彼は一体何者なのか?彼との出会いは、セイレンとの戦いから少し後のことでした。
一ヶ月前…。氷雪地帯にて。
ヴェッチ「魔皇ミード…。北の大地を冬に閉ざした犯人はわかったな。」
チューン「ええ。まさかあの人魚から聞けるなんてね。しかも話からして、多分あたし達と同じくミュージシャン、それもかなりのやり手とみたわ。」
02拍子型「アトハ ドコニイルカデスガ…。」
ヴェッチ「そこなんだよなぁ…。セイレンは偶々会っただけでミードの居場所については何も知らなかったみたいだし…。都合よく居場所知ってるやつがいてくれたらいいんだけど…。」
そんな話をしていると、突如としてどこからともなく声が響いてくる。
???『ミードの居場所…トゥル知ってるよ…?』
チューン「!?今の声…どこから!?」
ヴェッチ「だ…誰だ!?姿を見せろ!!」
キラン。シュゥゥゥン!
すると、近くにあった氷塊の反射から、全身鏡張りの精霊が飛び出して来た。顔は鏡になっており、表情は読めない。
02拍子型「ワワ!?コオリカラモンスターガ!!」
???「やぁ、ヴェッチ。キミの友達……トゥルだよー!!」\バーン!/
シーン……
謎のモンスターの登場に、ヴェッチ達は戸惑いで言葉を失う。
ヴェッチ「えっと…知り合い…かな?忘れてたら申し訳ないんだけど、多分初対面だと思う…。」
???「あっ、そっか。"キミは"トゥルと会うのは初めてだったね。じゃあ改めて…。トゥルはトゥルース!真実の精トゥルースだよ!!」
ヴェッチ「そ…そうか…。("キミは"…?どういう事だろう…?)」
チューン「ね…ねぇ、さっき言ってたミードの居場所知ってるって本当?」
トゥルース「うん!トゥルはウソはつけないからね!鏡に映るのは、いつだって真実!」
トゥルースは鏡の顔を指さして誇らしげに言い放つ。
トゥルース「ミードはね、山の麓にある鏡の城にいるんだ!そこでいっつも歌っているんだよ!」
チューン「それ、本当でしょうね?もし嘘だったらその鏡叩き割るからね?」
トゥルース「乱暴なこと言わないでよ〜!さっきも言ったけど、トゥルはウソはつけないし、割れたとしても、割れた破片から別のトゥルが増えるだけだからね!」
ヴェッチ「まぁ…ここまで言うってことは、本当なんだろう。鏡の城に行けばミードに会えるんだな?」
トゥルース「うん!やっぱりヴェッチはわかってくれるなー!流石はトゥルの友達!」
ヴェッチ「あの…一つ聞きたいんだけど…おれのことはなんで知ってるんだ?」
トゥルース「なんでって…そりゃもちろん、トゥルはキミのファンだから!それで、ミードのことを知ってるのも、ミードのファンだから、だよ!」
02拍子型「ミードノファンデモアル…デスカ?」
トゥルース「そうだよー!ヴェッチもミードも大好き!トゥルのこと楽しませてくれるからね!」
ヴェッチ「そ…そうなのか…。」
チューン「で、結局あんたどっちなのよ?」
トゥルース「ん〜?どっちって?」
チューン「とぼけないで。あんた、さっき「ミードのファンでもある」って言ったでしょ?…あんたはあたし達にとって味方なの?それとも敵?」
ヴェッチ・02「「!!」」
チューンは話の中でずっと思っていたことを口にする。ヴェッチと02拍子型も言われて気づいたようで、3人は臨戦体制を取る。
トゥルース「ちょちょちょ…ちょっと待ってよ!?トゥルはどっちの味方でもないし、どっちの敵でもないよ!中立だよ中立!!」
チューン「あんた、さっきから怪しさ満点なの自分で言ってて気づいてないの?信じられる要素が殆どないんだけど?」
トゥルース「ヒドイなー…。トゥルはホントのことしか言わないのに…。あっ、そうだ!みんなはさ、理想の姿とかある?トゥルならそれを見せることができるけど…。」
ヴェッチ「理想の姿…?」
トゥルース「そう!鏡っていうのは、真実の自分を映し出すもの。なりたいものだってトゥルには全部丸見え!今からみんなの理想の姿を見せてあげるからさ、それで納得したらトゥルのこと信じてよ!」
チューン「はぁ…わかったわよ。でもこれで納得いかない結果だったら今度こそ叩き割るからね?」
そう言ってチューンはトゥルースの顔の鏡を覗き込む。
トゥルース「どう?キミには何が見える?」
トゥルースの鏡には…少し成長し、ギターの腕前が上がったチューンの姿、後のギタリスト・チューンが映っていた。
