しかしその道中、かつての友であったイスルに行手を阻まれる。
ナギは彼の説得も兼ねて、単身イスルとの戦いに挑むが、友達相手に本気を出せず、ナギは敗北。深い眠りについてしまうのだった。
そのころ、神木にはオロシ達が到着し、再び魔王ソジュとの戦いが繰り広げられようとしていた。
オロシ「貴様、神木から離れよ!この森は我らのものである!貴様に喰われるために存在しているわけではない!!」
ソジュ「そうだろうか…?森は、余の贄となるのを望んでいるぞ?だから森の生命を食ってやってるだけのこと。其方らとて、腹が空いたら生き残るために手頃な場所にいる生物を食べるであろう?それと同じだ。」
オロシ「貴様…!そう言いながら、一体どれだけの生命体からエネルギーを吸い上げてきた!?」
ソジュ「其方は今までに食べた木の実の数を覚えているのか?」
オロシ「……そうか、やはりどれだけ話しても、貴様は自分たち以外の生命を、自分に喰われるためのエサ程度にしか思っていないのだな…!」
ソジュ「それ以外に何がある?この世の全ての生命は余のためにこそ存在する。わかったのなら一族繁栄のためにも、ここで余の贄となるがよい…。」
オロシ「なら、思い知らせてやろう…。我ら森に住まう者達は、貴様らに喰われるだけのエサじゃないということを…ッ!!」
ソジュ「ではまずは…小手調べといくか。フッ!」ヒュンッ!
オロシ「甘いわ!」キィン!!
ソジュは三日月のような魔力を飛ばし襲いかかるが、容易くオロシの扇で防がれる。
オロシ「巫女達よ!手筈通りに頼む!」
神楽姉妹「「かしこまりました!」」
アカネ「焚結びの神舞…。」シャンシャララ…
アオイ「澪ゆるぎの神舞…。」シャンシャララ…
シュゥゥン…
ソジュ「うん?これは……。」
オロシ「ハァッ!!」ザンッ!
ソジュ「ほう…少し守りが弱まった…。それだけでなく、彼奴の攻撃力が強まったな…。あの小娘どもの舞か。ならばまずそちらから…!」ヒュンッ
オニワカ「させぬ!ベンケイ立ち!!フンッ!!」バシィィン!!
神楽姉妹にソジュの魔力刃が届きそうになった時、オニワカが身代わりとなって攻撃を受ける。
オニワカ「巫女様には、指一本触れさせぬ!!」
ソジュ「(成程、小娘にサポートを任せ、それを護るような盾役、そして管理者がアタッカー、バランスが取れているな。)少しはやるではないか。」
オロシ「いつまでその余裕が持つか!とっておきの風をくれてやろう!菖蒲の扇よ!!侵入者を蝕む風を吹かせよ!!」ブォン! ゴォォォォ!
ザクザクザク!!
風が吹き、花びらがソジュの身体を切り裂く。そしてソジュの身体に異変が生じる。
ソジュ「ぬ……。あの花びら、毒のある種類か?其方と一対一で戦った時には使わなかった技だな?」
オロシ「切り札はとっておくものだからな!それに、巫女達のおかげでこちらに追い風が吹いている!一気に畳み掛けてくれる!!」
そういうとオロシは天高く飛び、印を結び始める。
ソジュ「来るか……。ならば。」
ソジュは一本の花を手に取る
オロシ「風よ、愚かな闖入者を退けよ!タロウボウ…」
ソジュ「風哭の唄よ、奪い去れ。」バサァァァァァッ
ソジュが花に息を吹くと、周囲の草花が枯れ始め、さらに同時にオロシ達から力が失われていく。
オロシ「な…EXが…発動しない!?」
アオイ「す…すみませーん…。今の風で力が出なく…。」
ソジュ「さて、下拵えはここまで。ここからは……晩餐といこう。喰月。」ギュオン!
ソジュの耳のような部分が神楽姉妹に狙いを定め、食指を伸ばす。しかし…
オニワカ「ッ!?マズイ!巫女様!!」バクンっ!!
