海の底、竜宮城跡地にて、邪神と化したオロロソはギョギョを捌き、血生臭い静寂を展開していた。竜宮城は手に入れた。魔海を手中に収められる力も手に入れた。邪魔する騒がしい奴らはもういない。……なのに何故。
オロロソ「──この虚しさはなんだ?これではまるで干物だ……オレは何を…失ったんだ……?」
そんなことを考えているうちに、彼らはやってくる。一度自分を負かした若者と、かつての妹が。
オロロソ「……来たのか。その姿、お前も『深海の秘術』に手を出したか…。そこまでして、まだオレの邪魔をする気なのか?マヨリよ…。」
マヨリ「兄上…いや、オロロソよ!妾は必ず貴様を止める!そして、この竜宮城を取り戻す!!」
トリト「オロロソ!これ以上マヨリを悲しませる真似はやめろ!!」
オロロソ「うん?貴様、その様子だと全て知ったのか…。オレの安らぎを邪魔するのであれば、それが妹であろうとも排除する。それだけよ…!」
トリト「ふざけんな!!そんなことしてみろ!このオレが絶対に容赦しない!!」
オロロソ「雑魚が喚くじゃないか…いいだろう。では、始めるとしようか…殺戮を!!」
オロロソ「さて、このまま戦っても面白みがないからなぁ、下準備をさせてもらおうか…。」ドスッ!
ボコボコ…
オロロソが爪を地面に突き立てた瞬間、足元の海水がふつふつと沸騰するように変質していく…。
アズミ「この気配…何かくるぞ!!アーケロン、バリアを!!」
アーケロン「キュイー!!」パァァァ!
オロロソ「さぁ…これから一緒に楽しもうじゃないか!ウィルプルトキシン!!」
バシャァァァ!!
紫色の渦潮がトリト達を飲み込む。アーケロンのバリアにより威力は緩められたが、トリト達の身体に妙な倦怠感が襲いかかる。
マヨリ「これは…まさか毒か…!?」
オロロソ「クックックッ…そのまさかよ。アーケロンのバリアは状態異常までは防げんからなぁ。さぁ、じわじわ毒で苦しめながら、じっくり嬲り殺してやろうじゃないか…!」
シャッパ「へっ、このくらいの毒…オレはなんともないぜ…?そら!オレのパンチ、受けてみなッ!!」
ドグァン!!
オロロソ「ぐぬっ!フフフ…以前よりキレが増してるな…。毒が効いているというのにやるじゃないか?正直効いたぞ?だが、痩せ我慢は良くないなぁ…?」
ザクゥ!!
シャッパ「ぐぁぁ!?」
トリト「シャッパ!!バリアが展開されてるとはいえ、このままじゃヤバい…何とか解毒しないと…!あっ、ちょっと慣れないけど、あの技なら…!」
オロロソ「おい貴様ァ、何をしてるのかな?楽しみを邪魔するのは、良くないなぁ!ガストリィウェットストーン!!」
ザクッ!!
トリト「ぐぅっ!?速すぎて、回復する余裕がない…!みんな、悪いけどなんとかアイツに隙を作ってくれ…!オレが毒を治療する!それまで耐えてくれ!」
アズミ「無茶を言ってくれる…!だが良いだろう!弐式・護身水撃!!」
バシャァァァ!
オロロソ「くっ、またそれか…!だがこの程度…!」
マヨリ「くっ、トリトの元にはいかせるか…!!疾風刺突剣!!」
ガキィン!!
オロロソ「ふぅん、中々速いが、毒が回ってるのにそんなに動いて良いのか?我が妹よ?」
マヨリ「カハッ!?こ…これしきのこと…!それに…トリトよ、今だ!!」
トリト「あぁ!大海よ、我らに加護を…!オーシャンベール!!」パァァァ…
トリトのオーシャンベールが、仲間たちを癒す…。トリト達の傷が少し回復し、毒が消えた!
トリト「よし、うまく行った!!」
オロロソ「チィッ!余計な真似を…!」
マヨリ「助かったぞ…トリトよ。恩にきる!」
オロロソ「それで勝ったつもりか?解毒されたならもう一度…」
トリト「させるか!ハープーンハント!!」ブォン!
ドスッ!!
オロロソ「ぬぅっ!?どこまでオレの邪魔をすれば気が済む…!?」
アズミ「さて…そろそろ効くころか?」
オロロソ「ゴフッ!?これは毒か…!?だが奴がEXを発動した気配は…!」
アズミ「参式・毒水煙だ。貴様が超EXを発動した隙に仕掛けさせてもらった!先ほどのお返しだ!」
オロロソ「雑魚共がぁ…!」
アズミ「今だ!!裏零式・獄刺身!!」
ドドドドドド!!
オロロソ「ガハッ!?さらに毒が…!?」
トリト「今だ!!一気に決めるぞ!!」
シャッパ「おう!!行くぜぇー!シャイニング・パンチ!!」
バコォォン!!
オロロソ「カハッ!?」
マヨリ「アーケロンよ!もはやバリアはいらぬ!アビスガーディアンブラストを解き放て!!」
アーケロン「キュー…イー!!!」ビーッ!!
ドグァァァン!!
