を出して今の姿に変貌し、全てを鏖殺するまで止まらない魔王と化した。……全ては、永遠の安らぎを手に入れるために……。
トリト「そうか…。オロロソも、アイツなりに色々悩んでたのか。でも、だからってそんなやり方、絶対間違ってる…!」
マヨリ「うむ。だから妾がオロロソを…兄上を止めなければならないのだ…!」
アンカー「……待ちな、嬢ちゃん。一つだけ聞いておく。お前さん、『大切なものを守るために、大切な人と全力で戦う覚悟はあるか』?」
マヨリ「何だと…?」
アンカー「……俺はな、大切なものを守るために、人の心を捨てちまった馬鹿野郎を知っててな。ソイツを止めに行ったのは、他でもないソイツの息子達だ。」
マヨリ「!?」
トリト「な…何だその話…オレも初めて聞いたぞ…?」
アンカー「だろうな。この事に関しては、あまりいい思い出が無くてな。できることなら、話したくねぇんだ…。ソイツはな、正気を失って暴虐の限りを尽くしながらも、心の奥底で苦しんでいたんだ。その証拠に人の心を捨てたはずのソイツは、最期は自分の息子に倒されて、憑き物がなくなったみてぇに安らかに眠りについた。…多分だが、お前の兄貴も心の底では、お前を傷つけたくないと葛藤してるはずだ。でも嬢ちゃんの兄貴も、ソイツみてぇにもう戻れないところまで来ちまってる。ならやるべきことは一つだ。」
アンカー「…マヨリの嬢ちゃん。お前さんが兄貴を倒して、兄貴自身を苦しめる呪縛から解放してやれ。酷なことかもしれねぇが、それがお前の兄貴を止められる、ただ一つの方法だ。」
マヨリ「兄上を呪縛から解放する…。」
アンカー「あぁ、これはもう竜宮城を取り戻すためだけの戦いじゃねぇ。お前さんの兄貴を救ってやるための戦いでもあるんだ。それを頭に入れておけ。」
マヨリ「……。」
アンカー「見たところ、嬢ちゃんの心には曇りが見える。おそらく、まだ兄貴を『殺す』ということに捉われているからだろう。……もう一度聞く。『竜宮城を…兄貴を救うために、全力で自分の兄貴と戦う覚悟はあるか』?」
マヨリ「……あぁ、兄上を倒すことが、竜宮城を救い、兄上を救うことになるのなら、妾は躊躇いなど捨てよう。」
アンカー「そうか…。明日の早朝、海岸に来な!嬢ちゃんの覚悟、俺が試してやる。トリト、お前もだ!」
トリト「えっ、オレも!?……大丈夫か、マヨリ?アンカーのおっちゃん、あぁ見えて滅茶苦茶強いぞ…?」
マヨリ「構わん。妾の覚悟、其方に見せてくれようぞ!」
アンカー「威勢は十分のようだな。とりあえず、お前ら2人ともボロボロなんだ。今日のところはゆっくり休みな。明日のためにもな。」
こうして、アンカーからの力試しを受けることになったマヨリ。
果たして、アンカーに自分の覚悟を証明することは、できるのでしょうか?
おまけの小話
アンカーが語っている人物については、初代オレカバトルの第5章を調べていただければ、大体察していただけると思います。
個人的には、第5章は初代のストーリーの中で5本指に入るくらいには気に入ってます。