アカネ「オニワカさん!?」
姉妹達の目の前でオニワカが耳で包み込まれ、喰われる。
ソジュ「その力…余がいただこう。」ギュゥゥゥゥン……
オロシ「オニワカ!!くっ…今助ける!菖蒲の…」
ヒュンッ キィン!!
突如として槍が飛び、オロシの扇を手から放す。
イスル「食事中に横槍は御法度だ。」
そこに現れたのはイスル。ナギを倒した後、丁度到着した後だった。
オロシ「ぐっ!貴様は先刻の…!つまりナギは…。」
ソジュ「次はお前だ。」
オロシ「なっ、しまっ……!?」バクンッ!! ギュゥゥゥゥン……
隙を突かれたオロシも、オニワカに続き喰われる。
ソジュ「さて小娘共よ、どうする?見たところ其方らには攻撃技がないと見える。あったとしても、蚊に刺された程の痛みすらないだろう。…詰みだ。」
イスル「逃げるなら、命だけは助けてやる。その結果、お前達の族長たちがどうなるかは、知らないがな。」
アカネ「ねぇアオイ…どうしよう…。これで終わりなのかな…?」
アオイ「悔しいですけど…私たちだけでは逆転は難しそうですねー…。」
ソジュ「逃げる事もできぬか。なら、其方らも余の糧になるがよい…。」ギュオン!
ソジュは容赦なく、神楽姉妹にも食指を伸ばす。オロシとオニワカは既にソジュによって喰われ、動けそうにない。絶対絶命と思われた……その時だった。
喝ーーーーーーッ!!!!
キィィィィィン……
突如として大声が森に響く。
イスル「ぐっ!?な…なんだこの声…!?身体が痺れて…。」
ソジュ「ぬぅ…古木が来たか……。」
ソジュも大声に耐えられず、捕食していたオロシとオニワカを解放してしまう。
???「貴様か…。我が森を荒らす愚か者は…!」
アカネ「ね…ねぇあの人って…まさか!!」
アオイ「あらあら…お帰りになられたのですねー…。」
???「我が名は…風隠の主ナナワライ!!この風隠の森を司る者なり!!」
ソジュ「ナナワライ…。この森の主にして、余にとって最大の障害…。」
オロシ「ち…父上。よくぞ…お戻りに……。」
ナナワライ「うむ、オロシよ。我がいない間、森をよくぞ護ってくれた。……後は任せよ…!巫女達よ!オロシとオニワカを連れてここから離れよ!」
アカネ「は…はい!アオイ、行くよ!」
アオイ「はいー!お二人を連れて、ここからすぐに逃げましょうー!」
アカネとアオイは、力を吸われ動けなくなったオロシとオニワカを担いで、戦線離脱を図るが…。
イスル「くっ…逃すか!!クレセント・リーパー!!」ヒュンヒュンヒュン…
アカネ「あっ、もうダメ…!」
ザンッ バキィィン!!
突如として、イスルのクレセント・リーパーが何者かによって防がれる。そこにいたのは、一人のサムライだった。
イスル「なっ!?今のは…お前…何者だ!?」
???「……我が名はヒエン。我が師、ナナワライに従事する者!」
彼は剣聖ヒエン。ナナワライの一番弟子であり、かつて龍人の都を魔皇マオタイの手から解放した、英雄とも等しき歴戦の勇者である。
ナナワライ「ヒエンよ!巫女達を頼むぞ!」
ヒエン「承知!さぁ二人とも、こちらへ!」ドォーーン!!
ヒエンは雷のように素早い動きで皆をつれ、イスルの目にも止まらぬ速さでその場を去っていった。
イスル「な…なんだ今の速さは…!?あの速さ、ナギと同等かそれ以上の…!間違いなく只者じゃない…!何者なんだ、アイツは…!?」
ナナワライ「これで思う存分戦えるな…。さて、この罰当たりめが…!我が森に手を出した罪は高くつくぞ…!!」
ソジュ「…フン。とうに旬を過ぎた古木が。枯れて野に帰すがいい…!」
そして、戦いはナナワライが帰還したことでさらに激化する。
ナナワライとソジュによる死闘が繰り広げられる中、ヒエンは体勢を立て直すべく、神木から離れていくのだった。