しかし直後、ソジュを食い止めていたナナワライが限界を迎えつつあることと、ソジュが邪神と化したことが神楽姉妹より伝えられる。
ナギはすぐさまヒエン、シナプスと共に、ソジュと決着をつけるために神木へ向かった。
ナナワライ「お…お主達は…。」
ソジュ「ナギ…。そうか、其方がイスルの…。」
ナギ「アンタがイスルのオヤジさんか!これ以上森から命を奪うのはやめろ!!」
ソジュ「何を言う?其方だって生きるために他の生命を食らうだろう?余がやっていることは、其方らとなんら変わりのない事だ。」
ナギ「違うね!オレ達は食べるたびにその命に感謝している!お前がやってるのは、他の命を顧みずに命を奪う…ただの殺戮だ!!」
ソジュ「この森の命は…いや、この世全ての生命は我が一族のためにこそあるのだ。あって当然のモノの気持ちを考えろだと?到底理解できんな。」
ナギ「ふざけんな!!お前がいるから、森のみんなは苦しんでるんだ!お前がいなくなればいいだけだろ!」
ヒエン「ナギ、もういい。コイツは話し合いで解決するような相手じゃない。奴は命に対する倫理観が違いすぎる。ここで決着をつけるぞ!」
ナギ「あぁ…そうだな。お前をここで倒して、森を守ってみせる!行くぞ!!」
ソジュ「…また夜が来る…緋き夜が。この邪神ソジュの夜だ。」ズァァァッ!
そう呟くと、月が血染めのように真っ赤に染まる。
ナナワライ「この覇気…まさか…我と戦っていた時は本気を出していなかったと…!?」
ソジュ「さぁ…今宵は良い晩餐になりそうだ…。」
シナプス「ヒュゥゥッ!」ギュゥゥン…!
ナギ「こ…これは?」
ヒエン「力がみなぎってくる…。シナプスがやったのか?」
シナプス「ヒュゥゥ…。」うなづいている。
ソジュ「"リンクス∞シンパシー"か…。まさか信獣に裏切られようとは…。そんなに其奴のことが気に入ったか、シナプスよ…。」
シナプスの技は、強化・サポートのものが多く、そのうち"リンクス∞シンパシー"は自分とシンクロした者…この場合は、ナギと同じ属性の味方の力を高める効果を持つ。
ヒエン「お師匠様!」
ナナワライ「心配をかけてしまったな、ヒエンよ。うっ…すまないが、ここよりは其方らに任せる。良いな…?」
ナギ「おう!任せとけ!」
アカネ「アカネたちも!」
ナナワライ「待たれよ!其方ら巫女たちには、神木の回復を頼みたい。神木の生命は彼奴に吸われたせいで、最早枯れる寸前。一刻も早くナキサワメを呼び、森を甦らせるのだ!」
アオイ「わかりました〜!行きましょう、アカネちゃん!」
アカネ「わかった!」
神楽姉妹は神木に向かい、舞を踊り始める。ナキサワメを呼ぶために…。
ソジュ「うん?何をする気かは知らないが、余の食事を邪魔するのであれば、容赦はせん。」ヒュンッ!
ナギ「させるかっ!!」バキィン!
ナギは姉妹に飛んで行った刃を剣で打ち砕く。
ソジュ「ほう、中々素早い。余が戦った中で其方ほどの速さの戦士はいなかったな…。だが。」ギュォォ!
ソジュの耳がナギに迫ってくる。今度はナギを捕食するために。
ヒエン「フッ!」 ズバババァァ!!
ヒエンの目にも止まらぬ剣技が、ソジュの耳を切り裂く。
ソジュ「ぐっ…!?」
ヒエン「これでもう捕食はできないな。」
ソジュ「無粋な真似を…。」
ヒエン「ナギ!オレに続け!一気に畳みかけるぞ!」
ナギ「おう!」
ヒエン「この剣技…見切れるか?……煌めきしこと、明星の…如し!!」
ズバァァ!!
ソジュ「ぬぅ…速い…。だがその程度では…。」
ナギ「もう1発…だ!!」ズバァ!!
ソジュ「何っ!?」
ヒエンの一撃の後に、ナギが間髪入れずに攻撃を叩き込む。
ヒエン「さぁ…オレ達の動きについて来れるか!」
ナギ「まだまだ行くぜー!そりゃそりぁーー!!」
ズバババババババババ……
ソジュ「ぐ…ぬぅ……!」
絶え間なく続くヒエンの剣技とナギの追撃により、ソジュはじわじわと体力を削られていく。
ソジュ「……鬱陶しい。フンッ!」ブォン!
