前回、オロシになんとか認めてもらい、オニワカを助けることが出来たナギ。その後も、魔王を倒すためオニワカやイスルと特訓を重ねていき、強くなっていった。しかし、いまだにイスルはナギが父親であるソジュを倒そうとしているということに、深い葛藤を抱いていた。ナギはまだ、魔王ソジュがイスルの父親だということは、まだ知らない。
そして…ナギがオロシに認めてもらってから、1週間が経った…。
ナギ「おりゃぁぁぁ!!」
ズバァァァ!
オニワカ「ぐっ…!このワシに膝を付かせるとは…。やるようになったではないか、ナギよ!」
ナギ「へへっ!クラスチェンジもできたし、順風満帆ってとこかな!」
ナギは修行の末、疾風のナギへとクラスチェンジを果たし、オニワカとも対等に戦えるまで成長していた。
オニワカ「しかし、まさかこんな早くクラスチェンジしてしまうとはなぁ!そういえば、イスルとは最近会えておるのか?最近あやつの姿を見ないが…。」
ナギ「…実を言うと、最近は会えてないんだ…。3日前くらいからかな?めっきり姿を見せなくなって…。湖に行ってもいなかったんだ…。」
オニワカ「そうか…。今頃、何をしておるのじゃろうな?……っと、ナギよ!急がんで良いのか?今日は大事な作戦会議の日じゃろう?」
ナギ「あっ!いけねぇ!すぐ準備しなきゃ!!」
オニワカ「ハッハッハッ!安心せい!ワシも呼ばれておるから、一緒に行こうではないか!」
ナギ「そーなのか!じゃあどっちが祭壇に着くか、競走だ!よーい…ドン!!」ダッ!
オニワカ「おいナギ!?…全く、クラスチェンジはしても、あやつは変わらんのう…。」
風隠の祭壇…
オロシ「ナギ、オニワカよ。来たか。…では早速だが、作戦を説明する!心して聞くがよい!」
オニワカ「ハッ!」
オロシ「まず、今回の目的は魔王を倒すのもそうだが、魔王に占拠された神木の奪還も目的に入っている。そして、魔王を倒したとしても、既にいくらか神木の生命は吸われてしまっておるだろう…。そこで今回、彼女らを呼んだ。ここに参れ!」
そこに現れたのは、2人の巫女服を着た少女だった。
アカネ「初めまして!神木の巫女をやってる神楽アカネよ!よろしくね!」
アオイ「同じく、神木の巫女の神楽アオイです〜。以後よしなに〜。」
ナギ「えーっと…この娘たちは?この娘たちが神木の奪還とどう関係が…?」
オロシ「その者らは神木の巫女としての役割を持っておってな、神木の前で祈祷することで、涙竜ナキサワメを呼ぶ役目を持っておる。」
オニワカ「ナキサワメ…。確か、雨の恵みによって森の生命を蘇らせるというドラゴンですな?」
オロシ「如何にも。今回の作戦目標としては、ナキサワメを呼び、吸われてしまった神木の生命を蘇らせるというのが最終目標となる。そしてお主ら二人には、魔王討伐と同時に巫女の護衛を頼みたい。二足の草鞋になるが、頼めるな?」
ナギ「おう!任せとけ!それに、護ることなら、おっちゃんも得意だしな!」
オニワカ「うむ!護衛とあらば、このオニワカにお任せいただましょうぞ!」
アオイ「あらあら、頼りになりますね〜。」
アカネ「それじゃあ、アカネ達をしっかり守ってね!」
オロシ「頼りにしているぞ。当日は私が先導する!皆の者、なんとしても魔王ソジュの手から神木を取り返し、森に平和を取り戻すのだ!」
一同「おーー!!!」
士気を上げる一同。しかし、ふとナギはよく知った気配を感じる。
ナギ「ん…?」
オニワカ「どうした、ナギよ?何かあったか?」
ナギ「いや…今そこの木のところにイスルがそこにいたような気がして…。」
オニワカ「……誰もおらんではないか。気のせいではないか?」
ナギ「そうかなぁ…?確かにいたような気が…。」
オロシ「……一つ聞くが、そのイスルという者は、三日月状の杖を持っておったか?」
ナギ「えっ!?オロシ様、なんでその事を!?」
オロシ「やはりか…。カラスがお主のことを見つけた日に、その者のことも見つけておってな。見慣れない者だったので、跡をつけさせた。そしたらどこに着いたと思うか?」
ナギ「えっ?…いつものように、湖じゃないの?」
オロシ「……あやつは神木の方に向かった。そう、魔王ソジュのいる場所だ。」
ナギ「ま、まさか一人で魔王に挑みに!?友達なんだから、言ってくれれば力を貸したのに!」
オロシ「そうか、『友達』か…。……その者は、ソジュと親しげに話していたそうだ。まるで家族のように…。」
ナギ「…………えっ?」
オロシ「何が言いたいかは、もうわかるだろう?おそらくだが、お主の友だというイスルは……魔王ソジュの息子だ。」
ナギ「──────」
言葉を失った。友達のイスルが、魔王の仲間どころか、家族であったことに。そして、これから待ち受ける運命を察してしまったことに。
オロシ「わかっているだろうが、魔王と敵対する以上、お主の友であるイスルとの戦いは避けられぬだろう。酷な話とは思うが、覚悟を決めよ。」
ナギ「───は…はい…。」
オニワカ「ナギ……。」
残酷な運命が、2人の友情を分つ。ナギの声には、先程までのような気迫はなかった。