オロロソ「ぐうぅ…!ま…まだオレは…!!」
マヨリ「オロロソよ、ここまでだ。この一撃で楽にしてやる…!トリトよ!」
トリト「あぁ!…オロロソ、お前の苦しみも……今日ここで終わらせる!来い!波よ!!」
ザバァァァ!!
オロロソ「チィッ…!分かったような口を…聞くなぁァァァ!!」
ドスッ!!
苦し紛れにオロロソはオーシャン・ドミネーションで串刺しにしようとするが、軌道が分かりやすく、華麗な波乗りで避けられる。
トリト「お前の悲しみも、全部飲み込んでやる!!トライデントオブ…アビサル!!」
ザッパァァァァァァン!!
そして、波の中から現れたマヨリが最後の一撃を放つ。
マヨリ「オロロソよ、これで終わりだ!!海神流・烈火龍剣陣!!」
ズババババァァァァッ!!
オロロソ「はぁ…はぁ……な…何故だ…。オレが…負けるなど…。」
トリト「……なぁ、オロロソ。お前は、なんでそんな姿になってまで安らぎを求めたんだ?」
オロロソ「フフフ……オレは…いつも争いばかりの……この魔海に…嫌気が差した…。だから変えたかった…。この魔海から……誰もいなくなれば…魔海にあるのは静かな安らぎだけ……。だが……オレが欲しかったのは…本当にこんな安らぎだったのか…?」
トリト「オロロソ……。」
オロロソ「なぁ、マヨリ……。もっと前に…お前にこの事を話していれば……何か変わったんだろうか……?もし、誰かに相談していれば……オレは道を踏み外すことは…しなかったんだろうか…?」
マヨリ「……分からん。だが、少しは妾にも相談して欲しかったとは感じている。少しくらいは、力になれただろうにと。」
オロロソ「そうか……。なぁ、マヨリよ…。最期に一つ、兄として頼みがある…。オレはもうじき死ぬ…。だから最期くらいは……誰の邪魔も入らない…静かな所で…休ませてくれないか…?」
マヨリ「……わかりました。せめて安らかに眠れることを祈ります。」
オロロソ「フフフ…ありがとうな……。嗚呼、結局全てを失ってしまったが……こういう最期も…悪くはない…な…………。」
そう呟くと、オロロソは静かに力尽き、眠りについた。
マヨリ「さようなら……"兄上"……。」
その後、オロロソの遺体は、竜宮城の残骸から作られた棺桶に入れられ、誰の邪魔も入らない深海の奥底へと沈められていった。せめて、死んだ後くらいは安らぎを得られるように…。
トリト「これで、終わったんだな…。」
マヨリ「あぁ…、其方らのおかげだ。感謝しよう。」
トリト「いやいいって。……なぁマヨリ。」
マヨリ「うん、なんだ?」
トリト「いつかさ、魔海にも平和は来るのかな?アイツが…オロロソが望んだ、永遠に争いのない平和がさ。」
マヨリ「わからん。確かに、魔海は争いが絶えない。だが今すぐでなくとも、いつかは争いがない平和な海にできると、妾は信じている。そのためにも、妾達が頑張らねばならんのだ。」
トリト「マヨリ……。」
マヨリ「……湿っぽい話はここまでにしておこうか。さて…竜宮城の建て直しでもするとしようかな?トリト、シャッパよ、手伝ってもらうぞ?」
トリト「へへっ、任せとけって!あぁでも…今回の戦いで疲れたし…ちょっと休んでからでいかな…?」
マヨリ「フフッ、構わん。よく頑張ったな、トリトよ。ありがとうな。」ちゅっ♡
マヨリはトリトの頬に少しだけキスした!
トリト「〜〜〜〜!?!?!?」(バタッ)
トリトは思わず気絶した!!
マヨリ「と…トリト!?いったいどうしたのだ!?妾は何かやってしまったのか…!?」
シャッパ「へぇ〜?マヨリも意外とやるじゃねえか?そこまでできる度胸があるとは、オレも思わなかったぞ?んー?」
マヨリ「ちゃ…茶化すでない!!別にそういうつもりでは…!」
アズミ(トリトめぇ……許さん許さん許さん許さん許さん……)ゴゴゴゴ…
マヨリ「アズミも、何をそんな目でトリトを見ているのだ!?」
こうして、魔海に束の間の平和が訪れました。
やがてまた魔海に争いが訪れることは想像に難くなく、オロロソの望んだ永遠の平和が訪れるのは、まだ先のこととなるでしょう。
しかし、争いが起こると同時に、平和を守るために立ち上がる者もまたあるもの。とりあえず、今の魔海は彼らに任せて大丈夫でしょう。
めでたしめでたし。
アーケロン「キュー♪」
第1章 おしまい
パンドラ「よう!ここまで読んでくれてありがとな!これで第1章もおしまいだぜ!」
パンドラ」オロロソのヤツも、平和のために苦しんでたんだな…。魔王になる前にマヨリに相談できてれば、違った結末もあったかもな……。」
パンドラ「それじゃあ今回はここまで!次の物語が読みたくなったらまた来てくれ!オレカ2のプレイもよろしく頼むぜー?」
パンドラ「それじゃあオマエら、また会おうぜ!またナー!!」