ナギ・ヒエン「ぐあぁぁ!?」ドサッ
ソジュは羽衣で2人を薙ぎ払い、退ける。
ソジュ「成程…。余をここまで追い詰めるとは…。よろしい。奥の手を使うとしよう…。」
そういうとソジュは空高くまで飛び上がり空にある月に溶け込む。
ナギ「な…なんだ?アイツ、何を…。」
ソジュ「余の怒りは月をも染める。汝 名を捨て、命を捧げよ。月下の王の名のもとに。
ナナワライ「!?いかん!!あの月を見るな!!」
なにかを感じたナナワライは彼らを庇うよう、咄嗟に2人の前に出る。
ドクンッ!
ナナワライ「ぐっ…!?」
しかし、代わりにナナワライが月を直視してしまう。…ソジュの眼が見開いた、不気味な月を。
ヒエン「お…お師匠…様?」
ナナワライ「ひ…ヒエン…、そして若者よ…。我が正気のうちに…我から…離れよ…!」グググ…
ナギ「あ…あの…大丈…」
ナナワライ「……ハァッ!!」ザンッ!!
ナギ「危なっ!?」ヒョイッ
ドォォオン!!
ナギは咄嗟にナナワライの攻撃をかわす。
ヒエン「お師匠様!?何を…!?」
ナギ「この人、様子がおかしい!月を見たせいか!?」
ソジュ「その通り。緋き月を見た時より、その者は余の傀儡となったのだ。さぁ、思う存分暴れよ。」
ナナワライ「ハァァァァッ!!」
ヒエン「お師匠様!!」キィィィン!!
ナナワライは風の刃を作り出し斬りつけるが、ヒエンによって受け止められる。
ヒエン「構うな!!お師匠様はオレに…くっ!!」
ナギ「んなこと言ったって…!」
シナプス「ヒュゥゥゥゥゥ…!」
ナギ「し…シナプス?何を…?」
シナプス「ヒュゥゥ…!」パァァァ…
光がナナワライを包み込む…。
ナナワライ「うっ…うぅ、我は…何を…?」
ヒエン「お師匠様!」
ソジュ「そうか…シナプスには"フラックス∞パージ"があったな…。」
フラックス∞パージ。味方か敵を対象に、状態異常や強化を解除する効果を持つ技である。
ソジュ「……シナプスが其方らの味方についた時点で、余の命運は決まっていたか…。」
ナギ「……イスルには、感謝しかないな!」
ヒエン「君たちの友情に救われるとはな!決めるぞ、ナギ!」
ナギ「おう!ハァァァァッ!!」ビュォォォォ!!
ソジュ「EX技か…。させぬ。風哭の…」
ヒエン「飛燕流、奥義……布都御魂太刀!!」
ズバァァァァァァァァ!!!
ソジュ「ぐぅっ!?」
ヒエンはソジュに力を奪われる前に超EXを発動し、ソジュを妨害する。そして…。
ナギ「これがお前が踏み躙った…生命の重みだァァァァァァ!!奥義!
ズバズバズバズバ……!
ソジュ(……ここまでか。)
ズバァァァァァァァァン!!!
緋色の月は元の輝きを取り戻し、月明かりには力無く倒れるソジュが照らされていた。
ナギ「はぁ…はぁ…ど…どうだ!」
ソジュ「……まさか、贄にここまで圧倒されるとはな…。余も少し、慢心しすぎたか。…いいだろう。余の負けだ……。」
ナギ「?…随分潔く負けを認めたな?」
ソジュ「それもそうだろう……。どちらにせよ、余は遅かれ早かれ死にゆく命…。余はもうじき消える……。だが、残さねばならぬ……。大いなる恵みを………我が…息子に………。」
???「ち…父上?」
そこに現れたのは、ナギや父ソジュのことを考えるあまりに、対応が遅れてしまったイスルだった。
ナギ「その声……来たんだな、イスル。悪いけど…お前のオヤジは、もう倒した。……決着、つけるか?」
イスル「……そうか。いつかはこうなると思っていたよ。……父上、見ていて下さい。父上の後は…僕が継ぎます。」ザクッ! ギュゥゥン…
イスルは、ソジュに対しコスモファージを発動し、彼の生命全てを吸収し、後を継ぐ準備を整える。
ソジュ「……イスルよ………後は……任せた………ぞ…………。」ガクッ
イスル「……はい、父上。」ゴクン。
シュゥゥゥン…!
イスルがソジュの残された生命エネルギーを吸収した途端、姿が変わっていく。
イスル「ボクは…魔王子イスル。父、魔王ソジュの後を継ぐ者として……ここで決着をつけよう、ナギ。」
ナギ「……やっぱり、お前の気持ちは変わらないんだな…。わかった。」
邪神ソジュを倒したのも束の間、そこにイスルが現れ、クラスチェンジを果たす。
……宿命の戦いが、始まろうとしていた。