前回、育ての親の故郷である風隠の森にやってきたナギだったが、防人であるオニワカに軽くあしらわれ、彼から森の事情を伝えられる。そして、彼は魔王ソジュ打倒のため、修行に励むのだが……。
ナギ「やぁーー!!」
ガキン!
オニワカ「やはり速さは目を見張るものがあるが…パワーはまだまだじゃのう!」ブォン!
ナギ「うわーー!?」ドシャァー!
ナギは真正面から突っ込んでいくが、オニワカに難なく止められ、得物の薙刀で振り払われる。ナギはスピードはあったが、パワーがいかんせんまだ足りないという状態だった。
オニワカ「よし!今日はこのくらいにしておこう。まぁ一朝一夕で強くなれたら誰も苦労はせんからな!何事も地道な努力よ!」
ナギ「うぅ…。おっちゃん、オレ本当にソジュって奴を倒せるのかな…?」
オニワカ「正直いうと、まだわからん。だが少なくもワシはお主に可能性を感じた。倒せるかどうかは、お主の努力次第よ!」
ナギ「そ…そう言うもんなのか…。」
オニワカ「さあ!帰って夕餉にするぞ!また明日も頑張れるようにな!!」
夜……
ナギ「うぅ〜ん…。何だか目が冴えて眠れないな…。そういえば近くに湖があるっておっちゃん言ってたな…。ちょっと顔洗ってこようかな……。」
眠れなかったナギは、コッソリオニワカの小屋を抜け出して、近くにあると言う湖に向かった。
ナギ「確か…こっちの方だったかな?……うん?誰かいる…?」
湖にて月光に照らされていたのは、神秘的な雰囲気を放つどうみても人間ではない少年と、これまた神秘的な雰囲気を放つ巨大な獣がいた。どうやら戯れている様子だが……。
???「誰だ?そこでコソコソ何してる?」
ナギ「あっ、バレてたか…。あっ、勘違いしないでくれよ!別に襲おうとか考えてないから……。」
???「僕はまだ何も言ってないが…。」
ナギ「あっ…。まぁ細かいことはいいや!キミは?こんなところで何してんだ?」
???「はぁ…僕はイスル、公子イスルだ。こっちは僕の一族に伝わる信獣シナプス。僕たちはまだこの森に来たばかりでね、探検中にちょっとこの湖で休んでいたんだ。」
シナプス「コォォォ…。」
ナギ「へぇ〜、じゃあオレと同じだな!オレもつい昨日この森に来たばっかでさ!なぁ、提案なんだけどさ、オレと一緒に森を探検しないか?」
イスル「はぁ?なんで初対面の君と僕が……。」
ナギ「まぁいいじゃんか!お互い森のことは知らないんだし!ほら、いくぞ!」
イスル「あっ、おい!?」
そうして、ナギはイスルの手を引っ張って、秘密の探検に出かけた。森の住人に見つからないよう、コッソリ探検した二人は、しばらくしてまた湖に戻ってきた。
ナギ「はぁー!結構広いんだな、この森って!イスルはどうだった?楽しかったか?」
イスル「はぁ…はぁ…結構疲れたが、こうやって誰かと一緒に出かけるということは、あまりなかったから新鮮な気分だったな…。」
ナギ「そうなのか?…友達とかは?」
イスル「………友達なんて必要ない。父上からも「友達よりも己の力のみを信じろ」って言われてるからな。僕は父上みたいに強くなれればそれでいい。」
ナギ「ふーん…。ならさ、オレが友達になってやるよ!オレも強くなりたいからさ、二人で一緒に鍛えようぜ!」
イスル「おい!僕の話聞いてなかったのか!?僕は友達なんて……。」
シナプス「コォォォ…」
シナプスが水引のような部位をお互いの頭に添えると、ナギの頭の中に何かが流れ込んでくる。
《友達……か…。なんだか悪くない気分だな…。こんな気持ちは、初めてだ…。》
ナギ「…今のって……。」
イスル「はぁ…シナプスのヤツ、余計なことを…。シナプスは、自分の認めた相手の心を覗く力があってな、読心ってヤツだ。それを他者に共有することもできる。コイツの前では、隠し事はできないと考えていい。」
ナギ「へぇ〜、じゃあイスルは、オレと友達になりたいってことでいいな!これからよろしくな!イスル!」
イスル「うぐ……シナプスに見透かされた以上、ノーとは言えないな…。わかった。今日から僕とキミは友達だ。…これでいいだろ?」
ナギ「へへっ!やったぜ!森でできた友達第一号だ!!もちろんシナプスもオレの友達だ!いいよな?」
シナプス「ヒュゥゥ…」シナプスはナギに頬擦りしている。
イスル「…驚いたな。父上と僕以外には懐かないはずなのに…。どうやらシナプスは、よっぽどキミのことが気に入ったらしいな。」
ナギ「そーなのか?じゃあよろしくな、シナプス!」
シナプス「ヒュゥゥ…」シナプスは静かにお辞儀した。
イスル「…キミは不思議なヤツだな。」
こうして、ナギはイスルとシナプスと出会い、友達になった。
イスルは少し冷たいが、不思議とナギといると、悪い気はしないらしく、シナプスのお陰もあり、いつの間にか打ち解けていた。
ナギ「そうだ!さっきの一緒に強くなるって話だけどさ、よければ特訓相手になってくれないか?」
イスル「はぁ?なんで僕がキミの特訓に付き合わなきゃいけないんだ?」
ナギ「だって、イスルも強くなりたいんだろ?オレもイスルも強くなりたい。なら一緒に特訓すれば、一緒に強くなれるだろ?悪い話じゃないと思うぜ?」
イスル「はぁ…キミといると調子が狂うな……。わかった。そこまで言うなら付き合ってやる。このまま断り続けても、ずっと誘ってきそうだしな。」
ナギ「ありがとな!それじゃあ準備しようぜ!絶対負けないからな!」