チューン「こ…これが理想のあたし?」
トゥルース「うん!気に入ってもらえたかな?」
チューン「……えぇ、まぁ。」
トゥルース「なら良かった!キミもいつかはそうなれるから、頑張ってね!」
02拍子型「ジャア、ツギハボクガ!」
トゥルース「いいよー!ロボットだって大歓迎!」
次に02拍子型がトゥルースの鏡を覗き込む。…しかし、映ったのはそのまんま今の02拍子型の姿だけだった。
トゥルース「おやおやー?これは現状維持ってことでいいのかな?」
02拍子型「ハイ!ボクノリソウハ、ヴェッチタチトイル、イマノジブンデスノデ!」
ヴェッチ「02…。」
トゥルース「ふーん。じゃあ最後は…キミだよ、ヴェッチ。」
ヴェッチ「あ…あぁ。」
最後に、ヴェッチがトゥルースを覗き込む。
ヴェッチ「────えっ?」
トゥルース「…どう?何が見えた?」
ヴェッチは、鏡を見て映ったものに言葉を失う。
チューン「ん?どうしたのよ、ヴェッチ。」
ヴェッチ「あ、あぁ…ごめん。会ったことない人が映ってたから、ちょっとびっくりして…心の底で、今映った人に憧れてるってこと…でいいのかな?」
トゥルース「そういうことになるね。まぁ、真実を映すから嫌なことだって見えちゃうこともあるよ!それじゃあトゥルはこの辺で!また来るからねー!」
ヴェッチ「あっ…待ってくれ!まだ聞きたいことが…!」
シュゥゥゥン!
トゥルースはヴェッチが言い切る前に、光と共に姿を消した。
チューン「あいつ…調子のいいことだけ言って消えていったわね…。なんかムカつく…!」
02拍子型「ケッキョク、ナニガシタカッタノデショウ…?」
チューン「さぁね!こっちをおちょくりたかったんじゃないの!?さ、行くよ!…ヴェッチ?」
ヴェッチは、先程の鏡に映った姿が気になるのか、ぼーっとしたままだった。
ヴェッチ「あ…ごめん。じゃあ行こうか。」
チューン「…さっきのが気になるんでしょうけど、考え込んでる暇はないよ!そろそろライブ、開ける準備しなきゃ!今までの即興じゃなくて、本当のライブを!」
ヴェッチ「……そうだな。」
そうして、ヴェッチ達は春を取り戻すため、凍てついた村を戻しながら、鏡の城を目指して歩み始めた。さながら、ゲリラライブツアーでもやっているかのように。
そして現在に至る。
トゥルース「どう?トゥルと会えたのも、そこまで悪いことじゃなかったでしょ?」
チューン「ええ、あたしもあれから頑張ってライブを続けて、クラスチェンジもできたしね。…でも、あんたのことは信用したわけじゃないから!」
トゥルース「もー!頑固者だなぁー!ヴェッチはそんなこと言わないよね?ね?」
ヴェッチ「えっ?あ…あぁ、そうだな…。」
02拍子型「ヴェッチ、ソコマデキニスルコトハナイトオモイマスヨ?ヴェッチハ、ジブンノビートニシタガッテイルトキガ、イチバンヴェッチラシイゼ!!」
ヴェッチ「…そう言ってくれて助かる。」
トゥルース「あっ!そろそろ鏡の城に着くよ!じゃあトゥルはこの辺で!ライブ対決、頑張ってねー!」
シュゥゥゥン!
トゥルースはもうすぐで鏡の城に着くことを知らせると、また光と共に姿を消していった。
ヴェッチ「……もうすぐで決着か…。」
チューン「えぇ。ここまで長かったわね。」
02拍子型「ボクタチナラ、ゼッタイニカテマスヨネ?」
ヴェッチ「あぁ。ミードを倒して、北の大陸に春を取り戻すぞ!」
3人「「「オーッ!!!」」」
3人は迫る決戦を前に互いにエールを送り、ミードとのライブ対決に臨むのだった。
鏡の城…
トゥルース「たっだいまー!戻ってきたよミード!」
ミード「はぁ……ここをお前の家にした覚えはねぇ。とっとと俺の前から消えろ。集中力が削がれる。」
トゥルース「冷たいこと言わないでよー!あっ、そうだ。もうすぐでヴェッチ達もここに来るよ!楽しみだね!」
ミード「…そうか。」
トゥルース「あれ?楽しみじゃないの?…まっいいや。じゃあライブ、頑張ってねー!」
シュゥゥゥン!
トゥルースはミードにヴェッチ達のことを告げると、鏡の中へと消えていった。
ミード「……ようやくか。さぁ…俺を熱狂させてくれよ?」
ミードはライブの準備をするため、腰掛けていた巨大なスピーカーから立ち上がる。…その姿は、ヴェッチがあの時トゥルースを覗いた時に映った人物によく似ていた。